[過去ログ] 【伝奇】東京ブリーチャーズ【TRPG】 [無断転載禁止]©2ch.net (285レス)
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245: 品岡ムジナ ◆VO3bAk5naQ 2017/02/07(火)21:58 ID:J3g7vBWU(8/11) AAS
>「えっ、ちょ、ビジュアル的に無理! お断りします!」

「何言っとるんやあいつ……」

こんな時にも発動するあれはもはや「ノエル」という名の状態異常かもしれない。
脚を失ったハッカイが身をよじらせてタックルを仕掛ける。ノエルはそれを危なげなく退避した。
身体をささえられないハッカイは地面を滑り、その衝撃で右の豪腕が外れて転がった。

「通っとったんか、刃が!」

ノエルの斬撃線と同じ部位が切り離されている。
皮一枚を断ったと見えて、その実皮一枚を残して他を断っていたのだ。
げに恐るべきはその刃の冴え、雪女の妖力は伊達ではない。

>「たーすーけーてー!!」

戦果を確認することなくノエルは走る、その先には氷の金棒を抱えた尾弐がいる。
釣り野伏の如く釣られて這いずるハッカイは、手足がないながらも凄まじい速度で尾弐へと迫る。

「よっしゃあああ!これで勝つるっ!!」

隅っこで解説要員になっていた品岡は勝機に拳を握った。
尾弐が道路標識を振り被る。あれを直撃されればいかなハッカイと言えどもケ枯れは確実!
カウンターを合わせるように、迫り来るコトリバコへ完璧なタイミングで標識が振り下ろされ――

>「な、ぐがっ―――!?」

――横合いから飛んできた軽自動車に尾弐が跳ね飛ばされた。

「アニキ!!」

軽自動車ごと店舗の壁に叩きつけられ、尾弐は血を流しながら咳き込む。
いや壁と車に挟まれてその程度で済んでるのも大概頭おかしい耐久だが、問題は別にある。
『誰が車を飛ばしたか』――

「もう動き出したんか!」

車を投げ飛ばしたのはハッカイではない他のコトリバコ。
その大きさから見当をつけるに、ノエルに凍りつかされていたニホウとサンポウの二体だ。

>「っ……て、めぇ……ら……そうかい……そうかよ」

「あかんアニキ、追撃来とります!!」

品岡が言うが早いか、既に尾弐の直上には更なるコトリバコの姿があった。
シッポウ。その豪腕に例の緑の液体を纏い、尾弐へのトドメとせんばかりに振り下ろす。
尾弐は品岡へ首を向けて、コトリバコの咆哮にも負けない怒号を放った。

>「ムジナアアァァァ!!!! この3匹は俺が一人で片付ける!!
 テメェは、絶対にこの3匹と他の連中をヤり合わせねぇように動けえええぇぇ!!!!!!」

それを最後にシッポウが尾弐へと激突し、ニホウとサンポウも追ってそこへ飛び込んでいく。
声はかき消され、尾弐の顔はすぐに見えなくなった。

「"助けろ"でもなく"手伝え"でもなく……でっか」

尾弐は自身が窮地に陥ってなお、品岡に助力を求めるのではなく仲間への援護を指示した。
それは品岡では尾弐を助けられないという軽視か――違う。
品岡ならば、祈にノエル、橘音を助けられるという、信頼だ。
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