【HONDA】S660 Part210【MR OPEN ポエム】 (376レス)
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37: 警備員[Lv.4][新芽] 10/17(木)07:25 ID:gaIwd6vM(1/11) AAS
こうして“ゆるすぽ”の方向性は固まっていきましたが、2011年夏、プロジェクトには最大の危機が訪れます。
“ゆるすぽ”の開発計画が凍結されてしまったのです。
「気軽に運転できて速さはそこそこという“ゆるすぽ”では、社内の理解が得られなかった。軽のスポーツカー
といえども、ガチでやりきったクルマじゃなければ、Hondaらしくないという判断からです。開発計画が凍結され
たとなると、そのままではチームは解散です。でも、スポーツカーをつくりたいという強い思いがありましたから
、みんなで部屋に籠もり、どうしたらHondaらしさを保てるのかを考えて、コンセプトを練り直したんです」。

そこで生まれたのが“ガチスポ”、すなわち、本物のスポーツカーというコンセプト。軽のスポーツとしてもっと尖
った、際立ったキャラクターを持つクルマで、スポーツカー好きを唸らせるような性能を目指したものです。
「マイクロスポーツカーの本質を研ぎ澄ましたらこの“ガチスポ”に辿りつきました。けれども、誰もが寄りつかな
いようなクルマではなく、とてもフレンドリーなクルマに仕上がっているし、気軽さも忘れていない。“ガチスポ”と
省11
38: 警備員[Lv.1][新芽警] 10/17(木)07:39 ID:gaIwd6vM(2/11) AAS
スポーツカーといえば、大排気量のエンジンを積み、数百馬力のパワーで猛スピードで走るイメージがある。そこをなぜあえて、
660cc制限のある軽自動車にしたのだろうか。実は椋本さんには苦い経験があった。入社直後、子どものころにホンダのCMを
見て憧れていたS2000を中古で買った。240馬力以上を発する超高性能スポーツカーだが、完全には乗りこなせなかったという。

「乗ってみて分かったんですが、これは失敗したなと思いました。やっぱり19歳の身の丈には合ってなかったんです。その教訓
で、自分たちにとって身近で思いっきり乗りこなせる車があるといいと思ってました。高校生のころは、学校までバイクのスーパ
ーカブで通学していたんですが、あれが面白かったんですよ。元の排気量が小さいからエンジン全開にできるし、マシンを振り
回す感覚があるんです。エンジンは死にそうな音がするし、ステップもガリガリ削られる。『遅いんだけど楽しい』という感覚がずっ
と身にしみついてたんで、そういう車があってもいいというのが、発想の原点ですね」

2011年3月の開発スタートから、4年越しで完成したS660。運転手の背後にエンジンがあるため、後席はない。当然、2人乗りだ。
トランクはボンネットの中の狭いスペースだけで、ホロを収納すればいっぱいになってしまう。それでい
省17
39: 警備員[Lv.2][新芽] 10/17(木)08:17 ID:gaIwd6vM(3/11) AAS
S660の走りの特徴は「運転技量を問わずに“らしさ”を味わえるミッドシップ」である。「ホンダの入門スポーツカーですから、
いつ、だれが、どこで乗っても楽しいクルマを目指したんです。むずかしいことを考えずに走ってほしい」と語る。
ミッドシップは基本的にフロント荷重が軽く、ブレーキングできっちり荷重移動しないとターンインは鈍くなりがち。
だからフロントエンジンに慣れきって、ミッドシップ特有のコツを理解していないと「ミッドシップって意外とタルい」と勘違いされる可能性がある。
実際、そういうミッドシップは多い。ところが、S660は特別に意識せずとも軽快にターンインして、本格的にヨーが発生すれば、自分を中心として曲がる。
ごく普通のクルマ好きがイメージするミッドシップそのものの走りを、技量や経験を問わずに味わうことができるのだ。
S660のスペックを見る限り、すべてが教科書どおり。45:55というドンピシャの前後重量配分には感心するが、奇をてらった部分は見当たらない。
ただ、四輪ブレーキ制御を回頭方向にも作動させるアジャイルハンドリングアシストと、64psの軽としては過剰?なハイグリップタイヤ(アドバンネオバ)
だけは、ちょっとだけ目を引く。「アジャイルハンドリングアシストの採用には議論がありました。後輪駆動ですから踏んで曲がっていける人には必要ないんです。
ただ、はじめて後輪駆動に乗るような人が楽しむための、“お助けマン”として価値があるという判断をしました。
省19
42: 警備員[Lv.1][新芽] 10/17(木)09:34 ID:gaIwd6vM(4/11) AAS
エンジンは、N-WGNで大幅な改良が実施されたS07A型がベースだが、ミッドシップ搭載に合わせた配管類のレイアウトや冷却性能確保、
信頼性向上、ターボのレスポンスアップ策などマイクロスポーツの資質を満たすための変更が随所に盛り込まれている。
S660用では、アクセル操作にリニアに応答する爽快な加速レスポンスを得るためにターボチャージャーの変更が実施された。
ターボエンジンではアクセルを踏んでから過給圧が上がり、ドライバーが望むパワーが得られるまでにわずかな遅れ(ターボラグ)が
出てしまい、これが大きいとリニア感が失われてしまう。そこで、出力レベルは同等をキープしつつ、アクセル操作とリンクした過給圧の
立ち上がり特性を重視した選定が行われた。
このターボは三菱重工製で、型式はTD015型と思われる。従来のN系よりコンプレッサーのインペラ(羽根)を小径に変更したタイプで、
これによってインペラの回転慣性モーメントが減少し、従来型よりインペラの回転上昇が早くなっている。単に小型化するだけでは、
レスポンスがよくなってもトレードオフでトルクや出力の最大値が低下してしまうが、三菱重工では2L前後のエンジンでも採用している
ワイドレンジのインペラデザインを軽自動車用にも採用していて、レスポンスと出力特性の両立ができている。
省9
43: 警備員[Lv.1][新芽] 10/17(木)09:38 ID:gaIwd6vM(5/11) AAS
従来のターボチャージャーですと、ウェイストゲートが開いたときに逃がされる高音の排気ガスがハウジングの壁面に当たるようになっていたんです。
しかしこれですと壁面の一部にヒートスポットができて熱による歪みが発生します。そこでS660用では高音の排気ガスがハウジングの中央部に
向かうようにウェイストゲートの開き方向を設計変更したのです。
これはS660用エンジン開発スタッフが施した熱対策、というより熱量のトータルコントロールの一例に過ぎない。
リヤエンジンを搭載することでエンジン本体も、ターボーチャージャーも、それにエンジンルーム内の全ての部品が高温に悩まされたという。
そこで従来のやり方であれば、各部門が自分の担当部分の熱上昇だけを抑えればいいや、という考えから安易に遮熱版を追加したり、
数を増やしたり大型化したりする。しかしそれでは遮熱板の反対側の熱問題は解決に至らないし、遮熱板が追加されることでさらに熱だまりがひどくなり
重量も増していくという悪循環に陥る。そこでエンジンルーム内の部品を扱う開発スタッフに対して「遮熱板はつけないでくれ。エンジンルーム全体で熱対策はなんとかするから」と宣言。
実際に、Bピラー部にうまく溶け込んだ左右ダクトを設けて右側はエギゾースト回りのスポットクーラーとして使用。
さらにボディ下面には、なんと燃料タンクを凹ませてまで空気流路を設けてNACAダクトからエンジンルームへ十分な冷気を導入することに成功している。
省10
44: 警備員[Lv.2][新芽] 10/17(木)09:54 ID:gaIwd6vM(6/11) AAS
痛快ハンドリングマシンをメーカー自ら標榜するS660、どの自動車雑誌を見ても、やはりというかシャシー性能に関しては大絶賛の嵐だ。
しかし、それって本当に本当?誰もが褒めると疑いたくなってしまう面倒な考えを持つ私はハンドリング分野では理論派であるがゆえに辛口評価で
夙に有名な「サスペンションの匠」国政九郎氏にアポを取った。狙いはずばり、これを聞くためだ。「S660のサスって、本当にみんなが言うほどいいんですか?」

ミッドシップ車はエンジンを運転席の背後に載せる。このレイアウトはフロントエンジン車と比べてクルマの前部が軽いという大きな特徴がある。まずはこの
基本レイアウトがクルマにどのような特性を与えるのかを、あらためて国政さんに聞いてみた。「フロントエンジンのクルマだったら、前輪は重いエンジンと
ミッションを支えているので、舵に使えるグリップ力の限界が早くきてしまう。それに対してミッドシップは前輪の負担が少ないので、より舵にグリップを使えますよね。
タイヤ本来の限界が同じでも、ミッドシップ車の方が、車両の向きを変えたり、途中でちょっと足したり引いたりっていう自由度があるんです。
だから思った通り気持ちよく走らせられる、ということになりますよね。」そんなS660のシャシーだが、まずフロントサスペンションについて見ていこう。
 
アームのレイアウトはごくオーソドックスだという。ただ、ステアリングラックを前輪の前側に配置して、前側で操舵するというレイアウトはやや少数派だ。
省16
45: 警備員[Lv.2][新芽] 10/17(木)09:58 ID:gaIwd6vM(7/11) AAS
次にリアサスペンション。まず、全体のレイアウトを見た印象を国政さんに語ってもらった。「まず、駆動力と横力と回転力、ブレーキをかけたときにかかる力ですね。
それをどのアーム、どのリンクが受け持つかっていうのが非常にわかりやすくレイアウトされてて、無理がないっていう感じです」
そして、S660のサスペンションに関してよくいわれるのがアームの長さだ。この利点を解説してもらった。「挙動変化が少ないというメリットが大きいです。
アームが長ければ、伸びきったときと縮んだときでアームの角度変化が少なくなりますよね。そのぶんロールセンターの高さの変化も少ないので、あるところから
ポンと急激にロールしたり、あるところで急激に止まったりっていうことが起こらずに、全体的におだやかに動いてくれる。ミッドシップだとリアが流れたらアウトなんで
、いかにおだやかにクルマを動かすか、グリップを安定させるかが大切なんです」
 ここでひとつ気にしてほしいことがある。ミッドシップ車は、クルマの向きが変わるのが非常に速いため、リヤタイヤが流れたらコントロールが非常に難しいのだ。
「ミッドシップ車でリヤをカッコよく流そうなんてとんでもない話です。ミッドシップ車は、リヤはいつでも安定していて、流れるなんてことは絶対にないっていうように
レイアウトされてるんですよ。だからそれを流すなんていう発想は持たない方がいい。前輪が少しキーッときたらそれが限界です。前輪で旋回速度を決めて走っていれば、
後輪は余力があるのであまり気に掛けなくていい、そういう運転をすればいいんです。それがミッドシップの理想です」
省9
46: 警備員[Lv.3][新芽] 10/17(木)10:09 ID:gaIwd6vM(8/11) AAS
S660のLPL代行を務めた安積氏は開発する若いスタッフを集め、一番最初に「スポーツカーを作るということは大変なことだ」と伝えたという。
「私も長い経験の中でいくつかスポーツカーの開発に関わってきましたが、そこで思ったのは『スポーツカーとは高い理想と膨らむ欲の塊である』ということなんです。
このジャンルではすべての面において妥協はなくもっともっとと理想が高まり欲も広がっていきます。たとえば社内においても『ホンダのスポーツカーはこうあるべきだ』
という意見を社員それぞれが持っていて、そのプレッシャーはかなり大きいから、社内の中でも中途半端なものは認めてもらえない。また、スポーツカーを期待する
お客さんていうのはさらに高い満足度を望んでいて、たとえばコストや生産性の都合で生じたちょっとしたほころびが見えただけで許してもらえないんです。」
「さらに、開発過程でも自分たちが『もっとパワーを上げたい』 『もっとシャシー性能を上げたい』と、今以上の性能向上を盛り込んでいってしまうことで価格は高く
開発難易度は上がっていくという負のスパイラルにも落ち込んでしまう。そして膨れ上がった新車のコストは高騰し、商品力と価格設定のギャップから、
開発を断念することもありえる。これらすべてに対峙しながら開発しなくてはならない。だから普通の気持ちではスポーツカーなんて作れないんだよ、
ということを解ってもらうために言ったんです。」

ベテランならコストや開発課題を考えてやらなかったかもしれないけれど、若いスタッフから出てきたことで採用したアイデアなどはあるのでしょうか?
省11
47: 警備員[Lv.3][新芽] 10/17(木)10:29 ID:gaIwd6vM(9/11) AAS
S660の原案を会社に提出した当時、世の中には魅力的なスポーツカー、とりわけ高性能エンジンを先鋭的なデザインのボディに積んだ
『スーパースポーツカー』が数多く存在していた。しかしそれらイタリアやドイツなどのクルマたちは新車で手軽に買えるものではないこと
を非常に不満に思っていたという。「すごくて、でも買えないクルマというのは実は世間に数多いんですよね。ならば自分は、すごくて買え
るクルマを作ろうと思いましたね」。

ミッドシップの軽スポーツカーを作るにあたって、比較対象とした車両はありましたか?
「ビートやエリーゼを含め複数存在しました。ただ、それらに対して数値を基準に勝つとか負けるということを測るためではなく、感覚の部分
で良し悪しを開発チームの間で確認・共有するという目的というところが大きかったですね」。
「ビートはよく曲がってすごく面白い。でも20年前くらいのクルマだなと感じるところもあった。今の目で見るとノイズや振動とかも目立つな、と。
ただ、誤解して頂きたくないのは、ビートを否定しているわけではないんです。こうしたプリミティブなところが面白いと思える自分がありつつ、現
代の基準に慣れたドライバーが毎日使うクルマとして考えると受け入れてもらうのは相当厳しいだろうな、と。なにしろパワステがないクルマは
省13
48: 警備員[Lv.1][新芽警] 10/17(木)10:47 ID:gaIwd6vM(10/11) AAS
S660ではS2000のねじり剛性を超えるボディを与えたり、取り付けのためのサブフレームも含めて大容量のサスペンション機構を投入したり、エン
ジンもコストの掛かる許容回転数上昇といった改良を行っていますよね。
「ええ、たとえばエンジンでいえば、手をくわえることでお金も当然かかるんですけど『ただ流用したエンジンにしたくない』というエンジニアの熱い想い
でこの仕様にしました」。
なるほど、しかし身もふたもないところを言ってしまえば、速度制限のある公道を走ることが前提で、しかも軽規格であることを思えば、これほどまで
に徹底的につくり込む必要があったのかな、とも思えます。
「もちろん、悩みどころです。あれもこれもと欲張って500万円になりましたとなったら、それはないな、と。ですから価格のことは常に考えましたが、や
っぱりチャチなものは欲しくないですから」
「一方で、クルマ好きが憧れる欧州のスーパースポーツはボディやエンジン、ブレーキにサスペンションなどに究極のメカニズムを採用しています。
それを買ったオーナーは、そのスペックを全部使い切るということは少ないかも知れません。でもこの『使い切れないものを持つ』という楽しみも確実に
省5
49: 警備員[Lv.1][新芽警] 10/17(木)10:52 ID:gaIwd6vM(11/11) AAS
「オープンカーはボディ剛性が低い」と一般的には言われている。たしかにルーフをカットしているぶん、どうしてもモノコックの剛性は低くなりやすい。
ただ昔のオープンカーとは違い、現代のクルマの場合は、剛性が不足しているならば補強することで必要な強度を確保して製品化されるので、極端
に剛性が低いということはない。とはいえ、補強のぶんだけ重くなるので、運動性能の面では若干不利になることは否めない。
そこでS660では、補強して重くなるまえに、つまりモノコックの段階で必要な強度を確保しておくことを目指した。必要な強度とは、単にボディがカタい
ということではない。S660はドライバー最優先のコンセプトでつくられたモデルなので、サスペンションの動きを正確にドライバーに伝えドライバーが
安心してスポーティな走りをできるような「しっかりしたボディ」こそが、求められた性能だった。だからボディの設計図には「直線もしくはなめらかな曲線」
でシンプルな線を描く「一線入魂」が、いつしか開発陣のコンセンサスになっていた。美しいラインでつくれば、クルマは最適強度・最適バランスになる
という理想を追求したのだ。何度もボディの試作を繰り返し、その度に開発陣がみんなで試乗し、ディスカッションを繰り返したという。「ここでボディを
ちゃんとつくっておかないとスポーツカーにならない」という思いが強かったのだろう。

ホンダにはかつてビートという軽自動車のミッドシップスポーツカーがあった。他のメーカーならともかく、ホンダにはそのノウハウがあるはずだが、さす
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