[過去ログ] 連続ドラマ小説「ニホンちゃん」36クール目 (707レス)
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659: スレ統一ル [ルに基づき移管[sage] 2010/05/07(金)21:25 ID:IjQg6JMM(8/28) AAS
この前に会いに来たときもそうでした。
握り拳ほどの石を見事にぶち当て、ぎゃぼっ、という悲鳴とともに吹っ飛んだ蛙を
見て、今日はいいことがありそうニダ、などと思いました。
蛙が死んだのは、もしかするとあの時の投石のせいかもしれません。
(なんてことニダ……!)
カンコ君はいたたまれずに立ち上がりました。身体を翻し、池から走り去ります。
(あれがウリの一期一会ニダか? そんなのないニダよ。悪気はなかったニダ。
だって、お前はいつも池にいると思っていたから……)
切れ切れの想念が胸に浮かび、あやふやなままに消えていきます。罪悪感と喪失感が
ないまぜになり、彼の精神を苛みました。彼はまったく孤独であり、永遠に許される
ことがないように思え、ひたすら走ることでごまかせるように思えました。
彼は教室へ駆け込みました。
ベランダに置きっぱなしのスコップをつかむと、また飛び出しました。
「お前のお墓を作るニダよっ!」
蛙の亡骸に向かって、そうカンコ君は宣言しました。そうしなければ済まない気持ち
でした。
池辺に深い穴を掘りました。亡骸を墓穴に丁寧におろし、土を掛けます。あたりの雑草
はきれいにむしって、仕上げに漬物石ほどの石を置きました。
ふう、と一息ついて、全体をざっと見渡すと、それなりにりっぱなお墓に見えました。
カンコ君はお墓に手を合わせ、
「なんまんだニダ、なんまんだニダ」
と一心に祈りました。
生きてた頃は苛めてしまって悪かったニダ。もし時間を巻き戻せるなら、あんなことは
絶対しないニダのに。ウリは悔しくてならないニダ。もうやり直す機会も与えられない
……。
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