[過去ログ] 【伝奇】東京ブリーチャーズ【TRPG】 [無断転載禁止]©2ch.net (285レス)
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4: 那須野橘音 ◆TIr/ZhnrYI 2016/11/25(金)18:40 ID:lDounR/X(4/4) AAS
事務所のデスクの上で、黒電話がけたたましく鳴る。
ソファでひっくり返って仮眠をとっていた橘音は、その音に驚いて飛び起きた。
ずれていた狐面をかぶり直し、スリッパをつっかけてデスクへ向かう。

「ハイハイ、そんなにがならなくたって聞こえてますよ……っと。もしもしー?こちら那須野探偵事務所ー」
「……あぁ、御前。お疲れさまですー。御用は何ですか?」

どうやら、電話の相手は御前という者らしい。
御前。正式な名を白面金毛九尾の狐、玉藻前と言う。日本の狐一族を統べる大妖怪である。
が、橘音はそんな超大物を相手にまるで畏まる気配がない。近所のオバサンと世間話でもするように笑っている。

「ええ、わかってますよ。ちゃーんと仕事はしてますって!最近はボクら化生にとっても生き辛い世の中ですからねぇ」
「みんな、世の中の変化に応じて外見を変え、仕事を変え……人間社会に馴染まざるを得なくなっちゃって」
「ご存知ですか?化け草履は靴屋勤務。小袖の手はファッションデザイナー。泥田坊はコメ農家ですって。みんな人間に化けて」
「かくいうボクも御前の命で、こうして学生なんかやってるワケですがね……いやまあ、楽しいからいいですけど」
「どうです?御前も人間社会に溶け込んでみては?昔は宮中に潜り込んだりして、ブイブイ言わせてたんでしょ?」
「もう飽きた?……はぁ、そうですか……。面白いのに」

ひとしきり近況報告や噂話をしていると、電話の向こうの御前が話柄を変えてくる。

「それで……あぁ、今度の仕事ですか。ええ、わかりました。まぁ、チャッチャと片付けますよ」
「人間社会に溶け込むことをよしとせず、化生の本能のままに生きるモノ――」
「環境破壊や自然破壊により住処を追われたモノ。長い時を経て理性が蒸発してしまったモノ。心が壊れてしまったモノ」
「壊れた妖怪、それが《妖壊》――。それを東京から一匹残らず駆逐するのが、ボクら『東京ブリーチャーズ』の役目ですから」
「そううまく行くかな、ですって?失礼しちゃうなぁ、御前。これでもボクらはその道のプロですよ?お茶の子さいさいですって!」
「まず資料を見ろ?……わかりました。じゃあFAXしておいてください、キツネだけに……FOX、なんちゃって」
「……あ、今、スゴく呆れた顔しましたよね?電話越しでも分かりましたからね。今」

御前との通話を切ると、程なくして事務所の片隅に置いてある複合機へ資料が送られてくる。
今回『漂白』すべき化生の資料だ。それを手に取りしげしげと眺めると、橘音は思わず苦笑し、

「……ははぁ。なるほど、こりゃ手強い」

と、言った。
となれば、さっそく援軍を呼ぶ必要がある。橘音は再度黒電話の受話器を取り上げた。
東京を漂白するにあたって、橘音が適任と判断しスカウトした《妖壊》退治のプロフェッショナル。
それが『東京ブリーチャーズ』である。
橘音は他のメンバーにターゲットを伝え、作戦を考えるブレーンであり、実際の荒事は他のメンバーが行う。
資料をデスクに起き、電話の傍らのアドレス帳を見て、メンバーへと順番に電話をかけてゆく。
電話に出た者にターゲットの名前を伝え、仕事を請け負うか否かを訊く。
果たして、今回の仕事に喰いついてくるメンバーは誰だろう?
デスクに無造作に置かれた、御前からの資料。
その一番上には、こう書かれていた。

『八尺様』――と。
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