[過去ログ] ファンタジー剣士バトルロワイアル 第三章 (1002レス)
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542: ◆k7QIZZkXNs 2010/11/21(日)20:52 ID:u4av9ZCZ(1/21) AAS
期限を大幅にオーバーしてしまって申し訳ありません。
投下します。
543: ◆k7QIZZkXNs 2010/11/21(日)20:53 ID:u4av9ZCZ(2/21) AAS
誠刀『銓』は刃なき刀。
秤は天秤を意味し、己自身を測る。
自分を試し、自分を知る刀。
敵ではなく自分を切り、自分自身を測る刀。

志葉丈瑠はこの刀を用いて自らの迷いを断ち斬った。
全ての虚飾を取り去った根源である自分とは何か。
丈瑠にとってそれはまさしく平和を守る「侍」であり、シンケンジャーの将たる「殿」だった。

では今現在、誠刀を握る少年ノヴァはどうか。

彼と志葉丈瑠は違う。
ノヴァはそもそも勇者と呼ばれる自分を否定してはいないし、自らの行いに疑問を持ってもいない。
省21
544: ◆k7QIZZkXNs 2010/11/21(日)20:53 ID:u4av9ZCZ(3/21) AAS
          ◆

「行くぞっ!」

気勢を上げ、ノヴァがクレアへと突進する。手にするのは光輝く闘気剣(オーラブレード)。
その熱は離れた場所にいる丈瑠の肌をもちりちりと焦がす。
生身で受ければどうなるかなど、考えるまでもない。

「下がれ!」

クレイモアの戦士クレアが、一振りの刀を手に前に出る。
それなりに重量のある絶刀・鉋を片腕で構えられるのは、彼女が人間ではなく半人半妖の戦士、クレイモアだからこそだ。
人間を遥かに超えた膂力と運動能力を誇り、標的である妖魔が発する妖気を探知する技能も備えている。
治癒力にも優れていて、腕が千切れたとしてもその部位が無事ならば時間をかければ自力で繋ぎ直すことができるほど。
省18
545: ◆k7QIZZkXNs 2010/11/21(日)20:55 ID:u4av9ZCZ(4/21) AAS
もちろん、すでに組織から離反したクレアにとってこの掟に強制力はない。
だがもし人を殺してしまえば、その瞬間にクレアは妖魔と同等の存在へと成り果てることになる。
妖魔を狩るのはクレイモアだからだ。
だがそれだけではなく、クレアにとって人間とは守るべき存在でもある。
共に旅をし、心を通わせた少年――ラキ。
彼は人間だ。その彼を捕食するような存在になるなど、クレアは決して自らに許しはしない。

戦乱の中離別してしまったが、いつか再会できると信じている――だからこそ、クレアはこの場でも掟を守る。
ラキともう一度出会ったとき、彼が知っているままのクレアでいるために。

クレアがこの場でするべきことは、人間を守り妖魔を狩り尽くすこと。
あの覚醒者と思しき銀髪の男、そしてロワと名乗った女。どちらも人ではあり得ない。
省26
546: ◆k7QIZZkXNs 2010/11/21(日)20:55 ID:u4av9ZCZ(5/21) AAS
隙を逃さず、丈瑠は一歩踏み込んだ。
手首を返し柄頭をノヴァの腹部へと打ち込む。危ういところでノヴァが反応し、左腕を滑り込ませた。
柄頭は受け止められる。ノヴァの左掌に痺れが走る。
安堵させる間も与えず、丈瑠は絶刀に添えていた片手を放し拳を握って少年の顎を下から突き上げた。

「がっ!?」

丈瑠はそのまま絶刀を振るいノヴァの握る誠刀を弾き飛ばそうとした。
だが、ノヴァは半ば意地だけでその衝撃に耐えた。視界は今だ空を映したまま、がむしゃらに闘気剣を振り回す。

ふ、と圧力が消失する。
ノヴァが一歩引いて体勢を整えたとき、丈瑠もまたクレアを伴って後退していた。

「た、丈瑠……」
省20
547: ◆k7QIZZkXNs 2010/11/21(日)20:56 ID:u4av9ZCZ(6/21) AAS
「わかった、やってやる。別に逃げてもいいぞ」

軽く、揶揄するような響きを混ぜる。
丈瑠にとっては本心でもあった。他人を護衛するよりは一人の方が戦いやすい。

「すぐに戻る。死ぬなよ!」

が、クレアが了承するはずもない。
反発の意が叫び返され、クレイモアの脚力を活かして瞬く間に走り去っていく。

「待て! この、邪魔をするな!」
「そうはいかない……!」
省10
548: ◆k7QIZZkXNs 2010/11/21(日)20:57 ID:u4av9ZCZ(7/21) AAS
          ◆

クレス・アルベインの故郷であるトーティス村は、魔王ダオスの手の者によって滅ぼされた。
剣の師でもあった父、ミゲール・アルベイン。
病床に臥せっていた母、マリア・アルベイン。
親友であるチェスター・バークライトの妹、アミィ・バークライト。

村を空けていた僅かな時間で、十七年間生きてきたクレスの世界は崩壊した。
この悲劇をきっかけにクレスは時を巡る旅へと身を投じることになる。

そして今、何の因果か最強の剣士を決めるというこの催しに呼び出されている。
クレスの脳裏に去来するのは、村が崩壊したあの日のことだ。
家族、妹のように思っていた少女、友人、隣人。親友を除くクレスが知る人々全てが死に絶えた日のこと。
省23
549: ◆k7QIZZkXNs 2010/11/21(日)20:58 ID:u4av9ZCZ(8/21) AAS
では、ブルックに罪はないのか?
自分が生き残るためなら、同じく生き残りたいと思っている者を殺しても許されるのか?
正当防衛ですらない殺しは果たして許されるのか?

これが会話すらままならない魔獣であれば悩むことはないだろう。だが相手は言葉を用い意思を交わすことが出来る人間だ。
当然のように生きたいと、帰りたいと願う、クレスと同じただの人間なのだ。

「わからない……な。今の僕には答えが出せない……」

今ほどミントやアーチェ、クラース、チェスター、すず――仲間たちに傍にいてほしいと思ったことはないかもしれない。

ロワを倒す? どうやって?
当人に気付かれないまま数十人の人間を拉致し、得体の知れない首輪を嵌め、殺し合わせる。かのダオスにだってそんな芸当は出来るかどうか。
最初にいた場所ではクレスは自分と匹敵するかそれ以上の剣気を放つ者を何人も目撃している。
省21
550: ◆k7QIZZkXNs 2010/11/21(日)20:58 ID:u4av9ZCZ(9/21) AAS
クレスの思い人であるミント・アドネードのように癒しの術が使えるのならば、千切れた腕とて繋げられるかもしれない。
ならば是非とも仲間になってもらいたい。傷を癒せる力があれば、殺し合いの中で生き残る確率はぐっと上がる。
そんなクレスの期待に応えるように、クレアはもはや肉塊とさえ呼べるその腕を自らの腕の切断面へと近づけた。

「――ふっ!」

精神を集中し、気合を入れるための発声。
導き出される結果はクレスの想像通り腕の接合。ただし、過程は全く違うものだった。

(なっ……!?)

ミントの術のように優しい光が傷を癒すのではなく。
腕と腕、切断面が小虫のように蠢き、泡立ち、片割れへと糸を伸ばす。糸は繋がり、ゆっくりと癒着していく。
シュウシュウと音を立てる腕は何がしかの力に包まれているのか淡い光を放っている。
省17
551: ◆k7QIZZkXNs 2010/11/21(日)20:59 ID:u4av9ZCZ(10/21) AAS
「僕はクレス、クレス・アルベイン。聞きたいことがある」
「ぐ……あっ」

クレアはクレスを味方とは認識していない。彼が剣を寸止めするつもりであったとしても、そんなことはクレアにはわからない。
当然、刀が抜かれ始めた時点でクレアはクレスに対し警戒の度合いを引き上げ、制圧行動を取ろうとした。
だが、クレアは腕を繋げるために妖力を開放している最中だったのだ。
妖力解放はクレイモアの肉体を妖魔に近づける行為。強い力を得られる代わりに己を侵食されるかもしれない諸刃の剣だ。
当然、妖力のコントロールには多大な集中力を要する。少しの動揺で制御が乱れるほどに。

それでも普段のクレアならまだ対応することができた乱れだ。が、今のクレアは万全の状態ではなかった。
一刻も早く丈瑠の援護に向かわねばという焦り、新手の襲撃者への対応。そして首輪による妖力の抑圧。
省23
552: ◆k7QIZZkXNs 2010/11/21(日)21:00 ID:u4av9ZCZ(11/21) AAS
人間を殺してはならない。

人間を殺してはならない?

人間を殺してもいいのではないか?

そう、剣を向けてくるのなら、相手が人間でも――。

目の前にいる、脆弱な人間を――。
省23
553: ◆k7QIZZkXNs 2010/11/21(日)21:01 ID:u4av9ZCZ(12/21) AAS
「真空……破斬!」

刀身に真空を纏わせ切れ味を上げる剣技。
放たれた斬撃は、クレアの右腕を見事宙へ舞わせることに――失敗した。
ガキンッ、と刀は受け止められた。地に突き立っていたクレアの右腕が、神速で抜き放たれて刀を受け止めていた。
イレーネから受け継いだ切り札『高速剣』。クレイモアを持たぬ空手の状態で放つそれはいわば『高速爪』と言うところか。
右腕はクレアの意思を完全に跳ね除け、一個の妖魔として自己の保全に動いた。
そしてその行いは――クレアが衝動に敗北したことを意味していた。

「が、あ、ァァァァ……ッアアアアアアァァァッ!」
「ぐあぁっ!」

ニバンボシを叩き落し、クレスの胸倉を掴み上げ、壁際へと叩き付ける。
省26
554: ◆k7QIZZkXNs 2010/11/21(日)21:04 ID:u4av9ZCZ(13/21) AAS
「クレア……! 俺だ、志葉丈瑠だ! わからないのか!?」
「グゥゥゥゥ――シャアアアァッ!」

地を這い掬い上げるように放たれた爪を、絶刀を逆手に構え地に突き立てることで防ぎ止めた。
絶刀の特性故に刀が砕かれるということはなかったが、地面という緩衝材を挟んで尚、丈瑠の腕に凄まじい負担が圧し掛かる。
が、とにかく動きを止めることには成功した。攻守が拮抗し、丈瑠はクレアと睨み合う。
記憶と違う瞳の色に戸惑うが、おそらく正常な意識を保ってはいないだろうと丈瑠は判断した。

「おい、お前。あいつを連れて逃げろ」
「な……何を言ってるんだ、僕も一緒に!」
「剣もないのに何ができるって言うんだ。それにあのノヴァって奴が意識を取り戻したら、また面倒なことになる」
省21
555: ◆k7QIZZkXNs 2010/11/21(日)21:07 ID:u4av9ZCZ(14/21) AAS
「クレア、しっかりしろ! 俺の声が聞こえるか!」

それならば。
丈瑠に打つ手がないのならば、クレア自身に何とかさせるしかないだろう。
戻ると言ったクレアの眼差しを、瞳に込められた意思を信じるだけだ。

「お前は俺に、自分を信じてくれと言っただろう。俺はお前を信じて待っていた。ならばお前も、俺に答えろ!」
「ク、ウゥ……?」
「お前は何のために戦う? 答えろ、クレア!」

何のために――クレイモアの存在する意味はただ一つ。
人に仇なす妖魔を狩る、ただそれだけのため。

「人間を斬る訳にはいかない、お前はそう言ったな! なら人を守るために戦う存在、それが本当のお前じゃないのか!」
省32
556: ◆k7QIZZkXNs 2010/11/21(日)21:08 ID:u4av9ZCZ(15/21) AAS
否――取ろうとしたが、叶わなかった。

それは剣というにはあまりにも大きすぎた。
大きく、ぶ厚く、重く、そして大雑把すぎた。
それはまさに鉄塊だった。

天空より舞い降りた剣が、丈瑠の身長よりもなお長く大きな剣が、クレアの右腕を地面に縫い付けていた。
クレアと自分とを隔てる壁の正体が、一瞬丈瑠は理解できなかった。
それを剣だ、と理解できたのは――剣を追うように空から舞い降りてきた男が、落下の勢いを利用して剣を抜き取り、旋回させてクレアを襲ったからだ。
迷いなくクレアを両断するであろうその剣の軌跡に、丈瑠の身体は意識するよりも先に動き割り込んだ。
引き抜いた絶刀を片手で握り、峰の部分をもう片方の腕で支え大剣を受け止める。
両腕の骨まで砕かれそうな衝撃。
省32
557: ◆k7QIZZkXNs 2010/11/21(日)21:09 ID:u4av9ZCZ(16/21) AAS
何かできることがあるなら何でも言ってくれ。
お前を助けられるなら何でもしてやる。
丈瑠はそう言おうとした。

「私を、殺してくれ」

だが、告げられた言葉はそんな丈瑠の決意を容易く粉砕した。
耳から入ってきた言葉を脳が理解するまで数秒、必要とした。

「な……何を言ってる。何故俺がお前を殺さなければならない!?」
「私は、妖魔には……なりたくない。人でいたいんだ……人のままで、死にたいんだ」
「……っ!」

クレイモアが妖力の解放に失敗し、妖魔の意識に支配されたとき。
省34
558: ◆k7QIZZkXNs 2010/11/21(日)21:11 ID:u4av9ZCZ(17/21) AAS
「一筆……奏上」

虚空に描く『火』の一文字。
火のモヂカラを現出させ、身に纏う――戦うための力、真紅のスーツ。
だが、かつてないほどに心が冷えている。『火』を司るシンケンジャーとは思えないほどに。
絶刀を握り締め、肩に担いだ。

「シンケンレッド――志葉丈瑠」

シンケンジャーの『殿』。
一度はその資格がないと自ら捨てた姿に、自らの意思で変身する。
しかし斬るのは外道ではない。
外道ではなく――人。人間のままで死にたいと願う、友だ。
省24
559: ◆k7QIZZkXNs 2010/11/21(日)21:12 ID:u4av9ZCZ(18/21) AAS
          ◆

落としていたニバンボシを回収し、ノヴァを風が安置されている民家へ移した後、クレスはすぐさま取って返すつもりだった。
だが、走り出そうとした足は急停止した。
寸前で、ノヴァが苦しげに呻いたからだ。
このまま一人にしておけば、もし誰か悪意を持つ者に襲われれば一溜まりもない。

「くっ……志葉丈瑠、それにクレア。まだ二人が戦っているかもしれないのに、僕は何をやっているんだ……!」

焦りばかりが先行し、どうにもままならない状況に翻弄されている。
落ち着け、まずすべきことは――と、クレスは必死に自己の安定に努めた。

「まず、このノヴァという人に事情を聞こう。クレアという人が本当に殺人者なのか、僕は何もわかってはいない……」
省26
560: ◆k7QIZZkXNs 2010/11/21(日)21:13 ID:u4av9ZCZ(19/21) AAS
          ◆

「十蔵が、俺を?」
「ああ。あんたを連れて来るように頼まれた」

戦地から離れ、街の外の平原。
目に付いた木の根元に穴を掘り、クレアを埋葬した後、丈瑠はようやくクラウドとゆっくり話す機会を得た。
クレアの荷物及びノヴァが放ったミニチュアサイズの剣も回収し終え、傷の手当も済んでいる。
沈んだ面持ちの丈瑠の手の中には、クレアの首に巻かれていた首輪があった。
その金属の冷たさが、否応なくクレアを斬ったときの記憶を脳裏に刻み付けてくれる。

「日の出まで待っていると言っていた。もう時間はあまりないんだが、どうする」
「……行こう。あいつを野放しにはしておけない」
省24
561: 2010/11/21(日)22:43 ID:u4av9ZCZ(20/21) AAS
【G-4/平原/一日目/黎明】

【クラウド・ストライフ@ファイナルファンタジーZ】
【状態】健康
【装備】ドラゴンころし@ベルセルク
【道具】基本支給品、風のマント、ランダムアイテム(個数、詳細不明)
【思考】基本:殺し合いに乗る気はない。
 1:丈瑠を十蔵の元へ案内する。
 2:裏正の捜索。見つけたら十蔵に届ける。
【備考】
 ※原作終了後からの参加。
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