[過去ログ] 『読みました』報告・国内編Part.5 (982レス)
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502: 2009/02/08(日)08:24 ID:biuaTwOG(1) AAS
クロック城殺人事件
なんだよコレ…orz
久々に読むのが苦痛に感じた逸品
503: 2009/02/08(日)23:54 ID:epl9+Z7x(1) AAS
アリスミラー城をオススメする
504: 読後感 ◆VkkhTVc0Ug [sage外側は掃除する] 2009/02/10(火)01:18 ID:fC+zhX5j(1/2) AAS
「聖女の救済」東野圭吾(文藝春秋)
IT社長が自宅で毒殺された。しかし毒物は発見されず、
有力な容疑者であるはずの妻には鉄壁のアリバイがあった。
捜査に当たった草薙警部は容疑者に一目惚れしてしまい、
それを危惧した内海刑事は独断で湯川に助力を求める……。
何か「こんなトリックで長編を書き切るとは!?」的な前評判を
見かけたのですが、読んで納得。これは確かに短編のネタです。
それを長編に上手く溶け込ませているかと言えば……
まあまあ成功してますかね。タイトルの意味にも掛っていますし。
でも(メル欄)でしょう。
省3
505: 読後感 ◆VkkhTVc0Ug 2009/02/10(火)01:34 ID:fC+zhX5j(2/2) AAS
「図書館革命」有川浩(メディアワークス)
原発でテロ事件が起こり、類似した題材を扱ったことのある作家が
メディア良化委員会に狙われる。作家の身柄を保護した関東図書隊は、
この事態を利用して敵に打撃を与えようと目論む。
一応はシリーズ最終作(別冊は続いてるけど)。
結局、扱うテーマ(のいくつか)には共感しながらも、
ストーリーとキャラクターには共感出来ないという状況は最後まで
変わらなかった。あとがきで敢えて良化委員会側は描写しなかったとか
言い訳がましく書いてるのも頂けない。しかも理由は述べませんってw
でも、手塚兄と柴咲の掛け合いの場面は本書のハイライトであり
省3
506: 書斎魔神 ◆AhysOwpt/w 2009/02/21(土)14:52 ID:FFG2dIM/(1) AAS
清張スレのレス執筆用に東野圭吾「容疑者Xの献身」を再読。
時間を置いて読んでみると、ケイゴ作品中でも面白い謎解きミステリ
(刊行当時、本格ミステリか否かの議論があったが、この点は手がかりの呈示という面から
懐疑的にならざるを得ない)
かと思うが、登場人物が探偵と犯人を筆頭にして物語を進行させるための操り人形に
過ぎないというミステリの典型的な構成であり、やはり直木賞はどんなもんだったかというのが
正直な感想である。
例えば、元お水系バツ2・子蟻のヒロインのピュアさは不可思議、清張先生ならもっとリアルに
この手のウーマンのずるさ・賢さを書き上げたと思われ。
507(1): 書斎魔神 ◆AhysOwpt/w 2009/02/22(日)13:09 ID:km1aGDHC(1/2) AAS
朱川湊人「花まんま」を読んだ。
ミステリちゅーか、ホラー作品集である。
表題作は直木賞受賞作。
リーインカーネーションを描いたコテコテなホラーなんだが、あっさりと受賞。
高橋克彦作品にしてもそうだが、ミステリやホラーに甘くSFには非常に厳しい直木賞、
果たしてこれで良いのか?
大好評につき(励ましのメールを多くありがとう。この糞BBSの場を借りてだがお礼を申し上げて
おく)、収録作品全話講評逝ってみよう!
・「トカビの夜」
病弱な朝鮮人の子が死んだ後に妖怪トカビ(正確な発音ではない旨が述べられている)と
省16
508: 書斎魔神 ◆AhysOwpt/w 2009/02/22(日)13:09 ID:km1aGDHC(2/2) AAS
・「送りん婆」
タイトルは都市伝説的なエピを想起したのだが、ポスト送りん婆的立場にあった女性みさ子の
回想記、締めが凄み過ぎな感もあり、さほど面白い話とは思えず。
・「凍蝶」
大阪市街地という舞台から、謎の女性ミワの正体は物語途中で読めた。
丁寧に読むと、南国に棲息するはずの蝶の出現も当時からの温暖化の影響と見れば、
その消失以外(蝶の化身とされたミワの弟が死んだという明記はない)は怪奇現象が
これといって見当たらない作。
主人公の少年ミッちゃんことミチオは言うまでもなく被差別部落出身、
作者が巧くかわしながら書いているのがわかる。
509: 2009/02/22(日)15:56 ID:uHUOrB7c(1) AAS
>>507
励ましのメール送りたいんで、メルアド教えてください。
510: 書斎魔神 ◆AhysOwpt/w 2009/02/28(土)23:00 ID:ZezdYEkY(1/2) AAS
先日、久々に「容疑者Xの献身」を再読し、同年刊行で本格ミステリ大賞を巡り
接戦を演じた島田荘司「摩天楼の怪人」がふと気になり、本作も再読してみた。
会話態も多いとはいえ、NYの建築・歴史に関するシマソーの薀蓄が満載(本筋に直接には
関係しないもの、詳し過ぎるもの多)された600頁弱の大部なものだが、
ミステリ以外の部分(特にフェアな本格としてはNG作品と言い得るが)に力を注いでいる分、
逆に雑学的に楽しめるものがあった。
「暗闇坂の人喰いの木」あたりから発揮されて来た情景描写の巧みさも、
60年代のNY風景を描き出して申し分ないものがあるし、
本格の旗手シマソーには珍しいNYPDの刑事を主としたハードボイルドタッチの警察小説風の
趣向もそれなりに面白い。
省7
511: 書斎魔神 ◆AhysOwpt/w 2009/02/28(土)23:00 ID:ZezdYEkY(2/2) AAS
横溝御大、マエストロ鮎の後継と思うていたシマソーだが、本作は大乱歩的ユートピア願望が
前面に出た現代幻想小説という感が強く、この観点からなら楽しめるかと思う。
思うに、2005年はコテコテな謎解き長編ミステリ「容疑者Xの献身」が直木賞を受賞するという
日本ミステリ史上に特筆すべき年であったが、同時にミステリ界内部のトピックに過ぎないとはいえ、
90年代前半までは無冠とはいえ、その存在感で圭吾を圧倒していたシマソーが、
大作「摩天楼の怪人」を持ってしても、このミスではベスト10ランク外、文春では10位と
圭吾の「容疑者Xの献身」(共に1位を獲得)の前に大きく後塵を拝し、
ミスオタワールドたる本格ミステリ大賞でも僅差で敗れるという名実共に男性ミステリ作家の
第一人者が世代交代したエポックメーキングたる年だったと言い得る。
512: 書斎魔神 ◆AhysOwpt/w 2009/03/07(土)16:37 ID:+esov19L(1) AAS
石持浅海「扉は閉ざされたまま」を読んだ。
ケーゴの「容疑者Xの献身」がヒットした同年に、
新書刊行ながらこのミス2位、文春5位と高い評価を受けた作である。
今読むと、最近はマスコミの話題に挙がらなくなって来たドナーカード等
臓器移植ネタが懐かしい感さえあり。
(問題点もあれど、制度的には定着して来たということか?)
作品としては、特異なものゆえ動機面を詳細に説明したいという意図があったのであろうが、
文庫化のさえ加筆された(解説より)最終章「前夜」が正に蛇足そのものと言い得るのが難か。
謎解きミステリは、装飾としての社会性は有りだとしても、
謎の解明ですぱっと終わるのがカタルシスなのだが、このジャンルの持ち味・魅力を消し去って
省6
513: 書斎魔神 ◆AhysOwpt/w 2009/03/15(日)17:33 ID:BulXZE/M(1) AAS
久々に宮部みゆき「模倣犯」を再読してみた。
俺がミステリ板に堂々のデビューをした年に刊行されたベストセラー、映画化もされ、
ミステリ板でも話題にはなったのだが、「僕は実はモーホー犯なのれす」といったアホ
(当時からミステリ板にこの手のアホは多かったような)論外としても、辛口のレスが多かった
ものである。
劇場犯罪、猟奇犯罪等はソフトな現代版人情噺を得意とするみゆき向きの素材ではなかった
ということか。
語り口は定評があるみゆきだけに、初読時からボリュームのわりにサクサクと読めた感があったが、冷静に評価すればヘビーなテーマのわりに軽い印象という評にもなろうか。
ミステリ的には、ピース登場、つまらない「ひっかけ」による真相暴露という展開の後に、
もう一捻り欲しかった感もある。
省4
514: ◆XjFtIkbasQ 2009/03/16(月)03:51 ID:dEsOXQ/e(1) AAS
有栖川有栖『火村英生に捧げる犯罪』(2008、文藝春秋社)【6.5点】
佐藤雅美『物書同心居眠り紋蔵 白い息』(2005→2008、講談社文庫)【6点】
北村薫『街の灯』(2003→2006、文春文庫)【7点】
連城美紀彦『白光』(2002→2008、光文社文庫)【7.5点】
北村薫『冬のオペラ』(1996→2000、中公文庫)【7点】
西澤保彦『リドル・ロマンス 迷宮浪漫』(2003→2006、双葉文庫)【6点】
北村薫『盤上の敵』(1999→2002、講談社文庫)【8点】
若竹七海『ヴィラ・マグノリアの殺人』(1999→2002、光文社文庫)【7点】
恩田陸『ネバーランド』(2000→2003、集英社文庫)【7点】
似鳥鶏『理由あって冬に出る』(2007、創元文庫)【6.5点】
省2
515: 書斎魔神 ◆AhysOwpt/w 2009/03/21(土)11:28 ID:wV935yWd(1) AAS
「刑事事実認定―裁判例の総合的研究―」を読んだ。
開始が迫った裁判員制度においては、マスコミ等はもっぱらわかり易い量刑面の問題のみに
報道が偏向しているきらいがあるが、前段階となる事実認定の問題に関して書かれた著作で
ある。従前は、司法修習生のアンチョコ、実務家の参考書等として利用されていた本書だが、
最早、一般ピープルにも縁無き書とは言い得ないし、判例の検証を重ねて事実認定に
アプローチする様は、正に良質なミステリの謎解きを読むかの如き興趣に溢れていると言い得る。
しかし、全編を通じて思うのは、裁判による厳格(過ぎるような感も強い)な事実認定と
いわゆる一般ピープルの常識による判断の差が強く感じられることである。
例えば、「犯人の特定」の章における「板橋強制わいせつ事件」最高裁判決、
「強姦の成否」の章における被害者の反抗を著しく困難ならしめる程度の暴行脅迫にあたらない
省7
516: ◆XjFtIkbasQ 2009/03/22(日)19:10 ID:+r2K6aSu(1) AAS
奥田英朗『最悪』(1999→講談社文庫、2002)【8.5点】
プーの若者・町工場長の親父・銀行職員の女の3人が、
どんどんどん底に落ちていく有様が圧巻。
細かいエピソードの積み重ねがおもしろかった!
個人的には『邪魔』よりも好き。
517(1): 読後感 ◆VkkhTVc0Ug 2009/03/25(水)17:10 ID:ODGoMlWC(1) AAS
「クラリネット症候群」乾くるみ(徳間書店)
中編集。「マリオネット症候群」は突如何者かに身体を乗っ取られた
少女の話だが、設定倒れの観あり。終盤ややツイストを訊かせるも
インパクトは弱い。
表題作は主人公が被る特異な障害に暗号を組み合わせたもの。
梗概の「……巨乳で童顔」まで読んで即手に取ったがそっち方面の
愉しみは無し。くそ。暗号ミステリーとしちゃ中々の物だと思った。
中盤のエロネタは、まあダジャレと見れば……。
518(3): 読後感 ◆VkkhTVc0Ug 2009/03/28(土)15:26 ID:MC4+fb9j(1) AAS
「退出ゲーム」初野晴(角川書店)
高校で吹奏楽部に所属する男女が主役の連作。面白かった。
良くできた青春ミステリーだと思う。
白眉は「クロスキューブ」かな。“ロジックで解けないパズル”
という謎の設定が魅力的で、その答えが舞台と見事に溶けている。
青春ミステリーの教科書のような作品。
表題作は変わった芝居対決の趣向が興味を引くくけれども、
ルールが曖昧で公平性を担保できているかは怪しいところ。
終盤のサプライズは評価するがベストではない。
最後の「エレファンツ・ブレス」は、序盤の珍妙な発明品から
省4
519: 書斎魔神 ◆AhysOwpt/w 2009/04/04(土)18:53 ID:39+BeUel(1/2) AAS
「橘外男ワンダーランド 人獣妖婚譚篇」を読んだ。
この作者の十八番とも言い得るテーマ作品集。
大好評な全話講評逝ってみよう!!
・「令嬢エミーラの日記」
エログロ濃厚な秘境もの。
解説でも触れられているが、実質的な主人公である凶暴なゴリラ以上に、
美貌のヒロイン(エミーラ)を含めた人間たちの醜さ・狂気が書き込まれた作。
尻切れトンボな感もあれど、今でも読むに値するのはこの辺にあろう。
・「怪人シプリアノ」
前半は実質主人公のシプリアノの人間離れした様が読ませどころ、
省9
520: 書斎魔神 ◆AhysOwpt/w 2009/04/04(土)18:54 ID:39+BeUel(2/2) AAS
・「マトモッソ渓谷」
文字どおりの人獣そのものが登場する短めの秘境もの。軽く読み飛ばす程度でOKかと。
この作に関しては、前作とは逆にこのテーマでもっと書き込んで欲しかったものである。
ハガード風な読み応えある秘境冒険ものになったやもしれぬ。
・「女豹の博士」
このセレクションには異色の医療マッドサイエンティスト(?)もの、
医学知識が正確であれば、林博士の作品であってもおかしくはないテーストの作。
医療ものゆえグロはあれど、エロも期待すると完全に外される。
テーマは現代医学にも残る課題である「医学進歩のための犠牲」である。
このシリーズの編者は古本関係の著作でも知られた山下武氏だが、
省4
521: 書斎魔神 ◆AhysOwpt/w 2009/04/05(日)16:24 ID:QF6ARKHT(1) AAS
岩本素白随筆集「東海道品川宿」を読んだ。
木山しょう平作品も再読中な俺だが、こちらの方はミステリという無粋な代物を好む
この板の連中には無縁な世界かと思う(w
素白翁の著書の方には、表題作の第9章相当部分が、紅楼としても知られた品川宿に
伝わる怪談の謎解きが書かれており、その上品にして素な文体を一読されたし。
永井荷風と比較した評が多く見受けられる素白作品だが、むしろ岡本綺堂好きに推したく思う。
両者の淡々としたストイックな語りは、かなり相通じるものあり。
しかし、この手のものを読むにつき、最近のミステリなどを読み狂っている人間が薄汚く見えて
さえ来るから不思議である。
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