[過去ログ] 【腐女子カプ厨】巨雑6439【なんでもあり】 [無断転載禁止]©2ch.net (505レス)
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339: (スプッ Sd9f-G+K4) 2016/04/06(水)21:02 d AAS
幸福の箱庭
by 黒繭
甲高い鳴き声と共に小さな影が飛び立った。その姿を大きな瞳に写した少年は空高く舞い上がろうとする一羽の小鳥をまるで追うようにして右手を掲げる。
その指先に触れたのは尾羽の滑らかな手触りではなく、冷たい無機質な感触。
いっぱいまで開かれた金翠色の双眸を、上から帳が下ろされるように影が覆う。まるで諭すみたいに、温かい手が両翼が生えていたはずの背中をゆっくりと撫で下ろした。
その手は優しくて、どこまでも安心を与えてくれるから、少年はどうしても眦から零れるものを止めることが出来なかった。
開いた本を片手に乗せ、文字の羅列をひたすら目で追っている金髪の少年と、難しい顔をして眉をひそめ、迷わせながらペンを走らせる暗褐色の髪の少年。
テーブルの角に斜め向かいに座った彼らはどちらも下を向いて、今やるべき事をただ黙って各々打ち込んでいる。
先に沈黙を破ったのは暗褐色の髪を持つ少年。
書き洩れがないか紙を上から下までざっと目を通した彼は、ふう、と短く息を吐いた後、持っていたペンをテーブルの上に置いた。
「アルミン、出来たぞ」
そう呼ばれた少年は、自分の名を綴る声に本から現実へと引き戻され、顔を上げてそちらを見る。
そしてお願いしますというように目の前に両手でスッと差し出されたその紙を受け取ると、目を走らせ出来たものを確認した。
右手にペンを持ち、まるをつけ、その下もまるをつけてチェックを入れたり、それからまるをつけ、直しを入れて、まるをつける。
正解の方が多いだろうか?そう思いながらも紙を渡した方の少年は、手を膝に置き、真剣な顔で相手の次の言葉を待った。
「凄いよエレン、この前より断然出来るようになってる」
「そ、そっか!良かった」
その言葉にやっと緊張が解れた様子で、エレンと呼ばれた少年は採点が終わるまでの間に溜め込んでいた息をやっと吐き出し、少しの笑みを浮かべる。
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