[過去ログ] 【腐女子カプ厨】巨雑6439【なんでもあり】 [無断転載禁止]©2ch.net (505レス)
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416: (スプッ Sd9f-G+K4) 2016/04/06(水)21:18 d AAS
 店員に通された席も前後左右に他の客が座っていることもなく、店の角席でちょうどよかった。
 リヴァイは紅茶を、エレンはレモンスカッシュを注文して、それぞれ何口か飲んでいる。
 いざ、告白するとなると少しばかり緊張する。リヴァイもこんな気持ちだったのだろうか。
 それとも先にエレンの気持ちもわからないまま告白したリヴァイはもっと緊張しただろうか。
 今から言うことがリヴァイを喜ばせる内容だといい。
 そもそもそうじゃなかったら、きっとエレンは気まずさに撮影を続けることはできない。
 だから、どうか。
「リヴァイさん、」
 テーブルの下、膝の上に置いた手のひらを握った。
 本当は目を見て伝えたいけれど、エレンにそこまでの勇気はない。
省21
417: (スプッ Sd9f-G+K4) 2016/04/06(水)21:19 d AAS
 エレンが顔を上げたのをきっかけに、リヴァイもやっとそのひと言を返した。
「嬉しい、と思う」
「本当ですか……!」
 テーブルに身を乗り出して、リヴァイに詰め寄る。
 気持ちが受け入れられた、リヴァイも同じ気持ちだった、とエレンの表情は明るくなった。
 一方でリヴァイはまだ信じられないものを見る目でエレンを見ていたが、両思いになったことが信じられないのだろうとごく自然にそう思った。
 それが、間違いだとは気づけなかった。
 さっきまでの緊張が嘘のようにエレンは途端に生き生きとし出す。
「オレも嬉しいです。リヴァイさんのこと好きになれて同じ気持ちになれて」
「ああ、……じゃあ、付き合うか。あー……それで、今日はこれが言いたかったのか?」
省12
418: (スプッ Sd9f-G+K4) 2016/04/06(水)21:19 d AAS
 目線より少し下にあるリヴァイの目を見る。抱きついてみてもいいだろうか。男同士だし、外だからまずいか?
 でもせっかく付き合いだしたんだから触れたい。
 別れの言葉を交わしてもエレンはうーんうーんと悩み、立ち去ることができなかった。
 ふう、とリヴァイが息を吐く。
 エレンの心情を察したリヴァイの腕がエレンの背に回って軽く引き寄せられた。ぽんぽんと背を叩かれる。
 熱い抱擁とまではいかなかったが、それはエレンの望んだものだった。
 わずかに触れるリヴァイの体は震えている。
「緊張する、な……」
「はは、らしくないですね」
「じゃあ、またな」
省8
419: (スプッ Sd9f-G+K4) 2016/04/06(水)21:19 d AAS
 今日まで会える予定はなく、代わりにエレンはメールや電話で会いたい気持ちを発散させた。
 おはよう、から始まり、おやすみなさいで終わる。
 なんでもないようなことでもリヴァイと共有したかったし、リヴァイはこれを聞いたらなんと言うだろうと反応が気になった。恋の力は大きい。
 電話はリヴァイからメールの返信がきた時にすかさずかけた。
 出られない時はメールしかできない旨のメールがエレンの着信の後に必ずある。律儀な人だ。
 メールの返信はだいたいが相槌ばかりで、なにかリヴァイから話題を提供することはない。
 電話でも同じだった。
 それでも話を聞いてくれるだけで嬉しい。
 改めて年齢を聞けばリヴァイはエレンの十歳も上だった。
 年が離れているので、当然同年代と接する時とは違うだろう。
省15
420: (スプッ Sd9f-G+K4) 2016/04/06(水)21:19 d AAS
「俺は部屋でもやることが多いからな。自分でできることは自分でやりたい。隣で仕事をされると同室になった奴が休めないだろう」
「オレはそんなこと気にしません」
「俺が気にする。お前はバイトとは言え、俺が撮らせてくれと頼みこんだモデルだ。VIP待遇を喜べ」
 付き合ってるのに、と続けようとした言葉は声になることはなかった。
 リヴァイが真剣にこの撮影に挑んでいることを知っていたし、不器用なリヴァイなりの気遣いを無碍にすることはできない。
 もしかしたら隣で眠れるかもしれない。いつもよりも長く一緒にいられるかもしれない。そう期待した心が少しだけ折れた。
(リヴァイさんは仕事だし、仕方ねえよな)
 一人で与えられた部屋に入る。一泊分の荷物なんてそう多くない。
 エレンはモデルなので、機材を準備することもなく、部屋へ入って持ってきたボストンバックをクローゼットに押し込んでしまえばやることがなくなってしまった。昼食の時間と指定された時間までまだ三十分もある。
 どうしようかと考えたが、特にやることも見つからず、結局携帯にダウンロードしていたアプリゲームでその三十分を潰した。
省13
421: (スプー Sd9f-G+K4) 2016/04/06(水)21:20 d AAS
マルロ大丈夫やろか
422: (スプッ Sd9f-G+K4) 2016/04/06(水)21:20 d AAS
 パジャマ用に持ってきたシャツとスウェットのズボンをはいて、スリッパを引っかける。部屋の鍵を持って、ドアを開いた。
 カードキー型のオートロックキーだから鍵を閉める作業はしなくてもいい。
 向かうはリヴァイの部屋。部屋番号は昼の間に本人に聞いている。
 行ってもいいかとは聞かなかったけれど、駄目だとも言われていない。
 少しくらい、行ってもいいだろう。
 コンコンコン
 リヴァイの部屋はエレンの部屋と同じ階の一番端だ。
 ズボンのポケットに持っていたカードキーを入れて手ぶらになったエレンはその部屋のドアをノックした。
「エレンです。今、大丈夫ですか?」
 声をかけるとこちらに近づく足音が聞こえて、ガチャリと鍵が外されドアが開く。
省27
423
(1): (スプッ Sd9f-G+K4) 2016/04/06(水)21:20 d AAS
 付き合ってから、エレンにとっては生まれて初めてのキスだった。
 ファーストキスはレモンの味、なんていうのは今はもう古いのか。レモンかどうかはわからなかった。わかる前に、離れてしまった。
 離したのはリヴァイで。
 唇が重なった瞬間、リヴァイは力づくでエレンの体を引きはがした。突き飛ばすにも近いそれにエレンはバランスを崩して一歩後ろへ下がる。
 なんだ。この反応は。これではまるで。
 ……その先は考えたくなかった。
「いきなりだったから、だ。もう少し自分を大切にしろ」
 ごく自然にリヴァイは袖口で唇を拭った。その腕は下ろされることなく、リヴァイの唇をエレンから隠してしまう。リヴァイも動揺していた。
 でもエレンはもっと意味がわからない。
 あからさまな拒絶に見えた。ぱちぱちと瞬きをして、表情がごっそりと抜け落ちる。
省16
424: (スプッ Sd9f-G+K4) 2016/04/06(水)21:20 d AAS
 カードキーを差して、ドアを開く。電気は消したまま一直線にベッドまで歩き、倒れ込むように横になった。
 もぞもぞとシーツにくるまる。
(本当は、気づいてた)
 でも、気づかないようにしてた。この一週間。
 都合よく、言い訳をつけて、見ない振りをしていただけだ。
 両思いだった、と喜んだのはつい最近。
(そういえば好きだとは言われなかった)
 付き合うか。と言われただけ。
 メールの返信も、電話も、思い描いていたようなものではなかった。
 テレビに映っていたカップルはもっと距離が近かった。
省20
425: (スプッ Sd9f-G+K4) 2016/04/06(水)21:20 d AAS
(今日もリヴァイさんは整った顔してるなぁ……)
 いっそ自分なんか撮らずにリヴァイをモデルにしたほうがいいんじゃないか。ああ、自分で自分を撮ることは無理か。もったいない。
 寝ぼけた頭で、エレンはそんなことを考えてふわりと笑った。
「幸せそうな顔をしているところ悪いが、そろそろ出ないと間に合わない」
リヴァイが布団にくるまったエレンを揺する。体が動くと頭が冴えてきた。
「……! え、あ、…………え? リヴァイ、さん?」
「おはよう、エレン」
 日が昇る前で外はまだ暗い。跳ね起きてベッドサイドの時計を確認すると時間は早朝の四時前だった。寝坊したかと思ったが、そこまで寝過ごしてもいない。
「な、なんでここに?」
「マスターキーを借りた。起きたらいつもメールが来るのに今日はなかったからな」
省7
426: (スプッ Sd9f-G+K4) 2016/04/06(水)21:21 d AAS
 着替えている間、リヴァイの視線はずっとエレンに向けられたまま。
 顔を洗って頭がハッキリしてきたエレンはそこでふとした違和感に襲われた。また気づいてしまった。決して気づきたくなかったのに、また。
(……好きな相手が目の前で着替えてたら多少はこう、なんか、むらっとくるよな、)
 エレンは水に濡れたリヴァイにドキドキしたことを思い出す。リヴァイは眉ひとつ動かさずにエレンが着替え終わるのを待っている。
 その姿はただのカメラマンだ。恋人ではない。
 なんの反応もされないということは、エレンを全く意識していないのだろう。
 一方通行になってしまったかもしれない気持ちの整理はまだつかない。
 だってまだ昨日気づいたばかりだ。しかもつき合ったのだって最近のこと。
 なにか、ほんの僅かにでもリヴァイが焦るような仕草をしてくれていたのなら、エレンはまだ信じることができるのだ。
 それなのに、思う通りにならない現実に奥歯を噛み締める。
省17
427: (スプッ Sd9f-G+K4) 2016/04/06(水)21:21 d AAS
 リヴァイのカメラがカシャカシャと連続して鳴った。
 その音が鳴り終わるとリヴァイはカメラから手を離す。

「一旦休憩にしよう」

 エレンにもその言葉は届いていたが、足がその場から動かなかった。なぜかは自分でもわからない。
 ただ、なんとなく。その場にしゃがみこんで、朝日できらきらと光る水面を見つめた。
 ひんやりと冷たい空気に包まれて、感じる太陽が暖かくて気持ち良い。
「寒かっただろう。風邪をひく」
 背後から誰かくる気配がして、上から声が降ってきた。
 振り返るとリヴァイがブランケットを持って立っている。
 それ以上言葉を発さずに前方に回り込んできたリヴァイは、地面に膝をついてエレンと視線の高さを合わせ、持っていたブランケットをエレンの肩にかけた。
省21
428
(1): (ワッチョイ 13b8-G+K4) 2016/04/06(水)21:21 0 AAS
>>312
風呂入ってたで
この場で状況を大きく動かせる存在といえばゆみうよな
土壇場で来てくれるとおもろいんやけど
429: (スプッ Sd9f-G+K4) 2016/04/06(水)21:21 d AAS
 キスされたことを疑問に思うよりも先に、リヴァイはあんな顔をしないと自分とキスもできないことに気づいてしまう。
 好きでもない男とキスするなんてエレンだって御免だ。
 絶対にしたくない。それをさせてしまったのは仕事のためか、昨晩の償いのつもりか。
 どちらにせよ、このキスでエレンは確信した。
(本当にもう、好きじゃないんですね)
 昨日思った通りだった。
 痛い痛いと心臓が悲鳴を上げている。
 なんで気づいてしまったんだろう。
 なんで好きになってしまったんだろう。
 リヴァイみたいな人に好きだと言われれば意識しないなんて無理だ。仕方ない。
省14
430
(1): (ワッチョイ 0bc8-RFax) 2016/04/06(水)21:21 0 AAS
>>412
なんか1回しかDLできないとか見た気がするんやけど
早売りの人は気をつけた方がええかもな
431: (スプッ Sd9f-G+K4) 2016/04/06(水)21:21 d AAS
 好き合ってもないのに、付き合う意味があるのかと考えて何度か別れましょうとメールを作成したけれど、送信することはできず、未送信のままエレンの携帯電話に溜まっていく。
(だって。付き合っていればまたオレを好きになってくれるかもしれない)
 そんなことあるわけない。この関係を望んだのはエレンだけだ。
 リヴァイは早く自由にしてあげなければならない。分かっているのに、できなかった。
 だからせめてリヴァイの気苦労が減るように。
 前よりも真剣に(前も真剣だったけれど)撮影に打ち込む。リヴァイとの距離は常に一歩あけた。
 そのことを意識した状態でいると、不意にリヴァイから近づいてきた時にビクリと体が跳ねてしまって、そういう時は大体、咳をして誤魔化す。
 エレンをモデルにして良かったと思われたくて。仕事の汚点にはしたくなかった。
 カメラマンとモデルの関係が拗れるといい写真を残すことは難しくなる。もうしてはいけないことをたくさんしてしまったから、これ以上は失敗できない。
 名前だけの『恋人』を見るたびに痛む胸に気づかないふりをして、自分の気持ちに蓋をした。
省14
432: (スプッ Sd9f-G+K4) 2016/04/06(水)21:22 d AAS
 いっそ嫌いになれれば楽になれるのにそれすらできず。
 ただ、心臓がズキズキ痛み、その痛みで意識を保っていた。

 最後の撮影は海浜公園で行われた。
 リヴァイからの指示はなく、公園の中を自由に回っていればいいとのことだったので、好き勝手に動くことにする。
 最初はこれでいいのかという戸惑いが強かったけれど、一時間もそれを続けていれば戸惑いも吹っ切れて一人の散歩を楽しむようになる。
 数時間、一応カメラを気にしてゆっくりとした動きで公園内をぐるぐる回り、最終的にたどり着いたのは浜辺だった。
 今日もまた晴天で風もなく、穏やかに波を打つ海が広がっている。
 海水浴の季節にはまだ早いので人もあまりいない。
「すっげーきれい!」
 元々海が好きだった。
省14
433: (スプッ Sd9f-G+K4) 2016/04/06(水)21:22 d AAS
 このタイミングで思いっきり笑顔でカメラを見たらきっと驚くに違いない。両手をパンパンと合わせて簡単に砂を落とした。
 そのままぐるん! となんの予告もなく、上半身を回して、横から写真と撮っていたリヴァイに向けて全開の笑顔を見せた。
 カシャカシャカシャカシャカシャ……
 何度もシャッター音が聞こえてきて、仕掛けたのは自分だったけれどそんなに撮られると恥ずかしくなる。
「そんなに撮らないでくださいよー!」
 カメラに両手の平を突き出して顔との間に遮りを持たせると、ようやくシャッター音が止まる。
 リヴァイの手からカメラが離れ、ネックホルダーにぶら下がって胸のあたりでぷらぷら揺れていた。
「どうしたんですか?」
 自然体の写真を撮りたかったのに、カメラ目線なんかしたから気に障ったのだろうか。でもそれならそれで注意されるはずだし、そもそもシャッターはあんなに切られることはない。
「お前……っ、その顔は反則だろ……」
省7
434: (スプッ Sd9f-G+K4) 2016/04/06(水)21:22 d AAS
 その言葉にエレンがはっと息を飲んでいる間に、少し離れた場所にいるスタッフに告げれば、スタッフからは歓声がわき上がる。
 口々に「お疲れさまです!」と言い、拍手が起きた。
 なんとも呆気ない終わり方だった。
 そうは思ってもリヴァイが終わりだと言えば撮影は終わりで、同時にエレンの役目も終わってしまう。
 その後、リヴァイは簡単なデータの確認、他のスタッフは機材の後片づけをしてから、都合のつく者全員で簡単に打ち上げに行くことになっている。
 先にそのことを聞かされていたエレンも参加する予定だった。
 ちなみに本打ち上げはまた後日あり、今日は一旦のお疲れ会といったところらしい。
 普段ならばやることがないエレンは先に帰宅となるも今日は暇を潰さなければならない。
 砂で汚れた手足を洗い、汗ふきシートで体を拭くとスッキリした。
 車には着替えも準備してあるので、スタッフに鍵を借りて空いた時間の内に着替えてしまう。大きなワゴン車で窓にはカーテンがかかっていた。
省14
435: (スプッ Sd9f-G+K4) 2016/04/06(水)21:22 d AAS
「おおー、めちゃくちゃいいね。モデル、エレンで大正解!」
「そうだな。あいつが引き受けてくれてよかった」
 外から聞こえてくる会話にエレンは嬉しくなった。
 リヴァイがエレンをモデルにして良かったと他者と話している。彼らはエレンがここにいることを知らない。つまり、これは本音だ。
 頑張って良かった。
 この言葉を聞けただけで満足できる。自然と口元に笑みが浮かんだ。傷つきすぎた心臓に鎮痛剤が打たれた。
「わたしのアドバイス通りにして良かったよね」
「…………」
「なにその間は。エレンが引き受けてくれたのってわたしのお陰じゃん!」
「……まあ、そうなんだが」
省21
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