[過去ログ] 和風ファンタジーで創作 [無断転載禁止]©2ch.net (77レス)
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7: 旅の一場面 ◆XGJb8osPH2 2016/11/12(土)21:27 ID:DX1JC7IZ(7/8) AAS
「まさか……」
狩人から血の気がさっと引く。
「なにか思い当たる節があるのですね?」
「狩りに行った者が一人いるのですよ!もしかしてやられたのでは」
狩人は早口に興奮気味に言った。
「それは大変です!すぐに治療せねば……道案内お願いできますか?」
「分かりました。こちらへどうぞ」
そして狩人と宗歩は気の元へと向かった。

「この辺のはずですが……」
宗歩はそう言う。
「そ、村長……」
「!お坊さん。こっちです!」
狩人が自分を呼ぶ声を聞き、怪我を負った人間を見つけた。
怪我は酷く服が血で濡れている。服が血で濡れ続けているのが未だに出血している証拠だった。
「これはひどい怪我だ……すぐに治療します」
そう言って宗歩は傷口に手を当てた。
「ぐっ……」
「最初は痛みますが我慢してください。抑えるのを頼みます」
「分かりました」
狩人は負傷者を抑える。そして宗歩は傷を癒やす術――法術を使い始める。
手から光が漏れる。
「ああっああああああ」
痛みで暴れようとする怪我人を狩人は必死で抑えた。
そしてしばらくすると怪我人はおとなしくなり気を失った。
「ふぅ……これで傷は癒えました。しかし失った血の分体力を消耗していますから
しばらくは安静にさせてください」
「ありがとうございます……本当にありがとうございます!」
狩人は感極まりながらそう言った。

「本当に何から何までありがとうございました」
「こちらこそ一晩お世話になりました」
村に戻った宗歩は狩人とその他村人に見送られていた。
「こんな辺鄙な村にあなたのようなお坊さんが来てくださったこと感謝します」
「いえ、私は戒律を破る破戒僧ですから」
「いえいえ、あなたは良いお坊さんでした」
「そうですか……では、これでさようなら」
「ありがとうございました!」
そう言って狩人は頭を下げた。そして宗歩はまた歩きだした。
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