中島みゆきの名曲 (198レス)
中島みゆきの名曲 http://rio2016.5ch.net/test/read.cgi/litechara/1707735134/
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190: ジョン・スミス [] 2024/06/13(木) 21:43:11.76 ID:NWq4an3R 「空と君のあいだに」二話 小学3年の頃だったと思う。親父が仕事帰りに雑種の犬を拾って来た... 茶色くて目が真ん丸でコロコロとした可愛い奴だった。でも野良犬なので 小汚くて怪我ボロボロに抜けていた。そんな風貌を見て親父はボロと名付けた。 一人っ子だった俺は、丁度いい弟分が出来て嬉しくって毎日、公園に散歩に 連れて行っては一緒に遊んでいた。うちは両親共働きでほとんど家にはおらず 俺はいつもずっと独りぼっちだっただけに、ボロが出来て毎日楽しかった... 丁度1年が経った頃、うちは親父の仕事の都合で遠くに引っ越さなければ ならなくなった。当然、ボロも一緒に行けるものと思っていた... 引っ越し先には連れていけないことを母親から告げられた。 両親はどこかに引き取って貰おうと、貰い手を探していたが結局はどこも 引き取っては貰えず、仕方なく車で遠くに連れて行って捨てると言う事になった。 当然、俺はボロと別れることを断固反対したけど、 当時、小学生だった俺はあまりにも無力で捨てることが決まってしまった... 俺と母はボロを連れて車で隣町まで出かけた。車の中で俺はボロを抱いたまま 涙が止まらなかった。母がちょうど良さげな場所を見つけたらしく車を止めた。 車から降ろそうと、母がボロを抱きかかえると、 何かを感じたのか、ボロはグッと足を踏ん張って車から降りまいと抵抗した。 それを見た俺は声を声をあげて泣いた。ボロを下ろしてドアを閉め、 急いで車を走らせるも、ボロは勢いよく走って追いかけて来る。。。 その姿があまりに悲しくなった母は車を止めた。肩を震わせて母も泣いた... 俺は車から飛び出しポロに抱きついた。独りぼっちの俺の傍にいつも一緒に 居てくれたボロ。「何だって言うこと聞くからボロも一緒に連れて行こうよ!」 泣きながら母に訴えたが、やはり駄目だった... 「どうしても連れていけないの…」と母は呟いてもう一度車を走らせる。 ボロは俺と母のやり取りを見て察したらしく、今度は追いかけて 来なくなった。座ったまま走り出す車を眺めていた... ...ボロの姿がどんどん小さくなっていく......... http://rio2016.5ch.net/test/read.cgi/litechara/1707735134/190
191: ジョン・スミス [] 2024/06/13(木) 21:50:31.55 ID:NWq4an3R >>190 3行目訂正 怪我× 毛が〇 下から10行目訂正 声を声を× 声を〇 http://rio2016.5ch.net/test/read.cgi/litechara/1707735134/191
192: ジョン・スミス [] 2024/06/14(金) 21:18:27.16 ID:yTXLs/pA 「ピアニシモ」 放課後の教室は合唱祭に向けて練習していた。先生がタクトを振ると、 グランドピアノが前奏を始めた。俺も手元の楽譜に目を落とした。 アヴェ・ヴェルム・コルプス。モーツァルト作曲とある。物静かな ピアノから、囁くような音で合唱が始まる。モーツァルトなんて正直、 名前くらいしか知らないし、歌は外国語でチンプンカンプンだ。 教会なんかで聴くやつだな…讃美歌って言うんだっけ…?! こういうのはと隣を覗くと隣の由香は食い入るように楽譜を見ている。 今流れている音楽を必死でたどっているようだ。とても話しかけられる 雰囲気ではない。俺も楽譜を眺めながら音楽を聞き入った...... 一通り曲を流した後、それぞれに分かれてパート練習に入った。 望月は譜面に指導の内容を書き込んでいる。みんなのアイドル船橋さんは 言葉を受け取っては赤ペンを走らせていた。みんなは船橋さんの言葉を 受け取っては赤ペンを走らせている。船橋さんの要求に応じてどんどん 音楽が完成されていく… みんな真剣なまなざしで、その過程を こなしていく姿に俺も胸が熱くなり始めていた... 「よーし、今日はこれくらいにして、明日またその続きから… 最後に一回通して終わりにしよう...」 練習を終え外に出ると、辺りは既に夜になっていた。腕時計は7時を 指していた。俺は由香に「うちに来る。天井にプロジェクターで映し出す プラネタリウムがあるんだ…」「でも、門限が9時なの…」と由香が言う。 「大丈夫、心配ないよ。門限までに帰れるから…」と俺。 家に着くなり、俺は鞄を部屋の片隅に置いて、プロジェクターを 天井に向けて映し出す… 明かりを消して自分の部屋の真ん中に寝転んだ。 「やっぱり落ち着くな…」薄っすらと目を開けながら呟く俺の声… 由香も俺の左隣に座って天井を見上げる。暫く俺たちは何も喋らず、 ただぼんやりと天井を眺めていた......... 俺は由香の袖口を引っ張って「由香も寝転べば… 首が痛くなるだろ…?!」 「そうね…」と由香は素直に頷いて、そっと俺の隣に寝転んだ。 「あ、ここ、ホントに防音効いてないから… 念のため。ちっちゃい声で 歌おうぜ!」さっきホールで歌ったような声だと、防音がなければ夜だし、 近所迷惑だ。それに俺は由香の歌声に釣り合う自信がまるでなかった。 指先で由香の手の甲を軽く叩く... 「これ、出だしの合図。1・2・3・ハイ、な、」 由香は、はにかんで小さく頷くと、天井を見上げてスッと息を吸った。 「あ、ワリィ、最初の音くれない…?」俺は慌てて由香に音出しをお願いした。 あ、そうか、と言うように由香は最初のソプラノの音を出してくれる。 俺はそこからベースの音を拾った。「今くらいの大きさの声な…」 「ああ、ピアニシモ…?!」「そう、それそれ…」 俺たちは顔を見合わせて " フフッ " と笑い合った。 http://rio2016.5ch.net/test/read.cgi/litechara/1707735134/192
193: ジョン・スミス [] 2024/06/16(日) 19:24:36.25 ID:fwujLE8V 「誘惑」 ゆらりと彼が手にした煙草の煙が揺れる... 白を通り越して僅かに紫ががっているその色を見て ああ、こういうのを紫煙って言うんだっけ、と何気なく考えていた... 紫煙は緩やかに形を変えながら、天井まで昇っては霧散していく。。。 時折、彼が吐き出す煙が形を崩す。。。 混ざりあって解けて消える。。。 そんな様子が面白くって、寝転びながらじっと見つめていた... その様子に気づいた彼が「何を見ているんだ?」と訝し気に聞く。 私の視線の先を割り出そうと周りを見回す... 結局それらしいものが見つからなかったのか、問うようにこっちを振り返る。 私は「ちょっと煙をね。何だかわからないけど楽しい。ただ見ているのが…」と 笑いながら答えると、彼はキョトンとした顔を浮かべて「こいつのことか…」と 煙草を一回吸ってから煙を吐く… 煙草を銜えながら「楽しいか?」「うん」 「・・・ 俺にはよくわからないなぁ…」と それっきり黙り込んでしまった彼。何を考えているんだろう... 悩んでいたり、辛そうなにしていても「何でもないよ。大丈夫…」と言ったり、 何があっても「これくらいなんてことはない」と私の心配をよそに、いつも、 強がって本心をさらけ出してくれない彼。いったい何を考えているのだろう… 小さい頃からパイロットになりたい夢を持ち続け、6年間航空学校と航空会社の 訓練所に通っていたけどパイロットにはなれなかった彼... 子供の頃からの夢を追い求め、あれほどなりたかったパイロット。 彼の気持ちが痛いほどわかるだけに... 言葉が欠けづらい... いつか白馬の王子様が迎えに来て、お城に私を連れて行ってくれる。 いつか王子様が、ガラスの靴を届けてくれる。女の子なら誰だって そんなことを夢見る... そんな夢を持ち続けている私がいる。 ――――――大空に憧れる彼も 男の子が見る夢をいつまでも捨てられないでいる... http://rio2016.5ch.net/test/read.cgi/litechara/1707735134/193
194: ジョン・スミス [] 2024/06/16(日) 19:37:35.69 ID:fwujLE8V >>193 下から6行目訂正 欠けづらい× かけづらい〇 http://rio2016.5ch.net/test/read.cgi/litechara/1707735134/194
195: ジョン・スミス [] 2024/06/18(火) 17:00:13.71 ID:jB7PIpHM 「SMILE,SMILE」 僕の家族には、父と母、僕、そして妹の四人家族。妹は僕より十二歳も年下で その当時はまだ6歳でした。とても可愛い妹です。しかし、家に居れば不仲な 両親は、いつも事あるごとに口喧嘩をしていることが多かった為、 遊び盛りだった僕は、家に帰ることが億劫になり段々と少なくなった。 夜遅くまで遊び回った後、悪友の所を泊まり歩いて家に戻らなくなっていた。 きっと歳の離れた妹は毎日、とても寂しかったと思う...... ある日、久しぶりに家に帰ると、普段は酒を飲んでいる親父が、 一冊のノートを手に取り、身体を震わせ涙を流していた... 僕もそのノートを覗いて見ると、未だ拙く不揃いな大小の文字で 書いた妹の物語がそこには書かれてあった...... 「ごめんな」と親父が幼い6歳の妹に言っていた。そのノートには こんな言葉が綴られていた... 「わたしには、たのしいパパとやさしいママ、そしていつもえがおの おにいちゃんがいます。いつもみんなで、おいしいごはんを、 わらいながらたべます。まいしゅうにちようびは、かぞくみんなで おでかけをします。わたしはいつもみんなにかわいがって もらっていて、しあわせいっぱいです。かぞくみんなまいにち えがおいっぱいで、うれしいです。たのしいな かぞくって」 これは、一家にとっては現実とはかけ離れた理想の家族像でした... しかし、歳の離れた妹の純粋な願いがたくさん詰まったその物語を読み、 僕はそこに書かれた架空の家族像にグッとくるものがあった... その後、パートから帰って来た母もそのノートを 読み終えると涙を零していました...... その夜、家族そろって鍋を囲みました。歳の離れた妹にとっては、 実は初めての経験で、妹はとても楽しそうに燥いでいました... 親父も母も僕も、照れくさくなりながらも、みんなで笑い合っていました。 その日を境に、家族は少しずつ変わり始めて行きました...... 歳の離れた妹の夢が書かれた物語が徐々にではあったけど、 少しずつ少しずつ現実のものになって行きました...... ――― 今では、家族みんな笑顔いっぱいになりました ――― http://rio2016.5ch.net/test/read.cgi/litechara/1707735134/195
196: ジョン・スミス [] 2024/06/18(火) 17:05:49.25 ID:jB7PIpHM >>195 1行目訂正 僕の家族には× 僕の家族は〇 http://rio2016.5ch.net/test/read.cgi/litechara/1707735134/196
197: ジョン・スミス [] 2024/06/20(木) 17:01:18.44 ID:F6G6bL/I 「悪女」 ...あいつの浮気を知った。私は声をあげて泣いた... 私の父も女を作って家を出て行った。男なんてみんなバカだから… あいつを問い詰めてすべてを白状させたいという衝動に駆られたけど、 高校時代からの友人のマリコに相談すると「もし別れたくないのなら、 一度目は気づかないふりをするのもアリだよ。そのうち飽きて 戻ってくるかもしれないし…」そんな言葉が帰って来た。 私は色々と悩んだ挙句に別れない選択をした... しかし、状況は一向に変わらなかった。相変わらず帰りが遅い日が続く… 休みの日も直ぐ出かけてしまう… それでも私は気づかないふりで あいつの帰りを待ち続けた… 一人でいると寂しさが募る... そこでショッピングモールを色々歩き回った後、映画館に入りそこで時間を 潰した。そのあと近くのホテルのロビーから暇つぶしにマリコに電話した。 電話口で遊び人のマリコに、前回、電話をかけた時に あなたも待ってばかり いないで遊んだらと言われたことを思い出し、男と遊んでいる振りをしたけど、 マリコは私のように暇なわけではなかった。あの子もわりと忙しいようで 私の芝居にも付き合ってくれそうにない。このホテルのロビーにいつまでも 居る訳にはいかない。此処で暇をつぶせるのはあと少しの時間だけ... 電話をしてみたけど話し中……… あの子と話し中ね... 「行かないで…」という言葉と共に涙が零れた... 女のつけぬコロンを買った。朝帰りして男と遊んできたふりをして口喧嘩… 「どうせあの子が好きなんでしょう…」と「私とは同情なの…?」と 涙も本心も隠してあいつの前で生意気な女を演じるつもり... そうすれば、あいつが私に愛想をつかして捨ててくれる... 私を嫌いだとハッキリ言ってよ。愛想をつかして捨ててしまえばいいじゃない。 あの子の元へ早く行けばいいじゃない… などと捨てセリフも吐けない癖に… 強がり意地っ張りな私... でも私からそんな強気なことは言えない... 別れたくないから... 彼に嫌われ捨てられるようにするしかない... あなたが私を捨てて、あの女の元へ行くまでに悪い女を演じて見せるわ… そう思うと、急に涙がとめどもなく溢れた... あいつの前で悪い女を演じる前に、私は涙が枯れるまで泣いてしまった。 http://rio2016.5ch.net/test/read.cgi/litechara/1707735134/197
198: ジョン・スミス [] 2024/06/21(金) 18:43:39.04 ID:43FXvl5t 蕎麦屋 http://rio2016.5ch.net/test/read.cgi/litechara/1707735134/198
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