[過去ログ] 産経抄ファンクラブ第295集 (1002レス)
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867(1): 2023/01/08(日)07:58 ID:NFm2hKOF0(1/3) AAS
1月8日 コラム 産経抄
プロ野球の西鉄などで活躍した好打者、豊田泰光が評論家の小林秀雄にぼやいた。どれほど鍛錬し工夫を極めても、バットに球が当たらないときがある。「困ったものだ」と。で、どうするんだと小林が先を促す。
▼豊田いわく「よく食って、よく眠って、ただ、待っているんだ」。昭和30年代、酒の席での談議を小林が『考えるヒント』に書き留めている。その道の名手と呼ばれた人でも、好不調の波は意のままにならない。処方箋もない。「スランプ」とは謎の多い病である。
▼将棋の羽生善治九段(52)も病の怖さを知る人だろう。かつて全タイトルを独占した棋士が昨年度は勝率3割台に甘んじた。「年齢の壁」「衰え」などの世評も逆風になったろう。それゆえ藤井聡太五冠へのタイトル挑戦に、ファンが「復活」と驚喜するのも分かる。
▼肉体は自分の意に従うようで、往々、自分を裏切る。野球に限らず文学にも同じ性質の苦労があると小林はいう。文学者にとって肉体とは言葉、書くとは「言葉という球を正確に打とうとバットを振る事だ」と。人生百般に通じる考察をそこに読み取る人もいよう。
▼棋士にとっての肉体は駒だろう。丹念に読んで選んだ手が敗着ということもある。歴戦の羽生九段でさえ、駒の裏切りに泣いたことは一再ではあるまい。「食って眠って待つ」の前段で、研究や研鑽(けんさん)という名の素振りが幾度となく繰り返されたのは想像に難くない。
▼藤井―羽生の王将戦は、きょう開幕する。令和と平成を代表する知性の邂逅(かいこう)には世代間闘争の色があり、盤をはさんだ肉体と肉体の果たし合いという色もあり、興味が尽きない。何より両者の盤上没我の横顔に、強く生きるためのヒントを読み取りたいと願うファンも多いだろう。
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