[過去ログ] 【剣も魔法も】ヘヴィファンタジーTRPGスレ 3 [無断転載禁止]©2ch.net (65レス)
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7: ◆AbqZwUm.mk 2016/04/04(月)08:25 ID:2iORmZSr(7/10) AAS
オメルタ ◆AbqZwUm.mk
鋭鋒は頚動脈の近くを経たれ、既に失血状態にあった。
頭も朦朧としており、近いうちにその命も終わるだろう。
屋敷の中は既に紫色のバリアで満たされ、まさに地獄の相を成している。
「死んだ」と鋭鋒は薄れ行く意識の中で思った。
その時、轟音と共に巨大な「何か」が出現する。
それは人間よりも縦横二倍はある怪物で、「ブラッドサッカー」と呼ばれる代物だ。
刹那、見知った顔があった。喝破だ。
「おっさん…喝破のおっさ…ぐぉ…」
それは確かに喝破の顔ではあったが、溶けかかっていた。怪物の表面に表皮が浮き出、既に白目を剥いており絶命していた。
他にも見知った冒険者たちの骸が、その肉体には浮かび上がっており、まさに地獄の形相だった。
横からはショゴスが現れ、徐々にその距離を詰めていく。
死の巨人からは粘液のようなものが、異形の不定形生物からは棘のようなものが飛び交い、
やがて、両者は抱き合うようにして爆発を起こした。
核が崩れ、大量の腐臭と肉片を散らし、沢山の冒険者たちの残骸はここにただの血肉となった。
鋭鋒は爆発に巻き込まれ床ごと落ち、そのまま意識の底へと沈んでいった。

「…女です!地下倉庫からこちらに向かっています。斧を持った巨人も一緒に…!」
風蝉からの報告を聞き、オメルタはすぐさま決断を下す。その額には汗が浮かんでいた。
「…倉庫が燃やされている。分かるな?我が屋敷の財産だ。ロクム・イシュテを守れ、地走――!」
「はい…!」
既に飛ぶように前をひた走る地走は行動に移っていた。
その後ろから安楽椅子に乗ったオメルタが移動し、その前を水玲が、気配を消しながら風蝉が移動する。
オメルタは椅子にいれば透過状態だ。普通の目では地走と水玲の姿しか見えないようになっているはずである。

「オメルタ様、敵の会話を傍受しました…どうやら子供が何らかの媒体で通信を行なっているようです…!
女が脱走を諦め、一旦男と合流するとのことも…」
オメルタはそれに対し返事はしなかった。はっきり言って戦力は自分と地走だけのようなものだ。
女の位置だけは掴めた。自分の中では次の策は既に出来上がっている。

バントラインがついに地走の姿を捉えた。それは実に機械的に地走に向けて、全力をもって追尾する光弾を放った。
地走がニヤリと口を歪める。既に彼女の目は離脱しようとするリタリンの方にあった。
猛毒の針をリタリンに投げ、それを辛うじてローブで受け無理な姿勢から転倒するリタリンを確認すると、
バントラインの攻撃を正面から「受け止めた」。

次の瞬間、バントラインの姿は、地走の立っている位置から真後ろへと、爆風を上げて吹き飛んでいた。
そしてリタリンが魔法の結界を張ろうとした瞬間、既にその内側には地走の長い脚が振り下ろされていたところだった。
一撃、骨の折れる音がして、静かにリタリンは床へと倒れこんだ。

「う、う…うぁ…」
呻き声を上げながら転がるリタリンの脚を、地走が踏みつける。脚が潰れ、血が流れた。
地走が腰からチャクラムを取り出そうとした。恐らくこれが首にでも当たれば両断されることは避けられまい。
それが彼女の手の上に乗る前に、オメルタが境界から顔を出した。

「待て、パウレット…!その前に延焼を食い止めろ。ロクム・イシュテを守れ…!」
オメルタの鬼気迫る表情を見て、地走は地下の倉庫へと向かった。
もはや「財産――ロクム・イシュテ」を守る方法は、地走の時間を止める能力しか残っていなかったのだ。
少なくともオメルタはそれが最善の策と判断した。あと二人――
水玲は地走と相性が悪い。それなら消火を確実な地走に任せようと思ったのだ。

リタリンはオメルタによって持ち上げられ、頚椎を殴って気絶させると、ローブを脱がせ持ち物を取り上げられた。
「たったのこれだけの道具でこれだけの事を…?やはり残りの二人が…」

「…殺しておきましょう。服装だけでもこんなに汚い女、わたし達の屋敷に不要ですわ」
こう言ったのは水玲だった。守られるという自分のポジションが脅かされるだけでも煩わしいのだ。
既に何人もの人間を殺している短剣を引き抜き、心臓を狙おうとするも、オメルタに阻止される。
「待て、馬鹿者。まだ敵は二人いるのだぞ…こいつを人質にする。もっとも、いつまで生きてられるか分からんがな」
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