[過去ログ] 現代数学の系譜11 ガロア理論を読む25 [無断転載禁止]©2ch.net (716レス)
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139: 現代数学の系譜11 ガロア理論を読む 2016/11/05(土)19:45 ID:DzICE8Th(30/47) AAS
つづき
これは最も説明しやすい.つまり,Hom集合に”空間”の構造が入っているという事である.通常の圏は,離散位相によりtopological categoryとみなすことができ,逆にtopological categoryが与えられればその”Hom空間”のΠ_0をHom集合として取ることにより”ホモトピー圏”を得ることができる.
異なるtopological categoryでも,”Hom空間”がup to homotopicで同型であれば,同じホモトピー圏を与えることが出来るという事である.次のモデルも本質的には変わらない.
Definition.(simplicial category)
simplicial categoryとはsimplicial setの圏に関するenriched categoryである.
simplicial setについては何も説明していないが,実はこれはある意味で「位相空間と同値な空間概念」とみなすことが出来る.
例えば,位相空間の特異コホモロジーはDold-Kan対応によりsimplicial setのコホモロジー論の一部とみることが出来るし,特筆すべきことは位相空間の基本群,ホモトピー群と同値な理論をsimplicial set内で構成する事が出来る.
これらは,特異単体を取る関手と幾何的実現関手により同値にうつりあう.このことから,simplicial categoryがtopological categoryと「同値な枠組み」である事は感覚的に”納得”は出来るだろう.
以上のモデルは比較的その”意味”について納得しやすいものだろう.しかし,Higher Topos Theoryにおいて中心的に扱われるのは,これらではなく次のquasi categoryと呼ばれるものである.
Definition.(quasi category)
simplicial set Sがquasi categoryであるとはinner horn inclusion
\displaystyle \{ \Lambda^{n}_{k} \to \Delta^{n} | n\in \mathbb{N}, 0<k<n \} に対して(uniqueとは限らない)Extension Propertyを持つ事をいう.
この定義は非常に突拍子のない定義のように思われる.まず,そもそも圏ではなく「ある条件を満たすsimplicial set」が∞カテゴリーだというのだ.
また,なぜこの定義を採用する強みは何なのだろうか?さらに,これらのモデルの”同値性”とは何なのだろうか?これらを説明するにはまたもう少しの準備が必要となるため,次回以降の記事において解説しようと思う.
(引用終り)
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