[過去ログ] 興行収入を見守るスレ5656 (1002レス)
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835: 高橋由伸(福岡県) (ワッチョイ e917-yILz [116.94.119.125]) 2022/09/10(土)03:26 ID:FD7/bjso0(6/164) AAS
「栞、すまん。オラにもわからんのじゃ……許してくれ、栞。オラは、栞の兄ちゃんじゃないんじゃ。オラにも、妹がいるけえ。オラの妹、シオンちゅうんじゃ。シオンは生意気での、オラとロクに口も聞かん仲じゃ。オラが近づけば、シオンはオラに暴力を振るうんじゃ、信じられんじゃろ? オラの妹の話をしても面白くなかったの。栞、すまん……栞の兄ちゃんとオラの身体が入れ替わった時、栞の兄ちゃんに会ったんじゃ。栞の兄ちゃんは言っておった、妹の栞を頼むと。栞の兄ちゃんは……天国に逝ったんじゃ。オラが栞の兄ちゃんを殺したんじゃ。栞、オラを好きなだけ恨んでもええ。栞が望むなら、オラは今すぐ出て行くけえ。二度とこの家には戻ってこんけえ」
 オラは栞の背中で馬鹿みたいに嗚咽して、訳がわからずに自分の妹の話をして、栞の頭を一生懸命に撫でる。

「兄ちゃん、苦しい」
 栞は声を小さく漏らした。

 いつの間にか、オラは栞を抱き締めていたらしい。
 オラは思わず、栞から離れる。

「すまん、栞。どこも痛くないか? 気分は悪くないか?」
 オラは栞の両肩に手を置いて、栞の顔を覗き込む。

「……栞の兄ちゃん言ってた。兄ちゃんが死んだら、新しい兄ちゃんと仲良くするんだぞって」
 栞は俯いて、悲しそうに言葉を紡ぐ。
省4
836: アレックス・ラミレス(福岡県) (ワッチョイ e917-yILz [116.94.119.125]) 2022/09/10(土)03:27 ID:FD7/bjso0(7/164) AAS
「うん……栞、新しい兄ちゃんと仲良くする。でも……」
 栞の元気がない声が聞こえる。

「栞? どうしたんじゃ?」
 オラは栞から離れて、俯いた栞の顔を覗き込んだ。

「お腹空いた」
 栞が俯いたまま、お腹の虫が鳴った。

 それに答えるように、オラのお腹の虫も鳴った。

「オラも腹が減ったわい。茶菓子はまだなんか? 栞、待ってられんわい。台所に行ってつまみ食いでもするか?」
 オラは栞の頭を撫でると、立ち上がって栞と手を繋いだ。
省9
837: 二岡智宏(福岡県) (ワッチョイ e917-yILz [116.94.119.125]) 2022/09/10(土)03:27 ID:FD7/bjso0(8/164) AAS
オラは丸テーブルの前に胡坐をかいた。
 栞はオラの隣に、ちょこんと正座した。

「今、用意するから。もう少し待っててね、おじいちゃんと栞」
 葛城は茶菓子が盛られた小皿をオラと栞の前に置いて、お盆から湯呑を取り出し、オラと栞の前に湯呑を置く。
 葛城はお盆から急須を持って、オラと栞の湯呑に茶を注いでいく。

「葛城。誰がおじいちゃんじゃ! オラは葛城の先祖とは認めんけえの! のう栞」
 オラは隣に座った栞の頭にぽんと手を置いて、栞の顔を覗き込む。

 葛城は急須をオラと栞の間の丸テーブルに置いて、オラの向かいに胡坐をかいて腕を組んだ。
 葛城は丸テーブルの上に巻物を置いた。
 栞は手を合わせて、お行儀よく饅頭をほうばる。
省5
838: 内川聖一(福岡県) (ワッチョイ e917-yILz [116.94.119.125]) 2022/09/10(土)03:28 ID:FD7/bjso0(9/164) AAS
「さて。何から話そうか……うーん。僕が思うに、カイトくんに何らかの力が働いて、ユニフォンに来たんだと思う……カイトくんがユニフォンに転生した紅月の日、魔王教団はアルガスタの王族を攫い、その一週間後に民衆の前で晒し首にした。王族の血は魔王復活に捧げられたけど、どうやら魔王復活の血が足りなかったんだ。つまり、逃げ延びた王族がいるってことになるんだ。それは、こっち(ユニフォン)に来たかもしれないし、アルガスタで生き延びているかもしれない。こっちに逃げ延びた王族なら情報が入っているよ。僕は、こう見えて王族を守る秘密結社の一員でもあるからね。あっ、王族の情報はね、遊郭十六夜で仕入れてるんだ。十六夜を拠点にしている隠密集の梓ちゃんは優秀だよ。神楽さんなんか魔法が使えるんだよ? すごいだろ? って、僕の話聞いてる?」

 そうか。
 オラは天生牙の力で、ユニフォンに来たんじゃ。
 天生牙が消えたのも納得がいくで。
 ルエラ姫に貰った天生牙じゃったのにのう。

 オラは茶を啜りながら、黙って頷いて手をひらひらさせ、葛城の話を聞いているアピールをした。

「なんじゃ。オラは、ユニフォンちゅう世界に来たちゅうことか。じゃったら、ルビナ姫は生きているかもしれんちゅうことじゃな? さすが、アルガスタの未来人じゃ、歴史に詳しいのう。葛城、王族を守る秘密結社なんじゃろ? なんかないんか? 王族を見つける道具とかあるじゃろ? 十六夜に行けば、何かわかるかもしれんの」
 オラは巻物から顔を上げずに家系図を指でなぞり、自分の名前と葛城の名前を見つけて、巻物を丸テーブルの上に放り投げた。
 オラは畳の上で大の字になり、頭の後ろで腕を組んで天井を見上げた。
839: 福留孝介(福岡県) (ワッチョイ e917-yILz [116.94.119.125]) 2022/09/10(土)03:29 ID:FD7/bjso0(10/164) AAS
「ちょ、ちょっと。家系図、大事な物なんだからっ。王族を見つける道具? あることはあるけど、僕には使えないんだ。歴史が変わりつつあって、時空も歪みつつある。だから、秘密結社としての僕の力が弱まってるのかもしれない。カイトくんなら使えるかも。あっ、そうそう。僕の家には立派な道場があるんだよ。お爺さんの代で道場は潰れちゃったけど。こっちは住みやすくていいよ? もう長いこと、こっちで暮らしてるよ。けっこう多いよ、未来のアルガスタからこっちに越してきた人」
 葛城は腕を組んで、まくしたてた。

「な、なんじゃと!? 王族を見つける道具、あるならはよう出さんか! どこでアルガスタの歴史が変わったんじゃ!? 未来のアルガスタは平和なんじゃろな!? 魔王はどうなったんじゃ!?」
 オラは起き上がって丸テーブルを叩いて、身を乗り出した。
 起き上がる勢いで膝を丸テーブルにぶつけて、膝がじんと痛んだ。

 隣の栞が驚いて、眼をぱちくりさせている。
 栞の饅頭を食べる手が止まっている。
840: ウラディミール・バレンティン(福岡県) (ワッチョイ e917-yILz [116.94.119.125]) 2022/09/10(土)03:31 ID:FD7/bjso0(11/164) AAS
「お、落ち着いて。未来のアルガスタは平和だよ。少なくとも、歴史が変わらない限りね……百年前の紅月、魔王は討伐隊によって処刑されるはずだったんだ。だけど、討伐隊の中に裏切者がいたんだよ。そいつが魔王を手引きして、魔王をアルガスタの地下深くに封印した。噂じゃこっちに魔王が転生して、影で暗躍しているみたいだね。魔王次第で、歴史が変わるといっても過言じゃない。つまり、僕たちの存在が消える可能性だってある。 

恐らく、魔王の目的はこっちの世界で紅月を作ること。そして、紅月の力でアルガスタへのゲートを完成させ、アルガスタとユニフォンを一つの世界にして、世界を支配すること。僕がこっちに来る前に、お婆のお告げがあった。選ばれし者がアルガスタから転生してくる時、運命は廻り始めると。それが、カイトくんだよ。お婆は最後のお告げをして亡くなった。百年に一度の紅月、その度に魔族と戦争が起きる。これを百年戦争と呼んでいるんだ。古い歴史だと、悪しき者が呪いで神と死神に転生させ、アルガスタを支配していた時代もあるんだ。うちの蔵に、神の魂を封じた勾玉があるよ。どうやら、その悪しき者が紅月を造ったっていう噂もあるけど、僕にはわからない。なにせ、古い歴史でね」
 葛城はまくしたてると、お手上げだという感じで頭の後ろを掻いた。

「そんなことはどうでもええんじゃ。葛城、はようルエラ姫を見つける道具を出さんか! そげにいっぺんに言われてもわかるわけないじゃろうが。オラが葛城の先祖ちゅうのは、よおわかったで。今は、それだけわかれば充分じゃ」

 オラは丸テーブルで打った膝を両手で擦りながら、葛城に怒鳴った。
841: 鈴木誠也(福岡県) (ワッチョイ e917-yILz [116.94.119.125]) 2022/09/10(土)03:32 ID:FD7/bjso0(12/164) AAS
「はいはい。こっちに逃げ延びた王族は、魔王も狙ってるからね。今は、王族の問題解決が先だよね。長話ばっかでごめんごめん」
 葛城は頭の後ろを掻いて、懐からメガネケースを取り出し、黒ぶちメガネのフレームを広げて、黒ぶちメガネを丸テーブルの上に置いた。

「なんじゃ? ただのメガネにしか見えんで?」
 オラは黒ぶちメガネをひったくって、黒ぶちメガネをまじまじと見る。

 栞は身を乗り出して、興味津々に黒ぶちメガネを覗き込む。
 黒ぶちメガネのレンズに、饅頭を手に持った栞が映り込む。

 葛城は勝ち誇ったように腕を組み鼻で笑った。

「ただのメガネじゃないよ? そのメガネを掛ければ、王族がこっちに来る前の姿が見えるんだ。つまり、アルガスタでの姿が見えるってこと。もちろん、アルガスタからこっに来た他の人も、アルガスタでの姿が見える。秘密結社で作られた特殊なメガネなんだけど、僕が掛けても普通のメガネなんだよね……カイト君。試しに掛けてみてよ、僕のアルガスタでの姿が見えるはずだから。ダメなら、他に方法を考えよう」
 葛城は人差指を小さく振って、面白そうに自分を指さした。
省5
842: 筒香嘉智(福岡県) (ワッチョイ e917-yILz [116.94.119.125]) 2022/09/10(土)03:33 ID:FD7/bjso0(13/164) AAS
「か、葛城。お前、なんじゃその頭は!?」
 オラは思わず声を上げて、葛城の頭を指を差した。
 栞はオラの隣で小首を傾げている。

 これが、このメガネの力なんか?
 オラはメガネを外して葛城を見る。葛城は、ちょっと頑固などこにでもいる刀鍛冶職人じゃのう。
 また黒ぶちメガネを掛け直し、葛城を改めて見る。頭が変な刀鍛冶職人にしか見えんで。
 オラは拳を振り上げて、ガッツポーズをした。
 これで、ルビナ姫を探せるで。ルビナ姫がこっちに来てることを祈るしかないがの。

 栞は、ガッツポーズをするオラを不思議そうに見て小首を傾げ、饅頭をほうばった。
 葛城は恥ずかしそうに、頭の後ろを掻いた。
省3
843: 大谷翔平(福岡県) (ワッチョイ e917-yILz [116.94.119.125]) 2022/09/10(土)03:33 ID:FD7/bjso0(14/164) AAS
オラは丸テーブルを叩いて立ち上がった。
 待っとれよ、ルビナ姫。オラは拳を振り上げる。

「こうしちゃおれんで。オラ、ルビナ姫を探してくるけえ。葛城、このメガネ借りるで」
 オラは、腕を組んで考え込んでいる葛城に言うと、廊下を駆けた。

 葛城の声がしたが、オラは立ち止らなかった。
844: 山﨑康晃(福岡県) (ワッチョイ e917-yILz [116.94.119.125]) 2022/09/10(土)03:35 ID:FD7/bjso0(15/164) AAS
異世界アルガスタ~異世界ユニフォンへ
少女との出会い
昼下がりの町。
 オラは母の祖母が営んでいる甘味処かんみどころに立ち寄り、妹の栞と一緒に甘味を食っておった。
 甘味処の店外の洋風ベンチに座って、オラは串団子をほうばり、オラの隣の栞は両手で饅頭まんじゅうをほうばる。

 甘味というたら、串団子じゃろ。三色団子もええし、みたらし団子もええな。
 考えただけで、涎が出るわい。

 栞は、甘味というたら、饅頭らしい。蓬饅頭も好きで、おはぎも好きじゃ。
 饅頭も美味いが、やっぱ団子じゃろ。

 甘味処に寄ったら、大体、オラは串団子を頼んで、栞は饅頭じゃ。
省6
845: 秋山翔吾(福岡県) (ワッチョイ e917-yILz [116.94.119.125]) 2022/09/10(土)03:35 ID:FD7/bjso0(16/164) AAS
 オラと栞が、興味津々に小皿に盛られたカステラをまじまじと見る。
 カステラは、上にこんがり焼き色がついており、焼き色の下に、柔らかそうな黄色をしていた。

 オラは小皿を持って、不思議そうに首を傾げ、カステラの焼き色を触ってみた。
 生地がべたついて、指の腹にカステラの生地が付いた。
 指の腹に付いた、カステラの生地を舐めてみる。
 甘くて、生地のふわふわ感が口に広がった。

 カステラの黄色ところを人差指で突いてみると、柔らかくて、ふにふにしている。
 カステラを手に取って、一口ほうばる。

「ね? 美味しいでしょ?」
 母ちゃんが両手を合わせて、目を輝かせて訊いてくる。
省12
846: 牧秀悟(福岡県) (ワッチョイ e917-yILz [116.94.119.125]) 2022/09/10(土)03:36 ID:FD7/bjso0(17/164) AAS
その時、少女の怒鳴り声が聞こえた。
 オラは少女を見る。少女はピンクの花柄の着物を着ていた。

「お嬢ちゃん、可愛いな。どうだい? この町の遊郭で働いてみないか?」
「お嬢ちゃんなら、人気の遊女になるよ。お金も稼げるよ」

 オラの目の前で、ガラの悪いならず者二人組に絡まれている少女。
 どうやら、ならず者の二人組は、町で遊女の卵を探していたらしい。

 遊女の卵を探すために、遊郭に雇われたならず者ちゅうことか。
 そげな乱暴なやり方で、遊女の卵なんか、見つかるわけないじゃろ。
 刀なんぞ腰に下げおって、遊郭も、雇う人間を間違えたんじゃろな。

 ならず者の腰に、大小が下げられている。
省10
847: 丸佳浩(福岡県) (ワッチョイ e917-yILz [116.94.119.125]) 2022/09/10(土)03:37 ID:FD7/bjso0(18/164) AAS
「このアマぁ! やりやがったな!」
 男が、鞘から刀を抜く。

 刃先を喉元に向けられた少女。
 さすがに少女は腰が抜けたのか、尻餅をついた。

 もう見てられん。
 オラはベンチから立ち上がって、小皿にカステラを置き、少女の元へ駆けた。
 指の腹についた、カステラの生地を舐めながら。

「大丈夫か?」
 オラは少女に手を差し伸べる。

「あんたの手、べたついてない? きゃっ」
省11
848: 菊池雄星(福岡県) (ワッチョイ e917-yILz [116.94.119.125]) 2022/09/10(土)03:38 ID:FD7/bjso0(19/164) AAS
「へっ。丸腰のお前に、何ができるってんだぁ?」
 ならず者の男は鼻で笑う。

 丸腰のオラに勝ち目はないじゃろ。
 じゃったら、少しでも時間を稼いで、こいつらから逃げんと。
 オラは屈んで片膝を地面につき、手を後ろに回して、ならず者の男に見えないように地面の砂を握った。

「跪いて、斬ってくださいってかっ!」
 ならず者の男が刀を振り下ろす。

「食らえや!」
 オラは握った砂を、ならず者の男の顔にかける。

「うわっ! やりやがったな! 眼に砂が入りやがった!」
省11
849: 澤村拓一(福岡県) (ワッチョイ e917-yILz [116.94.119.125]) 2022/09/10(土)03:39 ID:FD7/bjso0(20/164) AAS
「意外と重いな。お前、肉の食い過ぎとちゃうんか」
 オラは立ち上がり、少女をおぶって走り出す。

「う、うっさいわね。早く走りなさいよ! もぉ!」
 少女はオラの頭を両手で叩いた。

 背後から、ならず者の怒号が聞こえる。

「逃がさんぞ!」

 しつこいのう。
 声からして、追手は一人か。
 相方は、相変わらず急所をやられて、しばらくはあのままじゃろ。
 この辺は、あまりこんけえ。
省13
850: 前田健太(福岡県) (ワッチョイ e917-yILz [116.94.119.125]) 2022/09/10(土)03:40 ID:FD7/bjso0(21/164) AAS
「まあ、ここまでよく逃げたよ。そこは褒めてやる。だが、知らない道を行っちゃいけねぇなぁ」
 ならず者が刀を肩に置いて、詰めが甘いとばかりに、人差指を小さく振る。

 オラの前まで、ついにならず者が歩み寄る。
 後ろは、石塀で行き止まり。

「女は頂くぜ! 実は俺はよぉ、嘘ついてこの女を異国に売り飛ばそうとしてたんだ。騙して悪かったなっ!」
 ならず者が不気味に高笑いしながら、刀を振り下ろした。

 もうダメじゃ。
 オラは両目を瞑った。

 少女はオラの背中で「きゃっ」と声を漏らす。
 オラの着物の皺を握り締めた。
省11
851: 中畑清(福岡県) (ワッチョイ e917-yILz [116.94.119.125]) 2022/09/10(土)03:41 ID:FD7/bjso0(22/164) AAS
「!? 貴様、何者だ!?」
 ならず者がマントを乱暴に取って投げ捨て、男に振り返る。

「憲兵団、一番隊隊長の伊藤だ。子供を追い回しているお前を見かけてな」
 伊藤が煙草を吹かして、煙草の煙をゆっくり吐いた。

「伊藤だと? 聞かねぇ名だな」
 ならず者の男が、刃先を伊藤に向ける。

「お前など斬る価値もない。大人しく寝ててもらおうか」
 伊藤が煙草を吹かしながら、素早くホルスターからオートマチック銃を抜いて、ならず者に銃を撃つ。
 一発の銃声。オートマチック銃の銃口から、煙が龍のように昇る。

「ぐぁぁぁぁぁ!」
省10
852: 星野仙一(福岡県) (ワッチョイ e917-yILz [116.94.119.125]) 2022/09/10(土)03:41 ID:FD7/bjso0(23/164) AAS
「お前の行動と勇気、称賛に値する。彼女を守ってやれ」
 伊藤は煙草を吹かすと、ホルスターにオートマチック銃を収めて、マントを拾い上げた。
 マントを肩に引っかけ、踵を返した。

 オラは呆気に取られて、生唾を飲み込んだ。
 安心して、その場に足が崩れる。

「か、カッコいい。伊藤さんかぁ。あたし、好きになっちゃったかも」
 少女の暢気な声が聞こえる。
 その後、深いため息を零した。

「なんじゃい。人がせっかく助けたちゅうのに。その態度はなんじゃ」
 オラは苛立って、少女を背中から下ろす。
省9
853: (奈良県) (ワッチョイ f93d-V+uT [118.237.219.248]) 2022/09/10(土)03:42 ID:uNkepXuU0(3/3) AAS
>>787
放っておく以外に手立てがないのか?
854: 小鶴誠(福岡県) (ワッチョイ e917-yILz [116.94.119.125]) 2022/09/10(土)03:42 ID:FD7/bjso0(24/164) AAS
なんじゃい、あの女。
 可愛い顔して、えげつないわい。
 あんな女、二度と会いたくないわ。

 オラの背後で、少女の倒れる音が聞こえた。
 ああもう、面倒な女じゃ。

 オラは頭を掻いて、小道を引き戻った。

「無理すんなや。手かすけえ」
 オラは、倒れた少女に手を差し伸べる。

「う、うん。さっきは言い過ぎた。ごめん……」
 うつ伏せに倒れた少女は、オラの手を取って俯く。
省11
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