【WHITE ALBUM2】和泉千晶スレ ネコ2匹目 (527レス)
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(1): 2013/03/10(日)00:28 ID:xkoDBqzP0(3/13) AAS
**********5/13(木)「シアターモーラス」『届かない恋』開演前

「明日の講演後このコ連れて来て。そしたら取材でも何でも応じるよ」
 瀬之内晶はそう言って板倉記者にチケットを握らせると、あっという間に雑踏へ消え失せてしまった。
 あとに残されたかずさと板倉記者だが、かずさのほうは呆気にとられたようすで、板倉記者が何を話しかけても生返事しか返ってこなかった。
 仕方なく、明日会う約束だけしてその場は別れた板倉記者だったが、かずさが来るかは半信半疑だった。久しぶりに会った学友?にしては様子がおかしかったが…

 翌日の講演開始10分前。待ち合わせは20分前だったから、もう10分の遅刻だ。
「…また騙されたかも?」
 シアターモーラスの入口で待ちつつ、そうぼやいた板倉であったが、程なく彼女は現れた。
「…やあ、板倉さん」
「はいはい、かずささんこんにちは〜。今日はお付き合いありがとうございます。いやいや、本日は僭越ながら御同席させていただきますので…」
 かずさが現れた嬉しさのあまり、忽ちテンションを上げる板倉であったが、かずさはそんな板倉がまるで視界に入っていないように、
「…行くか…」
 と言うと、すたすた劇場に脚を進めた。
 訝しげな表情のまま付いていく板倉であったが、彼女の記者のカンは、
『ここは機会を待て、じきに大ネタが来る』
 と告げていた。

「これ、どんな劇なの?」
 開演を待つかずさにそう問われ、板倉は答えた。
「ええ、一人の男性をめぐる二人の女性の恋と友情の物語ですね。バンドを組んで友情を深めた三人が三角関係に苦しみつつ成長する、という話です…かずささんは演劇はよく御覧になるのですか?」
「…いや……それで、瀬能さんは?」
「瀬之内さんはヒロインの一人、冬木榛名役です。脚本も瀬之内さんが大学時代に所属していた劇団で書いたもので、なんとその時はもう一人のヒロイン、初芝雪音も瀬之内さんが演じました。つまり、一人二役ですね」
「…へぇ…」
 自分で聞いておきながら、かずさの目はまだ開かぬ舞台に、正確にはその向こうにいるであろう瀬能千晶という女に釘付けになっていた。
 彼女は…何者? 春希たちとの関係は?
 この時既に、かずさは千晶という役者の罠に心の奥まで完全に絡めとられていた。
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