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アカイイト / アオイシロ 〜第九十五章〜 (1001レス)
アカイイト / アオイシロ 〜第九十五章〜 http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/lesbian/1320065554/
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180: 名無しさん@秘密の花園 [sage] 2011/12/19(月) 00:12:56.56 ID:ReCGVR+C 慌てて書き上げてみたけど、結局間に合わんかった。 サクヤさんスンマセン。 ・内容はサクヤ×ノゾミ的な。ノゾミちゃんをちょっと良い子し過ぎた感があるかも。 2月18日。夕刻。 羽藤宅。リビングにて。 彼女、浅間サクヤが勝手知ったる人の家で一人悠々自適にくつろいでいると、 「サクヤ、あなた今日が誕生日だそうじゃない」 何の前触れもなく、時代錯誤的な着物を着込んだ幼い少女が彼女の前に現れた。 「ノゾミかい?なんだい、ワザワザ現身まで出してそんなこと聞いてきて」 少女の名前はノゾミ。 浅間サクヤとは浅からぬ因縁を持つ、彼女と同じく人でないモノである。 普段は青珠と呼ばれる御守の中に引き籠っているので、 サクヤがこうして彼女の姿を見るのも久方ぶりだ。 「別に。ただ桂とユメイがそう言っていたのを思い出して、聞いてみただけよ」 「ふぅん。まぁ、そうだよ。だから今日はこうやってその二人の家に招かれて、 普段なら独壇場の台所にも立たず、借りてきた猫のように大人しくしている訳さ。 私の誕生日なんて、それこそ星の数ほど程繰り返してきたものだから、 今更祝う程のもんでもないと思うんだけどねぇ」 退屈な様子を隠そうともせず、大きく欠伸を零しながらサクヤは答えた。 ちなみに、今日彼女を招いた当の本人達、ユメイと桂は、サクヤの言う所の独壇場、 キッチンで彼女の誕生日パーティー用の御馳走を作るため奮闘している真っ最中である。 「ふん、祝われる側だというのに、何とも傲慢な考え方ね。 あなたみたいなハグレ狼、祝辞を受けていられる内が華だって自分で分かっているでしょうに。 人の好意は有り難く受け取っておくもの、なーんて台詞、 よりにもよってこの私に言われるようじゃお仕舞ね」 「そりゃ、死ぬ前も死んだ後も碌に生誕を祝ってもらった経験のなさそうな 可愛いお子様にとっちゃ、そうだろうけどねぇ」 「な!?なんですってぇ!!」 「はいはい噛みつくな噛みつくな。不本意ながら今日の主役は私なんだろ? 多少の無礼講には目を瞑って欲しいねぇ」 「くっ。無礼講の使い方間違ってるわよ。それは『さらりーまん』とかの宴会で、 飽くまで堅苦しい雰囲気無しのお約束としての言葉で‥」 「あんたも随分現代語に詳しくなったもんだ・・」 浅間サクヤは呆れてるのか感心してるのか判別のつかない神妙な顔で首を振ると、 ノゾミに対して向き直し、改めて聞く。 http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/lesbian/1320065554/180
181: 名無しさん@秘密の花園 [sage] 2011/12/19(月) 00:13:42.52 ID:ReCGVR+C 「それで、あんたの本題は何なんだい?わざわざ現身まで作って私の前に姿を現したんだ。 こうやって軽口を言い合う為だけじゃないんだろ?」 「う・・・それは・・・」 聞かれては困ることだったのか。 ノゾミは如何にも困ったような表情で顔を伏せる。 「何だい?そんな深刻な内容だったのかい?」 「そういう訳では‥、ないのだけれど」 「それじゃさっさと言っとくれ。あんたの現身だってそう長く保つもんじゃないだろ?」 「ふん‥。まぁ、本当に大したことではないのだけれど」 そしてノゾミはサクヤから目線を離しながら、恥ずかしがるようにボソッと言葉を放つ。 「あなた、誕生日に何か欲しいものはあって?私に手が届く範囲で」 「はぁ?」 「ほ、欲しいものでなくても、見たい景色とか、会いたい人とか、そういうものでも構わないわ。 現世は到底叶わぬ望みでも、私の蛇視による幻術なら大抵見せてあげられるもの。ノゾミなだけに」 「あんた、桂の癖が移ってるよ‥」 「うぐ‥!」 不覚とばかりに両手で口を押えるノゾミを尻目に、サクヤは深く大きく溜め息を吐く。 しかし、その息に含まれていたのは落胆の感情ではなかった。 「はいはい。あんたの心情は大体察したよ。けどさぁ、どういう風の吹き回しだい? 長年の因縁は置いとくにしても、あんたに私の生誕を祝う義理なんてないだろ?」 「ちが、違うわ!勘違いしないで頂戴。別にあなたの為なんかじゃないのだから!」 「今はそういうのが流行ってるらしいねぇ」 「『つんでれ』なんて今はそれほど流行ってない‥って、私は『つんでれ』なんかじゃないわ」 「あんた、語るに落ちてるよ」 「ああっ、もう‥!!」 埒が明かないとばかりに、ノゾミはサクヤをギッと睨みつけて、 自分の中でもまとまっていない心情を、今度は真正面から言葉に出した。 http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/lesbian/1320065554/181
182: 名無しさん@秘密の花園 [sage] 2011/12/19(月) 00:14:59.86 ID:ReCGVR+C 「義理とか因縁とか、そういうのは関係ないわ!ただ、私は桂から学んだだけよ! その‥誕生日を祝われるのは誰だって嬉しいものだって‥。去年の私の誕生日に」 「・・・・・・はぁ」 「だから、手の届く範囲くらいは、私もそうしてみようと思っただけ。 けれど、現身を持たない私があげられるものなんてある訳ないし、 物を買う金銭だって持ち合わせてなんかない。料理だって碌に手伝えやしないもの。 だから、何して欲しいか本人に聞くしかなかったというか‥」 「・・・・・・・・」 自分が予想していたよりも遥かに真っ当なノゾミの回答に、 サクヤは思わず息をするのも忘れて固まってしまう。 それほどまでに、少女の言葉は彼女にとって衝撃的だった。 「何よ!鳩が豆鉄砲喰らったみたいな顔をして!そんなに今の私が滑稽かしら?」 半分涙目になってぷりぷりと怒りだすノゾミに、 そんな彼女の様子がおかしいのかクックっと小さく笑いながら、サクヤは答える。 「いやいや、済まないね。今のは素直に驚いただけさ。あまりに“らしく”なかったものだからさ。 まぁ、良く考えりゃおかしい話でもないか。私だって羽藤に“らしく”なくされた第一人者だっけね‥」 「どういう意味よ!」 「なんだかんだでアンタと私はお仲間ってことかもしれないって話さ。 さてはて、笑えば良いのか、泣けば良いのか‥」 浅間サクヤは何やら複雑な表情で天上を仰ぎ見て、ハハハと乾いた笑い声を零した。 そんな腑に落ちない彼女の態度に多少の苛立ちを覚えながらも、 ノゾミは改めてサクヤに顔を向け、もう一度尋ねる。 http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/lesbian/1320065554/182
183: 名無しさん@秘密の花園 [sage] 2011/12/19(月) 00:15:12.58 ID:ReCGVR+C 「それで、サクヤ。結局、さっきの私の質問の答えはどうなるのかしら?」 「あぁ、そうだねぇ」 答えながらサクヤは立ち上がり、ノゾミの前に立って、 ポンポンと、優しく頭を撫でた。 「な!?なにするのよ!」 「私なんかの誕生日に、無理して用意するものなんてないよ。 ガキはただ無邪気に『誕生日おめでとう』とでも言ってくれれば、それで良いさ」 頭の上に触れられて恥ずかしさのあまりプルプルと震えるノゾミに、 サクヤは優しく笑いかけてそう言った。 「貴女は私をバカにしてるのかしら?」 「歳を食うとね、即物的なものなんかより、子供にその言葉だけを言って貰えるだけで、 色々と満足できちまうものなんだよ。いやいや、歳はとりたくないものだねぇ」 「子供扱いしないで頂戴。私の歳くらい知っているでしょう」 「その内殆ど眠りこけてたガキが何言ってんだい。 それに、どっちにしろ私から見ればまだまだ子供さね。 子供は子供らしく素直に大人の言うことを聞きな」 ニヤニヤ笑いながらポンポンと頭を撫で続けるサクヤの腕を、 ノゾミは歯を向き出しにしながら乱暴に振り払う。 「ああもう、分かったわよ!!」 そしてヤケクソとばかりに、ノゾミはサクヤと向き合って、 “その”言葉を紡ぎだした。 「誕生日、おめでとう‥サクヤ」 サクヤは、顔を赤く染めたしかめっ面で小さく言葉を紡ぐノゾミに、 既に過去となってしまった遠い共感を覚えつつ、 見ている側が気持ちよくなるくらいの快活な笑みで言葉を返した。 「おう、ありがとう。ノゾミ」 http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/lesbian/1320065554/183
184: 名無しさん@秘密の花園 [sage] 2011/12/19(月) 00:16:16.25 ID:ReCGVR+C 〜以下蛇足的なオチ〜 サクヤ「ああ、ちょっと待った」 ノゾミ「・・・・何よ?」 サクヤ「やっぱさっきの無しで。一年に一度しかない折角のこの日だ。もっと盛大に祝って欲しいと思ってね」 ノゾミ「それはいったいどういう意味かしら?」 サクヤ「簡単な話さ。ちょっと言葉を足してもらうだけだよ」 ノゾミ「足す?」 サクヤ「まぁつまり‥、こういうことさ‥」 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ノゾミ「ほ、本当に“それ”を言えというの!?」 サクヤ「別に良いじゃないか。これくらい。折角の誕生日祝いだろう?」 ノゾミ「だってそんなの恥ずかしすぎるわ。桂にだって言ったことも言われたこともないのに‥!」 サクヤ「ほらほら、その桂達が料理作り終えてここに戻ってきたら、もっと言いづらくなっちまうよ?だからほら、今のうちにさ」 ノゾミ「くぅぅう‥、あとで覚えておきなさいよね」 サクヤ「そんな心配しなくても、物覚えは良いほうでね」 ノゾミ「分かったわ!たった一回、特別に言ってあげる」 『た、誕生日おめでとうございます!サクヤお姉さま!!ノゾミ、お姉さまの誕生日を祝えてとっても嬉しいです!!』 ピッ― サクヤ「はい、ご苦労さん。済まないねぇ、ノゾミ。あんたの気持ちこの胸に染み渡るよ」 ノゾミ「ちょ、ちょっと待ちなさい、サクヤ。さっきの機械音は何?」 サクヤ「取材で使う録音機」 ノゾミ「・・それって、刑事ドラマで見たことあるわ‥。あなた‥、あなたまさか‥!?」 サクヤ「おーい、桂ー。ユメイー。ちょっと良いかい。聞かせたいものが出来たんだけど‥」 ノゾミ「ま、ま、待ちなさい、待つのよサクヤ!!駄目!ダメよ!やめて!」 ノゾミ「私の恥ずかしいセリフを、桂の聴かせるのはやめてぇええええええ!!!!」 〜fin〜 http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/lesbian/1320065554/184
187: 名無しさん@秘密の花園 [sage] 2011/12/19(月) 00:59:15.20 ID:ReCGVR+C >>186 今気づいたわーorz。脳内で正しい数字に変換してください http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/lesbian/1320065554/187
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