[過去ログ] 産経抄ファンクラブ第253集 (1002レス)
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358(1): 2019/05/05(日)05:50 ID:v/2si85X0(1) AAS
産経抄 5月5日
作家の向田邦子さんは子供の頃、宴席から酔って帰った父によく起こされた。手をつけなかった口取り肴(ざかな)や二の膳の折詰を広げ、父は「さあ、お上がり」と促す。夢とうつつの境で箸を行き来させる子供たちを、手枕で楽しげに眺めていたという。
▼日頃は怒りっぽい父も、酔うと優しい。〈記憶の中で「愛」を探すと、夜更けに叩き起されて、無理に食べさせられた折詰が目に浮かぶ〉とエッセー『子供たちの夜』に書いていた。向田さんは昭和4年の生まれだから、行間に漂うのは戦前の家庭のにおいである。
▼「令和」の名付け親とされる国文学者の中西進氏は、平成11年の本紙対談で「愛がイエの本質だ」と述べていた。万葉文学では「手枕(たまくら)」が家族の添い寝を表し、家と一対をなす言葉だったという。
向田さんの父は酔顔をもってイエのあるべき姿を示したことになる。
▼「そのような本質がイエから失われ」てしまったのが、21世紀を迎える日本の悩みだと中西氏は説いていた。少子高齢化の加速により、家族の形は当時よりもさらに変化している。総務省の発表によると、子供の数は38年連続、子供の割合は45年連続の減少という。
▼男は会社をイエにし、女は父と母の二役を任された−は対談相手の河合隼雄氏の説だった。20年後の今、電車内ではスマホに見入る幼い子供をよく見かける。幼児向けの動画があるらしい。自立にも見え、孤独にも見える。子供の居場所を思うと何とも複雑である。
▼江戸時代の俳句に〈肩車上にも廻(まわ)る風車(かざぐるま)〉とあった。昨今は肩車の親子をあまり見ない。スマホの幼児は、手持ちぶさたに中吊り広告を見る母親と、居眠りする父親に挟まれていた。これも現代版の家族の形、愛の形かと、こどもの日にふと思う。
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