【WHITE ALBUM2】和泉千晶スレ ネコ2匹目 (524レス)
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177(1): 2013/03/13(水)23:45 ID:wZ4tktXS0(7/11) AAS
**********5/16(日)冬馬宅にて
「かずささん! 開けてください! …せめて何か食べてください…」
これで丸3日、自室に籠もりきりのかずさの身を心配して美代子が扉を叩く。
最早かずさが冬馬曜子オフィスの唯一の稼ぎ手なわけだが、来週末に公演を控えた彼女がこの状態。美代子の心中穏やかならざることいかばかりか、である。
そこへ曜子が帰宅してきた。
「ふう…毎度の事ながらわが娘にも困ったものね…でも、今日は助っ人を連れてきたわよ…」
「こ、こんばんは…ははは…」
「…お邪魔します…」
「ばんわ〜っ」
「失礼します。お邪魔させていただきます」
省17
178(1): 2013/03/13(水)23:47 ID:wZ4tktXS0(8/11) AAS
今回の説得の口火を切ったのは依緒であった。
「冬馬さん…食事くらい食べたら?」
「…いい。…食欲ない…」
その後もかずさの身体を気遣う依緒だが、かずさには聞き入れられなかった。
続いて武也が話しかける。
「…冬馬…春希が聞いたら心配するぞ…」
「っ!…おねがいだよぉ…やめてくれよぉ…こんな…こんな情けないわたしを春希に見せないでくれよぉ…」
かずさの声が泣きそうなほど弱るのを聞き、これは逆効果と悟る武也。
曜子は次の説得相手を見繕ったが…美代子も板倉記者も効果は望めない…
…と、なればこの千晶という、今回の件の主犯格と言える怪しい新人女優しかいない。
省15
179(1): 2013/03/13(水)23:50 ID:wZ4tktXS0(9/11) AAS
「…ん」
促されてドアの前に立つ千晶。しばし考え込むも、やがて何か諦めたように首を振り、たどだしく口を開いた。
「…あのさ、冬馬さん。あれからずっと考えてはみたんだけど…」
ドアの向こうからは返事はない。しかし、千晶は構わず続ける。まるで自分自身にきかせるように。
「…結局、榛名が和希と結ばれて幸せになるエンディングは思い浮かばなかった…」
『結ばれるエンディングも構想していたが、ボツしただけ』という嘘が至極簡単なのは百も承知であったが、千晶の脚本書きとしてのプライドがそれを許さなかった。
ドアの向こうから僅かにため息が漏れたのが感じられた。
「榛名は…自分が傷つくことにも他人を傷つけることにも、ピアノを捨てることにも、
三人の中で一番臆病で一番不器用で…人と交わることも一番苦手なキャラだから…わたしがそういうキャラに作ったから…
…和希と幸せに結ばれるように動いてくれないんだ」
省11
180(1): 2013/03/13(水)23:53 ID:wZ4tktXS0(10/11) AAS
もはや、説得しているんだか自分がいじけているんだか千晶本人も解っていない。
「お前の来週のコンサートなんてなぁ、お前ひとりにS席5500円だぞ?
わたしはビンボーだからC席2500円しか買えなかったんだぞ!
ウチの劇団のチケットなんて、役者から裏方さんまで束になってかかってやっと一枚5000円なんだぞ!
しかも、チケットタダであげたのに来てくれない奴もいるんだぞ!」
もはや、ただの駄々っ子だ。
ここまでで、ようやく千晶の愚痴が終わった。当然ながらというか、ドアは開かない。少し息を荒くしつつ、千晶は考えた。
『やっぱりこの手しかないか…』
千晶は落ち着いて、心を研ぎ澄ました。
イメージするのは春希。説得の成功率が一番高そうな人物だ。もちろん、リスクもある。
省14
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