[過去ログ] 【伝奇】東京ブリーチャーズ【TRPG】 [無断転載禁止]©2ch.net (285レス)
上下前次1-新
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
次スレ検索 歴削→次スレ 栞削→次スレ 過去ログメニュー
115: 品岡ムジナ ◆VO3bAk5naQ 2017/01/07(土)01:01 ID:8ENrjGeZ(2/7) AAS
「えぇ?まだ足りひん?いやぁ参りました店長はん商売上手ですなぁ。今ならここに洗剤と缶ビールも追加や!
もう赤字覚悟!お世話になっとる店長はんだけの特別価格で1万円値引きしまっせ!とりあえず一ヶ月だけでもお試しで!」
「新聞の勧誘みたいになってない……?」
「ホント頼んます……集金できるまで帰ってくるなってオヤジに……ぐすっ」
「マッチ売りのヤクザかな」
次々と机の上に積まれていく粗品の数々、何より強面の品岡の鬼気迫る沈痛な面持ちに店長はついに根負けした。
いたたまれなくなったのである。
省8
116: 品岡ムジナ ◆VO3bAk5naQ 2017/01/07(土)01:02 ID:8ENrjGeZ(3/7) AAS
「けーっ!下手に出てりゃあ調子くれよってからに!」
都条例にて路上喫煙が禁止され、歌舞伎町と言えども往来で煙草を吸うことは許されなくなった。
暴力団は警察や地域住民との余計なトラブルを避ける為に交通ルールや公序良俗にはむしろ厳しい。
品岡も例に漏れず、街の片隅に設置されたこぢんまりとした喫煙スペースで一服つけていた。
紺地に金印の缶筒からフィルターのない煙草を一本取り出し、100円ライターで火をつける。
自費購入した粗品をばら撒き身銭を切りまくり、最終的には泣き落としまで講じたヤクザの一仕事がようやく終わった。
「ヤクザとカタギが持ちつ持たれつの古き良き時代はどこへ行ってしもうたんや……」
平成初期にいわゆる暴力団対策法が施行され、世間のヤクザへの風当たりは露骨に厳しくなった。
バブルの時代から当たり前のように揉め事代行――つまりケツ持ちをヤクザに頼ってきたこの街でさえ、
今は手のひらを返したようにヤクザを追い出しにかかっている。
省20
117: 品岡ムジナ ◆VO3bAk5naQ 2017/01/07(土)01:02 ID:8ENrjGeZ(4/7) AAS
同じく喫煙所でサボっている新宿のサラリーマン達にも遠巻きにされながらショートピースを一本吸い終わる頃、
弄っていたスマホ(Xperia Z1f)が震え、画面が"ヌキなび"の店舗情報から着信表示に切り替わる。
大写しになったのはアドレス帳に登録された山里組長の強面だった。
品岡はぎょっとしてスマホ(Xperia Z1f)をお手玉しながら電話に出る。
「お、おつかれさんですオヤジ。品岡です」
『三下がええご身分やなムジナぁ……カタギに混じって吸う煙草は旨いか?』
げぇぇサボりバレてる!品岡は露骨に顎を落とすが驚きはない。
使役者たる陰陽師の山里には、式神が今どこで何をしているか呪法によって把握することができる。
組の事務所から離れたこの喫煙所でいつも時間を潰していることも掌握済みなのだ。
「い、今ちょうど集金が終わったところですわ!すぐ事務所帰りますんで!」
省9
118: 品岡ムジナ ◆VO3bAk5naQ 2017/01/07(土)01:03 ID:8ENrjGeZ(5/7) AAS
都内某所、ハンバーガーチェーンの片隅。
品岡がそこに到着すると、前言に違わず見知った人影が既に席をとっていた。
「どうも橘音の坊っちゃん、お元気そうでんな。ババ……『御前』の姐さんも息災でっか」
待っていたのは学生風の少年だった。
"風"というのは、彼の着る学生服は現代日本におおよそ似つかわしくない旧学制の襟詰め姿であるからだ。
マントに学帽、さらに言えばその下の半面がなんとも胡散臭い雰囲気を漂わせている。
都内は都内でも秋葉原か池袋か中野ブロードウェイでなければ違和感の塊のような出で立ちだ。
――変化の王『御前』の眷属、妖狐一族の"三尾"・那須野橘音。
のっぺらぼうもその端に名を連ねる古典日本の変化妖怪の一廉だ。
尤も、品岡が傍流も傍流の分家筋だとすれば、彼はバリバリの本家筋、言わば妖怪のエリートである。
省26
119: 品岡ムジナ ◆VO3bAk5naQ 2017/01/07(土)01:04 ID:8ENrjGeZ(6/7) AAS
>「もちろん、これも大切なモノです。東京漂白計画の完遂には必要不可欠なもの」
>「もし、誤ってケースを開けてしまったり、紛失してしまった場合は――」
>「……東京が。滅びます」
「……そら実に、割に合わん仕事ですな」
東京が滅ぶ。ファーストフード店の一席で口に出されたその言葉に、品岡は喉を鳴らした。
ほら来た。やっぱりクソ重たい荷物やないか。一介の式神風情に押し付けて良い責任ちゃうやろ。
様々な恨み言を鋼の精神で飲み下し、懐の煙草缶が無性に恋しくなった。
>「じゃ……確かにお渡ししましたよ。たった今からミッションスタートです」
「こら御前の姐さんにもお駄賃弾んでもらわな。ちゃぁんと口添え頼んますよ」
省15
120: 品岡ムジナ ◆VO3bAk5naQ 2017/01/07(土)01:04 ID:8ENrjGeZ(7/7) AAS
かつて"のっぺらぼう"だった品岡ムジナには、生来からの変化妖術がある。
変幻自在に姿を変え、古来より人を化かし続けてきた化性の術。
しかしそれは主たる陰陽師によって強固な制限をかけられ、限定的なものへと劣化を遂げている。
のっぺらぼうの中核にして真髄たる『顔』――以外の肉体と物体を変化させる妖術だ。
「"顔"が変えられるなら、絶世の美女なり美男子なりに化けていくらでも稼いだるっちゅうのに」
"顔"は個人を他人と識別する……個性を確立するにおいて最も根源的な概念だ。
その辺のおっさんにAKBの服を着せてもアイドルには見えないように。
免許証や受験票やパスポート、それから指名手配のポスターに大きく顔写真が載るように。
頭部前面に張り付く単なる肉の造形が、その個人の社会的な立場を確認する証となるのである。
陰陽師が適当に設定したこの"顔"がある限り、彼は品岡ムジナという存在から逃れられない。
省31
121(2): 2017/01/07(土)23:13 ID:YlHxEpEJ(1) AAS
今章からの参加はもう締め切っちゃった?
122: 2017/01/08(日)01:38 ID:Yaw4TWqq(1) AAS
>>121
諦めろ
判断の遅い奴に合わせるほどTRPGは甘くない
123: 2017/01/08(日)11:01 ID:YTmIpdJq(1) AAS
何で名無しが仕切ってんだ
124: 2017/01/08(日)12:14 ID:vqJ7S+sY(1) AAS
>>121
避難所あるからそっちで聞いてみるといいよ
125: 尾弐 黒雄 ◆pNqNUIlvYE 2017/01/09(月)22:02 ID:4L59dP0+(1/3) AAS
>「皆さんは、パズルは得意ですか?」
「……ん? おお、ルービックキューブじゃねぇか。随分懐かしいモノ持ってきたな」
那須野の事務所。
今回の仕事の為に呼ばれ、来客用のソファーで寝転びながら魚肉ソーセージを齧っていた尾弐は、
外出から戻ってきた那須野が手にしている立体パズルを見ると、半分ほど残っていた魚肉ソーセージを一気に口に頬張り、
噛み砕き飲み込んでから上体を起こした。
もはや自宅の様なくつろぎ具合であるが、何時もの事の様で誰もそれに突っ込む様子は無い。
>「世の中にはコレの世界大会があって、日々プロフェッショナルがタイムを競っているそうですよ。いやあ、面白いですよね!」
>「なんだって!? 一度バラバラに解体しなくても出来るのか……!」
「……那須野は揃えるの早すぎて気持ち悪ぃし、ノエルに至ってはどうやって社会生活送ってんのか心配になるレベルだなおい。
省25
126: 尾弐 黒雄 ◆pNqNUIlvYE 2017/01/09(月)22:04 ID:4L59dP0+(2/3) AAS
>「相手は強力極まりない呪詛ですが、ノエルさんとクロオさん、ムジナさんには効きません。ご安心ください」
>「それに、コトリバコを無力化するための秘策も用意してありますから。ともあれ現地に行ってみましょう、……それと――」
そうして、説明の後に那須野が現地へ向かおうと行動指針を示す。
尾弐はいつも通りにやる気な下げにソファーから重い腰を上げたが……
>「祈ちゃんはこの事務所に待機していてください。報告は逐一行ないますから、バックアップを。いいですね?」
>「わかっ………ぇ、あたし留守番!? なんで!?」
どうにも今回は、その様子がおかしかった。いつも飄々とした態度を取っている那須野にしては歯切れが悪く、
尚且つ戦力として召集をかけた祈に対して待機を命じるという指令。
一瞬、疑問符を浮かべた尾弐であったが、直ぐにその原因に思い至る。
(……ああ、そういや嬢ちゃんは『女』だ。だとすれば、女を殺す呪詛に対して相手が悪すぎるわな)
省18
127: 尾弐 黒雄 ◆pNqNUIlvYE 2017/01/09(月)22:04 ID:4L59dP0+(3/3) AAS
「――――そこまでだ。雪女なのに熱くなってねぇでちったぁ頭冷やせノエル。後、覆面剥ぎもマナー違反だ」
だが、すんでのところで尾弐がその襟首を掴み持ち上げ、先程まで自身が腰かけていた柔らかい来客用ソファーへ向けて軽く放り投げる。
次いで尾弐は那須野の方へと向くと、その仮面に自身の右手を向け……デコピンを放った。
手加減をしているとはいえ、鬼の膂力によるデコピンである。まともに直撃すれば、ハリセンでぶっ叩かれたくらいの衝撃は有るだろう。
「那須野、お前さんもだ。そういう方針は一人で決め込まないで俺らに相談しろ……お前が頭が良いのは知ってるし、
今回の件も祈の嬢ちゃんの事を考えてそう決めたのも判る。
けどな……最善よりも次善やその次の選択肢の方が好きなバカも、世の中には結構居るんだ。そもそも――――」
そこで尾弐は祈の方へと歩み寄ると、彼女の頭に手を置く。
「お前らの決定には、祈の嬢ちゃんの意見がどこにもねぇ。何より最初にそこを確認すべきだろうが」
省10
128: 2017/01/10(火)23:07 ID:8QBAJaE3(1) AAS
キツネって奴は無能なのか?
129: 2017/01/12(木)21:17 ID:NFWXFj0O(1) AAS
無能ってより勝手なことしかいない
GMのバトンタッチを求む
130: 品岡ムジナ ◆VO3bAk5naQ 2017/01/12(木)21:47 ID:tnLHCyT8(1/2) AAS
>「皆さんは、パズルは得意ですか?」
東京ブリーチャーズの新たなる任務、そのブリーフィング――
品岡ムジナは橘音の説明を事務所のドア越しに聞いていた。
別に彼が他のメンバーからハブにされているとかでは……まあちょっとはあるかも知れないが、立ち聞きはそれが理由ではない。
事務所内が禁煙だからである。
「えらいけったいなモンが流出しとるみたいやなぁ」
ピース缶から取り出した二本目の両切りタバコに火を付けながら、品岡はひとりごちた。
コトリバコ。その名を聞いただけでニコチンが恋しくなるようなホンモノの霊的災害、『霊災』だ。
陰陽師の式神である品岡もブリーチャーズとは別口の依頼で似たような手合いと対峙したことがある。
尤も、基本的には退魔に使用する機材や祭壇を運搬する役目として関わることばかりではあったが。
省33
131: 品岡ムジナ ◆VO3bAk5naQ 2017/01/12(木)21:49 ID:tnLHCyT8(2/2) AAS
>「祈の嬢ちゃん。手段は俺らでどうにかしてやる――――だから、聞かせてくれ。お前さんは、どうしたい?」
尾弐が話をうまく纏めつつあるし、そろそろ顔を出しても良い頃だろう。
若年特有の青く熱いやり取りに参加するつもりはないが、年長者として後押しぐらいはできる。
「……って、何空気読んどんねんワシ」
我が物顔で街を征くヤクザに在るまじき状態だ。
女子供や優男によろしくされるのも座りが悪いし、ここで一つ立場の再認識というヤツをやってやろう。
「相変わらず小汚いビルですなぁ」
省34
132: 2017/01/13(金)00:28 ID:vxWPCBRO(1) AAS
頼むから
荒らし派遣するのやめて
133: 那須野橘音 ◆TIr/ZhnrYI 2017/01/13(金)23:50 ID:3KUW7k/k(1/3) AAS
>わかっ………ぇ、あたし留守番!? なんで!?
自分の決定に対して、祈が不服を申し立てるであろうことは予想の範囲内だった。
そして、それに対する回答も用意していた。――と言っても、それは前述の説明の復唱に過ぎなかったが。
コトリバコは女子供を殲滅することに特化した呪具である。
女でしかも外見通り子供である祈は、コトリバコにとって格好の餌食であろう。
様々な可能性を勘算した結果、橘音は単純に『祈をコトリバコに近付かせない』ことが最善であるとの決断を下した。
触らぬ神に祟りなし、と言う。それが祈を危険から遠ざける最上の手であると、橘音は判断したのだ。
が。
>何それ仲間外れ!? ってかさっき無力化するための秘策があるって言ったじゃん。
祈からの抗議の声はなく、それは別の方角から聞こえた。
省24
134: 那須野橘音 ◆TIr/ZhnrYI 2017/01/13(金)23:55 ID:3KUW7k/k(2/3) AAS
>――――そこまでだ。雪女なのに熱くなってねぇでちったぁ頭冷やせノエル。後、覆面剥ぎもマナー違反だ
動いたのは尾弐だった。ノエルの襟首を借りてきた猫の子よろしく掴み上げ、ぽいとソファへ投げ飛ばす。
間一髪、貞操の危機は脱したと橘音は胸を撫で下ろした。
が。
ほっと息をついた直後、尾弐のデコピンが額を直撃する。
「ぴぎゃん!」
鳴いた。半狐面越しとはいえ、鬼の膂力のデコピンである。衝撃に大きく仰け反り、それから額を押さえてうずくまる。
省37
上下前次1-新書関写板覧索設栞歴
あと 151 レスあります
スレ情報 赤レス抽出 画像レス抽出 歴の未読スレ AAサムネイル
ぬこの手 ぬこTOP 0.011s