【天候擬人化】にっしょくたん 2スレ目 (783レス)
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576: TロG ◆n41r8f8dTs 2013/11/25(月)00:07 ID:HpAltg7K(3/10) AAS
ほぼ同時に、三者三様で発言した。
私は倉刀の発言よりもはっきりと、隠れている幼女が発した言葉が耳の奥底に響いた。
お、ば、さんと。はっきりと淀みなく躊躇もせずそう言った。私は耳が良いから気のせいではない。

「きゃあこわい」

とあざとくわざとらしい口調で、幼女は険しい顔つきの私から隠れるように、倉刀の背中にひょいっと隠れる。
そうして顔だけ出して、じーっと私の顔を注視している。一体なんだ。なんなんだお前は。
いきなり年上、いや、色んな意味で年上も年上な私にいきなり第一声がおばさんだと。
いや、実年齢を踏まえるとあながち間違いでも……じゃない、問題はそこではない。初対面なのにこの慇懃無礼さが問題なのだ。

「駄目だよにっしょくちゃん。ちゃんと師匠に挨拶しないと」

倉刀に優しく諌められて、幼女、いや、にっしょく……というのか。
変わった名前だな。私が言える台詞でもないが、にっしょくという名の幼女はしぶしぶといった様子で、倉刀の足から出てきて姿を現す。

さっきまで顔ばかりに注目してたが、全身を冷静に観察してみるとこれまた興味深い。
上から下まで透き通るように黒いワンピースに、肩から斜めに掛けて月の様な淡く黄色いラインがうっすらと入っている。
にっしょくという名前を示すような、奇妙な服装だ。悔しいが可愛らしい。

「にっしょくと言ったな。どうして倉刀と一緒にいる?」

私が質問すると、にっしょくが答える前に倉刀が説明する。

「僕が町で買い物してたら、突然服の裾を掴まれましてね。この子が泣き出しそうな顔で僕を見つめてきたんです」
「それで一目惚れか。ロリコンは罪だぞ」
「違います。どうしたの? って聞いてみたら、何やら迷子になってしまったらしくて」

迷子……? 私は改めて、にっしょくに目を向ける。
大きく幼い、つぶらな両目は聡明で、とても賢そうに見えるというか迷子になるとは思えない。
というかお前ちょっと待て。何でまるで影のように倉刀に忍び寄る。おい、密着しすぎだ。

「それで、どうした?」
「お父さんお母さんとかお友達は? って聞いたんですが首を横に振るばかりで」
「ほう。で、何で一緒にいるんだ。交番なりに預ければ良いだろう」

「くらとうさんからさそわれました」

ぎゅっと両手で倉刀の服の裾を掴みながら、にっしょくが私の目を見ながらそう言った。
おいおい、ちょっと待て。事態を何よりややこしくしているのはこのにっしょく本人じゃないのか?
といかん、いかんいかん。なんだかこいつにペースを乗っ取られている気がする。頭痛が痛い。

「その……変に好かれちゃって、それで」
「ついてきてしまったわけだな。しかしどうするつもりだ倉刀? もしこの子の両親や兄弟が探してたら」
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