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【剣も魔法も】ヘヴィファンタジーTRPGスレ 3 [無断転載禁止]©2ch.net (65レス)
【剣も魔法も】ヘヴィファンタジーTRPGスレ 3 [無断転載禁止]©2ch.net http://mao.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1459725455/
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1: ◆AbqZwUm.mk [sage] 2016/04/04(月) 08:17:35.51 ID:2iORmZSr 「もう一つの」ヘヴィファンタジースレです。 http://mao.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1459725455/1
2: ◆AbqZwUm.mk [sage] 2016/04/04(月) 08:21:39.33 ID:2iORmZSr TRPG板過去スレ 【剣も魔法も】ヘヴィファンタジーTRPGスレ【重厚】 http://tamae.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1447151379/ 【剣も魔法も】ヘヴィファンタジーTRPGスレ2 http://tamae.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1457783915/ 【剣も魔法も】ヘヴィファンタジー 3【重厚】 http://tamae.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1457783915/ 当スレも目的は、 【剣も魔法も】ヘヴィファンタジーTRPGスレ2 http://tamae.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1457783915/ からの展開が急だったため、ラウテさん等から再開する形で、 エンディングまでを「もう一つ」丁寧にやってみようということです。 http://mao.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1459725455/2
3: ◆AbqZwUm.mk [sage] 2016/04/04(月) 08:22:10.49 ID:2iORmZSr 登場キャラ 名前:ラウテ・パユ 年齢:14歳 性別:女 身長:142cm 体重:37kg スリーサイズ:74-52-75 種族:人間 職業:吟遊詩人 性格:いつも眠たげではあるが、音楽を奏でるときは人が変わる 利き手:右 魔法:音楽魔法 特技:楽器演奏と歌、踊り 武装1:魔笛「アムドゥスキアス」 武装2:二振一対の聖属性ダガー 武装3:何本あるか分からない投げナイフ 武装4:煙玉数種 防具:簡素で軽さを重視した軽鎧 他所持品:使い込まれたリュート 容姿の特徴・風貌:腰まである銀髪に紅眼、まだあどけない風貌の少女 将来の夢(目標):宮廷楽師 簡単なキャラ解説:旅を続ける吟遊詩人の少女。魔笛の力で動植物を操る事が出来る。 名前:ヴィクトル・シャルフリヒター 年齢:25 性別:男 身長:154cm 体重:61kg 種族:エルフ 職業:元処刑人/現魔女狩り 性格:八方不美人/皮肉屋 利き手:訓練による両利き 魔法:主にサバイバル用 特技:魔女狩りの戦闘術/拷問 武装:瑞鉄(みずがね)の細剣 瑞鉄の戦鎚 瑞鉄の弓 瑞鉄の盾 防具:瑞鉄の帷子/肘当て/膝当て 他所持品:矢筒と矢 容姿:恵まれたエルフの容姿/ドブ川のような眼つき/長いコート 将来の夢:決して自覚はしないけど幸せになりたい 簡単なキャラ解説 王国が辺境の開拓を進める際のいざこざに紛れて誘拐され、奴隷化されたエルフ の産んだ子供。つまり正確にはハーフエルフ。その事を指摘されたら命のやり取りになる エルフらしからぬ低身長は幼少期の生育環境が悪かった為 流石の王国も亜人達の奴隷化は推奨していない為、彼を所持していた奴隷商はやがて捕まり死刑になった 際してヴィクトルはその刑を執行した処刑人の養子となり、20歳まで育てられた だが故あってその家から遁出 以後は魔女(ここでは魔法を犯罪に用いる者全般を指す)狩りを主な収入源として生きている http://mao.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1459725455/3
4: ◆AbqZwUm.mk [sage] 2016/04/04(月) 08:23:40.31 ID:2iORmZSr 名前:リタリン・(剥奪済)・フェニデート 年齢:21 性別:女 身長:162cm 体重:46kg スリーサイズ:80-58-77 種族:ドルイド 職業:無職 性格:自堕落でとても胡散臭い女 利き手:左 魔法:形容魔法(対象に別の性質を付与させる魔法。Ex."鉄塊"と形容→鉄の硬度と重量に。低燃費) 普通の魔法(魔導書をカンニングしながらの魔法。強力だが時間がかかる。高燃費) 特技:ハーブの栽培と調合と使用(意味深) 武装1:モーニングスター(普段は魔法の杖に偽装) 武装2:魔導書(様々な魔法が記載され、未習得者でも時間さえかければ発動可能) 武装3:吹き矢(各種ハーブ毒完備・主に狩猟用) 武装4:薬草袋(自家製ハーブとその調合道具一式) 防具:ローブ(ドルイド伝統。濃緑で鎖帷子を織り込んである) とんがり帽(古典的な魔女風帽子。防刃性があり、小物を隠しておける) 他所持品:ハーブ栽培セット、魔法使いギルド会員証 容姿の特徴・風貌:半眼で儚げな顔立ち。長い黒髪を両肩のところでおさげにしてある 将来の夢(目標):今度こそバレないようにハーブの販路を確保する 簡単なキャラ解説: 『堕廃の魔女』。かつて里を追放されたドルイドの成れの果て。 彼女の里は伝統として他の人里に見習いを派遣し、魔法を福祉に役立てることで修行と外貨の獲得を両立する習慣があるが、 怠け者故の効率化を極めた結果、皆を幸せにするには不安がなくなるハーブと気分が高揚するハーブを振りまくのが一番と考え実行。 村一つを廃人の巣窟に変えてしまい、通報を受けた魔女狩り達に堕廃の魔女として討伐される。 その煽りで出身の里までとんでもない風評被害に晒され、両親からも絶縁状を叩きつけられた。 しばらくの社会奉仕と恩赦によって釈放されてからは、里にも頼れず怪しいハーブ売りとして各地を転々としていた。 当局に面が割れているのでまっとうな職にありつけず、出入りできる街が年々減っているのが悩み。 魔法についてはまともに修練を積んでおらず魔導書をチラ見しながらでないとまともに呪文も唱えられない。 ついでに魔力も少ない為、常用できるのは燃費の良い形容魔法ぐらい。 その為魔法使いらしからぬ肉弾戦闘(杖を強化して物理で殴る)を強いられている。 また自家調合したハーブでよくラリっている。 好きなものは焼いた獣肉とよく冷えたエール。 嫌いなものは魔女狩りと定職に就いてないことを説教してくる連中。 名前:『地走』カトリーヌ・パウレット・ドゥ・モンミライユ 年齢:25歳 性別:女 身長:186cm 体重:72kg スリーサイズ:103-66-97 種族:人間 職業:貴族/暗殺者(格闘系) 性格:忠実で温厚な一方で、残虐で利己的な一面も持つ。 利き手:右 魔法:時空魔法 特技:踊り 武装1:手甲 武装2:毒針 武装3:チャクラム複数 武装4:細身のサーベル 防具:街娘風のドレスorフード付きの黄土色のローブ 他所持品:多くのハーブ、魔法道具 容姿の特徴・風貌:大柄で長身、黒髪の美女。瞳は青く光り、表情は目を瞑っているか笑っているように見える。 将来の夢(目標):全てから解放されること 簡単なキャラ解説:貴族出身の甲種冒険者。訳あってオメルタの下で雇われ、生活している。 http://mao.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1459725455/4
5: ◆AbqZwUm.mk [sage] 2016/04/04(月) 08:24:30.65 ID:2iORmZSr 名前:オメルタ・アルベロベルロ (本名ではない) 年齢:300歳以上(外見は40代くらい) 性別:男 身長:171cm 体重:60kg スリーサイズ: 種族:魔人 職業:傀儡師、商人 性格:残忍で好奇心旺盛 利き手:両方 魔法:傀儡魔法、召喚魔法、幻影魔法 特技:ステルス、バリア、飛行 武装1:オーブ複数 武装2:多種多様な針 武装3:魔法の安楽椅子 武装4:魔法の帽子 防具:紳士風の背広 他所持品:宝具等 容姿の特徴・風貌:すらりとしているが筋肉質の紳士。髪と髭を伸ばし、両目は眼帯のようなもので隠されている 将来の夢(目標):街をハーブと財力で支配し、いずれは王国ごと自分のものにする 簡単なキャラ解説:元は放浪する魔人で、街の有力貴族家の一族となり屋敷を乗っ取った。 それからはあらゆる街の権力を占有し、ついに冒険者協会とのコネクションを得て 自分の部下を集め、街を薬(ハーブ)と富と武力で支配することに成功した。その思想は人間離れし、超越している。 http://mao.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1459725455/5
6: ◆AbqZwUm.mk [sage] 2016/04/04(月) 08:25:07.75 ID:2iORmZSr 前レス 19 : ラウテ ◆uUre4dQFyk 2016/03/22(火) 22:30:23.95 0 数百羽にも及ぶ鴉の群れを使役したとて、さして脅威にはなり得ない。 相手が素人ならまだしも、熟練した冒険者たちが相手なのだ。精々目眩まし程度だろう。 しかし、その目眩ましが功を奏した。分身たる水鏡も駆使して、ヴィクトルは戦線から離脱した。 おそらくかなり消耗しているため、しばらく身を休める必要があるだろうか。 ヴィクトルの撤退を撤退を見届けて、ラウテは鴉の群れを召還解除する。 ずいぶんと数が減ってしまった。だが、また増やせば良い話だ。 その作業をしている最中だった、屋敷全体を覆う強力な魔術の波動を感じたのは。 屋敷の敷地と外部の空間が遮断され、飛んでいたいくらかの鴉たちが弾き出される。 「…状況が変わったわ、地走りじゃない何者かの気配を感じる……それに退路も断たれたみたい」 バントラインを操作するリタリンにそう告げる。おそらく彼女もそれは感じたはずだ。 その気配に紛れて、地走りもまた姿を隠したようだった。だが、それは一時的なものだろう。 とりあえず遮断された空間を把握しようと魔法を準備していると、腰に下げたダガーが甲高く鳴り出した。 それはアンデッドの気配に対する聖属性の武器の反応だ。何者かが召還したのだろう。 強力なアンデッドならば、消耗したショゴスでは押し切られる可能性がある。 ショゴスのバックアップは取ってあるから、いざとなれば相打ち覚悟だ。 バックアップ……そう、ショゴスはその身を分裂させることで個体を殖やすことが出来る。 未だ戦闘に駆り出せるほど成長してはいないが、ラウテは現時点で五匹のショゴスを育てていた。 いずれ育てば立派な戦力になる、そう見越しての投資である。 それにショゴス同士は未知の方法で知性を共有出来るようで、戦闘用の親ショゴスから様々な知識を共有していた。 先ほどショゴスが編み出していた遠距離攻撃も、おそらくは全部の個体が学習したはずだ。 ショゴスは高い知性と繁殖能力を持つが故に、その存在が禁忌とされている召還獣だ。 ほとんどの魔法生命体の召還獣が繁殖能力を持たないことを思えば、それが如何に脅威であることは分かるだろう。 そのショゴスには改めて警戒命令を出し、戦況が変わったことを指示する。 牙の生成などで体力を消耗しているが、幸いにもこちらの命令には従ってくれるようだ。 ショゴスはその性質上、戦闘行動……否、捕食行動を非常に好む。 うまくその辺を理解し操作すれば、自由にとまでは行かずとも操ることは出来るのだ。 とりあえずそちらは良いとして、ラウテは遮断された空間を観測する必要があると考えた。 魔笛ではなく、あえて背中のリュートを用いて空間を走査する。 隔絶されたのは屋敷の敷地内のみ、場所は定かではないが生命反応は私たちを除けば四人だろう。 どうやらあれだけいた丙種冒険者たちは、皆食われるか逃げ出すかしたに違いない。 所詮は烏合の衆、どうやらオメルタは人心の掌握には長けていない様子だ。 本来の作戦では、屋敷を襲い地走りの生命線たる薬の供給を断ち、戦わずとも倒すことになっていた。 しかしこのように空間ごと閉じ込められてしまっては、離脱し機を待つことは最早不可能だ。 この空間遮断を行った者を倒すか、魔力を消耗させるまで逃げ切るか……そのどちらかになるだろう。 だとしたらラウテたちが選ぶのは前者に他ならない。とにかく状況を打破するのみだ。 最低でも一人は結界の維持だけが限界に違いない。魔力の流れを読み解く必要があった。 そこで取り出したのはラウテが調合した煙玉だ。これは風ではなく魔力に乗って流れる特性がある。 少し時間は掛かるが、うまく使えば魔力の流れを掴み大元を辿ることも不可能ではないはずだ。 魔力に反応して薄く光るそれは、空中で爆ぜて魔力に乗って漂い始める。 しばらく待っていれば効果は現れるはずだ。それまで敵が襲って来ない保証はないが。 http://mao.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1459725455/6
7: ◆AbqZwUm.mk [sage] 2016/04/04(月) 08:25:40.63 ID:2iORmZSr オメルタ ◆AbqZwUm.mk 鋭鋒は頚動脈の近くを経たれ、既に失血状態にあった。 頭も朦朧としており、近いうちにその命も終わるだろう。 屋敷の中は既に紫色のバリアで満たされ、まさに地獄の相を成している。 「死んだ」と鋭鋒は薄れ行く意識の中で思った。 その時、轟音と共に巨大な「何か」が出現する。 それは人間よりも縦横二倍はある怪物で、「ブラッドサッカー」と呼ばれる代物だ。 刹那、見知った顔があった。喝破だ。 「おっさん…喝破のおっさ…ぐぉ…」 それは確かに喝破の顔ではあったが、溶けかかっていた。怪物の表面に表皮が浮き出、既に白目を剥いており絶命していた。 他にも見知った冒険者たちの骸が、その肉体には浮かび上がっており、まさに地獄の形相だった。 横からはショゴスが現れ、徐々にその距離を詰めていく。 死の巨人からは粘液のようなものが、異形の不定形生物からは棘のようなものが飛び交い、 やがて、両者は抱き合うようにして爆発を起こした。 核が崩れ、大量の腐臭と肉片を散らし、沢山の冒険者たちの残骸はここにただの血肉となった。 鋭鋒は爆発に巻き込まれ床ごと落ち、そのまま意識の底へと沈んでいった。 「…女です!地下倉庫からこちらに向かっています。斧を持った巨人も一緒に…!」 風蝉からの報告を聞き、オメルタはすぐさま決断を下す。その額には汗が浮かんでいた。 「…倉庫が燃やされている。分かるな?我が屋敷の財産だ。ロクム・イシュテを守れ、地走――!」 「はい…!」 既に飛ぶように前をひた走る地走は行動に移っていた。 その後ろから安楽椅子に乗ったオメルタが移動し、その前を水玲が、気配を消しながら風蝉が移動する。 オメルタは椅子にいれば透過状態だ。普通の目では地走と水玲の姿しか見えないようになっているはずである。 「オメルタ様、敵の会話を傍受しました…どうやら子供が何らかの媒体で通信を行なっているようです…! 女が脱走を諦め、一旦男と合流するとのことも…」 オメルタはそれに対し返事はしなかった。はっきり言って戦力は自分と地走だけのようなものだ。 女の位置だけは掴めた。自分の中では次の策は既に出来上がっている。 バントラインがついに地走の姿を捉えた。それは実に機械的に地走に向けて、全力をもって追尾する光弾を放った。 地走がニヤリと口を歪める。既に彼女の目は離脱しようとするリタリンの方にあった。 猛毒の針をリタリンに投げ、それを辛うじてローブで受け無理な姿勢から転倒するリタリンを確認すると、 バントラインの攻撃を正面から「受け止めた」。 次の瞬間、バントラインの姿は、地走の立っている位置から真後ろへと、爆風を上げて吹き飛んでいた。 そしてリタリンが魔法の結界を張ろうとした瞬間、既にその内側には地走の長い脚が振り下ろされていたところだった。 一撃、骨の折れる音がして、静かにリタリンは床へと倒れこんだ。 「う、う…うぁ…」 呻き声を上げながら転がるリタリンの脚を、地走が踏みつける。脚が潰れ、血が流れた。 地走が腰からチャクラムを取り出そうとした。恐らくこれが首にでも当たれば両断されることは避けられまい。 それが彼女の手の上に乗る前に、オメルタが境界から顔を出した。 「待て、パウレット…!その前に延焼を食い止めろ。ロクム・イシュテを守れ…!」 オメルタの鬼気迫る表情を見て、地走は地下の倉庫へと向かった。 もはや「財産――ロクム・イシュテ」を守る方法は、地走の時間を止める能力しか残っていなかったのだ。 少なくともオメルタはそれが最善の策と判断した。あと二人―― 水玲は地走と相性が悪い。それなら消火を確実な地走に任せようと思ったのだ。 リタリンはオメルタによって持ち上げられ、頚椎を殴って気絶させると、ローブを脱がせ持ち物を取り上げられた。 「たったのこれだけの道具でこれだけの事を…?やはり残りの二人が…」 「…殺しておきましょう。服装だけでもこんなに汚い女、わたし達の屋敷に不要ですわ」 こう言ったのは水玲だった。守られるという自分のポジションが脅かされるだけでも煩わしいのだ。 既に何人もの人間を殺している短剣を引き抜き、心臓を狙おうとするも、オメルタに阻止される。 「待て、馬鹿者。まだ敵は二人いるのだぞ…こいつを人質にする。もっとも、いつまで生きてられるか分からんがな」 http://mao.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1459725455/7
8: ◆AbqZwUm.mk [sage] 2016/04/04(月) 08:26:27.67 ID:2iORmZSr その時だった。突如、周囲の空気が大きく揺れ動き、風があたりを切り裂いた。 「くそっ…これはナイフ…?! 敵が来たのか?」 こう叫んだのは最も知覚能力に優れる風蝉。既にオメルタは攻撃を受けた頃には障壁の内側へと入っていた。 次の瞬間、床にはナイフが深々と突き刺さっていた。丁度オメルタが先ほど体を乗り出したあたりだ。 敵は恐ろしく精密な攻撃で自分達を狙っている。少なくとも風蝉と水玲は戦慄した。 一方、それらの動きを察知しながらも地走の鎮火活動は続いていた。 踊る火竜の魔法の動きを止めた後、さらに備蓄用水を破裂させ、それを地下の重要な区画へと流動させる。 オメルタ様との生活を、オメルタ様との関係を、オメルタ様からの信頼を、そして愛を―― 受け続けるためにはこれを成功させなければならない! その必死な思いは精神力を膨大に消費させ、鎮火は予想以上に良く進んだ。 離れた位置では恐らくナイフ使いのエルフ――ヴィクトルがオメルタ一行を襲っている頃だが、 会話の内容からしても、誰一人問題なく立ち回っている。そのときだった。 「き”ゃぁっ…!」 一瞬でも気付くことがなかったら恐らく首を掻ききられていたであろう攻撃が、地走を襲った。 肩口から横腹のあたりまでを一文字に裂かれ、地走は鮮血を流した。 何年ぶりだろう?少なくとも甲種と呼ばれてから、初めての傷を地走は負った。 音による錯覚を利用し、さらに水鏡を周到に用意した上での接近、そして女―リタリンを放置しての まさかの自分への攻撃に、彼女は不意を付かれた。ヴィクトルの口元が歪む。そう、この顔だ。 そして倉庫方面に魔術の油の付いたダーツを飛ばす。これで再び火種がついた。 この男は煽り、不意打ちの天才といっても良いほどだ。 「馬鹿だなお前ら…自滅してるって気付かなかったのか?」 ヴィクトルのその言葉からは全く真意が読めない。たった三人でここに進入しておいて、 仲間を放置した上でこの台詞だ。敵はまだ一人いる。宿敵の出現に歓喜すると同時に、その肝の大きさに驚愕していた。 「自分の女を放置してまで、私と遊びたいないて、どこまでもお馬鹿なおチビさん」 以前の台詞ほど、その言葉に余裕は無かった。 地走の拳の一撃が、そして脚の一撃がヴィクトルの体を狙う。それは地走の能力である時間操作によって 常人ならタイミングを反らされ、あっという間に骨を粉砕されているだろう。 しかし、水鏡によってその攻撃は反らされ、さらにヴィクトルの頭一つほど低い身長、まるでバネのような筋肉によって それは次々と避けられていった。 逆にヴィクトルのダガーによる短いリーチの攻撃が有利に動き、地走は避けるのが難しくなってきている。 魔力の消耗も最低限に抑えるため、地走は最低限の時間操作を行い、ダガーを腕や脚で砕いていった。 「でかいだけで尻も重そうだな…その胸にぶら下げた袋もご主人様を満足させるためのものか…?」 「このっ…!」ヴィクトルの煽り文句に地走は徐々に苛立ってくる。 ヴィクトルも衝撃や打撲で徐々に体力を奪われていくが、地走も手脚に細かい傷を負っていった。 「…そのダガーだが、猛毒が塗られている…すぐ死ぬぞ、お前…」 煽りながらドッグファイトを続けるヴィクトル。水鏡に遮られ、地走は致命傷を与えることができない。 しかし、その時間は決して長くは持たなかった―― 「くっ…」「ぐぁっ…!」 背の低いヴィクトルは地走の腹部にダガーを突き立てた。しかし、それ以上動かない。 「なん…だと…?!」 ヴィクトルがナイフを抉り、そのまま地走の心臓を突き刺そうとするも、それは未然に終わった。 時間が、完全に止まった。 http://mao.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1459725455/8
9: ◆AbqZwUm.mk [sage] 2016/04/04(月) 08:27:55.43 ID:2iORmZSr グゥッ、という音とともに鳩尾に一撃を食らったヴィクトルはガクリと意識を失い、 両腕をへし折られて縛られてしまった。 消えたヴィクトルの気配はすぐに風蝉によって察知され、 オメルタらがすぐに駆けつけた。 「お前のところに来ているとは、この男、血も涙も無い暗殺者よ… パウレット、良くやった。続いて消化の確認を頼む。私は残りの一人を迎え撃つ。水玲、地走と共に消火を完了させろ」 「…はい、かしこまりました!」 オメルタは重傷を負っている地走を放置する自分を差し置き、ヴィクトルの批判を口にした。 水玲は、ヴィクトルという脅威も消えたことを確認し、残りの一人――ラウテをオメルタが引き受けるということで、 内心安心しながら、地下室へと入っていった。 地走によって消化は完了していた。 ただし、原料の殆どが燃えてしまっており、使える薬は3分の1も無いと言っていい。 さらに完成品である「ロクム・イシュテ」のあたりは、すっかりと焼け焦げてしまっており、見る影もない。 傷薬で手当てをしながら消化の確認をする地走に、水玲が声をかける。 「地走さん、まさかこっちに敵が来るなんて…お見事でした。オメルタ様も喜んでました…手当ては…」 地走は魔力を消耗し、「薬」も残りが少ないのだろう。悪い顔色で、前を向いたまま言った。 「うん、ありがと。気持ちだけ受け取っておくから、消化の確認お願い、水玲ちゃん」 はい!と頷き駆けていく水玲を下弦の月のような眼で追い、一瞬で間合いを詰めて羽交い絞めにし、頭を掴む。 「つーかまーえた。喜んでました、じゃないよ。あんた見てるとイライラするの」 「あ…ぁ…たすけ…て…ググ」 生命力を吸われ、首を圧し折られ、さらに頭を陥没させられた水玲の死体は、倒れた書庫の下へと置かれた。 たまたま倒れたそれに下敷きになったかのように… 地上階では、すぐに意識を取り戻したヴィクトルが、両手両足を縛られて風蝉によって殴られ、拷問を受けていた。 「ダメです、コイツなかなか子供の居場所を言いやがらねぇ… ギャッ、噛みやがった!」 地走が戻ると、全身を打撲されたヴィクトルに先ほど腕を噛まれた風蝉が血を流していた。ヴィクトルが再び殴られ、意識を失う。 「…よくやった。水玲はまだ戻らんのか?あとは子供だけか…あとはパウレット、お前が始末をつけろ」 「はい、水玲はまだ確認作業に当たらせています」 血走がヴィクトルを一瞬睨むとその場を素早く離れ、最上階へとフワリと飛び上がり物陰に隠れてあたりを見渡す。リタリンは傍に倒れたままだ。 「…まぁいい。この屋敷内に私の魔法音声を流してやる。風蝉、少し力を借りるぞ」 <魔法少女に告ぐ、お前の仲間、男と女は既に屈した。1階の地下倉庫前で生きている> <生きたければ、大人しく出てこい。命の保障はする> 「…いてて…呆気なかったですね」 「油断はするな…あれだけの冒険者が殺られてるんだ」 あんたが止めを刺した奴も多いんだけどな、と言いたげな顔をしながら、風蝉はオメルタの安楽椅子を、 ヴィクトル・リタリンが倒れた位置から離れた絶妙な角度に停滞させた。 ラウテが来たら当然襲うつもりだ。勿論、生死を問わず。用意は周到だ。 だが、二人はラウテが煙玉により、オメルタの安楽椅子の位置を探索していることまでは知らなかった。 【水玲死亡。リタリンが負傷し気絶、ヴィクトルは負傷し手足を縛られ気絶。 地走は消耗したものの最上階に移動、オメルタ・風蝉はステルス状態で浮遊】 【この次がラウテさんのレスになります。特に期限などもなく気長に待ってますので、もし見つけたらご一考ください。】 【また、ヴィクトルさん、リタリンさんの途中参加も歓迎します。】 http://mao.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1459725455/9
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