[過去ログ] 『読みました』報告・海外編Part.3 (873レス)
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546: ◆XjFtIkbasQ 2007/10/10(水)00:42 ID:CYFoV/FC(1) AAS
ミネット・ウォルターズ『蛇の形』(創元推理文庫、2004)【6.5点】

ある雨の夜、近所の鼻つまみ者の黒人女性アン・バッツが路上で息絶えた。
彼女の死を看取ったミセス・ラニラは、警察の「事故死」発表に疑問を
抱き、20年後に独自の捜査を開始する。バッツの死の真相は?

主人公の捜査パートに、検視報告書やEメールが挿入される構成だが、
あまり効果があがっていないような気がする。登場人物がみな
「嫌な人間」であり、ネコ虐待の描写も読みにくさに拍車をかける。

世評は高いようなのだけれど、個人的に合わないミステリーだった。
読者の誰もが抱くであろう「ある疑問」はラストで氷解し、それが実に
ぐっとくるのだが、それまでの道行きがつらかったのが正直な感想。
651
(2): ◆XjFtIkbasQ 2007/12/31(月)20:41 ID:ZI+Oep1S(1) AAS
ケン・フォレット『針の眼』(1996改訳、新潮文庫)【8.5点】

大戦末期、ドイツ軍劣勢を覆す情報を掴んだ冷酷なスパイ(暗号名“針”)。
ロンドンを脱出しドイツへ向かう“針”と、英国情報部との暗闘は、
嵐の孤島で決着を迎えようとする。

フォレットの出世作を読んでみた。序盤から一気読みの面白さで、
これを29歳で書いたという作者にびっくり。Dデイを背景としたスパイ物で
題材的にはそれほど独自性はないが、孤島に住む若夫婦を事件に絡ませることで
物語を奥深くしている。

“針”の人物造形やエピソードにもうちょっと厚みがほしかったし、
ラストもちょっとあっけない気もするが、名作と呼ばれているのも納得。
674: ◆XjFtIkbasQ 2008/01/24(木)16:14 ID:5Tqhq2El(1) AAS
マイクル・コナリー『ナイト・ホークス』
         (上下、扶桑社ミステリー1992)【7.5点】

湖近くのパイプから発見された死体。ハリウッド署殺人課刑事のボッシュは、
被害者がベトナム時代の戦友だと知る。死体にいくつかの不審点を発見した
ボッシュは、大掛かりな銀行強盗の事件で動くFBI、さらには警察組織の
監察官がボッシュを阻む。シリーズ第一弾。

世評高いシリーズに挑戦。一匹狼でベトナム時代の古傷を抱えるボッシュと、
FBI女捜査官のエレノアとの関係など、なかなか好調な滑り出し。捜査は
意外とオーソドックスな感じだが、伏線のばらまきも上手い。ディーヴァーや
逢坂剛的なあざとい意外性はないものの、つぼを押さえたテクニック。
省2
716: ◆XjFtIkbasQ 2008/03/23(日)03:07 ID:yqEazbAY(1) AAS
マイクル・コナリー『ブラック・アイス』 (扶桑社ミステリー1994)【8点】

モーテルの一室で発見された、ハリウッド署麻薬課の警官らしき死体。
生前の警官と面識のあったボッシュは、自分の抱える事件と警官とが関係する
ことを知る。メキシコに飛んだボッシュに迫る、麻薬王のヒットマン・・・

第一作『ナイトホークス』は若干期待値を下回ったが、二作目のこれはよかった。
死体から発見されたミバエを手掛かりに舞台はメキシコにまで及ぶが、
やや緩慢な前半に較べて後半は一気読みのおもしろさ。過度のケレンはないが、
終盤の展開も上手い。

しかし「メイクラブ」という訳語はどうにかなりませんか。
717: ◆XjFtIkbasQ 2008/03/26(水)01:08 ID:FOMNuaTZ(1) AAS
マイクル・コナリー『ブラック・ハート』 (扶桑社ミステリー1995)【9点】

左遷の契機となった4年前の連続娼婦殺人事件。ボッシュに撃ち殺されたはずの
猟奇的犯人“ドール・メーカー”から、その生存を示唆するようなメモが届く。
折りしも犯人とされる人物の遺族から告訴され、苦境に立たされるボッシュ。
ドール・メーカーは生きているのか? 模倣犯の犯行なのか? 裁判の行方は?

リーガル+サイコ+犯人探しの贅沢な一冊。これは文句なしにおもしろい。
特に、“ドール・メーカー”が撃ち殺されたあとに殺害されたと思しき
コンクリートの中の金髪女の遺体が出てきたりして、どう着地するのか
予想が難しい。上下巻だがハラハラドキドキの一気読みでした。

シリーズ第三弾ということで重複する登場人物やエピソードもあり、
省3
721: ◆XjFtIkbasQ 2008/04/11(金)03:53 ID:mEkTmjkI(1/2) AAS
ジェフリー・ディーヴァー『エンプティー・チェア』
            (2001→2006、文春文庫)【8.5点】

手術の為ノース・カロライナに訪れたライムとアメリア。地元保安官の要請で、
女性2人を拉致して逃亡中の少年の足取り調査を依頼される。土地鑑がないまま、
地元のアウトロー・反抗的な保安官らに阻まれながら捜査を進めるライムだが・・

ライム物を読むのは久しぶりのせいか、くどいほどの大小のヒネリの連続にも
素直にしめた。南部の湖沼地帯の追跡劇も、終盤のアメリアの置かれた状況も
どうなることかとハラハラ(まあ、アレだからアレになるとは分かっているんだけど)。

何にも考えずにハラハラドキドキして騙されたいときにはやっぱりディーヴァーというのを
再認識。
722: ◆XjFtIkbasQ 2008/04/11(金)11:05 ID:mEkTmjkI(2/2) AAS
ケン・フォレット『ホーネット、飛翔せよ』(2004、ヴィレッジブックス)【7.5点】

第二次大戦中、イギリス空軍はドイツ軍が高性能レーダーを開発し、次々と
戦果を挙げていることを懸念。デンマークにスパイ網を形成し、なんとか
ドイツの軍事機密をあばこうとするが露見。窮地打開はあるデンマーク青年に双肩に・・

史実が元になってるらしいけど、それを考慮したためか小説としてあまり必要でない
人物もちょこちょこ出てきたりして、そのせいか、やや焦点がぼやけた印象がある。
個人的にはデンマーク青年ハラルドと恋人カレンの冒険活劇として楽しめた。
ドイツの手先となるデンマーク警察のペーターとの対立もいい。

すいすい読めるが、スパイものとしてはちょっと抜けてる人が多い。
一部のアレなシーンを除けば、大人の手前の青年とお転婆お嬢さんとの掛け合いが、
省1
731: ◆XjFtIkbasQ 2008/04/30(水)02:28 ID:/LicCmbI(1) AAS
リチャード・ノース・パタースン『サイレント・ゲーム』(上下)
(2003→2005、新潮文庫)【8.5点】

恋人殺害の容疑者として地元から孤立したため、故郷を捨てたトニー・ロード。
親友サムが少女殺害の容疑者として苦境に立たされたことを知り、28年ぶりに帰郷。
弁護を進めながら、親友の言動に違和感を覚えるトニー。事件の真相は?
そして28年前のあの夜、一体何が起こったのか・・・?

一応続き物らしいけど、本作だけでも特に問題なし。第一部のトニーやサムの
青春時代の物語はややスローペースだが、このときの人間関係が裁判シーンに
深く関係してくる。人種・宗教問題をからめながら、事件は混迷を深めていく。

事件としてはシンプルながら、親友に疑惑と後ろめたさを抱きながら弁護する、
省2
732: ◆XjFtIkbasQ 2008/05/07(水)03:41 ID:zUqZc5WD(1) AAS
リチャード・ノース・パタースン『ダーク・レディ』(上下)
                     (2004、新潮文庫) 【8点】

麻薬犯専門弁護士が、女装・倒錯性行為の首吊り死体で発見される。
元恋人の検事補ステラは、人種問題・市長選挙戦に絡む別の殺人事件を追いながらも、
市中を牛耳る麻薬王らの犯罪事件に巻き込まれていく・・・

『サイレント・ゲーム』で敵役をつとめた検事ステラ・マーズが主人公だが、
本作では作者お得意の法廷シーンはなく、後書きによれば「ポリティカル・サスペンス」。
市長選挙・人種問題・雇用問題・新球場建設問題など、やや固いテーマが出てくるが、
元恋人の謎の死をめぐるサスペンスはこれまでどおり。

ただ本作は、旧作にもましてスロースターターであり、上巻はやや退屈さも覚える。
省2
733: ◆XjFtIkbasQ 2008/05/08(木)04:24 ID:Ns2s1/FC(1) AAS
ヘニング・マンケル『殺人者の顔』(2001、創元文庫)【8点】

外国移民排斥の気運高まる90年代、スウェーデン南部の寒村で発生した老夫婦殺害事件。
虫の息の老妻が遺した「外国の……」という言葉と、見慣れないロープの結び方に
警察は戦慄する。さらに何者かに無関係の移民が殺害され、警察当局は苦境に立たされる・・

ここ数年気にはなっていたヴァランダー・シリーズの第一弾。
老夫婦の殺害が明らかになる冒頭ですぐに物語に引き込まれた。
やもめで中年の主人公のキャラや新任の美人検察官などキャラの配置はさほど目新しくなく、
事件の捜査も堅実で、地味な印象はぬぐえないが、読みやすい訳文もあいまって、一気読み。

もっとも事件の解決も真相も「けれん」は少なく、ちょっと物足りない気もするが、
それまでの地道な展開もあいまって「まあ現実はこんなもんだよな」と納得はいく。
省1
736
(1): ◆XjFtIkbasQ 2008/05/11(日)05:45 ID:5uYFxywj(1) AAS
ヘニング・マンケル『リガの犬たち』(2003、創元文庫)【7.5点】

漂着した救命ボートから、外国人の男2名の銃殺死体が発見された。
やがてラトヴィア警察に捜査権が移った矢先、思わぬ別の殺人事件により
警部ヴァランダーはラトヴィアのリガに赴くことになるが・・・

スウェーデンのヴァランダー・シリーズ第二弾。冒頭の引き込みは前作同様、上手い。
前作が地元の殺人事件に対する地道な捜査・推理がメインだったのに対し、
本作は独立直後の共産国ラトヴィアの警察や犯罪組織との駆け引きが中心となる。

後半のリガへの潜入・逃避行なんかはそれなりに手に汗握るんだけど、
事件の黒幕候補が限定されてるせいか、「警察による捜査・推理」の要素は薄く、
そこを期待してたのでちょっと残念。さくさく読めたことは読めたんだけど。
省3
756: ◆XjFtIkbasQ 2008/05/28(水)23:08 ID:qoe4iFNQ(1) AAS
ジェフリー・ディーヴァー『石の猿』 (2003→2007、文春文庫)【8点】

蛇頭“ゴースト”の密航船がニューヨーク近海で爆破され、複数の密入国者が
上陸。“ゴースト”は逃げ出した密入国者を追い詰め、次々と殺害していく。
果たしてライムは“ゴースト”に先んじて密入国者の居場所を発見できるのか。

ライムシリーズ第4弾。ライムを「ラオバン」と呼ぶ中国人デカという魅力的な
脇役も出てきて、雰囲気や状況設定はいかにも映画っぽいんだけど、
前作『エンプティー・チェア』の連続ヒネリが印象強すぎて今回はやや拍子抜け。

取材もよくしてあると思うし、読めば十分におもしろいんだけど、
1〜3作と較べるとやや劣るかなあ。ディーヴァーへの期待値が高すぎるというのもあるけれど。
861: ◆XjFtIkbasQ 2008/08/01(金)04:08 ID:VSlknLuU(1) AAS
リチャード・ノース・パタースン『最後の審判』 (2002、新潮社)【8点】

連邦判事の座が手に届くところまできたキャロライン。23年ぶりの故郷からの
連絡は、姪のブレットが殺人容疑で拘束されたという知らせだった。
家族との軋轢・昔の恋人との対立などに気後れしながら彼女が知った真相とは?

いつもの三人称多視点が、今回はキャロラインの視点で固定されているので、
若干テンポが悪いところもある。とくに過去話は長すぎるなあと思った。
しかし終盤の裁判シーンでは畳み掛けるような展開で、軽いサプライズを織り交ぜる。

キャロラインという女判事のキャラはグンと深まったが、序盤〜中盤のもたつきと、
裁判シーンの短さがちょっと物足りない。またキャロラインのある行動にはさすがに
首を傾げたが、まあ、ああいう真相があったのなら仕方ないかな。
872: ◆XjFtIkbasQ 2008/08/06(水)19:37 ID:VzS/vZxU(1) AAS
R・D・ウィングフィールド『フロスト日和』(創元推理文庫、1997)【8点】

退職パーティーに出席しようと勇んでいたフロストは、突如捜査に狩り出される。
公衆トイレで発見された浮浪者の死体。女性を狙う連続強姦犯。窃盗事件にひき逃げ事件。
数々の事件に振り回されながらも、フロストは着実に事件の真相に迫っていく・・。

フロスト第2弾。新刊が出たので積読本に手をつけてみた。
大小の事件を次々と発生させながら、過度に複雑化させずに物語を
組み立てていく構成は上手い。ただ、ちょっと間延びしたかなあ。

ユーモラスなフロスト警部の言動はもちろんんこと、
暴力事件で左遷されてきた元警部のウェブスター巡査が最初はフロストに
反感を抱きながらも徐々にその手腕を認めていく様がおもしろい。
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