[過去ログ] 【ファンタジー】ドラゴンズリング2【TRPG】 [無断転載禁止]©2ch.net (368レス)
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304: パトリエーゼ ◆.ioWGZt2uA 2017/02/07(火)15:33 ID:YVxtoF6L(2/3) AAS
――『無限に広がるエーテリアル世界』――

エーテル教団では国境の存在自体を忌み嫌い、「世界は一つ!」という信念を大事にする。
分かり易い教義は子供でも幼少期から洗脳しやすい。
姉さんたちの教えは理解はできた。でも、教団はそのために各地で暗殺を行ってきた。

あたしは姉さんによって沢山の薬を飲まされ、そして魔法の撃ち合いによって鍛えられた。
それを「エーテル力の強化」と姉さんは言ってた。姉さんは優しかったけど、周囲はあたしの信仰への葛藤を見逃さず、
陰口や暴力を振るった。それでもあたしは逆らわなかった。姉さんが傷つくから。

教団の任務では圧倒的な魔力によりその集団一つの存在を葬り去る。酷い場合は村ごと無かったことにする。
そして教団の支部を立ち上げるためにあらゆる手段を使う――それにあたしは……えっと。

目が覚めた。
省18
305: パトリエーゼ ◆.ioWGZt2uA 2017/02/07(火)15:35 ID:YVxtoF6L(3/3) AAS
>「――黙ってろッ!」
>「パトリーヌ殿! 危ない!」

ジャンさんとティターニア師の叫び声で再び目を覚ますと、
さっき襲おうとしていたオークたちがあっという間に死体になって転がっていた。
そしてその頭が爆発。
あたしの衣服にも、その血しぶきや脳漿が降りかかって汚れる。

「あぁ……あ、ありがとう、皆さん」

情けなくもうつ伏せの格好で、ジャンさんたちの方を見上げる。
またここでも助けられてしまった。

ドゴオォォォォン…!
省31
306: ◆ejIZLl01yY 2017/02/08(水)03:07 ID:onk2pPi/(1/6) AAS
……ジャンさんとティターニアさんは、私の心境の変化を察しているようだった。
確かに……自分でも少し、過激な方向に傾いている……そんな気はする。

でも……このアスガルドの平穏と、それを壊そうとする人達の命。
それらを天秤にかけるなら、どちらを重んじるべきかは明白だ。

命を天秤にかけるなんて、と思うと……胸が苦しくなる。
だけど、指環を巡る戦いに挑むのなら、それは避けられない。
究極的には、自分の命か、敵の命か……その二つを天秤にかける事になる。

だから私は、殺してしまっても構わないと、覚悟を決めた。
それは……間違っているのかな。

ジャンさんとティターニアさんは……もう少しだけ、私に悩んでいられる時間をくれた。
省30
307: ◆ejIZLl01yY 2017/02/08(水)03:10 ID:onk2pPi/(2/6) AAS
ともあれこれで、襲撃者は全員無力化……

>「うええええええええん! メアリーちゃぁああああああん! スーちゃぁあああああああん!!」

不意に、扉の外から叫ぶような慟哭が聞こえた。
慌てて廊下に飛び出す……そして振り向いた私の視線の先に、二人の少女が横たわっていた。
その傍らには、二人に縋り付いて泣く、男の人……。

気が付けば私は『カムイ』を抜いて、オーク達を振り返っていた。
頭が爆ぜ、無残に転がったオーク達の死体を。

「よくも……!」
省33
308: ◆ejIZLl01yY 2017/02/08(水)03:12 ID:onk2pPi/(3/6) AAS
黒曜のメアリ……私も名前は聞いた事がある。
もしパトリーヌ……パトリエーゼさんの言っている事が本当なら、彼女は今まで異常な環境で生きてきた……のかもしれない。

……友達に、裏切り、か。
なんとなくだけど、私はこの人にミライユさんの面影を見出してしまった。
そして、だからこそ……

「……裏切られるのが怖いなら、誰とも関わっちゃ駄目ですよ。
 誰かの期待に、ずっと答え続けられる人間なんていないんですから。
 私がまさに今、あなたの期待を裏切ったように」

私はミライユさんに言った事と、同じ言葉をこの人にも言おう。
……ついこないだまでの私なら、何も考えずに快諾していたかもしれないけど。
省14
309: ◆ejIZLl01yY 2017/02/08(水)03:14 ID:onk2pPi/(4/6) AAS
 
 
 
……あれから三日が経って、私はアスガルドを囲う外壁の上に立っていた。
今朝、とうとうソルタレク冒険者ギルドの軍団と思しき集団が見えたと、伝令が入った。
地平の奥に見える、十を超える馬車が、ゆっくりと近づいてくる。

……あれくらいの規模なら、門を破る事すら出来ずに退却させられるかもしれない。
門の前にはユグドラシアの皆さんが用意した非殺傷爆弾が仕掛けてある。
攻城兵器などを持ち出して、門に近づけば……きっと愉快な光景が見れる。
ずっと落ち込んだままの私の気持ちも、晴れるかもしれない。
省35
310: ◆ejIZLl01yY 2017/02/08(水)03:14 ID:onk2pPi/(5/6) AAS
前方に見える、積まれたままの木箱……商品の保管箱かな。
だとすれば、それなりに重いはず。つまり安定していて……踏み台にはうってつけ。
全身のバネを使って跳び上がり、次はお店の看板、次は窓枠……思いっきり腕を上に伸ばす。

建物の屋上の縁を掴み、よじ登る。
上を見上げれば……うん、沢山のアルゲノドンが見える。

息を整えつつ宝箱を開く。取り出すのは、ショートスピアと鉤縄。
それらを……合成。流れるマナを解きほぐし、より合わせ、一つの存在として作り直す。

ついでに毒も塗っておこう。バーンアントの毒だ。
この毒は受けても死んだり痺れたりはしない。ただ傷口が、焼けるように痛むだけ。
よし、出来た。
省24
311: ◆ejIZLl01yY 2017/02/08(水)03:20 ID:onk2pPi/(6/6) AAS
「……慎重に、答えて下さい。ユグドラシアは魔道の怪物。あなた達は、今その口の中にいる」

これは半分嘘で、半分本当。
私はユグドラシアの戦力を代表して語るような立場じゃないから、そういう意味じゃ嘘。
だけど慎重に答えて欲しいってのは、私の本心。

誰かを守る為に、誰かを殺す。
何かを成し遂げる為に、何かを奪う。

そういう手段を取る覚悟。
あるいは、取らない覚悟。
ジャンさんティターニアさんがくれた猶予で、私は結局何の答えも出せなかった。

だけどこの状況、もうどう転んでも後には引けない。
省14
312: ジャン ◆9FLiL83HWU 2017/02/09(木)21:41 ID:c8qHjzco(1/2) AAS
斥候と思われるオークたちを無力化したところで、先程助けた長身の女性が突然喋りだした。

>「敵の集団がここを襲撃しているみたい! 「エーテル教団」の名前を知りませんか?
ティターニア師、恐らくは彼らはその構成員じゃないかと思います!
上からだけじゃなく、建物の方からも…数は、たぶん100人近く!」

エーテル教団。ジャンはその名を聞いたことがあった。
他の冒険者と一緒にある漁村に滞在していたとき、ちょうど同じ宿にいた信者に勧誘されたのだ。
ジャンとその冒険者は両方断ったが、信者は執拗に勧誘を繰り返し、やがて他信者を引き連れて漁村を襲撃した。
幸い素人の集まり程度だったため二人で難なく退けられたが、その後漁村にはしっかりと教団の支部が建設されていたという。

>「あたしの本名はパトリエーゼ・シュレディンガー。
教団の幹部で“黒曜のメアリ”と呼ばれたあのメアリ・シュレディンガーの妹です。
省21
313: ジャン ◆9FLiL83HWU 2017/02/09(木)21:42 ID:c8qHjzco(2/2) AAS
それから三日。ソルタレクの冒険者ギルドによる斥候と威力偵察がしばらく続く中
ジャンは、ユグドラシアの正門に学生謹製のゴーレム部隊やアスガルドの冒険者たちと共に待機していた。
単純な命令しか効かないが、土と石で作られた肉体は動く城壁そのものだ。

住民たちを既に避難させ、敵を一か所にまとめやすいように瓦礫で横道を塞ぎ、一本道だらけになった市街地は
このゴーレムにとって最適な戦場と言えるだろう。

意外なことに、アスガルドの冒険者ギルドは協力を約束してくれた。
前から噂になっていたソルタレクの暗殺者が実在したこと、冒険者ギルドに所属するジャンがそれに殺されかけたことなども影響しているが、
もっとも大きい理由は一番の顧客であるユグドラシアが狙われているということだ。

こうしてユグドラシアとその周辺は要塞化されつつあったが、ジャンはふと嫌な予感がして城壁の上で待機していたラテに、
連絡を取ろうと伝言のオーブに話しかけようとしたその瞬間に、轟音が響いた。
省26
314: ティターニア ◆KxUvKv40Yc 2017/02/11(土)07:35 ID:VFS1GnfL(1/5) AAS
>「あぁァ! 死にだくねエエエ!!!」

パトリエーゼを狙っていたオークが突然何故か外に走り出たかと思うと凄まじい爆音が響いた。
所詮は捨て駒だったということか。

「――プロテクション!」

とっさにすでに倒れている3体のオークに向かって魔力障壁の魔術を展開。
通常は防御のために使う魔術だが、今回は爆発の被害を防ぐためだ。
それでも色々飛び散ったが、怪我人が出るのは防ぐことができた。
ああ、掃除が大変だな――等と場違いなことを思う。
普段はそんなに意識しないのだがラテのような者と接するとよく分かる、
やはり長い時を生きている間にそれなりにスレてしまったようである。
省23
315: ティターニア ◆KxUvKv40Yc 2017/02/11(土)07:36 ID:VFS1GnfL(2/5) AAS
>「あたしの本名はパトリエーゼ・シュレディンガー。
教団の幹部で“黒曜のメアリ”と呼ばれたあのメアリ・シュレディンガーの妹です。
怖くって教団から逃げ出してきたの。お願い、何でもするから、あたしに居場所をください。
そして…みんな、“友達”になって! 裏切られてばかりで怖いの!」

唐突にこんなことを言い出したパトリエーゼに、ラテがここにいてもいいと語りかけ、
ジャンが危険をおしてまで本当に一緒に来たいのかと問いかける。
二人の話がひとしきり終わった後、ティターニアが自分のターンとばかりに唐突に講釈をし始めた。

「ところでパトリエーゼ殿、このようなものを見た事はあるだろうか?」

その手に持っているのは、正八面体の模型のようなもの。
各頂点と中心にそれぞれ違った形のシンボルがあしらわれ、それが棒で繋がれている。
省19
316: ティターニア ◆KxUvKv40Yc 2017/02/11(土)07:39 ID:VFS1GnfL(3/5) AAS
「興味深い、実に興味深い! それは凄いことだぞ……! エーテルとは見ての通り中心の属性。
他の属性を習得せずしてエーテル属性を使えるとは、もしやそなたには最強の素質が眠っておるのかもしれぬ……!」

(実際にはパトリエーゼのエーテル特化の魔術が神聖魔術に属するものであるとするなら
「エーテル属性だけ使えるなんて凄い」という、元素魔術の体型を前提としたティターニアの理論は全く成り立たず、思い込みで暴走しているだけになるのだが
ここで重要なのはパトリエーゼが変人導師に興味を持たれてしまったということである)

そして、悪戯っぽい笑みを浮かべて告げるのだ。

「さて、先刻友達になってと言ったな。残念ながら友達にはなれぬ。
――学者にとっては興味の対象というのはある種恋人以上のものだからだ……って何言わすねん!」

パトリエーゼにいきなりツッコミを求めるのは酷なので、自らツッコミをしておいた。
気を取り直して真面目な表情を作り、いったん建前として戦力外を言い渡す。
省9
317: ティターニア ◆KxUvKv40Yc 2017/02/11(土)07:42 ID:VFS1GnfL(4/5) AAS
それから三日の時が流れ、いよいよソルタレク冒険者ギルド本隊が到着と相成った。
ティターニアは戦況に合わせて最適な場に投入されるべく、ユグドラシア内部の指令本部で待機していた。パトリエーゼも一緒だ。
まず、巨大な砲撃音のようなものが何度も響き渡り始める。
一人一つずつ貸与された伝言のオーブから、伝令担当のパックの声が聞こえてきた。

『マントでマッチョでフンドシ一丁の漢が壁を打つ! 打って打って打ちまくるゥ!』

その日、壁は壊された――――巨人ではなくマッチョなエルフによって。
続いて、オーブからラテとジャンの声が聞こえてきた。

>「外壁班!二班一組で上空からの攻撃を凌ぎつつ追走を!
 空からの攻撃を肩代わりして、迎え撃つんです!地上班を孤立させるな!」
>「……ラテッ!慌てるんじゃねえ、指揮してんのは俺たちじゃねえぞ!
省28
318: ティターニア ◆KxUvKv40Yc 2017/02/11(土)07:45 ID:VFS1GnfL(5/5) AAS
「あなた達も、こうはなりたくないでしょう?立ち去る事を強くオススメします」

更に、魔法の殿堂を襲撃なんかしてネズミーランドの住人になっても知らんぞと脅しをかけるラテ。
確かに魔力には溢れているが夢があるとは言えない光景である。

>「……やめとけや、ラテ。冒険者に良心を期待するもんじゃねえ。
 街を焼いて戦利品を頂くのは傭兵だけじゃないんだからな」
>「城壁をぶち抜いたのは誰かは知らねえが、こっから先は通せねえんだ。
 悪いが依頼の前金だけで勘弁してくれや」

ジャンがアクアの大剣を構えて戦闘態勢に入る。
ジャンの横に進み出るティターニア。

「やれやれ、要塞を守るゴーレムは魔法の笛を吹いて眠らせるのが風流というものではないのか。
省16
319: ノーキン&ケイジィ ◆AOGu5v68Us 2017/02/13(月)20:24 ID:J+5VRhUT(1/7) AAS
<アスガルド大通り>

ユグドラシア襲撃に乗り込んだ地上部隊と航空部隊の混成隊は待ち構えていたアスガルド防衛戦団と交戦に入っていた。
敵戦力は魔術学院の術士達とアスガルドの冒険者達。
純戦闘員としての数の利はこちらにあるが、敵には練度となにより地の利がある。
第三・第二隊の戦術目標は敵の漸減と陽動とは言え、拮抗を維持することさえ過酷な戦況だった。

「クソ、またゴーレムが出てきやがった!一旦退いて後衛の火力と合流しながら前線を押し上げろ!」
「爆撃支援はまだか!地上の武装じゃあの装甲は抜けねえぞ!」
「術士の殆どはユグドラシアの護りに入ってるはずだ!路地をうまく使って側面から叩け!」

飛び交う矢と爆弾、唸る剣戟、爆ぜる魔法の炎……。
襲撃部隊の戦線を維持していられる理由の一つはアスガルド防衛団が積極的に攻勢に出てこないことだ。
省30
320: ノーキン&ケイジィ ◆AOGu5v68Us 2017/02/13(月)20:24 ID:J+5VRhUT(2/7) AAS
「馬鹿なァ!味方を巻き込んで撃ってきやがっただとォ――」

桃色光線に撃たれた者達が胸を押さえて倒れ込む。
光線に物理的な破壊力はなかったが、対象者を苦しめる謎の効果があるようだ。
幸運にも砲の範囲から逃れた者達が青ざめて路地へと退避する。

「おい!大丈夫か!?ありゃ何の光線なんだ、呪詛の類か!?」

倒れ込んだ味方へ声を掛ける冒険者達、撃たれた者達は膝をついて胸を掻きむしる。

「ぐ……が……胸が……苦しい……!!」
省24
321: ノーキン&ケイジィ ◆AOGu5v68Us 2017/02/13(月)20:25 ID:J+5VRhUT(3/7) AAS
うっちゃったゴーレムが爆煙混じりに四散するのを満足げに見ていたノーキンは、前方の空を横切る何かを気が付いた。

「む!あれは何だ!鳥か?飛翔器か!?」

「第二隊のアルゲノドンだよ!大通りに送ったはずなのになんでこんなところに?」

ギルドの紋章入りの鞍を付けた飛翔魔獣アルゲノドンが、交戦機動の速度で飛んでいる。
巨大な猛禽に竜の翼膜を合わせたような凶相が、苦悶の叫びを挙げている。
手綱を握る弓兵は必死にそれを抑制しようとしていたが、諦めたのかやがて空中で飛び降りて落下傘を展開。
重りのなくなったアルゲノドンはさらにスピードを上げた。

「こっちに向かってきたよノーキン!撃ち落とす!?」
省30
322: ノーキン&ケイジィ ◆AOGu5v68Us 2017/02/13(月)20:26 ID:J+5VRhUT(4/7) AAS
「貴様の愚問に答えよう!何を得るかだと?吾輩は冒険者だ!得るものは金に決まっておるだろう!!
 知らぬのか?金は天下の回りものと言ってな、ヒトが社会で生きていく上で不可欠なる最重要物資であるぞ!」

「ええぇ……」

ケイジィが半目で手の平を手首ごと高速回転させるのを横にノーキンは両腕を広げた。

「良いか若輩、金は全てに優先する!人々の安寧は金より重い?誰が決めたのだそれは!吾輩ではないぞ!
 街一つ脅かして大金が得られるならば、それは立派な経済活動だ!」

二者が二様の反応を返す中、おそらく猟兵風の仲間であろう大男が路地を抜けて追いついてきた。
省25
323: ノーキン&ケイジィ ◆AOGu5v68Us 2017/02/13(月)20:27 ID:J+5VRhUT(5/7) AAS
「……ぬ。そういう貴様は相変わらず年甲斐のない乳臭い格好だなドリームフォレスト!久しいぞ!!」

「誰あのひと、知り合いなのノーキン」

「ティターニア・ドリームフォレスト。ユグドラシア、ひいてはエルフ魔法界における有名人だ。異端児という意味でのな。
 優秀な導師ではあるが如何せん頭のネジがイカれ方向に振り切れているユグドラシアの狂人代表のようなものだ」

「ううーん……とりあえずノーキンの類友ってことはよくわかったよ」

「まぁ聞け。ヒトに限らずエルフもまた積み重ねた年齢で相応の貫禄を宿すものだが……あの女はアレで吾輩より年上であるぞ」
省32
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