[過去ログ] 【今こそ】ロシア語入門・初級スレッド【ロシア語】 (1002レス)
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456: 吾人 (ワンミングク MMd2-C07K) 2024/10/24(木)05:38 ID:qkV/PVOwM(3/4) AAS
それにも増して吾人が刺戟を受けたのは、呼格が主格(名格)に取って代わられるのと対照的に、呼格形が主格形の代わりに用いられた例もあることの指摘であった。曰く
「前述の呼格の主格による交替は、又その反対の過程、即ち呼格が主格を表示し得たことを伴っていた」
特に Новгород や Псков に関係する文献にそうした使用例が指摘されているとの記述は、当方には全くの新知見であり、又 Шахматов がセルビア・クロアチア語にもその現象がある旨の指摘をしているとの記述には、文字通り仰天させられてしまった。
セルビア語やクロアチア語にそんな現象あったっけ?と考えていたら、半世紀程前に吾人が疑問に思っていたのに解決に至らず放置したままだった現象のことを思い出したのでありまする!
旧ユーゴスラビアの有名なノーベル賞受賞者にイヴォ・アンドリッチ(Иво Андрић/Ivo Andrić)
なる作家がいたことをご存知の方は多いだろう。
その名前 Ivo は紛れもなく男性名であるにも関わらず -o で終わっていて、それは西スラブ語的観点からは一見、中性名詞的に見える。
ただ、流石にこの男性名はロシア語や他のスラブ語にもよく見られる Ivan(Иван)なる形と類似していて、何かしら関連があることには気付く。
これはラテン語のヨハネ(Johannes)、英語ならジョン(John)に相当する、西洋人男性に非常にポピュラーな名前である。
話はチト脱線するが、吾人がセルビア語を独学し始めたのも、ロシア語を学び始めるのとほぼ同時期だった記憶がある。
その時に感じたのは、-o で終わる男性名が結構多いなあということで、当時使用していたセルビア語学習書にも Marko という登場人物があった。
この -o で終わる男性名はセルビア語と同じ南スラブ語に属するブルガリア語やマケドニア語には極めて多く、後者の例を挙げれば Пејо, Петко(<Петар)、Рачо, Пенчо 等々、挙げ出したらきりがない程ポピュラーである。
ブルガリア語やマケドニア語には基本的に名詞の格変化が無いのであまり関係ないが、セルビア語ではロシア語同様名詞に格変化がある。
前出の Marko は属格では Marka となるが、これは子音で終わる男性名詞と共通だし、違和感は全く感じない。
又、南スラブ語はいわゆるロマンス諸語とは最も近いところに位置し、現代ロマンス諸語はラテン語 Marcus のように通常 -us で終わる男性名詞を Marco のように、
語尾が -o となるのが普通であることを加味すれば、一見中性名詞的な形だが男性名であるという事にも、それ程違和感がある訳ではない。
なので、Ivo Andrić なる人名も属格では *Iva Andrića となるものだと吾人は確信していたが、なんとなんと実は Ive Andrića とするのが正解だったのである!
Ivo は属格で Ive となるだけではなく、与格では Ivi であり、これは Dragana のような -a で終わる典型的な女性名と全く同じである。
つまり、セルビア語では男性名 Ivo は女性名詞のような格変化をするのであり、且つその愛称形は Ivica
(サッカー日本代表チームのかつての監督 Ivica Osim なる人物名も参照)と -a で終わる形を取る。
これはロシア語の Сашаのような例を直ちに想起させる。
さて、かの千葉元教授の論文にあるセルビア・クロアチア語では呼格が主格の代わりに用いられるという現象の指摘と、この男性名 Ivo の奇妙な格変化がこの辺りで吾人の頭の中で結び付いてきた。
つまり、Ivo という形は、 *Iva (:ロシア語 Ваня) という元の形の呼格形だったのではないかということである。
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