[過去ログ] 【腐女子カプ厨】巨雑6438【なんでもあり】 [無断転載禁止]©2ch.net (651レス)
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559: (スプッ Sd9f-G+K4) 2016/04/06(水)13:54 d AAS
スン、と鼻を鳴らしたミケに、即時復活を遂げたハンジが食いついた。

「そうそう! 特にペトラなんか女神って言われてるクリスタと張り合っちゃって、この間恋バナしてたよ!」
「恋バナ?」
「そ、恋愛話。まあリヴァイには縁がない…わけでもないか〜」

靴箱にラブレター入ってたりするもんねえ、とハンジは笑う。

「迷惑なだけだ」
「うわ、今の台詞で世の男子生徒を敵に回したよ?」
「知るか」

調査団の部室はそろそろだ。
省27
560: (スプッ Sd9f-G+K4) 2016/04/06(水)13:54 d AAS
「じゃあ、クリスタは彼氏欲しいな〜とか思わないの?」
「そんなもんいらねーよ! アタシがいるからな!」
「もう、ユミルったら」

ペトラが笑顔のままで固まった。
そのシュールさにクリスタとユミルは気づくことはなく、ペトラは自ら金縛りを解く。

「と、ところで。クリスタは『恋に落ちる音』ってどんな音だと思う?」

引き攣る口許を直したペトラが、改めて会話を再開させた。
クリスタは疑問を抱かず食いつく。

「素敵な言葉ですよね! 私の好きな曲にもその歌詞があるんです」
「確かに素敵よね。でもこれってどんな音なのか気にならない?」
省26
561: (スプッ Sd9f-G+K4) 2016/04/06(水)13:55 d AAS
リヴァイは眉を寄せる。       
「…『鯉が落ちる音』…?」
「ちょっ、リヴァイ。あなたそれ素なのww?」
ハンジがうっかり草を生やして吹き出した。
さすがにリヴァイ相手は不味いと思っているのか、ユミルは吹き出しそうな口を両手で押さえている。
グンタとエルドも顔を逸らし、オルオはさっさと舌を噛んだ。
クスリと笑ったペトラは、非常に堂々としている!

「違いますよ、リヴァイさん。『恋に落ちる音』です」
「そんな音があるのか?」
「マジボケかよ!」
省15
562: (スプッ Sd9f-G+K4) 2016/04/06(水)13:55 d AAS
(…きゅん…だと?)
口の当て布を下ろして振り返ってきた、三角巾姿のエレン。
(ドキン……だと…)
膝に立てた両手に顎を乗せて、膨れっ面をしていたエレン。

「あ、ハンジさんは一目惚れの音ってどんなだと思います?」
「一目惚れかあ。目が合ったときだから、やっぱり『バチッ』じゃない?」

目が合ったあの体育大会の日、そんな音が…。
(聴こえてない、聴こえてない、そんな音は…)
「まあ、でもさあ」
ハンジがひらひらと片手を振る。
省8
563: (スプッ Sd9f-G+K4) 2016/04/06(水)13:55 d AAS
私だって恋がしたいっ!
荒ぶり始めたペトラを宥めるエルドすら、気付かなかった。
                  
沈痛な表情で考える人になってしまったリヴァイの姿に。

(いや、待て。あいつは男だぞ?!)
馬鹿なところも可愛いが、と思ってしまってから、またも無限ループに陥る。
リヴァイのオーラがピンク混じりの不味い色になっていることに気づいても、グンタは我関せずを貫いた。
相変わらずオルオは舌を噛んで悶絶していて、調査団の部室は騒がしい。

「…なあ、アルミン。鯉がどうかしたのか?」

エレンがミカサとアルミンと共に部室を覗いても、まだ誰も気づかない。
省12
564: (スプッ Sd9f-G+K4) 2016/04/06(水)13:55 d AAS
え? ハイヒールについて、何か面白い話はないかって?
とあるブランド服メーカーの、靴のデザイナー室に勤めているってだけのオレにそれ聞く?
あー、ハイハイ、判ったよ。
んじゃ今から話すエピソードは、別に他言無用じゃねえけど自己責任でやれよ?
…下手したら本人様に削がれるからな。
どこをって? バカ、聞き流せよ。

で、ハイヒールな。
ここに話聞きに来るってことは、春と秋にあるコレクションは知ってるよな。
そのコレクション企画のときにだけ、アトリエに来るデザイナーがいるんだよ。
名前はリヴァイ・アッカーマンって言って、東洋の2世って言ってたかな。
省7
565: (スプッ Sd9f-G+K4) 2016/04/06(水)13:56 d AAS
これ、決定稿がターコイズブルーであって、最終版の試作はクリームイエローとオレンジのが別にあった。
そんで出来上がった2つの試作を持ち帰って、一晩考えて翌朝に自分の決定を全員に伝えて最終審査に入るんだ。
オレは思ったね。
「ハイヒールをじっくり眺めて決めるなら、アトリエでやっても同じじゃね?」って。
だから、恐れ多くもご本人に聞いてみたんだ。
「なんでわざわざ家に持ち帰るんですか?」ってよ。
…うっせ、同期にも「死に急ぐなバカ!」って散々言われたっての。
ああ、あと「死に急ぎは間に合ってるから戻ってこい!」とか言われたわ。
ある意味プライベートに関わる話なわけだろ?
オレ死ぬかも、ってさすがにちょっと思ったけどさ。
省17
566: (スプッ Sd9f-G+K4) 2016/04/06(水)13:56 d AAS
恋人っつーかな、あの人もう結婚してる。
正確に言うと恋人じゃなくて『パートナー』なんだけどな。
…うん、相手は男だ。
なんつーか、乱暴な表現になるけどキラッキラしてる子だな。
イケメンでモデル体型だけど、それよりも身の内から輝いてるってーの? そんな感じ。
もちろん訊いたさ。
「男性ならコレクション用デザインのハイヒールなんて履けませんよね?」って。
…だーから、死に急ぎ言うな!
そんでアッカーマンさん、オレの質問に当たり前だって言った後に、珍しく笑ってみせたんだよ。
                                            
省15
567: (スプッ Sd9f-G+K4) 2016/04/06(水)13:56 d AAS
…な?
 なんかキラッキラしてるだろ?
でさ、そのエレン君の足元見てみろ。
見たことある色とデザインしてねえか?
                  
ご名答。
この間の春夏コレクションで、うちが女性用で出したデザイン。
アッカーマンさんが担当したやつのな。
紳士靴でも出してたのかって? いいや、出してねえ。
あれはアッカーマンさんが、決定稿になったやつを紳士用にデザイン落とし込んだやつだ。
省9
568: (スプッ Sd9f-G+K4) 2016/04/06(水)13:56 d AAS
あー、うん。
アッカーマンさん居ないとこで、エレン君と話す機会あったんだけどさ。
その靴のこと聞いてみたんだ、去年だったかな。
コレクションと同じアッカーマンさんデザインの靴、贈られてどんな感じ? って聞いてみた。
そしたらまず苦笑してたよ。
そりゃあな…。

『どう見ても高そうじゃないですか…。タグには本革って書いてありますし。
初めはもちろん断りましたけど、すでに作って俺の手元にあるわけで、しかも俺しか履けないし』
『なんで仕方なく履いてたら、見る度にすっごい嬉しそうな顔してるんですよね…。こっちが恥ずかしいくらいに』
『しかもコレクション終わったと思ったら、また違うやつ作って持ってきますしね…』
省11
569: (スプッ Sd9f-G+K4) 2016/04/06(水)13:57 d AAS
 小さい頃に父親グリシャの部屋にあった写真集。
 今はもう実家のどこにあるかもわからない。
 空、街中、植物、動物…同じカメラマンの写真集がワンセットで置いてあった。
 医者であったグリシャの部屋は医学書ばかりが並び、海外の言葉で書かれた本も多く、どれを見ても当時のエレンには理解ができなかった。
 当時の、とは言っても今読んだところで、医学を専攻しているわけでもなければ、外国の言葉に強いわけでもない大学生のエレンには到底理解ができる内容でもない。
 読んでみたいともあまり思わないのが正直なところだ。
 そんな中で写真集は異彩を放っていた。並んだ背表紙からも小難しい医学書ではないことが簡単に見てとれる。
 グリシャの趣味とも思えないが、確かにそれはそこにあり、エレンはグリシャの不在時に父親の部屋に忍び込んではパラパラとページをめくって楽しんでいた。
 それは母親のカルラが病気で亡くなるまで続きカルラが亡くなった後は掃除や整理をする人間がいなくなったことで、いつのまにかその写真集は医学書の中に埋もれて見つけられなくなってしまった。
 この季節、時折吹く風はまだ冷たい。しかし日に日に気温はどんどん暖かくなって春の訪れを告げていた。
省12
570: (スプッ Sd9f-G+K4) 2016/04/06(水)13:57 d AAS
「な、なんですか……」
 なにかしただろうか。
 肩すらぶつかっていないはずだから、因縁をつけられる覚えもなければ物を落としたわけでもないだろう。
 男の目つきは鋭く、まるで睨まれているようだった。正直とても怖い。
「お前……、あ、いや、君……あなた……?」
 どれでもいい。男はできる限り丁寧な言い方を考えているのかもしれないが、無表情でそう言われても怖い印象は変わらない。
「はあ……、あの、ご用件は?」
 なかなかその先の言葉が出てこない男におそるおそる尋ねてみる。
 身長はエレンの方が高いのに男のオーラが威圧的でついつい縮こまってしまい、身を引こうにも腕は掴まれたまま、離してもらえそうもない。
「待て。怪しい者じゃない……怪しいだろうが、そこまで怪しくないから安心してほしい」
省13
571: (スプッ Sd9f-G+K4) 2016/04/06(水)13:57 d AAS
 思い出せたところで、モデルになるつもりがないエレンは今度はこの場をどうやって切り抜けよう考え出す。

「あー……じゃあ、考えます。考えるので、とりあえず離してもらえないですか?」

 試しに名刺を受け取って曖昧な返答をしてみせてみた。
 すると、思いの外すんなりと腕は解放されて自由になる。返事が決まったら連絡してほしいと告げられ、また曖昧に言葉を濁す。

「いい返事を期待している。返事が決まっていなくとも質問があれば何でも答えるから連絡してほしい」
「わかりました。ちょっと急ぐので今日はこれで、」

 名刺を鞄にしまい込んで頭を下げる。律儀にもリヴァイもまた頭を下げてくれた。
 終わってみれば因縁をつけられたわけでもなんでもない。
 キャバクラのキャッチに声をかけられたようなものだと頭を切り替えて、逃げるようにしてその場を離れた。
 万が一にでも後をつけられていたら困るので、時々振り返って後方を確認したがリヴァイの姿は遠くなる一方でそんな様子はない。良かった、助かった。
省13
572: (スプッ Sd9f-G+K4) 2016/04/06(水)13:57 d AAS
 混乱するエレンを置いて、リヴァイの顔写真が映っていた画面は次に彼の撮った過去の写真や写真集をスライドで流し出す。
 見たことのある写真だった。
 一部、エレンの知らない写真もあったが、出てくる写真のどれもがエレンの記憶にあるものばかりだ。
 忘れもしないし、間違えようもない。それはグリシャの部屋にあった写真集の写真だった。
(だからなんとなく聞き覚えがあったのか?)
 リヴァイについて調べもしなかったエレンはその事実に愕然とする。信じられない真実に頭がくらくらした。
 リヴァイは、怪しくないどころか好きだとも言える人物らしいことが分かる。
 ああ、でもこれで名前が分かったから写真集が買える。
 違う、自分はなんて失礼なことをしたんだ。でもあの場では仕方がない。
 いきなり写真を撮らせてくれなんて言われて警戒しないはずがない。あの写真集のカメラマンだなんて誰が思うか。
省12
573: (スプッ Sd9f-G+K4) 2016/04/06(水)13:58 d AAS
 物をひとつずつよけて探すとやがて角が折れてボロボロになり、雨水で茶色くシミができてしまったいるそれが見つかる。幸いにもまだ字は読める状態だった。

「良かった! あった!」

 両手でそれを取り上げて、指先で折れてしまった場所を伸ばす。そんなことしたって元の状態には戻らないことはわかっていても、そうせずにはいられなかった。
 ひと文字ずつ指でなぞる。
 自分がリヴァイの世界の中に入れるとは考えもしたことがなかった。
 似合うとも思えない。あれからもうひと月も経っているし、待っていると言われたのにエレンはリヴァイに連絡のひとつだってしなかった。
 考えるとごまかして、しっかりとした断りだってしなかったのに、好きな写真家だったというミーハーな理由で話を蒸し返されても困らせるだけだろう。
なんだこいつは、と嫌な印象を与えてしまうかもしれない。返事もしていない時点でもう充分嫌な奴だが。

「はぁ……、」

 大きなため息がエレンから漏れる。落胆していた。
省14
574: (スプッ Sd9f-G+K4) 2016/04/06(水)13:58 d AAS
 店主とウェイター、それぞれからいらっしゃいませと声をかけられたので会釈して、カウンター席へと座る。
 奥の客がどんな料理を頼んでいるのか気になって、メニューを開く前に横目で盗み見た。
「あっ!」
 しかしエレンの視界に飛び込んできたのはテーブルの上の料理ではなく客の顔だ。忘れもしない。
 あの顔、あの髪型。そこにはリヴァイが女性と対面して座っていた。
 声を出した時、リヴァイと目が合った気がする。
 通りすがりのようなものだったし、もしかしたらリヴァイはエレンのことを忘れているかもしれない。
 でも覚えていたら気まずいことこの上ない。
 急いでメニューを開いて、その中の文字列を追った。
 カタカナばかりの料理名でちっとも頭に入ってこない。流し見るようにしてページを次々とめくっているとあっという間に最後のページまできてしまった。もう一度最初のページに戻る。
省11
575: (スプッ Sd9f-G+K4) 2016/04/06(水)13:58 d AAS
「よう、覚えているか?」
「…………」             
「チッ、」
 緊張でなにも言えない。後ろを振り返ることすらできない。
 背中を丸めるとメニューにどんどん顔が近づいていき、もうすぐメニューとキスしてしまうそうだ。
 そんなエレンの気を知ってか知らずか、リヴァイはエレンの隣の椅子を引いてそこに腰かけた。
 体は完全にエレンの方を向いている。頬杖をついて、メニューとキスする五秒前のエレンをじっとりと眺めていた。
 怖い。最初に腕を掴まれた時の恐怖が蘇る。いや、今日はエレンに後ろめたいことがある分、初対面の時よりももっと怖い。
 こんなに怖い人があんな綺麗な写真を撮ってるだなんて詐欺だ。
「このひと月、ずっと連絡を待っていたんだがそろそろ待ちくたびれたな」
省13
576: (スプッ Sd9f-G+K4) 2016/04/06(水)13:58 d AAS
 小声で伝えると、リヴァイは知り合いだと言う店主にハンバーグのチーズ焼きとサラダ、ライス大と辛口のジンジャーエールを注文した。
 次いで、会計はリヴァイ持ちでいいと言い、自分用にグラスシャンパンを頼んでいる。
 奢ってもらう理由がないと慌てたエレンは会計は別にしてほしいと頼んだが、あえなく却下されてしまった。
 曰く、何の欲目もなしに奢るわけがない。下心があるに決まっているとのことだった。
「まだモデルは決まっていない。撮らせてくれ。その目が欲しい」
 睨むでもなく、ただ真剣に目と目を合わせてそんなことを言われると、口説かれているような気分になる。
 男同士なのに妙な気分になってしまいそうだ。
 改めて見るとリヴァイは整った顔立ちをしていた。
 背こそ低いが、欠点はそれくらいに思える。
 リヴァイと一緒にいた女性はエレンがメニューに沈んでいる間に本人の宣言通りに帰ってしまっていたようだ。
省9
577: (スプッ Sd9f-G+K4) 2016/04/06(水)13:59 d AAS
 頼んだグラスシャンパンが出される。合わせて、ジンジャーエールもエレンの前に置かれた。軽く乾杯をしてからひと口飲む。シュワシュワした炭酸で頭が冴えてきた。
 テレビを見た時はモデルを引き受ければ良かったと後悔したが、本当にエレンで良いのだろうか、と疑問がわく。
 当たり前だがエレンは一般人だ。どこにだっている大学生で、リヴァイはやたらと目を褒めてくれるけれどそれだって人より少し大きな釣り目というだけだ。
 目力が強いとはよく言われる。でも目が大きければそんなことは必然で、ほかにも似たような人はいるだろう。
 それどころか、もっと良い人だってたくさんいるはずなのだ。
 リヴァイがエレンを選ぶ理由がないように思えた。エレンでなければならない理由が、エレンには分からない。
 素人を使うより、プロを使ったほうが撮影も楽に進む。
 何より、自分がリヴァイの世界に紛れ込むことで、彼の世界が汚れてしまうんじゃないかと恐怖すら感じてしまった。
 すっかり怖じ気づいたエレンはそれを素直にそのまま伝える。
「……お待たせさせてしまったのに申し訳ないです」
省14
578: (スプッ Sd9f-G+K4) 2016/04/06(水)13:59 d AAS
 ピピピ! と調理場からタイマーが鳴っているのが聞こえる。
 頼んだ料理がそろそろ出来上がるのかもしれない。こんな状態で食べて味がわかるか不安だ。

「引き受けてくれないか」

 立ち上がって頭を下げるリヴァイにエレンはどうすれば良いのか真剣に考えた。
 教えていないので、リヴァイはエレンの名前も知らない。
 知り合ったばかりのおそらくかなり年下の男に告白をすることにどれだけ勇気と覚悟が必要だろうか。
 不思議と嫌悪感はなかった。
 エレンでなければならない理由もあった。
 断ろうと思った理由は自信がなかっただけ。
 嫌なことはハッキリと嫌だと言える人間だ。
省19
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