[過去ログ] 【伝奇】東京ブリーチャーズ【TRPG】 [無断転載禁止]©2ch.net (285レス)
上下前次1-新
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
次スレ検索 歴削→次スレ 栞削→次スレ 過去ログメニュー
55: 那須野橘音 ◆TIr/ZhnrYI 2016/12/14(水)20:20 ID:9M2arDF/(1/4) AAS
正直な話、祈が役目を果たせるかどうか自信はなかった。
妖怪には歴史、逸話、知名度――それらによって厳然たる位(ランク)が存在し、頂点はいわゆる魔王、神、と呼ばれる。
極端な話、一般に仏だとか、西洋で天使だ悪魔だと言われている者も、すべては妖怪の一種である。
それらの存在もすべて、人間の豊かな想像力によって生まれたのだから。
そんな妖怪のランクの中でも、神の名を冠するだけあって祟り神は相当な上位に位置する。
人間の感情の中で最も激しく、最も強いもの。それは『恨み』である。
菅原道真や崇徳上皇の例がある通り、人間は自らをも焼き焦がすほどの恨みによってしばしば祟り神に変じる。
恨みとは無限のパワー。対象が滅びるまで、その力が衰えることは決してない。
いくら祈が身体能力において他の追随を許さないとは言っても、正面切って八尺様に勝つことは不可能に近い。
攻撃されるほど、時間が経つほど、八尺様の恨みは激しく、強くなる。
持久戦は不利、といって一瞬で勝負を決められるほどヤワな相手でもない。
恨みつらみを原動力とする八尺様に対して祈に優位な点があるとしたら、人間の血を引くゆえの柔軟な発想力だろう。
『夜にしか姿を現さない』『相撲を挑まれると断れない』等々、妖怪は自らのルーツにまつわる習性に固執する。
八尺様にも『縄張りを周回する』『子供(少年)しか狙わない』という習性がある。
古来より、自らの習性に執着するあまり自滅する妖怪の逸話が数多くあるように。
祈に勝算があるとすれば、そんな妖怪の持つ掟を衝くより他にないのだ。
……そして。
>来たみたいだね……!
「そのようで。……って……あ、あれ?」
どれほど待っただろうか、足許から忍び寄る夜の冷気が少々つらくなってきたころ、祈と八尺様が公園にやってくる。
祈は見事に自分の役目を果たしたらしい。ほっと胸を撫で下ろしながら、橘音は身構えてマントの内側に左手を入れた。
が、何か想像と違う。
てっきり追いつ追われつしてくるとばかり思っていた祈と八尺様が、仲良く手なんて繋いでいる。
ノエルと同じく戦闘モードになっていた橘音もまた、慌てて頭を切り替えた。
>お姉さんってラインとかするの?
コミュ力のあるノエルが八尺様にフレンドリーな対応をする。
ノエルからの密かなメッセージを受け取り、こちらも『OK』とデフォルメされた狐が前足でマルを作っているスタンプを送る。
尤も、五感に訴える術の類は橘音には通用しない。かぶっている半狐面の効果だ。
ともあれそうして話していると、突然ノエルが体調不良を訴え始めた。
さっそく催淫術の効果が表れ始めたというのだろうか?
バギュッ!!
八尺様がノエルの身体に両腕を回そうとした瞬間、両者が弾かれたように離れる。
ふたりの間に雪華が散る。真冬ではあるが、ここは東京。本日降雪の予報はない。
ノエルの放った冷気が、束の間周囲の空気を凍てつかせる。
凄まじい凍気だ。並の妖怪なら一溜りもあるまい。――が、直撃を喰らったはずの八尺様は平然としている。
八尺様がアップライトスタイルで構える。どうやら、自分が嵌められたということに気付いたらしい。
「ノエルさん、そこは服を脱ぐくらいのサービスはしてあげなきゃ!」
ノエルの演技が功を奏さなかったことに対して、どうでもいい茶々を入れつつ。
橘音もまた身構え、マントの内側に改めて左手を突っ込んだ。
上下前次1-新書関写板覧索設栞歴
あと 230 レスあります
スレ情報 赤レス抽出 画像レス抽出 歴の未読スレ AAサムネイル
ぬこの手 ぬこTOP 0.007s