[過去ﾛｸﾞ] コテハン雑談スレ158つーかﾄﾏﾄROMってんだろお前。 (1001ﾚｽ)
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310(3): 2008/12/17(水)03:54 ID:9ttNbCDM0(1/3) AAS
冬の日は短い。まだ申の刻だというのにあたりはもう薄暗くなってきやがった。
俺は今年の春先から、油を商っている稼ぎのいい松と一緒に暮らしている。
その松の口利きで、頼まれ屋今で言う便利屋を営み細々と日銭を稼いでいる。
今日も夕方近くになって大店の女将から来てほしいと使いがきた。
隣町にある飲み屋にいる息子に銭を届けてくれと言う。
その息子が又イケメンで女からいつも言い寄られ、人がいいのでつい度が過ぎる。
今回も呑み過ぎて御代が払えなくなったからと、その店のものを使わしたのだった。
「何時も済まないねぇ」女将はこっそりと包みを渡す。
「いい加減、懲らしめた方がいいですぜ」と言いながらもお金を受け取って使いのまぞと一緒にその店に急ぐ。
311(3): 2008/12/17(水)03:57 ID:9ttNbCDM0(2/3) AAS
道すがらたずねる「今度の相手は誰だい」
「古くからいるぼす姐さんでさぁ。姐さんと赤いお酒をのみたといってね・・」
「又、あこぎな商売したんじゃねぇか」というのに「いィえ私は何も知らないのです、唯の使いでして」
とまぞはすまして返す。憎めない奴め。
銭を渡して若旦那を連れて帰る途中、
「あれ、あれ」おびえた声で若旦那の文が川の方を指差している。
見ると今にも川に飛び込もうとしている男がいた。おれと文は慌てて飛び出した。「危ないよ」
男はびっくりしたようにこっちを見た。うす暗がりに彫りの深い顔が浮かび上がった。
何か見覚えのある顔だった。男もおれをみつめかえす。
「やま...じゃないのか」「あっ、どら...か」 幼馴染のやま、だった。
省3
312(3): 2008/12/17(水)03:58 ID:9ttNbCDM0(3/3) AAS
漕ぎ出した舟から、風にまぎれて聞こえてきた「お前のことが好きだったよ」
「まてよ、俺だって...大好きだった」俺は小さくつぶやいた。
「いィ男でしたねぇ」文が言う
「急ぎましょうや。もう暗くなりますぜ」俺は道をいそいだ。松の待っている家へ。
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