[過去ログ] 【伝奇】東京ブリーチャーズ【TRPG】 [無断転載禁止]©2ch.net (285レス)
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160: 多甫 祈 ◆MJjxToab/g 2017/01/17(火)19:10 ID:3X/Kk8Gv(5/5) AAS
誰も触れていない筈のテレビがひとりでに点いて、緊急のニュース速報を流す。
現場の映像こそ流さないが、稲城市にて多数の女性が血を吐き倒れていると伝えるニュースキャスターの切迫した声が、
これが真実であると、異常事態であると明確に知らせていた。
コトリバコを持った何者かがその力を振るっている――。
橘音は祈の顔を見つめて、白手袋に包んだ右手を祈へと差し伸べてこう問うた。
>「さあ。選んでください、祈ちゃん――キミの進むべき道を」
祈は、先程遮られて言えなかった言葉の続きを告げる。答えは最初から決まっていた。
「あたしは“行く”よ。品岡のおじさんの提案に乗る」
立ち上がり、橘音の仮面越しの視線を真っ向から受け止めて。
足手纏いになるだとか、付いて行けば状況が悪化するだとか、
絶対的な理由で“行けない”のならばまだしも、
行ける道があるのならば、行かないと言う選択肢を選ぶ理由が祈にはない。
なぜなら祈は、正義の味方だから。
確かにブリーチャーズは完全な正義の味方ではないかもしれない。
橘音も何やら、誰かから依頼されて漂白しているようでもある。
だが祈は知っている。
心が壊れてどうしようもなく、暴れまわる《妖壊》達。
そんな誰も立ち向かうことのできない脅威に立ち向かうのは命懸けだということを。
幾ら妖怪が死なぬと橘音が話していたとは言え、痛みや苦痛、苦悩からは無縁ではないし、
また死なないという話も確実ではない。
事実、妖怪であり祟り神でもあった八尺様はこの世から消滅している。何か切欠があれば妖怪も恐らく死ぬのだ。
だから橘音も、ノエルも、尾弐も。全員が文字通り命を懸けて戦っていることになる。
そしてそれは恐らく、自分の為と言う我欲だけでは成せない。
己の身が可愛いのならば、危険が降りかかった時に逃げ出してしまえばいいのだから。
戦闘能力のない橘音など特にそうだ。
部下に任せて安全な事務所でふんぞり返っていればいいものを、
本人はむしろ積極的に現場に赴き、常に策を巡らせ指示を飛ばしている。
橘音を始めとして、ブリーチャーズの誰もが逃げることはない。
それは我欲を超えた『何か』の為に戦っていることを意味しており、
その『何か』は東京という街を、人々を守ることに直接に繋がっている。
だからきっと、東京ブリーチャーズは正義の味方だと祈は信じる。
バイトとは言えその一員である自分もまたそうであると。
「ちゃんと元通りにできるんでしょ? 品岡のおじさんなら」
その一員であることが誇らしいから。その誇りに恥じない己でありたいから。
皆と肩を並べて歩きたいから。人々を守る、祈が描く正義の味方でありたいから。
背を向けることを祈自身が許さない。
「橘音にもさっき言ってた対策ってやつ、やって貰っていいかな。時間もないし、最低限で良いから」
ぐずぐずしてはいられない。
脅威は既に、街を飲み込み始めているのだから。
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