[過去ﾛｸﾞ] 捨て瑞佳を拾うスレ ５匹目 (1001ﾚｽ)
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487(1): 種馬450 04/12/26 17:30 ID:7IKFSGJH(1/4) AAS
拾った夜も、しがみ付いたまま離れようとはしなかった、ダンボール箱。
気に入ってるらしく、拾われた今も其処から出て来ようとはしない。
仕方が無いから、薄汚れた箱ごと拾って来たんだった。
だから、まだ一度も抱き上げていない。
拾った瑞佳にサンタ帽子を被せてみた。
マフラー代わりに巻き付けた薄手のタオルケットは、俺から瑞佳へのプレゼントのつもりだった。
ついでに、温めた牛乳にココアと砂糖をたっぷり溶かし込んでやった。
ツリー一つ無い殺風景な部屋だけど、少しだけクリスマスの夜らしい雰囲気が出た。
こたつの上に、萎びたみかんと瑞佳がちょこんと乗っている。
コンビニで買って来たケーキと、スーパーで買って来た惣菜のチキン。
省8
488: 種馬450 04/12/26 17:31 ID:7IKFSGJH(2/4) AAS
天井を見上げる視界がぼやけて、胸がとても痛む。
泣いてる訳じゃない、熱が出てるけど薬を切らしてるだけだ。
「瑞佳、おいで」
呼んでみたけれど、今までだって一度も擦り寄っては来てくれなかった。
半開きの部屋の扉から吹き込む、冷たい隙間風。
窓の外を見ると、今年初めての雪が降り始めていた。
きっと今ごろ、世界中で幸せなカップルが、俺と同じ空を見上げてるんだろう。
堪らなく寂しくて、俺はもう一度瑞佳を呼んでみた。
返事すらしてくれないのが腹立たしくて、起き上がってこたつの上を見る。
ダンボール箱はもぬけの空になっていた。
省11
489: 種馬450 04/12/26 17:32 ID:7IKFSGJH(3/4) AAS
時計の音。
眠れないまま、時間だけが過ぎて行く。
主に見捨てられたダンボール箱。
手を伸ばして引き寄せた其れに、瑞佳の温もりなんて微塵も残ってはいない。
強い風が吹き抜けて、がたつき掛けている窓枠を震わす。
かたかた、かたかた。
壁を軋ませ、扉を揺らす。
嗚呼、とうとう幻聴まで聞こえ始めた。
居る筈の無い、瑞佳の声。
かりかり、扉を引掻く音。
省7
490: 種馬450 04/12/26 17:33 ID:7IKFSGJH(4/4) AAS
慌ててストーブに火を入れて、瑞佳を抱き上げた。
瑞佳は俺の額に雪の欠片を乗せると、満足そうに尻尾を上げた。
十二月二十五日、午前零時。
街の教会が祝福の鐘を鳴らす中、サンタクロースはやって来た。
翌日、瑞佳は俺に、ダンボール箱の中を見せてくれた。
擦り切れて、小さくなった革の首輪。
恐らく、前の飼い主が瑞佳に与えた絆の証。
あれから二年、新しい仕事も見つけた。
今も俺の傍には瑞佳が居る。
擦り切れた革の首輪と、擦り切れた薄手のタオルケットを入れて、
省2
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