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【伝奇】東京ブリーチャーズ【TRPG】 [無断転載禁止]©2ch.net (285レス)
【伝奇】東京ブリーチャーズ【TRPG】 [無断転載禁止]©2ch.net http://mao.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1480066401/
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72: 尾弐 黒雄 ◆pNqNUIlvYE [sage] 2016/12/22(木) 00:54:24.15 ID:h75M8XMQ >「いいですよ、ただしボクが逃げた後でよろしく!」 「上司の帰宅まで帰れないたぁ、化物業界も人間じみてきたもんだぜ」 いつも通りの軽口を叩きあう、尾弐と那須野。 だが、垂れ流す言葉こそ弛緩しているものの、尾弐は一瞬たりとも八尺様から視線を外す事はしない。 それは、眼前で繰り広げられている光景が危険なものである事を察知しているが故。 「ぽぽ……ぽぽぽぽぽ」 まるで地に埋められた死者が助けを請うている様に、 異形の怪物たる八尺様の周囲の地
面から這い出て来たのは、数多の腕。 血が通わぬ、青白い死人の腕。 呪詛の塊とも呼べるそれらは、八尺様の負の感情が具象化した物であり……故に、その行動目的は決まっている。 八尺様にとっての敵対者……尾弐達を捕獲し、壊す事だ。 >「……げぇ! 何あれ、マドハンド!?」 「ありゃ、舟幽霊とかその類だろ……那須野、俺とノエルで時間作ってやるから、仕込みは任せたぜ」 圧力さえも感じる程に膨れ上がった怨念を纏った『腕』は、暫くの間その場で蠢いていたが、 やがて獲物を捕獲する時の蛇の様に伸び――――尾弐達に襲い掛かってきた
。 ・・・ 「……ちっ」 尾弐の体に纏わりつく、無数の腕、腕、腕、腕、腕。 青白い亡者の如き腕はその数を加速度的に増やし、もはや総数で百を超えようとしていた。 腕は一本一本が人外の膂力を有しており……それらの全てが、尾弐の肉体を捻じ切り、或いは叩き壊そうと試みる。 個を集団が蹂躙せしめるその様は、果たして蜘蛛の糸に群がる地獄の亡者の群れの様であり 群がられているのが一般人であれば、とうの昔に赤黒い挽肉と化していた事だろう。 けれども――――此処に居るのは尾弐黒雄。 剛力と堅牢を有する鬼の眷属である。 「……ああ
、面倒臭ぇ。縋るな、祈るな、纏わりつくな」 尾弐が蠅でも払うかの様に雑に腕を振るうと、群がっていた腕は一斉に『弾き飛ばされた』。 更には、その腕の内の数本は半ばから千切れ、黒い霧と化し霧散していく。 退魔師の様に術を用いている訳では無い。 ノエルの様に、権能を用いている訳でもない。 単純な、暴力。 この国において悪と暴力の化身とされる種族の、理不尽なまでの只の力技である。 恐らくは、この『腕』との潰し合いで尾弐が果てる事は無い。 それは、数如きでは覆らぬ程に腕と尾弐とでは性能差が有るからだ。 本気で尾弐を滅した
いのであれば、八尺様本体が対峙する以外に可能性は無いだろう。だが…… 「ったく、次から次へとキリがねぇなオイ」 負けないという事は、勝てるという事と同義ではない。 無数の腕は、潰した端から増えていく。そして、その腕を効果的に『殲滅』する為の手段が尾弐には欠けていた。 http://mao.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1480066401/72
73: 尾弐 黒雄 ◆pNqNUIlvYE [sage] 2016/12/22(木) 00:55:06.27 ID:h75M8XMQ (ノエルの奴ならどうにか出来そうなんだが……どうにもさっきから妙な調子みてぇだしな) 種族としての雪女であるノエル。雪を繰り氷を統べる彼の権能は、広域殲滅戦において非常に有効なモノである。 本来であれば、尾弐が攻撃を引き受けノエルが随時腕を氷殺し続ける事で、腕との戦いは優位に進められた筈なのだが >「違う……」 そのノエルは、先ほどから腕と戦ってはいるものの、その動きは尾弐が知る本調子とは程遠い。 まるで病魔に憑かれた人間の様に、常の
精彩は見る影も無く…… > 「―――――ッ!!」 「なっ!?」 そしてとうとう、膝から崩れ落ちてしまった。 その光景を目撃した尾弐は、群がる腕を打ち払いながら急いでノエルの元へ走り寄る。 幸い、その人外の俊足を以って先に駆けつけた祈がカバーに入った事で腕による蹂躙は避けられていたが (クソ……不味ぃな。ここでノエルが使い物にならなくなったら、あの『腕』を止められる奴がいねぇ……) 状況は、確実に悪化した。殲滅をこなせるノエルが戦線を離脱してしまえば、腕は増えるのみ。 尾弐と祈では、戦闘力はともかく面制圧の能力が
不足している。 (那須野は間に合うか分からねぇ…………どうする。ヤる、か?) 戦況を分析していた尾弐は、暫くのあいだ何事かを逡巡していたが――――直後。 >「……。ごめん、ちょっと貧血で……。そんなことより……分かったかもしれない、アイツの正体!」 >「橘音君! 八尺様は……橋役様で……えーと、つまり……」 僅かの間意識を失っていたノエルが目を覚まし、『八尺様の正体が判った』と。そんな事を言って見せたのである。 未だ意識が朦朧としているのか、或いは伝えるべき言葉を見失っているのか、その言葉は単語を繋いだだけで
不明瞭なものであったのだが >「じゃっじゃーん!狐面探偵七つ道具の壱!『召怪銘板(しょうかいタブレット)』〜!」 けれども、那須野橘音。探偵としての姿を持ち、智謀で知られる稲荷の眷属たるその者にとっては、 その僅かな『切欠』があれば、真実に至る道を開くのに、十分であったらしい。 (ありゃ確か……妖怪を呼び出す呪具だったよな? けど、この場面で一体何を呼ぶってんだ?) 那須野が取り出した禍々しいタブレットの様な何かは、尾弐も以前にも見た事が有る。 妖怪を呼び出す。召怪銘板その為に用いる媒介であるが……果たして、
この場面で使う道具であるとは尾弐には思えなかった。 位階の高い妖怪を呼び出すには時間もコストも掛かる上に、お手軽に呼び出せる程度の妖怪ではあの腕の群をどうにかする事は出来ないからだ。 不可解に思いながら様子を伺う尾弐であったが……その直後に、呼び出された怪異と八尺様の反応を見て、大いに納得させられる事となった。 「――――八尺……橋役……ああ、成程、そういう事かよ。確かに、『それ』程度なら直ぐに呼び出せるわな」 http://mao.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1480066401/73
74: 尾弐 黒雄 ◆pNqNUIlvYE [sage] 2016/12/22(木) 00:55:38.72 ID:h75M8XMQ 那須野によって呼び出されたのは、亡霊。それも、魑魅魍魎じみた力のない脆弱な霊体である。 だが、その力のない霊こそが、『八尺様』にとってはこの上なく有効な『手段』であった。 現に、その亡霊……小さな子供と思わしき、薄い影の様な亡霊を認識した瞬間、腕も、八尺様事態もその動きを止めてしまっている。 ……そう。八尺様と対峙するにあたり、那須野が考え出した手段は、力による封殺ではない。 『鎮魂』であったのだ。 ――――古来より、災厄を齎す荒ぶ
る神を鎮める。荒魂(あらみたま)を和魂(にぎみたま)へと変える手段は幾つか存在する。 人柱を立てて封ずる事。神として奉る事で、荒ぶる神としての属性自体を変化させる事。 そして……供物として、神が望む物を捧げる事。 荒ぶる神は、己の怒りや恨みの原因を取り除かれる事で、或いは望む物を手にすることで、その怒りを収める。 ならば、八尺様……否。橋役様が欲するモノとはなんぞや。 >「せぇ、でっかくなってるけど、やっぱりおっかぁだ! おっかぁ!」 その答えは、子供。 己がかつて失った、子供である。 >「どういうことだよ、
あれ」 「あー……要は、腹減って暴れてた犬に餌を……じゃねぇ。喉かわいてた奴に水やったみてぇなもんだろ。多分。 ま、俺もそこらへん辺の詳細はさっぱりだから、那須野に聞いてやってくれや」 祈りの呟きに答える尾弐の眼前では、八尺様を構成していた橋役様(ははおやたち)が、橋役様(いとしごたち)と 共に昇華していく光景が繰り広げられている。 薄く光を放つ、その美しい情景に対し尾弐は……興が削げたとでも言う様に脱力し、つまらなそうに大きな欠伸を一つして見せた。 そうして、橋役様達は立ち去り……あとに残ったのは、たった
一つの『悪意』。 ・・・・ >「説明は後です。まだ最後の戦闘が残ってますから」 「……みてぇだな」 先程まで子供の橋役様に頭を下げていたノエルの言葉に従い、視線を向ければ、そこに居たのは一人の女の霊。 180という、女性にしては大柄な白いワンピースを着込んだ『悪霊』の姿。 >「うぷっ……ぽぽっ、ひはははは!!」 祟り神としての八尺様。その中核を成していた存在。 けたけたと唾を撒き散らしながら血走った瞳をギョロリと巡らせるその姿は、祟り神であった時よりも醜悪なものある。 >「祟り神としての力は削ぎました。アレ
は八尺様の抜け殻とも言うべき、大したことのない妖怪となったはずです」 一拍置いて、続ける。 >「お三方なら大丈夫だとは思いますが、気を付けてくださいよ?」 「あいよ、大将。つっても、三人がかりなんて必要ねぇよ。アレなら色男と俺だけで十分だ。 いの……新入りのボウズは、オジサンに任せて目ぇ瞑ってそこで休んでな」 そう言い残すと、尾弐は準備運動の様に肩を一度ぐるりと回し、女の霊へと歩んでいく。 http://mao.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1480066401/74
75: 尾弐 黒雄 ◆pNqNUIlvYE [sage] 2016/12/22(木) 00:57:20.63 ID:h75M8XMQ >「お前に一つ言っておくことがある……。 >YESショタコンNOタッチ! 美少年とは触れずに愛でるものとみつけたり! >なのに手を出しあまつさえ捕食するとは言語道断! てめぇのパンツは何色だぁ!」 向かった先では、既にノエルが八尺様の残滓との戦闘を始めていた。 おどけた様子で挑発をし、或いは油断を誘いつつ……尚且つ相手の攻撃を適切に裁き、おまけに罠にまで嵌めて見せる。 その動きは、先の戦闘とは打って変わって艶やかなものとなっており、ノエ
ルの本来の戦闘能力の高さを物語っていた。 現にそのノエルの戦略にまんまと掛かった女の霊は、足元を氷で固められ、動く事が出来なくなっている。 >「今だ―――!!」 そして、その身動きできない女の霊の前に、とうとう鬼がたどり着いた。 ・・・・・ 「ぽぽっ、はは、ぴゃひゃはは!!!!」 荒れ狂う女の霊。彼女は、眼前に立った長身の己よりも更に大きい尾弐に対して、渾身の拳を叩き付ける。 何度も、何度も、何度も、何度も。 彼女が放つ、先程は公園の地形を変えるまでに至った荒れ狂う嵐の様な連撃は、その全てが尾弐に命中している
。 だが、それでも女の霊が拳を止める事は無い。 それは、己が獲物を『捕食』する事を邪魔し、尚且つ、先程己に手を上げた相手に対する怒り故だろう。 徹底的に破壊せんと拳を浴びせ続け……だがその最中、女の霊はふと疑問を覚えた。 ―――――果たして、目の前の男はここまで『大きかった』だろうか?と つい先ごろまでは拳一つ分程しかなかった身長差が、心なしか広がっている様に感じ…… 「……ぽっ!?」 否。確かに、男との身長差が開いている。今では男は見上げる程の巨躯と化し、己を見下ろしている。 これはどうした事かと思い周囲
を見渡せば、眼前の男以外の人物も全て見上げなければ顔が見れない程に巨大化しているではないか。 「ひゃ、ぽっ!?」 混乱に襲われながら周囲を見渡す女の霊。そこでようやく、眼前の男。 先程まで拳を浴びせていた、今や巨人の様に大きく見える男が口を開く。 「その様子じゃ勘違いしてるみてぇだから教えてやるがな……俺が大きくなったんじゃねぇ。お前が縮んでるんだよ」 http://mao.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1480066401/75
76: 尾弐 黒雄 ◆pNqNUIlvYE [sage] 2016/12/22(木) 00:57:48.25 ID:h75M8XMQ 「ぽぽっ!?」 驚愕の声を挙げる女の霊。そんな筈は無いと、男の腹を殴ろうとし……そこで、今や己の身長が男の膝丈程でしかない事に気付く。 挙動不審に手足を振り回す女の霊であったが、直後にその体が宙へと浮き上がる。 男……尾弐が、女の霊の首を掴み、足元の氷を無理矢理引きはがして持ち上げたのだ。 「なあ……お前さん、いつまで自分が神サマだと勘違いしてんだ?」 その尾弐の手を引っ掻き、なんとか逃れようとする女の霊に対し、尾弐は全く感情のこもっ
ていない平坦な声で言葉を投げつける。 「橋役を失った今のアンタは、都市伝説に謳われる怪異でもなければ、荒ぶる祟り神でもねぇ。単なる十把一絡げの悪霊なんだぜ?」 「妖怪でもないただの悪霊なら……吹けば消える。妖怪に襲われでもすりゃあ消滅するって事、理解出来るか?」 公園の外套の光で逆光となり、尾弐の表情は全く見えない。 「ぽ、ぽ……」 だがその見えない表情こそが、狂った悪霊である女にとうの昔、人間だった頃に持ち合わせていた筈の感情を思い出させる。 それは即ち――――『恐怖』 「ああ、お前さんの体が縮んでるのは、
人間の魂ってのがその心で姿を変えるからだ ――――恐怖と『ケ枯れ』で縮んだ小さく惨めな姿こそ、アンタの本当の姿って訳だな」 その言葉を聞いた瞬間、女の霊。ただの悪霊は、怯え狂ったように暴れ出す。 だが、もはや子供よりも小さくなったその身体では、尾弐の手から逃れようもない。 そんな女に対し、尾弐は一度ため息を吐くと、何処までも淡々と最後の言葉を告げる。 「さて、それじゃあ後腐れなくお別れといくか。妖怪じゃねぇアンタは蘇えれねぇだろうから ……地獄ってのに他の鬼がいたら、まあ宜しく言っといてくれや」 そうして、
今や8センチ程の虫の様な大きさとなってしまった女の悪霊を、尾弐は中空へと放り投げ、 そのまま叩き潰すようにして拳を放つ―――――。 http://mao.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1480066401/76
77: 尾弐 黒雄 ◆pNqNUIlvYE [sage] 2016/12/22(木) 01:23:30.18 ID:h75M8XMQ 尾弐「それじゃあ、ナイト・ブリーチャー番外編はじめるぞー」 髪さま「ん?今日は随分素直に始めるゾナね。ははん、さてはワシの凄さを知って心服したゾナ!」 尾弐「司会は俺、進行も俺でお送りするからなー」 髪さま「さらっとワシの存在を無い事にするなゾナ!」 >>69 尾弐「おう、宜しく頼むわ」 髪さま「……ヤの付く自由業相手に随分落ち着いてるゾナね」 尾弐「まあ、仕事柄ヤクマル印の奴の葬式はよくやってるからな」 髪さま「黒い繋がりって奴ゾナ?
」 尾弐「いや、仕事以外じゃ繋がってねぇよ。ショバ代とかも払った事ねぇぞ」 >>70 尾弐「あいよ、了解だ大将。とりあえず地獄行きの切符を購入してもらったぜ」 髪さま「……」 尾弐「あん?何だよ髪さん」 髪さま「いや、普通にドン引きしてたゾナ。何もあそこまでやらなくても良かった気がするゾナ」 尾弐「そうか?あー……まあ、やり過ぎなら誰か止めるだろ。多分。おそらく。きっと」 髪さま「それは流石に他人任せ過ぎると思うゾナ!?」 http://mao.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1480066401/77
78: 那須野橘音 ◆TIr/ZhnrYI [sage] 2016/12/24(土) 16:03:31.87 ID:I1RGJSvN 橘音が召怪銘板の音声認識機能に告げた妖怪の名は『ミサキ』だった。 ミサキには山ミサキ、川ミサキ、七人ミサキ等々の種類があるが、すべてに共通した要素がある。 それは『不慮の死を遂げた霊魂の集合体』という点だ。 >橘音君! 八尺様は……橋役様で……えーと、つまり…… ノエルの言葉が橘音に福音を与えた。それだけ聞けば、現状を打開する要素としては充分に過ぎる。 祟り神を力でねじ伏せることは不可能だ。強い力は八尺様の怒りと憎しみに油を注ぐ結果に
しかならない。 ……ならば。 八尺様の求めるものを与えればいい。 >どういうことだよ、あれ 数百年ぶりの再会を果たした母と子が、抱擁しながら天へと昇ってゆく。 そんな様子を見ながら、納得できないという様子で祈が説明を求めてくる。 が、橘音としても当初からこんな状況を想定していた訳ではない。全てはアドリブ、臨機応変な対処の結果である。 少々スムーズに行きすぎて拍子抜けした感はあるが、失敗よりは遥かにマシだ。 かといって、これで一件落着かと言われるとそうでもない。まだ、すべての元凶が残っている。 「説明は後です。まだ
最後の戦闘が残ってますから」 ブリーチャーズの視線の先に佇む、長身の女。 いつの間にか八尺様の伝説に紛れ込み、八尺様の名前と力を利用し、八尺様の想いを穢し続けた元凶。 祟り神としての力を剥ぎ取られた、名もない異常者の成れの果て。 >うぷっ……ぽぽっ、ひはははは!! 八尺様であった者が嗤う。おぞましくも哀しげであった本物のそれとは違う、ただただ嫌悪感を催すばかりの嗤い。 その姿からはもはや、先刻ほどの妖気は微塵も感じられない。 相手の妖力を測ることのできる妖怪ならば、それはすぐに感じ取れることだろう。 つい今しが
た戦っていた八尺様に比べれば、今目の前にいる者は残り滓のようなものだと。 そう。妖怪や神霊の持つ『妖気』『神気』『霊気』等々の『気』。それを根こそぎ失い、枯れ果てた姿―― 『ケ(気)枯れ』である。 「祟り神としての力は削ぎました。アレは八尺様の抜け殻とも言うべき、大したことのない妖怪となったはずです」 「お三方なら大丈夫だとは思いますが、気を付けてくださいよ?」 >あいよ、大将。つっても、三人がかりなんて必要ねぇよ。アレなら色男と俺だけで十分だ。 一応注意を促すものの、この三人がよもや遅れを取るなどということ
は考えてもいない。 ブリーチャーズのメンバーは橘音が東京漂白計画を立ち上げるにあたり、熟慮に熟慮を重ねて厳選した化生ばかりだ。 特に、ノエルと尾弐のふたりは橘音の知る化生の中でもトップクラスの強さを持つ。この程度の悪霊ごとき敵ではあるまい。 現に尾弐がすぐに頼もしい返事をしてくれた。ならば、あとはふたりに任せるのが一番だろう。 橘音は戦闘前と同じく自販機へ向かうと、五百円硬貨を入れておしるこのボタンを押した。 そして祈の方を振り返ってから、 「あ、祈ちゃんも何か飲みます?」 と、明るい調子で言った。 http://mao.
5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1480066401/78
79: 那須野橘音 ◆TIr/ZhnrYI [sage] 2016/12/24(土) 16:08:06.57 ID:I1RGJSvN >YESショタコンNOタッチ! 美少年とは触れずに愛でるものとみつけたり! >というわけで、新たな扉を開いてショタコンを卒業しよう! さあ! 「……ノエルさん、ノリノリだなぁ……」 ノエルと八尺様の残骸の繰り広げる戦いを眺めながら、小さく笑う。 一見ふざけているようにしか見えないが、あれがノエルの戦術だということを橘音は知っている。 ノエルが軽口を叩いている、それはつまり絶好調だということだ。 先程はなぜか調子が悪かったようで少々ひやっ
としたが、この様子ならそれも完全に復調していると見ていいだろう。 妖怪にはつるべ火、野火、じゃんじゃん火、火車など『火』にまつわる者が圧倒的に多い。 仮に火属性でなくとも、氷雪の力は脅威だ。つまり大抵の化生に対してアドバンテージを得られる、ということである。 性格に多少首を傾げるときこそあるものの、橘音がノエルの強さを疑うことはない。 >今だ―――!! ノエルの巧みな戦法により、八尺様であった者の足許が凍結し、地面に縫い付けられる。 そして、ノエルと入れ替わるように尾弐が悪霊の許へと到達する。 >ぽぽっ、はは、
ぴゃひゃはは!!!! 悪霊の拳が尾弐に炸裂する。それを尾弐は避けるどころか、防御姿勢を取ることさえしないで受け止める。 先程までの八尺様の力が乗った拳ならば、いかにタフネスを売りにする尾弐といえど無傷では済まなかっただろう。 ……しかし、現在尾弐に拳を見舞っている者はもう八尺様ではない。 八尺様の力と名を借り、我欲を満たそうとする邪な悪霊に過ぎないのだ。 >なあ……お前さん、いつまで自分が神サマだと勘違いしてんだ? 尾弐の無情な言葉。それには八尺様であった者に対する慈悲や憐憫はまったくない。 >――――恐怖と
『ケ枯れ』で縮んだ小さく惨めな姿こそ、アンタの本当の姿って訳だな 淡々と述べられる事実。いつしか八尺様であった者の顔からは笑みが消え、代わりに恐怖がその面貌を引き攣らせてゆく。 縮んだ悪霊は尾弐につまみ上げられたままジタバタと暴れたが、それは滑稽な悪足掻きでしかない。 >……地獄ってのに他の鬼がいたら、まあ宜しく言っといてくれや そう言ってから、尾弐はひょいと無造作に悪霊を宙に放り投げた。 が、それは見逃してやったとか、トドメをさすのをやめたという意味ではない。 ゴウッ!!! 尾弐が宙の悪霊へ向けて拳を繰り出
す。 それは純粋なパワー。万物を破壊する、シンプルなエネルギー。 ちっぽけな悪霊など、塵も残さず消滅させてしまうほどの――。 「アギギギ……ッ、ギ……ギィィィィィヤアアアアアアアアアアア―――――――――ッ!!!!!」 避けることなど、守ることなど、出来るはずもない。 悪霊の喉から絶叫が迸る。力を持つ者の余裕ぶった笑みではない、今まで幾多の少年たちを辱めてきた歓喜の笑いでもない。 それは、心底からの恐怖の悲鳴。 尾弐の拳の直撃を受け、耳障りな断末魔をあげて、八尺様を騙った異常性愛者にして快楽殺人者の悪霊は消滅し
た。 http://mao.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1480066401/79
80: 那須野橘音 ◆TIr/ZhnrYI [sage] 2016/12/24(土) 16:12:17.25 ID:I1RGJSvN 「――八尺様、漂白完了。ミッションコンプリートですね」 尾弐が悪霊を殴り消滅させたのを見届けると、橘音は飲み干したおしるこの空き缶を捨てて言った。 「これで、八尺様が東京に出現することはなくなりました。……少なくとも、しばらくの間は……ね」 そう、ブリーチャーズがたった今八尺様を漂白したというのは紛れもない事実だ。 しかし、だからといって八尺様が本当に根絶されたのかと言えば、それは違う。 ブリーチャーズは八尺様の起源を漂白した。八尺様
と呼ばれる存在が出現するに至った原因を浄化し、鎮魂し、消滅させた。 が、八尺様の伝説そのものを消滅させたわけではない。 これからも人々の口に、書籍に、インターネットの書き込みに八尺様の伝説がのぼる限り。 八尺様はなくならない。そして遠い未来、どこかでまた新たな八尺様が誕生するかもしれない。 哀しい人身御供の過去から生まれた祟り神としてではない、純粋なネットロアの、噂の産物としての八尺様が――。 「さてっ!じゃあ、お仕事も無事に終わりましたし!皆さん、オナカ減りません?」 「これから打ち上げかねて、お寿司でもどう
です?あぁ、もちろんボクがオゴらせて頂きますから」 「……回るヤツね!!」 仕事が終われば、ここにいる必要はない。橘音はタブレットの液晶画面をなぞると、結界を解除した。 辺りはすっかり暗くなっているが、まだ宵の口だ。妖怪にとっては、これからが本来の活動時間と言える。 ……とはいえ、心身ともに中学生の祈を無断で引っ張り回すのは気が引ける。 橘音はマントの内側から普段使いのスマートフォンを取り出した。祈の保護者、ターボババアに一言連絡しようとしている。 「オババにはボクから言っておきますから、祈ちゃんとノエルさんと
クロオさんは先に行ってて頂けますか?」 「ボクもすぐ追い付きますから!じゃ、駅前のお寿司屋さんで。ボクの席も取っといて下さい」 「……回るとこですよ!?」 妙なところでケチである。三人を公園の外へ出し、自分は残る。 ひとりきりになった公園の中でスマートフォンを握ったまま、橘音はとある一箇所へと歩いていく。 それは先程まで八尺様の残骸であった悪霊が立っていた場所。ノエルが足止めのため凍り付かせた地点。 まだうっすらと氷の残っている地面に、橘音は凝然と目を落とす。 そこには、一枚の紙片が落ちていた。 六センチ四方の小
さな紙片だ。表も裏も真っ黒だが、ただ中央に巨大な眼がひとつ描かれている。 まるで、暗闇の中で見開かれた眼のような。禍々しいデザインのそれから、微かな妖気を感じる。 それを拾い上げると、橘音は徐にスマートフォンの液晶パネルを操作した。 「――お疲れさまです御前。八尺様の漂白、完了しました」 「早い?アハハ、そうでしょうとも。言ったでしょう?チャッチャと片付けると。ボクらはプロですよ?プロ」 「……ええ。そうです。はい。また……『アレ』が糸を引いていたようです。ええ、間違いありません」 「まだ、情報が少なすぎますか
ら。もう少し泳がせてからということですね……はい。はい、もちろん」 「そうですね……では、そのように……。ご心配なく、仕事はキッチリやり遂げますから。そのための彼らです」 「その代わり――御前も例の件、どうぞよしなに……」 通話を切ると、橘音は改めて紙片を値踏みするように見つめた。 自分たちの持つ妖気とよく似た、しかしどこか異なる力。 やがて紙片は橘音の手の中で静かに灰と化し、消えた。 「……ふむ」 一度鼻を鳴らすと、橘音は白手袋を嵌めた手に付着した灰をパッパッと払い、仲間の後を追って公園を後にした。 http://m
ao.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1480066401/80
81: 那須野橘音 ◆TIr/ZhnrYI [sage] 2016/12/24(土) 16:17:40.55 ID:I1RGJSvN ブリーチャーズが戦っていた公園とは異なるどこか。 帝都を俯瞰する眺望の高層ホテル、その上層階にあるプレミアムスイートに四つの人影がある。 「八尺様とやらが敗れましたわ」 はじめに口を開いたのは、中学生程度の背格好をした少女だ。腰までの黒髪をツインテールに纏めた、勝気そうな面差しの娘である。 愛らしい相貌だが前髪で顔のほぼ右半分が隠れており、強膜(白目)が黄色く瞳が真紅の左眼が強い妖気を放っている。 半袖ミニスカワンピースにロンググロー
ブ、サイハイソックスにショートブーツ。その姿は頭のてっぺんから爪先まで総体黒い。 少女は広大なリビングルームのほぼ中央に陣取り、胸の下で緩く腕組みしてひとつ息をついた。 「ふゥン……連中もなかなかやるじゃない。ま、八尺様なんてアタシなら指二本もあれば余裕で倒せるけど〜ぉ!」 少女の報告を聞き、ロングソファに半ば寝そべるようにして座る女が笑う。 見た目は二十歳を少し過ぎた程度か。グラマラスな肢体をダウンジャケットにホットパンツ、ブーツという出で立ちで包んでいる。 ただし、その色味は少女と違ってすべて白い。透き通
るような白とはこのことだろうか。 女が長い髪の毛先を指先で弄るたび、そこから白いものがキラキラと剥離する。――霜だ。 「カッ!だァから言ったんだぜ。ゴミに任せて様子見なんてまだるっこしい、オレ様が最初から出向くってなァ!」 そう銅鑼声でがなったのは、部屋の一角を占めるホームバーでしきりにグラスを呷っていた五十絡みの壮年の男である。 身長は二メートル以上あるだろうか。グレーのスーツをラフに着込んだ、筋骨隆々といった具合の大男だ。 仕立てのいいダブルのスーツの上からでも、筋肉の隆起がよくわかる。男はぐいっとグラス
の酒を飲み干すと、盛大にげっぷをした。 少女と女とが同時に顔を顰める。 「おい、もう我慢しきれんぜ。そろそろ暴れさせろよ、満月も近いんだ。血が騒いで仕方ねえ」 「ダメですわ。お父さま……もといあの御方の許可が出ておりません。もう暫くは土着の者どもを使います」 少女が男の言葉をにべもなく突っぱねる。男はチッと舌打ちすると、短く刈り込んだ灰色の顎鬚を撫でた。 「あの御方も悠長ねェ……。アタシたちが直接出向けば、この国の妖怪たちなんてあっという間に殲滅できるってのに」 「まだ、あの御方は本調子ではないのです。それに
、あの御方の望みは殲滅でなく支配。それをお忘れなく、もし忘れたなら――」 「わーかってる、わかってるってばァ!あの御方に楯突くワケないでしょ?ったく、可愛くないわねアンタ」 「わかればいいのです」 ヒラヒラと右手を振って降参する女の態度に満足したらしく、少女が腰に両手を当てて豊かでない胸を反らせる。 「そりゃわかったがよ。じゃあ、次は何を差し向けるんだ?」 男が訊ねる。その問いに対して少女が口を開こうとしたそのとき、 「もう、我輩が仕込みをさせてもらったヨ」 部屋の隅に静かに佇んでいた四人目が、不意にゆらりと
動いた。真紅のマントで全身をすっぽりと包んだ、長身痩躯の怪人である。 シルクハットをかぶり、顔には某ハッカー集団でおなじみガイ・フォークスの仮面をつけた姿は異様と言うしかない。 「勝算は?」 少女が腕組みして怪人を見やる。怪人は仮面の奥で引き攣れた声で嗤った。 「バカ言っちゃァいけない、我輩の仕事だよ?ま……細工は流々、仕上げを御覧じろ……ってねエ」 それだけ言うと、怪人はすう……と溶けるように部屋から姿を消した。 「気味の悪い野郎だぜ」 男が吐き捨てるように言う。しかし、もう次の作戦が発動しているのなら手
間が省けた。少女は右手を顎先に沿えると、 「では――お手並み拝見と行きましょうか」 そう言って、炯々と輝く左眼を細めながら笑った。 http://mao.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1480066401/81
82: 那須野橘音 ◆TIr/ZhnrYI [sage] 2016/12/24(土) 17:35:14.45 ID:I1RGJSvN 橘音「メリークリスマス!那須野橘音のホーリーナイト・ブリーチャーのお時間です!司会はボク、那須野橘音と!」 髪さま「赤鼻の髪さまでお送りするゾナ」 橘音「鼻ないでしょ」 >>71 橘音「いや〜、これはギャフンですね!確かに強そうではありますが」 髪さま「おっぱいの大きなギャルにシャンプーしてもらうワシの夢が……ゾナナナ……」 橘音「そういう妖怪をブリーチャーズに加えることにメリットを見出せません」 髪さま「これは男のロマンゾナ!ノエルと
尾弐なら共感するに違いないゾナ!特に尾弐」 橘音「どうかなぁ……クロオさんは結構硬派だし……。あ、そうそう、話は変わりますが今日はクリスマスイヴでしょ?」 髪さま「リア充爆発しろゾナ」 橘音「まぁまぁ。プレゼントを用意しましたので、どうぞお納めください。まず、これが祈ちゃんの分」 髪さま「中身は何ゾナ?」 橘音「キックボードです。いいでしょ、むふふ」 髪さま「明らかに走った方が速いゾナ……。尾弐の分は?」 橘音「お酒を嗜まれるクロオさんには、日本酒を用意しました。大吟醸美○年!」 髪さま「含みのあるチョイスゾナね…
…。じゃあ、ノエルは何ゾナ?」 橘音「和パンクがお好きということで、和柄の小物入れなんかを。なおボクのお手製ですから実質お金はかかってません」 髪さま「安上がりゾナね。ムジナにはやらんのかゾナ?」 橘音「まだ出番前ですからね〜。申し訳ない!あ、これ髪さまの分です」 髪さま「ワシにもくれるのかゾナ?いい心がけゾナ、開けてもいいゾナ?」 橘音「どうぞどうぞ」 髪さま「……これは何ゾナ?」 橘音「ブラジリアンワックスですけど?」 髪さま「おまえワシを何だと思ってるゾナ!?」 橘音「では、あと祈ちゃん、ノエルさん、クロオ
さんでそれぞれ〆て頂いて、八尺様編終了とさせて頂きますね」 髪さま「ムダに風呂敷広げとるが、ついてきてほしいゾナ」 橘音「なんのなんの、まだまだですよ!それではよい聖夜を、また次回っ!」 http://mao.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1480066401/82
83: 多甫 祈 ◆MJjxToab/g [sage] 2016/12/27(火) 21:20:36.42 ID:qUrL49cQ 尾弐、ノエル、祈の三人は、半ば橘音に追い出されるような形で公園を後にした。 話すことも特になく、僅かな間黙りこくって公園の入り口に佇んでいた三人だが、やがて誰からともなく歩き出す。 橘音は駅前の回転寿司屋だと言っていた為、 とりあえず駅の方へと向かえばその寿司屋の名や場所がわからなくとも辿り着けるのであるし、 三人の中にはその寿司屋について心当たりがある者がいるのかもしれなかった。 「しかし大将も妙なところでケチくせぇよな。タダ飯は有難
いけどよ」 歩きながら、尾弐がそう切り出した。 尾弐は葬儀屋という職業柄、葬儀や通夜の席などで寿司を食べる機会がそれなりにあると思われたが、 だがそれでも貴重なタダ飯、ご馳走であることに違いはないのだろう。 加えて彼は先程嘔吐したばかりで胃の中が空である。さぞ腹の虫が騒いでいるのではないだろうか。 一言、二言。尾弐の切り出した上司の愚痴という、“いかにも人間らしい世間話”にノエルが応じるのだが、 祈は終始無言で二人の後をついてくるだけだ。 何か様子がおかしい。それを気にかけてか、なんにせよ、と尾弐は付け加
える。 「新入りのボウズの歓迎会も兼ねてんだろうしな? 早く行こうじゃねぇか」 からかうような笑みを浮かべ、少年に扮した祈の頭を帽子越しにぐしゃぐしゃと撫でる尾弐。 「だ、だれが坊主だ!」 祈はそれを両手で掴んで跳ね除けた。更に、右手で目深に被っていた帽子を外し、 左手を首の後ろに回して、パーカーの中に仕舞っていた、腰に届きそうなほどに長い髪を外へと追い出す。 軽く被りを振ると、長い髪が風になびいた。 祈はきりとした目で尾弐をねめつけ、不機嫌そうに唇を尖らせている。 「なんだ、祈の嬢ちゃんだったのか。おじさん
全然気付かなかったわ」 降参だとでも言うように大袈裟に両手をあげて、嘯く尾弐。 「わざとらしいんだよ。大体尾弐のおっさん、さっき祈って言いかけてたじゃんか!」 尾弐が八尺様を滅する直前、祈、と言いかけていたのを祈は覚えているのだった。 その指摘に尾弐は「おー、そうだっけか?」などと言いながら顎に手をやり、恍けて見せる。 「ま、変装してる時は気付いてても気付かない振りをしてやるのが大人のマナーって奴だからな」 「やっぱ気付いてんじゃねーか! ていうかなんだその雑なマナー! 女を坊主扱いする方がよっぽどマナー違反
だろ!」 祈が怒鳴りながら拳を振り上げると、 「……祈ちゃんだったのか!?」 ノエルがそこに絡んでくる。正真正銘今気付きましたと言わんばかりの真顔で言うものだからタチが悪い。 祈の振り上げた拳は、ぽすりと天然男ノエルへと向かって脱力するように放たれた。 「御幸はあたしが変装する段階でいたんだから知らない訳ないだろ! ばか! 力抜けるだろ!」 「それを忘れるほど華麗な変装だったってことだよ? いや、似合ってたよね!」 今度は軽く脛を蹴られたノエルは、その場にしゃがみ込んで、整った顔をわずかに歪ませた。 尾弐が微
かに笑う。 しゃがみ込んだまま、褒めたのに納得いかないという顔を作ってみせるノエルを見て、 祈はため息を吐き、立ち止まった。 http://mao.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1480066401/83
84: 多甫 祈 ◆MJjxToab/g [sage] 2016/12/27(火) 21:34:00.71 ID:qUrL49cQ 「……そう言えば、さっきなんか調子悪そうにしてたけど大丈夫なの? 貧血って言ってたけど」 しゃがみ込むノエルの姿に、八尺様の繰り出す無数の腕に囲まれ、膝から崩れ落ちた先程の姿が重なり、 ふと祈が問うた。体調がすぐれないのだとしたら蹴ったりして悪かったかな、なんてことを思いながら。 するとノエルの表情が固まる。 「実は……」 ノエルの顔が曇り、俯く。「実は?」と続きを促しノエルの次の言葉を待ちながらも、 祈は何か聞いちゃいけない事を聞い
てしまったような気まずさを感じていたのだが、 ノエルは顔を上げると、深刻そうな顔でこう言うのだった。 「実は、最近パンツを見てなかったからさ。どうにも血流の巡りが悪くて調子がでなく、でっ――」 今度は、先程蹴られた方とは逆側の脛に祈のつま先がめり込んだ。悶絶するノエル。 ノエルは己の過去を、今は話すべきではないと思ったのかもしれないし、 ただ話したくないのかもしれなかった。 「あ”ーっ! 聞いて損した! 心配して損したァ!」 そう言って顔を真っ赤にして憤慨して、祈は肩をいからせて尾弐の方へと向き直る。 する
と、こちらの話に興味がなかったのか、それとも空腹が限界で急いでいるのか。 はたまた二人が付いてきていないことに気付いていないのか。 気が付けば、だいぶ尾弐との距離は離れてしまっている。 ゆっくり遠ざかっていく尾弐の背を見ながら、祈は動き出せないでいた。 「……あっれー、クロちゃん足早いなぁ。早く行かないと置いてかれちゃうよ、祈ちゃん」 いつの間にやら回復したノエルが祈の横に立っており、ぽんと祈の肩を叩く。 雪女の妖怪であるノエルは、患部を直接に冷やすことで怪我や痛みを誤魔化すことができるのやもしれなかった。
尾弐に追いつかねばと一歩踏み出そうとするノエルだが、その足が空中で止まる。 何かに服を引っ張られているような違和感を覚えたのだった。 違和感の元へと振り向けば、祈がノエルの服の裾をつまんでいる。 服の裾を離そうとせず、かといって黙ったまま動こうともしない祈に、 「祈ちゃん?」 仕方なくノエルは足を元の場所に降ろし、訊ねる。 「……聞き損ついでに、もういっこ聞きたいんだけど」 祈が口を開いた。 ノエルを視界に捉えない伏せがちのその瞳は、どこか思い詰めた色を帯びていた。 「なに?」 ノエルがいつも通りの調子で
返す。祈は逡巡した後、意を決したように言った。 「八尺様のこと、あれでよかったのかな……?」 不安そうな祈の瞳が、ノエルの目と合う。 祈は、八尺様が尾弐に追い詰められ、憐れなまでに生きようと?く姿を見、断末魔の声を聴いた。 そして思ってしまった。やりすぎだったのではないか、と。 八尺様が橋役様の転じたものであるなどの真相についてはさておき、 祈は八尺様がどのような悪行を成した《妖壊》かは知っている。 少年を攫って食べると言う凶悪な事件を起こしていたことや、それによって死者すら出したことも橘音から聞かされていた
。 故にその罪を償わせる為にも、被害に遭い命を奪われた少年達への手向けの為にも、 彼女になんらかの罰を与えることは必要であると思われた。 だが、八尺様と呼ばれた存在が恐怖の形相を浮かべ、八尺どころか8センチほどにまで縮みあがり、 狂おしいほど必死に足掻くその様を見て、可哀想ではないかと思ってしまった。 同情してしまったのだ。 そして考え始めれば泥沼だ。 もっと良い別の道があったのではないか。例えば消滅させるのではなく、成仏させるような。 では尾弐を止めるべきだったのではないか。自分の足なら空中に放られた八尺
様を攫うことだってできたはずだ。 自分は選択を誤ったのではないだろうか。そんな取り止めのない考えが、祈の心を埋め尽くすのだった。 平たく言えば、心身ともに中学生の祈には先程の光景はショックが強すぎて、 それを上手く己の中で消化できず、消化するための言葉を探している、と言った所であろうか。 ノエルがどのような言葉を掛けるにせよ、祈はその言葉に何かを見出し、恐らくは納得するだろう。 祈はじっと、ノエルの言葉を待っていた。 http://mao.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1480066401/84
85: 多甫 祈 ◆MJjxToab/g [sage] 2016/12/27(火) 22:41:05.36 ID:qUrL49cQ 祈 「てことで、那須野橘音のナイトブリーチャー(?)! お相手はゲストパーソナリティの多甫祈と!」 髪さま「抱かれたい髪さまNo.1! 髪さまでお送りするゾナ!」 祈 「一人しかいないランキング、ずっこいなー……」 髪さま「儂は元々特別なオンリーワン、並ぶものなどないから仕方ないことゾナ。ところで祈ちゃん、今日は制服ゾナ。珍しいゾナ」 祈 「……」 髪さま「どうしたゾナ?」 祈 「>>70で髪サマが、むさい男ばかりのチームだって言
うから……少しでも女っぽく見えればと思って」 髪さま「ゾナーッ!? 予想外のいじけた反応! ちちち違うんだゾナ! 祈ちゃんはちゃんと女の子らしいゾナ! ね!? あー制服姿眩しいゾナァ!」 髪さま「と、とりあえず先にお返事からしちゃおうかゾナ! 祈ちゃん!?」 祈 「……うん」 [ [〉[〉[〉[〉[〉[〉[〉[〉] SPEED UP [ [〉[〉[〉[〉[〉[〉[〉[〉] SPEED UP [ [〉[〉[〉[〉[〉[〉[〉[〉] SPEED UP [ [〉[〉[〉[ >>64 橘音 祈 「何も問題なくてよかったー。ちょっと不安になってたけど、翌日すぐ返事くれて安心したよ
。ありがとね!」 >>69 品岡のおじさん 祈 「……よ、ろ、し、く、な。品岡のおじさん」ドンッ 髪さま「お茶持ってきておきながら、すっごい睨んでるゾナ」 祈 「だってヤクザだし。悪い奴じゃん。ブリーチャーズ仲間だからお茶ぐらいは淹れてやるけどさ」 祈 「あたしらは正義の味方なんだからな。そこんとこ覚えといてよね」 髪さま「……やれやれ、一悶着ありそうな対応ゾナね」 >>71 祈 「だよなー。尾弐のおっさんは怪力でタフ! 倒れる姿なんてまず想像できないし」 髪さま「尾弐はブリーチャーズ一の肉体派ゾナ
。……どうせなら虎柄ビキニを着けた鬼娘が良かったゾナ」 祈 「御幸だっていつもとぼけてる癖に、戦闘では何気に八尺様と互角だったり」 髪さま「尾弐程のパワーはないようゾナが、凍てつかせて敵の動きを封じたり、他のブリーチャーズにはない強力な能力を備えているゾナね。 ……雪女とくれば美女というのが漫画では鉄板だった筈なのにゾナ」 祈 「品岡のおじさんは……色々重火器隠し持ってるらしいし、強そうだよな!」 髪さま「顔以外という制限付きゾナが、形状変化というトリッキーな能力を備えているのも魅力ゾナ。
色んな場所での活躍が見込めるゾナね。潜入とかいけそうゾナ? ……見た目だけでもギャルに……無理かゾナ」 祈 「髪サマ……」 髪さま「す、すまんゾナ。欲望がちょっとダダ漏れだったゾナ」 >>82 橘音 祈 「キックボード!? ありがとう!」 髪さま「おや、予想外に喜んでるゾナ」 祈 「うち貧乏だったからこういうの買えなくて。友達が持ってたの羨ましかったんだ。インラインスケートとかキックボードとか自転車とか」 祈 「だから今日は夢が一つ叶っちゃったな」 髪さま「良かったゾナね!」 祈 「そんで、こ
れはあたしからのクリスマスプレゼントね! ケーキ買ってきたんだ、ホールのやつ!」 髪さま「ほほう!」 祈 「っていっても、あたしの少ないお小遣いからだからそんなに高いのじゃないけど。良かったらみんなで食べない?」 髪さま「どれ、儂が皿やらフォークやら持ってきてやるかゾナ」 [ [〉[〉[〉[〉[〉[〉[〉[〉] SPEED UP [ [〉[〉[〉[〉[〉[〉[〉[〉] SPEED UP [ [〉[〉[〉[〉[〉[〉[〉[〉] SPEED UP [ [〉[〉[〉[ 祈 「えっと……今回は、見て分かる通りみんな喋ったり動いたりしてるよ」 髪さま「お、恐れ多い事をしたゾナね祈ち
ゃん」 祈 「なるべく遠慮しながら、この状況を消化しつつみんなで仲良くお寿司屋さんに行くにはどうしたらいいんだーって悩みながら 書いたつもりだけど、気に入らなかったらあたしの書いたのはずばーっとなかったことにして続けていいからね! 言ってくれたらあたしも次から気を付けるし」 髪さま「祈ちゃんの見切り発車力が高すぎないかゾナ」 祈 「という訳で、またね! 多分あたしの今年の書き込みはこれで最後かな。良いお年を!」 髪さま「儂はまだ活躍するかもしれんゾナが、良いお年をゾナ!」 http://mao.5ch.n
et/test/read.cgi/mitemite/1480066401/85
86: ノエル ◆4fQkd8JTfc [sage] 2016/12/28(水) 03:07:28.08 ID:9kWRhuQH 「もしも今度生まれ変われたら――触らず愛でる真人間になれますように」 ノエルは八尺様だった悪霊が消滅した虚空を少しだけ複雑な表情で見つめながら呟いた。 ちょっといい事を言ってる風だが、それは多分真人間ではなく変態紳士もしくは変態淑女である。 >「――八尺様、漂白完了。ミッションコンプリートですね」 >「これで、八尺様が東京に出現することはなくなりました。……少なくとも、しばらくの間は……ね」 橘音が勤務時間終了を告げると、人間の姿に変化し
直しながら(大して変わらないけど)、橘音の方に振り向く。 「たたたたーんたーたーたったたーん♪ 橘音くん、僕の活躍見ててくれた!?」 分かる人にしか分からない謎のフレーズ(勝利のファンファーレで検索してみよう)を口ずさみながら橘音とハイタッチ。それは一体何の儀式だ。 しかもお前、肝心のところで気絶して守ってもらってほぼ勝負が付いてからしゃしゃり出てきただけちゃうんか――!? 「いやあ、衝撃の新事実が発覚してしまったよ。僕は――美少女だったんだ!」 そして無駄に爽やかな笑顔で妄言(※少なくとも端から見れば)を
繰り出した。 ――うん、そろそろ病院に行こう。いや、コイツを通院させるのは不可能、むしろ病院が来い。来てくださいお願いします。 黄色い救急車(都市伝説上に存在する頭がおかしくなった人を搬送する救急車)がマッハで飛んで来そうなレベルの妄言をああそうですか、という感じで軽く受け流す橘音。 どうやらコイツ、いつも冷静沈着で底が知れない橘音すら時々引かせてしまうある意味逸材のようなので 常日頃から口を開けば妄言迷言珍発言を垂れ流しているに違いない。 尚、にわかには信じがたいことにこんなんでも橘音の見立てによると強者揃い
のブリーチャーズの中でも黒雄と双璧を成す強妖怪らしい。 ちなみに本人は厳選されたとは夢にも思っておらず、「丁度同じ雑居ビルにいるしとりあえず声掛けとこ」的なノリで誘われたと思っている。 >「さてっ!じゃあ、お仕事も無事に終わりましたし!皆さん、オナカ減りません?」 >「これから打ち上げかねて、お寿司でもどうです?あぁ、もちろんボクがオゴらせて頂きますから」 >「……回るヤツね!!」 橘音の願ってもない申し出――こう見えて、あれやこれやでかなり妖力(超分かりやすく言うとHP兼MPのようなものか?)を消耗していた
。 放っておいてもそのうち元に戻るが、美味しい物を食べると早く戻るという都合の良いシステムになっている。(少なくともコイツの場合) http://mao.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1480066401/86
87: ノエル ◆4fQkd8JTfc [sage] 2016/12/28(水) 03:09:01.37 ID:9kWRhuQH 「いよっ大将、待ってました! 祈ちゃん、皿5枚入れたらはじまるやつ、当たったらあげるね。あ、祈ちゃん、もう目開けていいよ!」 事が終わるまで目を閉じておくように、と黒雄に言い聞かされていた祈に声をかけ。 橘音から何故か半ば追い出されるように公園を出されたが、その理由を特に深く考えたりはせずに素直に寿司屋に向かう。 >「しかし大将も妙なところでケチくせぇよな。タダ飯は有難いけどよ」 「あははっ! でも回るやつも好きだよ、アイスあるしね〜」
などと言っていると、祈と黒雄が坊主呼ばわりを巡って一悶着を始めた。 坊主とはすなわちハゲのことであってあんな長くて綺麗な髪なのにハゲ呼ばわりはない。 雪女(イケメン)を雪男(毛むくじゃらの白いサル)と呼んだら怒るのと一緒である。 と微妙にずれた解釈の元に祈のフォローに入り、そして蹴られた。 「僕は仮に美女って言われても嬉しいけどなあ……」 などと脛を冷やしながら呟いている。 生粋の精霊系妖怪であるノエルは性別の概念がチリ紙のごとく薄いため、祈が怒った理由が理解できないのであった。 衝撃の新事実!とか言いながら公
開している時点でそれ自体は本人にとっては大して衝撃ではないのである。 人間の混血妖怪や元人間とか元動物はともかくその辺から湧いてきた生え抜きの妖怪は結局姿がどっちに見えるか、というだけの話なのだろう。 >「……そう言えば、さっきなんか調子悪そうにしてたけど大丈夫なの? 貧血って言ってたけど」 ここにきていきなり核心に切り込んでくる祈。 橘音や黒雄はノエルと同じく見た目より遥かに長い時を生きている妖怪。大昔に多少やらかしてようが何も気にすることは無い。 しかし祈は業界では珍しいリアル中学生。たったの14歳。 永遠を
生きる者から見れば生まれたばかりに等しいその魂はまだあまりにも無垢で―― 実も蓋も無く言ってしまえば、嫌われるのが怖かっただけかもしれない。 出てきたのは、苦し紛れの言い訳。 「実は、最近パンツを見てなかったからさ。どうにも血流の巡りが悪くて調子がでなく、でっ――」 >「あ”ーっ! 聞いて損した! 心配して損したァ!」 怒った祈からまた蹴りが飛んできた。悶絶しながらも、貧血で押し通せた事に胸をなでおろす。 もしも相手が祈ではなく生粋の妖怪だったら話にならなかっただろう。 パンツが好きな変態に思われてしまったが、
まあ今更どうってことはない。 ほっとして黒雄の後を追おうとするノエルを祈が止める。まだ聞きたいことがあるらしい。 http://mao.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1480066401/87
88: ノエル ◆4fQkd8JTfc [sage] 2016/12/28(水) 03:13:31.06 ID:9kWRhuQH >「八尺様のこと、あれでよかったのかな……?」 その言葉に、ノエルははっとして祈の顔を見る。 「祈ちゃん……見てたんだね」 黒雄に目を瞑っておくように言い聞かされていたが、見てしまったようだ。そりゃそうだ。 見るなのタブー、とはよく言ったもので神話の時代から人間見てはいけないと言われたら見てしまうし 禁断の扉は開けてしまうし、開けてはいけない箱は開けてしまうのである。 ノエルは思う、妖怪の血が混ざっているとはいえ4分の3は人間の中学生をこ
んな危険な事に巻き込んでいいのかと。 (メンバーが実は厳選されていることや混血であるが故の柔軟性等の深い意図があることを彼は知らない) ここで敢えて救いのない答えを返したら、彼女は嫌気が差して身を引くだろうか―― いや、彼女が望んでここに身を置いているのなら、そんな余計なお世話はとんでもない傲慢というものだ。 自分は都合の悪い記憶に蓋をして無駄に長く生きているだけで、現にさっき彼女がいなかったら危なかった。 だから、自分の信じる世界観を正直に伝えることにした。 この世から消滅した魂がどこにいくのかとか、実は妖怪業
界でも未だに統一見解に至っていない。 それは各々が心の中に秘めているもので、人に押し付けるものでもないから、普段は表に出さない。 でも、それが目の前の少女の救いになるのなら―― 「あのね、これは僕の考えだから……」 そう前置きした上で。 「クロちゃんはああ言ってたけど地獄なんていかないから大丈夫」 「じゃあどこに行くのさ」と聞き返す祈にむかって。 「朝起きたときに窓から差す光、とか……街路樹の葉を揺らすそよ風とか」 「小川の水のせせらぎとか……野山に咲く花、とか……空から降ってくる雪とか」 「本当は魂に善も悪も
無い――全ては一つなんだ」 途切れ途切れに断片的な言葉を紡ぐ。 ふざけた発言は湯水のごとく出てくるくせに、真剣な想いを伝えるのは苦手らしい。 なんとなく感じ取れるその世界観は優しく、この国の人間には割と一般受けするありがちなもので 黒雄に聞かれたら甘いと一喝されそうで、でも幸い目の前の少女を癒すにはもってこいのものだった。 「だからいつかまた人間に生まれ変われる日がくるかもしれない。その日のために、祈ってあげて。 本当の愛を知る事ができますようにってさ。 大丈夫、君にはその力がある。名前っていうのは強力なおまじ
ないなんだ。君の名前は“祈”だろ?」 人間との混血である彼女の名は、生粋の妖怪にありがちな人間界に潜り込むために宛がわれた駄洒落のようなものではなく、きっと本当の親の願いが込められたものだ。 そして何を思ったか、祈の背に両腕を回して抱きしめ、耳元で囁くような声で言う。 「今日は守ってくれてありがとう――今度は僕が祈ちゃんのこと、絶対守るからね。 だから橘音くんのこと信じて、安心して続けて……」 http://mao.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1480066401/88
89: ノエル ◆4fQkd8JTfc [sage] 2016/12/28(水) 03:18:02.96 ID:9kWRhuQH 一見ロマンチックな絵面だが……コイツに恋愛感情なんてものは多分存在しない。 純粋な仲間意識でやっているのであろう。どこまでも天然なのである。 まあただでさえ黄色い救急車で搬送されかねない人の上に祈目線ではパンツが好きな変態なので いくら見た目がいいとはいえよもや祈がときめいてしまうなんてことはないであろう。 それどころか場合によっては「いきなり何すんだよ変態!」とド突き飛ばされたかもしれないぞ! 「さ、行こう!」 そう言って何事もなかったか
のように祈を伴って駆けだしたかと思うと、あっという間に祈は遥か前方にいた。 彼女はターボババアの孫なので当然である。 「えっ、そんなのアリ!? ちょっと待ってよ――――――――!!」 情けない叫び声を響かせながら追いかけていくのであった。 ところでこいつ、第一話にして「開けるな危険」と書いてある禁断の扉をマッハでぶち破ってしまった気がするのは気のせいだろうか。 ぶち破ってしまったから「やっぱ無かったことにしよ」と閉めるに閉められないし。 まさしくドウシテコウナッタ――! という状況である。 ただ一つ確かなのはど
う見ても裏で怪しい事を企んだりはしない(というかその知能もない)分っかりやすい味方キャラということでそこは安心していいだろう。 「やっと追いついた……! 今日こそ決着をつけてやる――!」 そんなナレーターの人の心配を余所に、やっとの思いで黒雄に追いつき、一方的に大食い対決の挑戦状をたたきつけたりしている。 他人のおごりで大食い対決すな。 「ああ、それと……今日は借りが出来たな。いつか倍返しにして叩き返してやる! でもクロちゃんがピンチになることなんてなかなかないからさ――それまでいなくならないでねっ」 表現こ
そ違えど意味合いは先ほど祈に言った言葉とほぼ一緒である。 しかし祈の時よりも心なしか「いなくならないでね」の部分に力が入っているのは気のせいだろうか。 GMスレなのでまさか敵化はないとは思うが(←メタ発言自重)かといってこの業界ノエルのように分っかりやすい味方キャラばかりとも限らないのである。 黒雄の微妙な胡散臭さに本人も無意識のうちに勘付いているのかもしれないし、特に深い意味はないのかもしれなかった。 【すっかり遅くなったのでおまけコーナーはまた明日(今日)!】 http://mao.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/148
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90: みゆき ◆4fQkd8JTfc [sage] 2016/12/28(水) 10:19:42.92 ID:9kWRhuQH 名前:みゆき 外見年齢:10代前半ぐらいだがこの世ならざる妖艶さも併せ持つ 性別:祈の予想的中で男の娘…… と思いきや黒雄の性別判定をもパスする完全無欠の美少女。これもうわかんねぇな。 身長:152 体重:38ぐらい スリーサイズ:細身 均整は取れているが巨乳ではない 種族:雪ん娘 職業:おまけコーナー賑やかし役 性格:天然 無邪気 長所:美少女であること 短所:残念であること 趣味:アイスを食べること モフモフすること 能力:かき氷作り 容姿の特徴・風貌
:白い肌に長い銀髪にアイスブルーの瞳。白基調の和ロリに青い帯風のリボン 簡単なキャラ解説: おまけコーナーにだけ出現する謎の残念な美少女。誰かさんと似ている。 モフモフしたものが好き。 怒るとブリザードが吹き荒れるので高級アイスを捧げて怒りを鎮めてもらおう。 万が一オマケコーナーに呼んでくれる奇特な人がいればいつでも誰のところにでも出張します。 みゆき「みんな、かなり遅くなったけどメリークリスマス! 各地で雪が降るみたいだけど車のタイヤは冬用に変えたかな? 雪ん娘みゆきのブリーチャーズもどき☆はじまるよ〜!」 髪
さま「お相手は毛髪界の……だっ、誰ゾナ!? いや、知ってる気がするけど気が付いてはいけないような気がするゾナ……」 みゆき「誰とは失敬な。髪さまが「男祭でオッスオッスソイヤソイヤでホモホモしいゾナ、 新たな扉が開いたらどうしようゾナ」とか言うからご要望にお応えして出てきたのではないか」 髪さま「ムサいとは言ったけどホモホモしいとは言ってないしそんな扉は断じて開かんゾナ! 勝手に捏造するんじゃないゾナ! そもそもワシの要望は巨乳であって……(小声)」 みゆき「……なんか言ったか? しかし来てみればそこまで男祭でもな
いようだが……まさか男3女1男寄りの性別不詳1だとでも思っておるのか?」 髪さま「そうとしか見えないゾナが……」 みゆき「甘―い! 目に見えるものばかりに気を取られているからそう見えるのだ! 男2女2 これもうわかんねぇな1。実に良いバランスではないか。 一見男ばかりで強そうだけどよく見ると実は萌えも完備……これは最強ではないか!」 髪さま「女2の時点ですでにおかしい上に変なカテゴリーが新設されてるゾナ……」 みゆき「こんな美少女が女の子なわけはないしあんなイケメン(※ただし外見に限る)が男なわけはないであろう。
よって『これもうわかんねぇな』と」 髪さま「突っ込みどころが何重にも折り重なってどこから突っ込んでいいのか分からんゾナ」 みゆき「まぁ精霊系妖怪の性別などあって無いようなもの、深く追求するだけ無駄ということだ。しかし動物系妖怪は別。 仮面の性別不詳ミステリアスキャラというのは童の独断と偏見による統計によると999.99999%の確率で美女ッ! 巨乳美女の可能性もワンチャンあるぞ!」 髪さま「わざと小数点の位置を間違えるんじゃないゾナ! 橘音は化かすのが得意な妖狐ゾナよ、ミスリードを誘って実は男ゾナ間違いないゾナ!」 みゆ
き「そうか……? ふふっ、まあどっちでも良いわ。 普通の狐が1モフだとしたら三尾の狐は3モフ……なんとモフモフ度が通常の3倍! うっかり化け損ねて尻尾ポロリしないかな〜♪」(橘音の尻を凝視) 髪さま「どっちにしても尻が狙われているゾナ!橘音逃げてゾナー!」 http://mao.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1480066401/90
91: みゆき ◆4fQkd8JTfc [sage] 2016/12/28(水) 10:23:03.89 ID:9kWRhuQH みゆき「ここでお便りのコーナー、えーと、東京都在住のホワイトクリスマスさん」 髪さま「確かクリスマスはフランス語で……あっ(察し)」 みゆき「『皆様のレスをいつも楽しみに全裸待機しております。 後先考えない出オチキャラの見切り発車でまさかここまで美味しいポジションを頂けるとは感謝感激です。 不束通り越して色んな意味で煎餅もおかきもあられもなく散らかり放題ですが クビにならない限り往生際悪く続ける所存なのでどうか最後までよろしくお願いします』
どれどれ……。あっ、確かに出オチ感半端ない。 ってか雪女(男)←どっちやねん! って一発ネタがやりたかっただけで何で男なのかとか何も考えてないやろこの人! 何々?『何も考えずに残念な人をやってたら何故か強キャラ設定のイケメン化という怪奇現象が発生していい意味で草不可避です』だって」 髪さま「それは妖怪の仕業ゾナ。「残念」と「強キャラ設定のイケメン」は両立するから大丈夫だ問題ないゾナ」 みゆき「実はあいつここが出来る少し前に丁度妖怪検定受けたりネット怪談にちょっとはまったりしておってな これはもう参加するしかない
と縁を感じたそうだ、それにしては付け焼刃すらついてないけどな!」 髪さま「偶然じゃないゾナ、それも妖怪の仕業ゾナ」 みゆき「あと冬なのにかき氷屋が賑わってる風なのは最初の八尺様が夏設定で来そうな感じだったからだそうで……」 髪さま「そうだったゾナね、まああれは常連客ということにすればいいゾナ」 >ムジナ殿 みゆき「よろしくオナシャス☆ いいなあ、楽しそうな能力! しかも割とガチなワル!」 髪さま「でもノエルはなんとなくガチなワルは苦手そうな気がするゾナ」 みゆき「うむ、あのヘタレっぷりではビビりまくりそうだな。そ
れはそれで面白いではないか(ニヤリ) ガンガン失礼な事とか言ってやってもいいからな、遠慮は無用!」 >祈ちゃん みゆき「……」(ムジナをおじさんと呼んでいるのを見て複雑な表情をしている) みゆき「おじさんて……まぁクロちゃんはマッチョだから仕方ないとして……」 髪さま「……子どもは正直ゾナ。『※ただしイケメンは除く』補正に感謝するゾナ」 みゆき「たとえ髪さまがヒロイン認定してくれなくても落ち込むな…… 童から見ると祈ちゃんはむしろ主人公ポジションだと思うぞ(どんっ!」 髪さま「その心はゾナ?」 みゆき「桁違いのジジイ
ババアがひしめくなか業界では稀有なリアル中学生――人間との混血という美味しすぎる設定! 単純な能力値では周囲に劣っても混血であるが故の無限の可能性を秘めている――! 知恵と勇気と友情と機転で遥かに格上の妖怪を打ち破る未来がありありと見えるぞ!」 髪さま「確かにそう言われてみれば主人公属性ゾナ……」 みゆき「と、いうわけで祈ちゃんが主人公ポジションにおさまった暁には童がヒロインポジションを頂くぞ(どんっ」 髪さま「あっ、通りすがりの黄色い救急車ゾナ! 重病人一名緊急搬送をお願いするゾナ―!」 みゆき「冗談だ、冗談
。……隠れヒロインはきっちゃんに決まっておるではないか。 そのSPEED UPってやつかっこいい! ケーキくれるの!? ありがとう! えーと、じゃあ童はみんなにかき氷作ってあげよう!……出来たよー(トンッ) 美味しくなる魔法いきまーす、萌え萌えずきゅーん☆」 髪さま「二重の意味で寒いゾナ……! そういえばそのサービスを自らやるのを前にノエルがオプションサービスに設定しようとして全方位から止められてたような……」 みゆき「最近パンツ見てない発言で大草原不可避からのあのシリアスな振りはヤラレタ――! おかげで深夜テンション
で変なスイッチが入ってしまったぞ!」 http://mao.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1480066401/91
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