【WHITE ALBUM2】和泉千晶スレ ネコ2匹目 (528レス)
【WHITE ALBUM2】和泉千晶スレ ネコ2匹目 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1338829309/
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228: 名無しさんだよもん [sage] 2013/03/26(火) 19:14:33.05 ID:ufCvLMBw0 ども、毎度スレ汚しすまないっす SS続きです。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1338829309/228
229: 名無しさんだよもん [sage] 2013/03/26(火) 19:15:08.61 ID:ufCvLMBw0 雰囲気を打破したのは依緒だった。 「先週はコンサート良かったよ〜」 「そういえば依緒と千晶は見に来てくれたな…そう、千晶なんて全部来てくれてるんだ。一回も来ない薄情者は…おや? まだいたかな?」 「あはは…ゴメンね」 「悪い…かずさ…」 「気にする事はない。これから何度も日本でコンサートやるんだからな。美代子さんに言ってくれれば席押さえるよ。雪菜」 かずさの機嫌がどうやら上向きになりつつあるのを見て、一同胸をなで下ろした。 「ありがとう、かずさ」 「開桜社も春希みたいなぺーぺーに回す関係者チケットないみたいだな。自前で入手してくれ」 「…はは。了解」 武也がさり気なく突っ込む。 「自腹切って観賞しないと、春希のやつ寝かねないからな」 「うっ…武也〜。この〜」 一同笑いをこぼす。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1338829309/229
230: 名無しさんだよもん [sage] 2013/03/26(火) 19:17:01.82 ID:ufCvLMBw0 「と、場がくだけたところで、重大発表です」 武也がかしこまって語り出す。 「え〜、この度、冬馬かずささんは弊社アンピトリテ社のCMに出ていただけることになりました」 「えっ? すごいじゃん冬馬〜」 「かずさすごいよ〜」 「ってことは、かずさのテレビデビューか!」 「ひひひ〜。すごいね〜。ねぇねぇ、儲かった?」 興奮する一同 しばし、みなでCMの話で盛り上がる。 そのうち話は『今どんなCMやってたっけ」という話になり、テレビがつけられた。 「格安結婚式はヤス婚。自己資金18万円から」 一気に場が凍りついた。この場の誰もが春希が雪菜と婚約し、かずさが失恋したことを知っている。 二人の結婚式の話もこの誕生会の場では触れずに済ましたいのが皆の共通認識だったが、さすがにこの状態で流すのは無理がありすぎる。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1338829309/230
231: 名無しさんだよもん [sage] 2013/03/26(火) 19:18:13.97 ID:ufCvLMBw0 ええい、ままよ どのみちいつかは話さない訳にはいかない。 かずさは意を決して口を開いた。 「雪菜たちはさ、もう式場とか決まったのかな?」 自分で思ったより自然な声が出せてかずさは安心した。 雪菜も落ち着いて返事する。 「もうすぐ決まりそうなんだけど、なかなか決まらないの、年内にはと思っているんだけど…」 「そうか…なら一つ条件がある」 「? 何?」 かずさは得意げに言った。 「披露宴会場にはピアノを用意してくれ。アップライトじゃないやつ。二人の顔がよく見える位置にさ」 「それって…」 「ああ、祝福させてもらうよ」 雪菜は涙目になって喜んだ。 「あ…ありがとう、かずさ…」 「ありがたく思え。普通ならギャラふんだくるとこだが、貧乏物書きを破産させる趣味はないからタダでやるさ」 「…恩にきるよ、かずさ…」 春希も感涙していた。 千晶と武也は慎重にかずさの様子を伺っていたが、かずさが本心から言っていると確信し、ほっと一息ついた。 そう、かずさもこの時点では偽りない祝福の気持ちを表していた。 問題が起きたのは依緒がウェディングドレスの話題を振った時だった。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1338829309/231
232: 名無しさんだよもん [sage] 2013/03/26(火) 19:19:59.58 ID:ufCvLMBw0 <ぽーん> 千晶巻き込まれるシーンまでいきませんでした。次回までお待ちをば http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1338829309/232
233: 名無しさんだよもん [sage] 2013/03/27(水) 12:46:24.82 ID:q4EYgQHz0 続き投下します。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1338829309/233
234: 名無しさんだよもん [sage] 2013/03/27(水) 12:47:24.31 ID:q4EYgQHz0 「ねぇ。ドレスは決まったの?」 「まだなの。『コレ!』って思ったやつはサイズ合わなかったりしてさぁ…」 「幸せ太り?」 「まさかぁ。やめてよ」 「…もしかして、授かり?」 「もぉ! 依緒ったら。そんなことならないように最近は気をつけてるよ…」 その時だった。 どぼどぼどぼ…ごくごくっ かずさが手元のジュースを乱暴にコップに注ぐや否や一気のみをしたのだ。 かずさの雰囲気が一気に冷たいものに変わっているのに誰もが気づいた。 目つきが明らかにおかしく、不機嫌さをあらわにしている。 原因はわからなかったが、何とかせねばと皆考えた。 ここで空気を読まず呼びかけたのは春希だった。 「か、かずさ?」 しかし、かずさは怒りに満ちた目で春希をにらみ返す。その口が開きかけ、春希に噛みつかんと言葉を探しているのがありありと見て取れた。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1338829309/234
235: 名無しさんだよもん [sage] 2013/03/27(水) 12:50:26.11 ID:neh/W4Rw0 …ここは『ジュースリセット』いくか? …ちっ 千晶が考えたのは、まずいことになる前に『ワザとジュースをこぼして場を切る』荒技だったが、生憎、手元にはわずかに残った缶ビールしかなかった。 初手を打ったのは会話のイニシアチブを持っていた雪菜だった。 「あ、そうそう。わたし、千晶さんに質問あったんだけど、いいかな?」 ナイスぶったぎり! 千晶ほか若干名は心の中で快哉をさけんだ。 しかし、そこでかずさの爆弾が爆発した。 「…千晶のことは春希に聞いたほうがいいんじゃないか? 何せ、二人は『寝た』仲なんだし」 千晶は毒づいた。 まったく、厳しいアドリブ要求するよ。 千晶が観察するに、武也、曜子を除いて注目は自分、これはよし。 問題のかずさはさすがに『まずいことを言ってしまった』との表情が顔に浮き出ているが、これもまあ仕方ない。 問題は落としどころだが…今日はかずさの日だし、わたしが泥かぶるか… http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1338829309/235
236: 名無しさんだよもん [sage] 2013/03/27(水) 12:51:37.98 ID:neh/W4Rw0 「わったたたっ! かずさ。それはかずさからかっただけで、違うんだよ〜」 すかさず慌てたフリをして返す千晶 そこで、かなり強ばった声で雪菜が聞いてきた。 「千晶…さん?」 「ほい? ナニ?」 「先一昨年の末、春希君の携帯に夜中電話かけたら女の人が出たことあったんだけど…あれ、千晶さんだよね?」 春希は硬直した。 よし、食いついたっ。 千晶はちょっとだけすまなさそうなふりをして答えた。 「そ〜なの。実は、わたしも昔春希のこと狙っててさ〜」 「いっ! …ち…千晶」 「…ゼミのレポートの手伝い名目で春希の本丸侵入完了って、喜んでたけど、春希のやつ全然私のゆ〜わくに引っかからないんでやんの」 「え? …ち、千晶、そんな…」 「ほら、こんなふうにこの朴念仁全然気づいてな〜い」 千晶はここで全員の視線を再確認。 ほぼ全員自分を注視。雪菜と依緒の視線は怖い。かずさはうつむいているし、武也はそんなかずさの様子を見ている。…問題なし。 「そんな悲しい夜に彼女らしきヒトから春希のケータイに電話あったから『こいつ彼女いるじゃん!』って腹が立って、ワザと雪菜ちゃんからのコールに出ちゃいました。…ごめん」 「…はは…そうだったんだ…」 「おま…そんなこと…」 苦笑する雪菜に泡を食う春希。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1338829309/236
237: 名無しさんだよもん [sage] 2013/03/27(水) 12:52:48.67 ID:neh/W4Rw0 「そうなんだよな。春希と雪菜ちゃん、はやくくっつかなかったから、周りで勘違いして被害受ける奴多かったこと。 …おやおや、ここにも被害者いたとは…春希だけでも片手で数えられないんじゃね?」 武也っ。援護射撃さんきゅっ。…あとは『長瀬晶子』の後処理もしておくか… 「ねえ、雪菜ちゃん。『長瀬晶子』って覚えてる」 「え…やっぱり…」 「あれ実は変装したわたし。いや〜、春希の彼女ってどんなヒトかって確かめずにいられなかったんで…会ってビックリ、ミス峰城大付三連覇の小木曽雪菜? なにその彼女いないいない詐欺は! って打ちのめされましたよ。わたしは〜」 「………」 雪菜も春希ももはや声も出ない 千晶は両手を合わせて『お願い』のボーズで締めにかかる。 「てなわけで、和泉千晶も諦めてお二人のコト祝福させてもらいます。いいかな?」 「ははは…ありがと…」 「…了解…」 怒ることもできずに納得する雪菜と春希 「………」 怒っているものの何も言えない依緒 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1338829309/237
238: 名無しさんだよもん [sage] 2013/03/27(水) 12:53:46.97 ID:neh/W4Rw0 「てなわけで、かずさもごめんね。わたしと春希は実は何でもなかったの。かずさからかってただけなの」 ここで、ようやく本日の主役にバトンを返す千晶。 「…あ…ああ、いいよ…」 かずさは、ものすごくすまなさそうな顔でうなづく。 武也は、呆れたふりをしてかずさに言った。 「冬馬、やはりお前、友達もう少し選んだほうがいいわ」 「…はは、どうも。部長」 かずさの顔は引きつっていたが、落ち着きは取り戻したようだった。 その後は大学の卒業旅行の話など当たり障りない話で盛り上がり、誕生会はひとまずお開きとなった。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1338829309/238
239: 名無しさんだよもん [sage] 2013/03/27(水) 12:55:14.36 ID:neh/W4Rw0 <ぽーん> 次回、千晶がお説教?モードでかずさ苛めます。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1338829309/239
240: 名無しさんだよもん [sage] 2013/03/29(金) 18:17:53.84 ID:/3OIXhW30 続きです http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1338829309/240
241: 名無しさんだよもん [sage] 2013/03/29(金) 18:18:59.25 ID:/3OIXhW30 ********** 春希たちは皆、翌日仕事があるので帰宅。曜子も薬を飲んで寝室に向かったので、居間に残ったのは千晶とかずさだけになった。 千晶は、ふたりになったのを見計らい、かずさに意地悪そうに言った。 「はい。反省会〜」 「うう…。千晶ごめん…」 かずさは机につっ伏して謝った。泣いているようだった。 「だいたい、最初の方から春希につっかかり放しじゃない。武也とかも腫れ物扱いしてフォローしてたけど」 「ほんと…ごめん…」 かずさの声は消え入りそうだった。 「トドメにわたし陥れてまで春希に食ってかかるって何それ? わたしじゃなきゃ絶交ものだよ」 「ううう…」 春希と『寝た』なんてのは、かずさと最初に会ったときにからかうために使って、すぐ否定したただのネタであり、そんなことかずさもわかりきっているコトなのだ。 「でも、やっぱりアンタ面白いわ。結婚式の話のトコでは落ち着いて祝福できてたのに、次の話題で思いっきり豹変して…ねぇねぇ、言っていい?」 「………?」 かずさが僅かに机から顔を上げる。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1338829309/241
242: 名無しさんだよもん [sage] 2013/03/29(金) 18:19:52.69 ID:/3OIXhW30 千晶は座椅子から立ち、かずさの後ろから覆い被さると、耳元をなめるように囁いた。 「この『色情狂』」 「〜〜〜っ!」 かずさは返す言葉もなく紅潮する。 千晶はそんなかずさの表情を、至近距離から舐めるように堪能した。 「いやぁ〜、わたし女で良かったわ。…男だったらガマンできずにあんた押し倒してるわ」 そういってわき腹のあたりを撫で回してくる千晶に、かずさはたまらず抗議の声をあげる。 「ちょ、ちょっと、やめろよぉ」 「ふふふ…嫉妬したんだよねぇ。式を前に避妊なんてしてる雪菜ちゃんムカついたんだよねぇ」 「…うっ…うっ…ふえぇ…」 図星を指されかずさは情けない声を漏らす。 千晶はかずさの下腹辺りに手を回し、子宮に響かせるように声を伝える。 「きっと、雪菜たち。帰ってからえっちしているよ。でも、胎内には出さないんだ…もったいない、自分なら…」 「うう、さわるな…」 抵抗する声も弱々しく、千晶の手を振り払えない。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1338829309/242
243: 名無しさんだよもん [sage] 2013/03/29(金) 18:20:46.69 ID:/3OIXhW30 「ねぇ…雪菜たちと距離置いたら?」 「!」 ばさっ かずさはそれだけは嫌だといわんばかりに千晶の手を振りほどき、振り返って千晶を睨む。 千晶はのしかかっていた身体を離すと、事も無げに言った。 「〜♪ 怖くない? じきに、未練と嫉妬と劣情にまみれたあなたを知られるよ? 結婚式の場でも平静でいられる? ピアノならごまかせる?」 「うああ…、苛めるなぁ…、千晶は意地悪だぁ…」 こてりと千晶の胸に顔を埋めるかずさ。 「…でもね、千晶、逃げ出した後の方がもっと怖い…」 「………」 「5年間、5年間我慢してた。雪菜たちにも残酷なことしてた。それが…」 かずさは、ここで落ち着いて一息つくと、自嘲するように言った。 「ストラスブールで台無しだ。ひと目で台無し。後に残ったのは5年分の未練をさらけ出して、潰れそうになった情けない女さ。 …まぁ、逃げていたうちは、我慢できる、いつか忘れられると思っていられたんだけどさ」 「………」 「それにさ、何よりわたし自身も見たいんだ。わたしの代わりに幸せになってくれる2人を。友人として」 「…いいね。今のあなた良い顔してる。春希も惚れ直すよ」 「ありがとう…でもさ、時々雪菜が憎らしくなる自分が抑えられなかったりするさ…ピアノ弾いている時とかもね」 「…ふーん。でも、矛先はいつも春希だよね?」 「…そう、だな。ついつい春希には言葉きつくなるんだよな」 「や〜ん、春希に甘えたがってるの丸わかり〜♪ ああ、いつもの愛のお説教でわたしをいじめて♪」 「やめろよ、千晶」 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1338829309/243
244: 名無しさんだよもん [sage] 2013/03/29(金) 18:21:45.68 ID:/3OIXhW30 そこで、千晶は春希の口調を真似て言った。 「『いつまでも拗ねてるんじゃない! いい加減にしろっ!』」 「あ…」 かずさは再び千晶の胸に突っ伏した。肩に掛けたその手が震えている。 「どしたの? 似てない?」 「いや、…千晶が女でよかったよ。そんな反則技…」 かずさの手に力がこもる。千晶は耐えきれず後退して、後ろのソファーに押しつけられるように座り込む。 千晶の胸に顔を埋めたままかずさが『春希』に返答する。 「誰のせいだと思っている…全部、お前のせいなんだぞ」 押し倒されつつも、千晶は『春希』の演技をつづける。 「『そうやって人のせいにするところが子供だっていうんだ! 一体何才なんだ、お前は!』」 「今日で24だよ。24の女がお前忘れられなくて悪いか? 雪菜に嫉妬して悪いか? 未練たらしくて何が悪いっていうんだ!」 「『少しは他人の事情も考えてやれ。お前、春希と雪菜のこと、祝福するって約束しただろう』」 「だからって、わたしの前でのろけてみせるな。そういうところデリカシーないんだよ。昔から二人とも!」 「『だっ…誰が…、う…、あれぐらい普通だろ』って、ごほごほっ。かずさわたしをお〜そ〜う〜な〜」 いつしかソファーに横倒しにされ、覆い被されたような体勢の千晶がわざとらしく抗議の声を上げる。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1338829309/244
245: 名無しさんだよもん [sage] 2013/03/29(金) 18:22:55.46 ID:/3OIXhW30 「っつ! ご、ごめん!」 「いやあ、やっぱりかずさ女でよかったわ。危うく乙女の純潔汚されるトコだったよ」 「………」 「…この調子で春希襲っちゃえば? 『春希ぃ…やっぱりわたし、お前がいないとだめだよぉ…』って、泣きついてさ」 「…そんなことできるかよ…雪菜に悪いよ」 今度は、千晶は雪菜の口調を真似る。 「『そんなことないよ、かずさ。わたし、かずさの気持ち知ってるもの…春希くんがそれを選ぶなら…』」 「…はは、あいつならそう言うかもな。でも、春希に悪いよ。あいつ、引きずるやつだから…。例え雪菜が許したとしても、あいつ、自分で自分を責めて駄目になるよ」 「そだね〜。春希が二股かける優柔不断オトコだった方がまだマシだったね。何せ、あんたのせいで3年間引きずってたんだって? あの2人」 「雪菜の方は春希を許そうとしてたらしいんだけどな…」 「いや、春希やっぱり重度のマザコンだね」 「? どうしてだ?」 「彼女裏切って自分の方がめちゃ落ち込むなんてさ。裏切られた母親見てるからでしょ」 「…それもつらいな」 「ついでにあの説教癖も、母親にかまってもらえない裏返しでしょ」 「あ、でも、春希のやつ、母親とは関係改善できたみたいだよ」 「へ? うそ! そりゃめでたい」 「…雪菜のおかげらしいけど」 「ありゃ。そりゃめでたくない」 「? なぜ?」 千晶はそこでかずさの両頬に手をあてて言った。 「ただでさえ雪菜有利でゴール間近なのに、だめ押しの満塁ホームランくらったみたいじゃん」 かずさは笑って答えた。 「はははっ。わたし、ぼろ負けだなぁ」 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1338829309/245
246: 名無しさんだよもん [sage] 2013/03/29(金) 18:24:25.46 ID:/3OIXhW30 そこで千晶は手を放して少し険しい顔をして言った。 「…雪菜に負けて、悔しくない?」 「…ないね。わたしが何もしてあげられなかったのは悔やまれるけど、雪菜が代わりにしてくれたのは単純にうれしいよ」 そこで、かずさは天井を仰いでつぶやいた。 「そういえば、春希や雪菜に何ひとつ借りを返せてないなぁ。結婚式は頑張らないとな。うん」 「…ふぅ。やっぱりあんたにはかなわないわ。なによ『情けない女』かと思ったら『いい女』じゃん」 「なんだか、微妙な誉め方だな」 「いひひ。でも、春希的には『情けない女』の方がツボかも知れないよ」 「やめてくれよ」 「いやあ、あんた参考になるよ…わたしの演劇のね」 「ああ、脚本にでも何でもしやがれ。『いい女』になってやるとも。春希が振ったことを改めて後悔してくれるような、雪菜が友人として誇らしく思ってくれるような、ね」 そこで、かずさは微笑んでみせた。 女の千晶も惚れ惚れとするような笑顔だった。 ホント、参考にさせてもらうよ。あなたの人生。 先に待っているのが幸せか、平和な日々か、破滅か、地獄のような日々か知らないけどさ。 ひとまず幕が閉じるまで見届けさせてもらうよ。 でもね、まだまだわたしという観客を引っ張るんだから、どうせなら美しい話で終わらせて欲しいな。 千晶はそう願わずにはいられなかった。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1338829309/246
247: 名無しさんだよもん [sage] 2013/03/29(金) 18:26:55.37 ID:R2jJvMHt0 <ぽーん> ども、毎度スレ汚し失礼 あとちょっと小咄追加ありますがひとまず終わりです。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1338829309/247
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