【WHITE ALBUM2】和泉千晶スレ ネコ2匹目 (527レス)
上下前次1-新
191(1): 2013/03/15(金)00:21 ID:XFjGodJh0(2/4) AAS
千晶はほっと息をついた。
自分のような新人の脚本が公演されるに至ったのは、実力というより「劇団に試されている」面が大きい。
特にこの先輩の評価は怖かった。
二人一役でやっていた大学時代の脚本を磨きなおしてはみたものの…
…直接モデルに会っていない「冬木榛名」の人物描写はまだ改善の余地があるものだった。
そんな折に目の前にひょっこり現れてしまったかずさも不運だったのだろうが…
千晶が強引にかずさを『観察』しにかかったのはそういうわけでもあった。
「でも、最初から思いつかないあたり、あんたやっぱり『まだ』ね」
「…*※#!」
省12
192(1): 2013/03/15(金)00:26 ID:XFjGodJh0(3/4) AAS
2年前の春希や雪菜の時のように十分に作戦を練ることなく、強引にかずさをひっかきまわしたツケは最終日の後に回ってきた。
あの日以来―今日で3日目になる―かずさは部屋に籠って食事もとっていないらしい。
そして、かずさを心配する周りの人間―母親である曜子や友人たち―により、千晶はひっ立てられる羽目になってしまったのだ。
「まあ、脚本の直しに貢献してくれたからいいか…って言えるのは、劇団に迷惑かけないようにしてからね」
「は、はい。そういうわけで今日は失礼します…新人の分際ですいません…」
「ちゃんとみんなもフォローするから、心配しなくても良いわよ」
「あ、ありがとうございます!」
千晶は思った。
本当にこの人はいい人だ。役者としても、先輩としても尊敬できる…ある一点を除いて
「ま、そういうわけだから、来週末はわたしに付き合いなさい。TRPGのコンベンション」
省9
193: 2013/03/15(金)00:30 ID:XFjGodJh0(4/4) AAS
<ぽーん>
本日の投下終了。
週末は仕事で投稿できませんが、
週明けにはかずさの逆襲の話とかずさの籠城時のシーン(ドアの中のシーン)が入ります。
194(1): 2013/03/15(金)03:39 ID:C4rPIv7/0(1) AAS
>>188-192
・ひととおり礼を言ってまわるかずさ
・「瀬能さん許してちょんまげ」
・先輩から誉められて千晶は顔を明るくする。
・・・か、かずさじゃねぇ (( ;゚Д゚)))ガクブル
・・・ち、千晶じゃねぇ (( ;゚Д゚)))ガクブル
まさにこれぞ、もっと恐ろしいものの片鱗をみたぜ!(AA略
195: 2013/03/15(金)13:23 ID:iCsVoJYo0(1) AAS
>>194
>>謝罪かずさ
美代子への土下座もありましたし、ひととおりくらいはやるかなと
>>ちょんまげ
雪菜に日本に残るコト伝える際の話ふりや、夢想でのルーベンス談からするに、たまにケレンミある皮肉、意趣返しするコかなと
いや「ちょんまげ」の言い返しはキャラずれた苦笑ものと自分でも認識してますが(^。^;)「千晶をからかい返すかずさ」は入れたかったので
>>誉められ喜ぶ千晶
付属演劇部長、ウァトス姫の横暴ぶりから、逆に優れた役者には追従するかなと
雪音役取られ+完璧に演じられ&榛名役酷評され焦る千晶の話を先に入れた方が良かったかなぁ
省1
196: 2013/03/17(日)21:04 ID:OE8gDgfq0(1/6) AAS
予定早めてスマホから投下
改行乱れ勘弁
197(1): 2013/03/17(日)21:05 ID:OE8gDgfq0(2/6) AAS
**********5/22(土)フィリア音楽ホールにほど近いフレンチレストランにて
千晶が復活した冬馬かずさのコンサートに来てみれば、チケットを購入したC席にはかずさのマネージャーの工藤美代子が待ち受けていた。
そして、S席に案内された。おかげで1ランク上の音楽鑑賞ができた。
さらに、『コンサート後に会食があるのでかずさの友人のあなたも来てほしい』と言われた。
「こないだの件か…S席に案内して聴かせてくれた上に、わざわざ食事に呼ぶのは和解の呼びかけかな? 向こうも訴訟ちらつかせたりしてたし」
と、その時千晶は思っていた。
会食の席もメンバーもだいたい千晶の予想どおりだった。
自分がなぜかかずさの隣り。
板倉や依緒、美代子が周りを囲んでいたが、一人だけ予想外の人物が曜子の隣りにいた。
198: 2013/03/17(日)21:07 ID:OE8gDgfq0(3/6) AAS
毛利祐子…今の座長の奥さんだ。劇団の営業主任でもある。
無名の時代から座長を支えてきたヒトだが、嫉妬深く、すぐ座長の浮気を疑うらしい。
入団する新人女優をチェックするのもその一環だとまことしやかに噂されている。
どうやら、曜子と祐子は旧知の間柄だったらしい。
食事は「かずさのコンサート成功を祝して」ということで始められたが、ほどなく祐子と曜子の昔話に花が咲きだした。いや、火花がちりだした。
表面上はにこやかであるが、座長、毛利久志の話になるや、言葉の節々に棘が飛び出し始めたのだ。
「しっかし、あの久志くんのほうからあなたにプロポーズしてきたなんて、今だに信じられないわねぇ」
「ええ、どこぞの性悪女が引っ掻き回してくれやがらなったら、もっと平和だったでしょうねぇ」
「まぁ、賞味期限切れまで平穏無事、なんてことなくて良かったわぁ。ところで、10年目にもつれこんだ結婚生活はまだ楽しい?」
「もちろん。和えて不満を言うとすれば、あなたが永遠にウィーンで頑張ってくれていたらもっと楽しかったのにねぇ」
省3
199: 2013/03/17(日)21:08 ID:OE8gDgfq0(4/6) AAS
「瀬之内ちゃん。曜子となんかトラブったんだって?」
「はい、ちょっと…冬馬かずささんと」
「本当に?」
「? はい」
「…う〜ん。本当か…」
何を疑っているのか、という疑問は曜子が明らかにした。
「だからそう言っているじゃない。久志クンと会ったのは、あくまでかずさと瀬之内ちゃんの件だってば。ここにいるみんな証人よ」
「娘の件をダシにしてまた久志にコナかけに来た、という可能性も残っているけどね」
…四十路めぐってるのにどれだけ信用ないんだ、曜子さんは。
察するに、曜子が劇団を訪れたのを聞いて座長、つまり夫の浮気を疑った、ということらしい。
省2
200: 2013/03/17(日)21:09 ID:OE8gDgfq0(5/6) AAS
「で、かずさちゃんはウチの劇団員とどんなトラブルがあったの?」
「あ…それは…ちょっと話す前に『千晶』に確認することが」
「…っ!?」
「ねぇ、千晶…」
千晶は戦慄した。かずさに『千晶』と名前で呼ばれたのは初めてだ。なれなれしさよりもっと危険なものを感じる。
彼女の勘が非常ベルをけたたましく鳴らし始めた。
「千晶…あんたさ…」
201: 2013/03/17(日)21:10 ID:OE8gDgfq0(6/6) AAS
**********先週の真相、5/16(日)籠城中のかずさの部屋
かずさは深く、暗い海の底にいた。
明るい場所で現実を見たくなかったから。
電気を消して、厚い遮光カーテンを閉じれば何も見えない世界ができた。
胸の中の苦しみだけは消えないが、その世界の居心地は良かった。
あの女、瀬能千晶はもちろん、雪菜も春希も、そして、一番嫌いな自分すらいなかった。
こうしてピアノを弾かずにいると、自分自身すら見ずに済んだ。
3日間そうしていると、友人達が来た。
拒絶する気力もなく、ふらふらと漂うようにドアの前まで足を進める。
依緒は自分の身体を心配してくれた。
省7
202: 2013/03/17(日)21:16 ID:pfhIqNtu0(1/5) AAS
「今年頭の来日時に〜、春希を指名してかずさの密着取材仕向けた上に〜、#※@※&*」
この声は…あの女だ…何しに来たのだろう。
不思議と嫌悪感は感じなかった。ドアの中で化け物になっている自分の方がずっと嫌いだったから。
その女がドアの前でしゃべり始めた。
「『…あのさ、冬馬さん。あれからずっと考えてはみたんだけど…』」
はて、何を聞いたっけ…?
「『…結局、榛名が和希と結ばれて幸せになるエンディングは思い浮かばなかった…』」
省6
203: 2013/03/17(日)21:17 ID:pfhIqNtu0(2/5) AAS
外ではまだ千晶がしゃべっている。
「『…例え意地悪な神が※#@&…』」
ああ、なんか言ってる。こいつの芝居なんて見に行くんじゃなかった。
たしか、春希や雪菜も来なかったんだっけ。
…へぼ芝居だからだよ…
…そういえば、わたしのコンサートにも、春希や雪菜まだ来たことないなぁ…まぁ、しょうがないか…
あ、思い出した。そういえばこの女、コンサートにも来ていたな…しかも全部…たしか、終始きょろきょろと…誰か探していたみたいで、目障りだった。
…誰を探していたんだ?
…もしかして、春希たちが来ていないかと…
省5
204: 2013/03/17(日)21:19 ID:pfhIqNtu0(3/5) AAS
…まさか、春希だけ呼んで欲しかったとか…
…そう考えると、いろいろ辻褄が合ってきたように感じる…この女は実は春希のことが好きなんじゃないか?
そう気づいた瞬間、不思議な感覚が足元を包んだ。
さっきまで暗い海の底で一人溺れていたような気分であった。そうしたらどこからか、ぴちゃぴちゃ水をかく音が聞こえた。
こんな胸の中が苦しい世界でも一人じゃない。そう気づいた。
そのとたん、いままで自分が嵌まっていたのが、深い海でなく、足がつくほど浅い水たまりだったことがわかった。
…もう出よう…
かずさはドアノブに手を掛けた。
省3
205: 2013/03/17(日)21:20 ID:pfhIqNtu0(4/5) AAS
**********再び、5/22(土)レストラン 千晶とかずさ
「千晶…あんたさ…春希の事好きだったんだね」
「んなっ!? #$&%$”!」
千晶の口から言葉にならない吃驚の声が飛びだした。
「そりゃあ千晶もわたしを臆病者呼ばわりして怒るね。私だけが失恋したみたいにあんたの前で喚いてみせてさ。
あの時はそれに気付かなかったんだ。手を出して悪かった」
「いや、それ、ちょっとちょっと! ちがうちがう!
個々の事実が合ってるだけで、脈絡も動機も時系列も全部めちゃくちゃじゃん!!」
あわてて訂正を入れようとする千晶だが、突っ込みどころが多すぎて何から正していいやらわからない。
それを聞いて曜子が笑いをこらえながら言う。
省3
206: 2013/03/17(日)21:22 ID:pfhIqNtu0(5/5) AAS
うなだれる千晶を、曜子は娘の意趣返しとばかり容赦なくたたみかける。
「春希ちゃんすごくいい男だしねぇ…わたしも娘の敵討ちにアタックしちゃおうかな?」
「黙れ。この色情狂」かずさがツッコむ。
「でも、千晶ちゃん赤くなって初々しいわねぇ。どう? ゲストの祐子ちゃん」
「いやはや。今のかわいい反応が演技だったらもう降参。似鳥ちゃん、長谷川ちゃん抜いて劇団トップだわ」
「祐子ちゃんはこう言ってますがどうでしょう? 解説の依緒ちゃん」
「ん〜。お友達の前で好きな子言いあてられちゃった中学生か、お前はっ、って感じですね〜」
「社長! からかうのはやめてあげて下さい!」
………だめだ…なんだこの茶番
しかし、「春希の事を言いあてられて思わず赤面してしまう」というミスはどうにも拭い去れない。
省2
207: 2013/03/17(日)21:24 ID:kRT+sTk10(1) AAS
「うん…春希が自分の劇見に来てくれないとかぶつくさ言ってるとことか、私のコンサートでいつも観客席見回しているとことかかな」
…それだけ? …
…明らかに判断材料は足りていないのに
…推論を勘だけで確証づけて正解に至ってしまうタイプ
…あたしの一番…苦手なタイプだ
「と、いうわけで許してくれるかな? 千晶」
「………」
千晶は思った。
もはや失地は回復できそうにない以上、諦めて和解は成立させておこう。
「うん…わたしもヒドいこと言って悪かった」
省3
208: 2013/03/17(日)21:26 ID:YO0eOmDB0(1) AAS
<ぽーん>
ちょっと切れ目がわるいけど、残りはまた明日
209: 2013/03/18(月)12:42 ID:BQhLnUcV0(1/4) AAS
昼休みなので投下
210(1): 2013/03/18(月)12:43 ID:BQhLnUcV0(2/4) AAS
「…ちょっと待て誰が友達だ」
すかさず問い返す千晶に依緒はわざとらしく問い返す。
「え? 違うの? 冬馬」
「ああ、わたしの落ち込んでいる時に自宅まで励ましに来てくれた。もう友達じゃないなんて言われてしまうと傷ついてしまうな」
「………」
「許してくれるよね?」
なんてことだ…ここで「嫌」と言えるわけがない。言ったところで、「失恋が原因で喧嘩していた『友人』」の代わりに「失恋が原因で喧嘩中の『友人』」にされるだけだ。
かずさたちを自分の関心の対象にして馴れ馴れしく近づいた報いがブーメランのように返ってきた。
千晶はうなづくしかなかった。
省9
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