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【腐女子カプ厨】巨雑6438【なんでもあり】 [無断転載禁止]©2ch.net (651レス)
【腐女子カプ厨】巨雑6438【なんでもあり】 [無断転載禁止]©2ch.net http://shiba.5ch.net/test/read.cgi/nanmin/1459819775/
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621: 名無し草 (スプッ Sd9f-G+K4) [] 2016/04/06(水) 14:10:37.33 d リヴァイと顔を合わせたのは次の月曜日だった。 「おはよう、エレン」 「おはようございます」 なんとなく気まずくて目を逸らしそうにもなる。無理矢理浮かべた笑顔がぎこちない。しかし首を傾げたのはミカサだけでリヴァイは特に気にしている様子もなかった。 「今日も寒いな」 「ええ、本当に」 白い息を吐きながら思わず空を仰ぐ。冷え切った空気と分厚い雲が流れる空に嫌でも冬の気配を感じてしまう。 今日はもしかしたら雪が降るかもしれない。朝の天気予報ではそんなことも言っていた。 リヴァイの格好は普段と変わりはなかった。マフラーを首元に巻いて口元は少し隠れている。 「風邪を引くなよ」 「大丈夫ですよ、オレそういうのは強いほうなんで」 ミカサの背を押し先に教室へ入るように促した。 先に来ていた他の子供たちと一緒に彼女はリヴァイに手を振り歩いていく。 ポケットから手を出して控えめに振り返すリヴァイの姿に自然と笑みが零れる。彼のこういう姿がエレンは好きだった。 「お前に風邪なんて引かれたら困るからな」 「そんな大げさな。大丈夫ですよ、ミカサは他の先生にもよく懐いていますから」 「あいつじゃない。俺が困るんだ」 そして向けられた瞳はミカサを見つめていたものとは変わっていなかった。 穏やかで優しい、父親の目をしている。 しかしエレンの瞳にはそうは映ってはいない。 どきりと心臓が一つ高鳴った。それを誤魔化す様に咳払いをした。 「おいおい、大丈夫じゃなかったのか?」 わざとらしく呆れたふりをするリヴァイが意地悪い。エレンは思わず彼を睨んでしまった。 「これは違いますよ、たまたまですから」とすぐに言い訳をしたが彼はあまり信用している様子はなかった。 「しっかりしてくれよ。お前がいないと、調子が狂うんだ。話し相手がいないと寂しいだろう?」 「それは……まあ、そうですけれども」 別によりにもよって自分じゃなくてもいいだろう。そういうことを言う相手は。 今日もリヴァイに調子を狂わされる。はあ、と大きく息をついた後エレンは冷たい空気を胸いっぱいに吸い込んだ。 これで少しは気分が落ち着けばいいのだが一向にその気配はない。 「……オレも、リヴァイさんがいなかったら寂しいんで。風邪なんて引かないでくださいよ」 http://shiba.5ch.net/test/read.cgi/nanmin/1459819775/621
622: 名無し草 (スプッ Sd9f-G+K4) [] 2016/04/06(水) 14:11:02.37 d 便乗して気持ちを伝えるとリヴァイは「俺のほうこそ大丈夫だ」と言って肩を竦めて笑う。 「俺が倒れたらミカサの面倒を誰が見るんだ?」 「その時はもちろんオレが、」 そこまで口にして慌ててエレンは口を閉じた。厚かましい態度を取ってしまった自分を彼は恥じる。羞恥で顔が赤くなってしまい、それを隠す様にエレンは俯いた。 「何もそこまでしなくたっていいんだぞ。自分のプライベートくらい大事にしろ」 リヴァイも気に障ったのだろうか。心なしか口調が強くなって叱られている心持になる。 「……でも、」 「本当に大丈夫だ。絶対にそんなことはないから」 ちらりと視線を上げるとリヴァイはマフラーを上げて口元を隠していた。 「……でも、何かあったら連絡してくださいね」 「ああ、『何か』あったらな」 言葉を強調するリヴァイにエレンは眉尻を下げる。 きっとリヴァイが言うのだからその「何か」はエレンの元に訪れることはないのだろう。 安堵しながらも自分を頼ってはくれないのか、と寂しさも感じてしまう。 何も起こらないことがもちろん一番なのだが、「何か」が起こって自分だけを頼って欲しいのに。 今でもリヴァイはエレンを頼ってくれているとは思うがそれ以上に、彼に必要とされたい。気持ちが報われないのならそれ程度の欲求は満たされてもいいはずだ。 今日は随分と時間があるようだ。リヴァイはまだ足を駅のほうへと向けようとはしない。エレンは自分の腕時計に目を落とした。 http://shiba.5ch.net/test/read.cgi/nanmin/1459819775/622
623: 名無し草 (スプッ Sd9f-G+K4) [] 2016/04/06(水) 14:11:06.16 d デジタル時計が表示している時間はそこまで悠長に構えていられる程の時間ではないように思える。 「いいんだ。今日は少しのんびりできるから」 エレンに聞かれる前にリヴァイは彼の抱いた疑問の答えを提示した。 「そうなんですか?」 「たまにはこういう日もあるんだよ」 「それならもっと家でくつろいでから来てもいいんですよ?」 一応園内では登校の時間帯というのは決まっている。 でも場合によってはその時間を過ぎての登校も認められているしリヴァイとミカサにも何度かそういったことはあった。 ミカサだって出来る限りリヴァイと一緒に過ごしていたいと思っているはずだ。 しかしリヴァイは首を振った。 「あまりだらだらしていると仕事に行く気が失せるからな」 「あー……それは分かります」 エレンにもその気持ちはよくわかる。 ぎりぎりの時間まで布団の中にいると起きる気力がなくなってしまうのはよくあることだ。 だから彼も極力早めに起きて無理矢理身体を起こすタイプだった。 どうやらリヴァイも同じらしい。 「それに今日はお前にも言いたいことがあったからな」 「は?」 素っ頓狂な声をあげてエレンは目を丸くした。 「再来週の土曜日、空いているか?」 瞬間、真っ白になった頭を強引に動かした。 週末に一緒に過ごす相手なんて元からいない。 わざわざスケジュールの確認なんてすることもなかった。 「えっと、空いています」 リヴァイの双瞳が柔らかく弧を描く。そんな些細な表情の変化にどきりとしてしまう。 「なら一緒に出掛けないか?ミカサが遊園地に行きたがっているんだ」 「もちろん構いませんが……その、オレも一緒でいいんですか?」 「ああ、お前と一緒がいいんだと」 リヴァイは少し困った様子にも見えた。もしかしたら珍しく駄々でもこねられたのか。 あまりそういったミカサの姿は考えられなかった。 断る理由なんてなかった。エレンは大きく頷いて笑って見せる。 ミカサを預かる以外の理由でリヴァイから声を掛けてもらったのはこれが初めてだ。 しかも休みの日に彼と会える。これが嬉しくないわけがない。 「それじゃあまた詳細は連絡する。付き合わせて悪いな、イェーガー先生」 「ッ、いえ。そんなことは……大丈夫ですから、」 http://shiba.5ch.net/test/read.cgi/nanmin/1459819775/623
624: 名無し草 (スプッ Sd9f-G+K4) [] 2016/04/06(水) 14:11:34.17 d こんな時に呼び方を変えるなんてずるい。動揺して口ごもってしまう。 駅に向かい立ち去ってしまったリヴァイの後ろ姿をエレンは見ることが出来なかった。 どきどきと心臓が五月蠅い。彼と一緒にいるといつもこんな調子だ。 ここまで心臓が早く動きっぱなしだったら、きっと自分は早死にしてしまうんじゃないんだろうか。 それよりも再来週はどんな服を着ていけばいいのだろう。 とりあえずミカサに会ったら他の子に言わないように口止めしないと。頭の中はぐちゃぐちゃになって混乱している。 リヴァイがいなくなった後も、他の園児たちが登校していたはずだったのだがそれ以降の記憶はあまり鮮明に残ることはなかった。 ***** 二週間後の土曜日なんてすぐにやって来てしまった。 迎えの時には一切その話題は出さなかったが、夜になってリヴァイから連絡が来た。 「土曜日の朝に家まで迎えに行く」とだけ簡潔に書かれた文面をエレンは何度も読み返してしまった。 日が変わっても夢じゃないのかと思いながらリヴァイとのトーク画面を開いて確認をする。 カレンダーに赤い丸まで付けてしまい、それを目にするたびに頬が緩んで仕方がなかった。 リヴァイにはやはり自分の気持ちはバレてしまっているのだろうか。でも好かれていると分かっていたらむしろ誘われなんてしなかっただろう。 リヴァイは決して男が好きだというわけじゃない。ただ娘のミカサが自分を好いているから誘っただけでそれ以上の意味はない。トーク画面やカレンダーを目にするたびに浮かれてしまう自分に対してエレンは何度もそう言い聞かせた。 そうだ、これはただのデートなんかじゃない。 ただの友人としての誘いだ。たったそれだけのこと。関係なんてものは何も進展はしないに決まっている。 「どうしたんだ?エレン」 煙草を吸いながらぼんやりとしているエレンに男が声を掛けた。彼はまだベッドの中だ。 シャワーを浴びた後も汚れたシーツの中に戻ってだらだらと寝転がっている。 エレンはその男の隣に並んでピロートークをするつもりにはなれなかった。椅子に腰掛けてだらしがない彼の様子を眺めていた。 「いや、別に」 冷たく言い放ちフィルターを噛みしめる。この前の週末にバーで出会った彼とは連絡先を交換していた。 http://shiba.5ch.net/test/read.cgi/nanmin/1459819775/624
625: 名無し草 (スプッ Sd9f-G+K4) [] 2016/04/06(水) 14:12:22.71 d これが二度目の逢瀬だ。明日はリヴァイとの約束の日だったが、その前に無性に人肌が恋しくなってしまって彼を呼んでしまった。 彼との相性は特別悪くはない。 どちらかといえば良いほうだが完璧という程でもない。溺れない程度に良い。 それくらいの相性のほうが身体だけの関係を続けるにはちょうどよかった。 彼の左手の薬指に指輪が嵌められていることに気付いたのは今日が初めてだった。 確か初めて出会った時には付けていなかったはずだ。 恐らくエレンがそこまで深い付き合いを求めてはいないと分かったから、開き直って堂々と既婚者であることを曝け出しているのだろう。 「一つ聞いてもいいか?」 「どうぞ?」 男はベッドの中で両手を広げる。 このまま飛び込んできても構わないと言っているようだったが、エレンはその誘いには乗らなかった。 短くなった煙草を灰皿に押し付けながら口の中に残った紫煙をエレンは吐き出す。 「奥さんには言っているのか?バイだってこと」 男にとってエレンの質問は予想外だったらしい。 ハトが豆鉄砲を食らったような顔を浮かべた。 広げた両手を下ろし彼は顎をこすった。 「言っていないよ。言えるわけがないじゃないか」 「一度も?」 「もちろん。俺は女だけじゃなくて男も好きだなんて言えないよ、彼女を愛しているんだから」 よくもまあ平気で浮気なんてしておいて「愛している」なんてさらりと言えたものだ。 呆れ果てるエレンに男は小さく笑った。悪びれる様子なんて全く見られない。 「大切に思っているんだ。彼女のことも、それに子供のことも。家庭は崩したくはない。でも結婚してからセックスレスになってね。だからこうやって火遊びしているってわけさ」 「……最低だな、アンタ」 思わず本音を呟いてしまった。 女ではなくて男を選ぶ理由はエレンでもわかる。男なら妊娠しない。 それに仲良くしていてもまさかセックスをしているなんてまずは思われない。 彼のような既婚者であれば尚更だ。 仕事先で出会った友人だとでも誤魔化していれば彼の奥さんは浮気だとは思わない。 男は怒らなかった。反省はしていないが、それくらいの自覚はあるようだ。カラカラを笑いながら「そうだな」と頷いていた。 http://shiba.5ch.net/test/read.cgi/nanmin/1459819775/625
626: 名無し草 (スプッ Sd9f-G+K4) [] 2016/04/06(水) 14:12:26.47 d 「でも君だって同じようなものだろう?本命がいるのに俺を利用するなんて」 うっかり片思いの相手がいることを話さなければよかった。 それにこんなやつと同類なんて思われたくはない。舌打ちを一つして顰め面を浮かべたが、エレンは言葉で否定をすることが出来なかった。 「悪い男だと思うか?」 上目遣いで彼を見上げる。自分よりも体格がいい男はこうされることが好きだというのはエレンの経験上分かっていることだ。 彼もそうだった。甘えているのだと勘違いをして気を良くしている。顔を近づけられてもエレンは拒まなかった。 瞼を閉じて彼からの口づけを受ける。舌を差し込んだ後、すぐに引っ込めて唇を開けば男の舌が口内にねじ込まれた。音を立てて舌を絡ませながらエレンは男の首に腕を回す。 体勢を変えて自分の身体の上に跨ってきた男の単純さにキスをしながら呆れてしまった。 「いや?むしろ魅力的だね、君のような男は」 キスを終えて男はエレンの顔の間近で厭らしく笑った。色っぽさなんて感じない。 ときめきなんて微塵も感じていなかったがエレンは不敵に笑って男の襟足を指先で触れた。 再び自分の身体に触れてくる大きな手のひらに身体を捩りながらエレンは快楽に身を任せようと瞼を閉じる。 浮かんでくるのはどうしてもリヴァイのことだ。行為中忘れようとしても彼の顔や声が浮かんできてしまう。 もしも男の手のひらが彼のものだったら。聞こえる息遣いがリヴァイのものだったら、そんな妄想の中にエレンは自分の意識を沈めた。 「ッ、」 思わず口にしそうになるリヴァイの名前を飲み込んでエレンは唇を噛みしめる。 それが快感を堪えている姿だと思った男はこちらを見上げながら、下半身に顔を埋める。 「はっ……アッ、」 わざとらしく立てられる水音を聞きながらエレンはリヴァイのことを考えてしまっていた。 男は自分と同じようにはならないのだろうか。エレンのペニスを舐めながら自分の妻のことを考えることはないのか。 子供への罪悪感だとか、そういうものは抱いたりしないのか。身体を捩りながらエレンは手を伸ばし、男の頭を押さえつける。 こちらを見上げた男にわざと吐息を荒げながら「もっと」と呟けば彼は喜んでいた。 http://shiba.5ch.net/test/read.cgi/nanmin/1459819775/626
627: 名無し草 (スプッ Sd9f-G+K4) [] 2016/04/06(水) 14:12:52.73 d 男はなんて単純な生き物なんだろうか――自分を含めてだが。 エレンは呆れながらもわざとらしく声をあげて善がって見せた。こういう時くらい楽しまないと。 「んっ、あっ……なあ、もっと……もっと強くしろよ」 年下の癖に生意気だと言われかねないが彼は別だ。 煽るような言い方をしたほうが彼は燃えるらしい。 お望みだといわんばかりにきつく吸い上げ、根元を擦る彼の愛撫にエレンはまた甲高い声をあげてシーツを掴む。 同類だとは言っていたがやはり彼は自分とは違った人間のようにしか思えなかった。 自分は彼のことだけを見つめることが出来ない。セックスにだって集中出来やしない。 どれだけ愛されてもその向こうにいるリヴァイのことしかエレンは考えられなかった。 歪む視界の向こうで自分を見下ろすリヴァイを想像しながらエレンは男の口の中で果てた。 END((ノ∀`)・゚・。 アヒャヒャヒャヒャ http://shiba.5ch.net/test/read.cgi/nanmin/1459819775/627
628: 名無し草 (ワッチョイ 53a2-G+K4) [sage] 2016/04/06(水) 14:13:19.50 0 つべのライオンホンマかわええ見飽きん http://shiba.5ch.net/test/read.cgi/nanmin/1459819775/628
629: 名無し草 (ワッチョイ 53a2-G+K4) [sage] 2016/04/06(水) 14:15:42.23 0 サンバビキニ着てもバレ来んならわいエガちゃんコスするで http://shiba.5ch.net/test/read.cgi/nanmin/1459819775/629
630: 名無し草 (ワッチョイ 9fbf-pU0W) [sage] 2016/04/06(水) 14:28:27.78 0 >>518 ハーレムものの主人公好きになる気持ちやな>総攻め厨 http://shiba.5ch.net/test/read.cgi/nanmin/1459819775/630
631: 名無し草 (ワッチョイ 371c-G+K4) [sage] 2016/04/06(水) 14:37:10.71 0 わい無知性コスするで! http://shiba.5ch.net/test/read.cgi/nanmin/1459819775/631
632: 名無し草 (ワッチョイ 53a2-G+K4) [sage] 2016/04/06(水) 14:52:38.42 0 >>631 tkbは絆創膏貼ってや http://shiba.5ch.net/test/read.cgi/nanmin/1459819775/632
633: 名無し草 (ワッチョイ 371c-G+K4) [sage] 2016/04/06(水) 15:07:45.56 0 >>632 あかんデカいやつ買って来な http://shiba.5ch.net/test/read.cgi/nanmin/1459819775/633
634: 名無し草 (スプッ Sd9f-G+K4) [] 2016/04/06(水) 15:08:52.80 d 「ファーランさん、いつもご苦労様」 「いえいえ! また何かあればご連絡ください」 顔なじみの美人受付嬢に労いの言葉をかけられ、笑顔で有名企業のオフィスを出た。 オフィス向けプリンターや複合機のメーカーの修理担当として、様々なオフィスに呼ばれるのが俺の仕事だ。 たまに変な客にあたったり、客の都合で深夜残業になったりすることもある。 それでも、平均的な給料がもらえて、週休2日。上司や同僚も気の良い奴が多い。 手先が器用で笑顔が爽やか(と自分では思っている)俺には、ぴったりの仕事だと思う。 「もしもし、主任ですか? 今、ESネットさんの修理終わりました。この後は……えぇ、はい。明日は直行で壁外出版さんの定期点検で……本当ですか? じゃあお言葉に甘えて! お疲れ様です!」 オフィスビルの入り口から少し逸れた場所で上司に終了の報告をすると、明日は得意先に直行と言うこともあり、機材を乗せた社用車でそのまま直帰して良いというお許しを得た。 まだ夕方の5時。車を家に置いて飲みに行くか……。 スマートフォンを胸ポケットに入れて、ウキウキ気分で駐車場へ向かおうとした時だった。 http://shiba.5ch.net/test/read.cgi/nanmin/1459819775/634
635: 名無し草 (スプッ Sd9f-G+K4) [] 2016/04/06(水) 15:09:33.70 d 「ファーランさん、いつもご苦労様」 「いえいえ! また何かあればご連絡ください」 顔なじみの美人受付嬢に労いの言葉をかけられ、笑顔で有名企業のオフィスを出た。 オフィス向けプリンターや複合機のメーカーの修理担当として、様々なオフィスに呼ばれるのが俺の仕事だ。 たまに変な客にあたったり、客の都合で深夜残業になったりすることもある。 それでも、平均的な給料がもらえて、週休2日。上司や同僚も気の良い奴が多い。 手先が器用で笑顔が爽やか(と自分では思っている)俺には、ぴったりの仕事だと思う。 「もしもし、主任ですか? 今、ESネットさんの修理終わりました。この後は……えぇ、はい。明日は直行で壁外出版さんの定期点検で……本当ですか? じゃあお言葉に甘えて! お疲れ様です!」 オフィスビルの入り口から少し逸れた場所で上司に終了の報告をすると、明日は得意先に直行と言うこともあり、機材を乗せた社用車でそのまま直帰して良いというお許しを得た。 まだ夕方の5時。車を家に置いて飲みに行くか……。 スマートフォンを胸ポケットに入れて、ウキウキ気分で駐車場へ向かおうとした時だった。 「おい、お前……?」 「え? あ……!」 呼びとめられて振り返ると、背が低く、目つきが鋭い、襟足を奇麗に刈り上げたスーツ姿の男が立っていて驚いた。 相手も驚いていた。 「ファーランか?」 「リヴァイ!」 こんなことを言うと頭がおかしいんじゃないかと言われそうだが…… 前世の仲間と再会した。 俺には前世の記憶がある。 中世のヨーロッパ風の世界で、なぜか人を襲う巨人がいるというファンタジックな前世だ。 俺もその巨人に食われて死んだ。 ……と言っても、巨人と戦ったのは死ぬ直前だけで、記憶のほとんどはスラム街のような場所でゴロツキをしていたことばかりだ。 明日はどうなるか解らない、必死に生きる毎日。 盗みや詐欺は何度したかわからない。 あまり良い記憶ではないが、前世に比べると今はなんと幸せなんだ、と現状に感謝できる。 それに、頼もしい仲間に出会ってからは前世の暮らしも悪くなかった。 その仲間というのが、リヴァイだ。 「再会を祝して!」 「乾杯」 http://shiba.5ch.net/test/read.cgi/nanmin/1459819775/635
636: 名無し草 (スプッ Sd9f-G+K4) [] 2016/04/06(水) 15:09:37.51 d 再会してから一時間後、俺は社用車を自宅近くの駐車場に置いて、リヴァイは一度オフィスに寄って仕事を済ませ、サーラリーマン御用達の半個室のチェーン店居酒屋でビールのジョッキをぶつけあった。 「あそこで会ったってことは、勤め先はESネットか?」 「あぁ……よろしくお願いします」 「ちょうだい致します」 サーラリーマンらしく名刺を差し出され、俺からも名刺を渡す。前世のリヴァイのことを考えるとおかしくて仕方がない。 「おー! すげぇ重役!」 渡された名刺は、今をトキメク国内……いや、世界最大手のショッピングサイトを運営するESネットの常務取締役の名刺だった。給料良いんだろうな……今日はこいつにおごらせよう。 「お前こそ、このメーカーなら安定していていいじゃねぇか。それに俺はESの社長に学生時代からついていただけだ。そうだ、社長はお前も知っている奴だぞ」 「俺が? 前世の知り合いってことか?」 「あぁ」 リヴァイは前世と同じ独特の持ち方でビールを煽り、妙に楽しそうに口の端を上げた。 ESネットの社長……あまりメディアに出ないが、確かESはイニシャル……ん? まさか。 「エルヴィン・スミス……?」 「そうだ」 「はぁぁぁぁ? お前、あいつと仲良いのかよ!?」 エルヴィン・スミスといえば、前世では敵……というと語弊があるが、仲間では無かったはずだ。それがなぜだ? 「お前が死んだ後、色々あったんだ。あいつは常人には考え付かないことを考えるやつだ。仲が良いというよりも、信頼に足る面白い奴だ」 「俺が死ぬ直前のリヴァイとは全然違う……大丈夫か? 俺がいなくなったからって騙されたんじゃないのか? その色々あった部分を教えろよ」 「あぁ、そうだな……あれからなかなか面白いことが多かった。当時はクソみてぇだと思っていたが……」 それから2時間ほど、4杯のビールと枝豆、たこわさ、刺身盛り合わせ、焼き鳥盛り合わせ、串カツ盛り合わせ、ピザを消費しながら俺が死んだあとの世界の話を聞いた。 話の内容にも驚いたが、リヴァイがよく食べるようになっていたのにも驚いた。 http://shiba.5ch.net/test/read.cgi/nanmin/1459819775/636
637: 名無し草 (スプッ Sd9f-G+K4) [] 2016/04/06(水) 15:10:03.56 d 「そうか……そんなことが。まさか巨人の正体が……」 「あぁ。俺の理解の範疇を超えていたから、説明も上手く出来ていない部分もあると思うが……だいたいはこんな感じだったな」 「そんな面白いことになっていたなら、もう少し生きていたかったな」 「……すまないファーラン。あの時、俺が選択を間違えなければお前もイザベルも死なずにすんだ」 それまで、前世と変わらず表情は堅いながらも楽しそうに話していたリヴァイが、急に声のトーンを落とす。 「おいおいおいおい! 何言ってんだリヴァイ! あの時、お前があの選択をしてくれて俺は嬉しかったんだ。 あの計画は、俺が一番乗り気で、リヴァイは俺に合わせてくれているだけだと思っていた。 でも、あの時お前が自分で選択して向かってくれたから……まぁ、悪くない最後だったぞ?」 「ファーラン……」 「ほら、そんなことよりもっと楽しい話題ないのか? そうだ! 俺が死んだあと、恋人とかできたのか?」 俺もリヴァイも、この世界ではもう平和で幸せなんだ。 前世のことは引きずって欲しくない……そう思って茶化すように話題を変えた。 内心、リヴァイに恋人はできていないだろうと思いながら。 「あぁ、できた」 「ふへ!?」 思わず変な声が出た。 http://shiba.5ch.net/test/read.cgi/nanmin/1459819775/637
638: 名無し草 (スプッ Sd9f-G+K4) [] 2016/04/06(水) 15:10:08.75 d リヴァイに恋人がいたことも、その恋人が男だったことも衝撃だが、それ以上の衝撃で、嬉しくて、ついついビールが進んだ。 「で、そのエレンちゃんとは再会したのか?」 「あぁ、半年ほど前に再会して、先週から同棲を始めたところだ」 5杯目のジョッキを空にしたリヴァイの頬が少し赤い。現世でも幸せなのか。安心した。 「……だが、リヴァイ、お前今何歳だ? 15歳年下に手を出したら犯罪だろ?」 「安心しろ。現代では俺が今32歳、エレンは7歳年下の25歳だ。来週の水曜で26歳になる。いくら手を出してもかまわねぇ」 思えば、俺もリヴァイもこの時点でかなり酔いが回っていたんだ。 「手、出してるんだな?」 「あぁ。当然だろう? 再会したのはゲイバーだったんだが、会ってその日に手を出した。あいつに記憶はなかったが、イイ場所も変わっていなくてな…… 前世の記憶を頼りに快感だけを与えまくってやった。セックスでメロメロにしてからゆっくり口説いているうちに、エレンも記憶を思い出して……今は前世のように恋人同士として、平和に仲良く暮らしている」 「おぉ! 体で惚れさせたってことか。男として尊敬するな。後学のためにそのテク伝授して欲しいくらいだ」 そして俺からソッチの話を振った。 煽った。 煽ってしまった。 「お前は器用だから俺が教えなくても大丈夫だろう? それに俺のテクはエレン専用だ。エレン以外の前立腺の場所なんて検討もつかねぇ」 「前立腺か。聞いたことあるな。風俗でもソウイウサービスしてくれる子、いるらしいし」 「エレンの前立腺は指で言うとこの辺りまで埋めて第一関節をこう…これで3〜4回押し上げてやればガン勃ちでガマン汁漏らすくらいにはなるな」 ジョッキの水滴で濡れた指をリヴァイがクイっと曲げる。ただ指を曲げただけなのに妙に卑猥だ。 「マジか……俺、最近自分で擦っても勃つのが遅くなってきて…前立腺調べてみるかな」 「あぁ、いいかもしれねぇな。だが、ゆっくり開発していかないと、なかなか快感は拾えねぇから焦るなよ?」 「わかった。でも、指はともかくチンコ入れるのは勘弁だな。つーか、リヴァイのチンコが入るケツ穴があるのに驚きだ」 着替えや水浴び、怪我の治療の時に見たリヴァイのモノは、男としては羨ましい長さと太さだった。 http://shiba.5ch.net/test/read.cgi/nanmin/1459819775/638
639: 名無し草 (スプッ Sd9f-G+K4) [] 2016/04/06(水) 15:10:36.86 d そう、先程から摘まんでいるこの極太茄子の丸ごと浅漬けと同じくらい太い。 「慣らせば入るもんだ。エレンの孔も何もない時はキレイに締まっているが、柔らかくほぐせばこのオニオンリングの外周くらいに広がって上手に咥えこみやがる」 ……よし、このオニオンリングと茄子の残りはリヴァイに食ってもらおう。 そんな事を考えていると、不意にスマホが鳴った。LINEの音声通話の着信音だ。 「……悪い、俺の方だ。出ていいか?」 「あ、あぁ」 そうか。リヴァイもスマホを持って、LINEを活用するのか……! しかも、キノコのマークで有名な人気機種の最新型。 前世ではどちらかと言うとあまり物を持たず、流行りものには疎かったから意外というか、おもしろいというか、変わったなというか何というか……。 「どうしたエレン? あぁ、大丈夫だ。そう聞いていたから今、外で飯を食っている」 電話の相手はエレンちゃんか。 7歳年下のかわいくてスタイルが良くて、ケツの穴がオニオンリングの外周くらい広がるエレンちゃんか。そうか。 「昔の友達と偶然再会して……そうだ。前に話したファーランだ」 ん? リヴァイの奴、エレンちゃんにも俺のことをちゃんと友達って……しかも以前に話していたなんて……そうか、俺そんなにリヴァイに……照れるな。 「あぁ、体調に気をつけてがんばれ。アルミンにも無理はするなと釘をさしておけよ」 エレンちゃんはまだ仕事中か? 25歳って言っていたし、リヴァイが好きになるくらいだからきっとやる気のある元気な子なんだろうな。 ビールをちびちび減らしながらスマホの先のエレンちゃんを想像していると、不意にリヴァイの頬の赤みが増す。 「あぁ、声が聞けて良かった。今日もお前の声は悪くねぇな」 はい、出ました。 リヴァイの「悪くない」! これはイコール「好き」「大好き」「最高」だ。 しかも、声が聞けて良かった? リヴァイはこんな甘いことを言う奴だったか? エロい下ネタはクソネタの延長で言いそうな気もしたが……おいおいおいおい、エレンちゃんはリヴァイにこんなことを言わせるほどかわいいのか???? 「待たせたな。話していたエレンからだ。仕事で遅くなるらしく……なんだ?」 「いや、なんでも」 思わず緩みまくる頬を無理やり引き締めて、首を振った。 http://shiba.5ch.net/test/read.cgi/nanmin/1459819775/639
640: 名無し草 (スプッ Sd9f-G+K4) [] 2016/04/06(水) 15:10:40.86 d 「そうだ、エレンちゃんは何をしている子なんだ? 会社員か?」 「あぁ。会社勤めだ。最近、エレンの友人が立ち上げた会社が忙しいらしく、そっちに転職したところで……あぁ、このスマホを作っている会社だ」 「は? これ、今一番人気のスマホだろ!? 国内シェア50%とかいう……!」 先ほど気になったキノコのマークのスマートフォンMash。 リヴァイのスマホは最新型だが、俺も一つ古い型を使っているし、周りもスマホといえばだいたいがこのシリーズだ。 「そうらしいな。ちなみにエレンの友人も、前世で調査兵団にいた奴だ。アルミン・アルレルトって言ってもわからねぇとは思うが」 「いや、アルミン・アルレルトは知っているが……」 先日も最新のタブレットの発表会の映像がニュースで流れていた。マークと似たキノコカットの髪型が特徴的な青年だ。 おいおい。調査兵団出身者は経営の才能もあるのか? 「すげぇなみんな……他に誰かすげぇことやってる奴いないのか?」 「そうだな……エレンの幼馴染で調査兵団にもいたミカサってやつが今年のオリンピックに出るな。あとは大食いタレントのサシャ・ブラウスもエレンの前世の同期だな」 知ってる。 二人ともよくテレビで見る。 「エレンちゃんの代、豊作じゃねぇか。二人とも可愛いし……俺たちの代はエルヴィン・スミスだけか? 情けねぇな」 「いや……そうだな……ミケはわかるか? ナナバ、ゲルガーと3人でトロスト区に料理屋を開いている。 先月発売のグルメガイドで星を獲得していたな」 「それってまさかビストロSUN−SUN……か?」 「あぁ。たまに食いに行くがなかなか美味い。今度お前も行くか?」 あのガイドでトロスト区唯一の三ツ星店じゃねぇか! 予約が全く取れない名店の! 「行く。連れて行け」 「あぁ。あいつらもお前に会いたがるだろう」 「あと、ハンジは研究者で……奴の話からは何をしているのかサッパリわからんが、今度イグノーベル賞に入るらしい」 「ハンジ? あぁ、あの眼鏡の……それは想像通りだな」 想像通り過ぎて逆につまらない。まぁ、俺の人生も面白いかと言われると困るが。 「お前の方は誰か再会していないのか? 特に地下街の奴らには、俺の方は全く会えてねぇんだ」 「俺は1人だけだな」 「誰だ?」 http://shiba.5ch.net/test/read.cgi/nanmin/1459819775/640
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