[過去ログ] 【伝奇】東京ブリーチャーズ【TRPG】 [無断転載禁止]©2ch.net (285レス)
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97: 尾弐 黒雄 ◆pNqNUIlvYE 2016/12/30(金)01:47 ID:I2WElsma(1/3) AAS
耳に留まり続ける断末魔と、拳に残る不快な感触。
己が行動により齎されたソレに対し、けれども尾弐が感情を動かされる事は無い。
風のない湖の様に。若しくは夜の砂漠の様に。
一つの命の残骸を葬り去ったというのに、尾弐黒雄の感情はどこまでも平坦であった。
そうして、悪霊が完全に霧散した頃。

>「――八尺様、漂白完了。ミッションコンプリートですね」

缶飲料を飲み終えた那須野が、いつも通りの様子で尾弐の近くへと歩み寄って来た。

>「これで、八尺様が東京に出現することはなくなりました。……少なくとも、しばらくの間は……ね」

「……あー、とりあえずこれで『目的は果たせた』訳だ」

どこか含みを持った言葉を吐く那須野に対し、尾弐も自身の右肩を揉みながらどこか煮え切らない返答を返す。
それは、尾弐も那須野と同じく、八尺様という怪異がこの世から完全に消え去った訳では無い事を知っているが故の反応だろう。
……或いはそれ以外の理由があるのかもしれないが、この場において尾弐がその真実を語るつもりは無いようである。

>「これから打ち上げかねて、お寿司でもどうです?あぁ、もちろんボクがオゴらせて頂きますから」
>「……回るヤツね!!」

「あいよ。折角だから道中は大将の懐具合をネタに会話回しとくぜ」

そうして一通りの事後処理を終えた尾弐は、那須野へとひらひらと手を振り、祈とノエルを伴い駅へと向かうのであった。

・・・・

駅までの道中。
歩みを進めるにつれすれ違う人の数は増えていき、蛍光灯の人工的な明かりが陽光に取って代わり、夜に沈む街を頼りなく照らし出していく。
そんな人間の作った社会を歩む人外の三人は、人々の喧騒が増すのに反比例してその口数を減らしていった。
別に、なにか理由があった訳では無い。強いて言うなら、先ほどの『仕事』に対して、各々に考える事があったからだろう。
どこか気まずい沈黙の中、尾弐は一度小さく息を吐くと、少々おどけた態度で口を開く

「しかし大将も妙なところでケチくせぇよな。タダ飯は有難いけどよ」

口に出す言葉は、先に那須野に述べた通りの懐事情へのからかい。
他に気の利いた話題がなかった故の発言であったが、それを起点にしてなんとかその場の会話は繋がって行った。
理由の無い沈黙は、意味のない会話で解消出来る。
尾弐は沈黙を続けない事こそが今この場で必要なのだと……常に比べて大人しい祈の様子を見てそう判断した様である。

>「やっぱ気付いてんじゃねーか! ていうかなんだその雑なマナー! 女を坊主扱いする方がよっぽどマナー違反だろ!」
>「僕は仮に美女って言われても嬉しいけどなあ……」

「おう、わりぃわりぃ。まあ今度新しい運動靴でも買ってやるから許してくれや、祈嬢ちゃん。
 ……あと、ノエル。お前さん、その発言は割とギリギリだろ。おじさんちょっとサブイボ立ったぞ」

その尾弐の小さな努力は無駄ではなかった様で――――結果、少なくとも祈は表面上は元気を取り戻した様に見える。
尚、発言の途中で尾弐はノエルにサブイボを立てているが……それは、尾弐が妖怪の性別概念に対して人間よりの
判断能力しか持ち合わせていないが故である。
妖怪といえども、種族が違えばその性質について知らない事も多いのだ。
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