マルチジャンルバトルロワイアルpart20 (683レス)
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217: Sの選択/仲間はきっとそこに居る ◆Wott.eaRjU 2012/11/25(日)22:02 ID:IzQMJNzm(5/9) AAS
「あの、グラハムさん――」
B-4でライダーとアルルゥを待つという方針を決めて数十分後、沙都子が口を開いた。
その声を背中で受けて、グラハムがぐるりと首を後ろへ回した。
相変わらずその瞳はドブ川に沈んだように暗かった。
見慣れた光景に構わず沙都子は続ける。
「クリスさんは…その、どんな人だったんでしょうか?」
沙都子が呼ぶクリスとはクリストファー・シャルドレードの事である。
クリストファーはホムンクルスと呼ばれる、一種の人造人間であり、沙都子にとってこの殺し合いで最初に出会った人物だ。
そして第三回放送の前で、ゼロの手によりこの殺し合いから脱落してしまった。
だが、沙都子はクリストファーがあまり自分のことを話さなかったこともあり、彼について知っていることはあまり多くはない。
クリストファーの知り合いであるグラハムからは、どういう人物に映ったのかを知りたくなったのかもしれない。
「あいつは気に入らないヤツだったな」
「え、ええ!?」
恐らくクリストファーがグラハムのことについて尋ねられても、同じような反応だっただろう。
グラハムとクリストファーは知り合いといっても友好的ではない。
そもそも殺し合った仲であり、互いのことを気に入らないヤツだと言っておかしくはない。
そう。沙都子が想像するような『知り合い』とはまた意味の異なる関係なのだから。
「だが、あいつはリカルドの坊っちゃんの下で働きだしていた。
沙都子も守ろうとしていたし、そういうところは嫌いじゃなかったな。
まあ――全体的には気に入らなかったけどな。というか勝負をつけたいな俺は!
あれ、あいつ死んじまったらもう勝負がつかない……結局勝負がつかないままか……そ、そんな馬鹿な……!」
それでもグラハムにも思うところはあったのだろう。
たとえ殺し合った仲とはいえ、互いに憎み切っているわけではない。
彼なりの評価を付け加えるが、本根は後半の部分に集約しているに違いない。
苦笑いを浮かべながら相槌をうつ沙都子だが、段々と表情が険しくなった。
「守る……そうですわね。クリスさんは最後まで私達を守ってくれました。
今度は私がアルルゥを守る番ですわ」
思い返せばクリストファーには迷惑をかけっぱなしだった。
殺し合いに放りだされ、錯乱した沙都子をクリストファーは保護してくれた。
クリストファーにとって沙都子は赤の他人であるため、保護する義務もなかった。
それでもクリストファーは最後まで見捨てず沙都子の傍に居た。
陽気な声で『友達になってくれるかい』――と残して。
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