【天候擬人化】にっしょくたん 2スレ目 (783レス)
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87: ◆GAIA///6T. 2011/07/01(金)04:46 ID:toiMEcAV(3/9) AAS
「む」
持ち上げた右足が宙で止まる。
下駄が親指にだけ引っ掛かってぶらぶら揺れていた。
有り体に言って、鼻緒が切れた。
「厄介だな」
かまいたちとしては別に裸足で歩こうが片足跳びで歩こうが構わないのだが
のんびり散歩を楽しめないし他所様から見ると不気味だ。
「仕方ない、戻るか……」
踵を返す。鼻緒の切れた下駄を脱ぎ、右手で摘み、眺め、
さて猛烈極まる勢いで片足跳びによる帰宅を断行せんとし(一粒、もとい一歩300メートルの超脚力)
「あら?」
女性の声がした。
「お困りですか?」
振り返る。
女性がいた。
黒髪の短髪、浴衣を着て傘を挿している。
かまいたちの第一印象は、
(たいふうとは違った感じの美人だな)
であった。第二印象は、
(これはこれでいいが、差しているのが和傘ならさぞ絵になったろうに)
であった。
女性は言葉を続ける。
「まあ……履物の鼻緒が切れてしまったんですのね?」
「その通りです。 いや、お恥ずかしい」
なんだろう、かまいたちってわりと人見知りしそうなイメージある。特に女性相手だと。
だがそんなことはお構い無しにごく普通の応対。ちっ。
「すげて差し上げましょうか?」
「は?」
あ、ちょっと動揺した。
「私の家、すぐそこなんです」
「い、いや、初対面の方にそんなお世話をかける訳には」
「困ったときはお互い様ですわ。さあ、遠慮なさらず」
そういって左手を引っ張られる。
抵抗してもよかったのだが、そこまでする必要はない上に片足立ちで不安定なので
下手をするとこの人の好い女性を引き倒してしまうことになりかねない。
(……やれやれ)
観念したかまいたちは、女性に手を引かれ、尚且つけんけんというかなり情けない恰好で進む羽目になった。
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