[過去ログ] 産経抄ファンクラブ第254集 (1002レス)
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(3): 2019/06/01(土)06:10 ID:aAFC6jir0(1) AAS
産経抄 6月1日

 5月31日未明、眠れぬ徒然(つれづれ)に近所の土手沿いを散策すると、黄色い花々が風に儚(はかな)げに揺れていた。「富士には月見草(つきみそう)がよく似合ふ」。
作家、太宰治の言葉が反射的に頭に浮かんだ。もっとも、黄色いのは待宵草(まつよいぐさ)で本当の月見草の花弁は白いが、太宰の時代にはすでに混同されていたらしい。

 ▼月見草も待宵草も、代表的な花言葉に「気まぐれ」がある。安倍晋三首相は30日の経団連会合でこんな挨拶をした。「風というものは気まぐれで、誰かがコントロールできるようなものではない」。風とは衆院の「解散風」のことである。

 ▼一方、安倍首相の女房役である菅義偉(すが・よしひで)官房長官は、その後の記者会見でこう述べた。「無風ではないか」。風をあおったり、火消ししたりは2人の役割分担のようにも見える。
永田町では昔から「解散と公定歩合は嘘をついてもいい」と言われるだけに、真贋(しんがん)取り混ぜた熾烈(しれつ)な駆け引きが続いているのだろう。

 ▼「政治状況を判断した上で改めて相談させてもらう」。立憲民主党の枝野幸男代表は29日、菅氏が「解散の大義になる」と牽制(けんせい)した内閣不信任決議案の提出について保留した。
それまで強気で解散を歓迎していたが、ひょうたんから駒という事態は避けたいのか。

 ▼伝家の宝刀である「解散剣」をいつでも抜ける姿勢を取る安倍首相と、ポスト安倍の有力候補に浮上した菅氏の一挙手一投足に、議員の目は当然集まる。
中には、菅氏は野原に咲いてこそ映える存在だと指摘して「手に取るなやはり野に置け月見草」だとやっかむ自民党議員もいる。

 ▼風向きはころころ変わる。この句も本来は蓮華草(れんげそう)が正しいが、誤用も流通しており意味は通る。確かなのは、明日は明日の風が吹くということだけである。
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