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【腐女子カプ厨】巨雑6439【なんでもあり】 [無断転載禁止]©2ch.net (505レス)
【腐女子カプ厨】巨雑6439【なんでもあり】 [無断転載禁止]©2ch.net http://shiba.5ch.net/test/read.cgi/nanmin/1459925027/
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371: 名無し草 (ワッチョイ f395-imw8) [sage] 2016/04/06(水) 21:09:17.30 0 >>363 医龍ってキャラがどんどん童顔化しとらんかった? http://shiba.5ch.net/test/read.cgi/nanmin/1459925027/371
372: 名無し草 (スプー Sd9f-G+K4) [sage] 2016/04/06(水) 21:09:21.15 d >>368 しーっ! http://shiba.5ch.net/test/read.cgi/nanmin/1459925027/372
373: 名無し草 (スプッ Sd9f-G+K4) [] 2016/04/06(水) 21:09:41.86 d 「まあまあ、1年生諸君の気持ちはよーく分かるよ。でもね、今年の調査団の活動方針は、顧問の先生がいないと決定も履行も出来ないんだ」 「…アルミン、りこうって何だ?」 「実行するってことだよ」 「へえ」 「そういえば、調査団の顧問って誰なんですか?」 「エルヴィンだよ」 「エルヴィン先生?」 3年生の学年主任をしている教師は、エレンたちも知っている。 彼の授業は週に1度しかないが、とても分かりやすいしキースと違って話しやすい。 「秘密裏の部活だからさ、顧問として活動するのは私たちよりもっと大変ってことだよ」 「へえ…」 そうなんだ、と1年生たちの顔が納得に変わったところで、リヴァイが舌打ちをした。 「チッ、喋ってねえでさっさとやるぞ。時間は有限なんだ」 どうせ今日も、エルヴィンは来ないだろう。 その意見にはハンジたちも同意であったので、文句は言わない。 「エルドたちは部室と隣の空き部屋だ。ハンジとミケはガキ共を倉庫に連れてけ。…エレン、お前はこっちだ」 「えっ?」 ハンジの後を追おうとしていたエレンは、なぜか呼び止められて目を丸くした。 「俺…ですか?」 「そうだ、お前だ。俺の掃除を手伝え」 首を傾げながらもリヴァイに着いていこうとしたエレンの腕を、ミカサが掴む。 「待って、1人ではきけ…危ない。私も行こう」 「…ミカサ。危険も危ないも同じ意味だよな?」 言い換えれてないぞ、というエレンにしてはずれていないツッコミを、彼女はスルーした。 「リヴァイ先輩。エレン1人では大変なので、私も手伝います」 「いいや。お前は倉庫だ」 「! なぜですか?!」 人数が多い方がと食い下がるミカサに、リヴァイは犬を追い払うように手を振る。 「俺もやるんだ。それに狭い部屋に人数はいらねえ」 ミカサはぐっ、と唇を噛んだ。 深刻そうな空気だが、中身は掃除の組分けの話である。 埒が明かない、とエレンはミカサの両肩を掴んだ。 http://shiba.5ch.net/test/read.cgi/nanmin/1459925027/373
374: 名無し草 (スプッ Sd9f-G+K4) [] 2016/04/06(水) 21:10:12.86 d 「ミカサ。お前にはお前の役目がある。子供みたいな駄々こねてんじゃねえ!」 君たちも子どもだよ、というツッコミを飲み込んだハンジは偉かった。 エレンに真正面から諭され、彼女はようやく頷く。 「…分かった。終わったらすぐに行く」 「おう」 「おい、話が終わったならさっさと行くぞ」 「はい!」 先に歩き始めたリヴァイを追い掛けるエレンを、ミカサはいつまでも見送っていた。 「……これ、掃除の話だよな?」 ジャンの呟きは誰にも拾われなかった。 リヴァイが向かった先は、元は職員の宿直室らしかった。 簡単な調理場と調理器具や食器があり、来客用なのか仕切りのない隣には小さめの応接室。 「旧校舎にこんな部屋が…」 「俺たちしかいないからな。勝手に使わせてもらってる」 さて、とリヴァイは掃除専用スタイルへと切り替える。 要するに、埃避けのバンダナとマスク代わりの布を付け、ハタキを装備した状態のことだ。 「うぇっ、リヴァイさんいつの間に」 「おい。てめぇもさっさと着替えろ」 「いや、着替えるったって…」 それ大掃除の格好じゃ…と言い掛けたエレンを、まさかとリヴァイが睨み上げる。 「エレンよ…掃除を舐めんじゃねぇぞ」 ピシッとその両手に張られた白い布。 鋭すぎる眼光に、エレンは思わず悲鳴を上げた。 「躾直してやる」 「ヒッ?!」 掃除は上から。 面倒でも物を避けながら。 「うぅ…何なんです、これ」 「なんだも何も、掃除のための正式なスタイルだろうが」 「掃除に正式スタイルって何…」 どうにも心地の悪い頭の三角巾を直して、エレンはリヴァイを振り返る。 「ていうかここ、十分綺麗じゃないですか…」 「ぁあ? 何言ってやがる」 この埃が見えねえのかと凄もうとしたリヴァイは、エレンを見るなり固まった。 ちょうど口許の布を下ろしたところであったエレンは、目を見開いているらしいリヴァイに首を傾げる。 「リヴァイさん?」 「……………何でもねぇ」 たっぷり数秒を使って顔を背けたリヴァイは、さっさと続きをしろと言っただけだ。 (どうしたんだ?) http://shiba.5ch.net/test/read.cgi/nanmin/1459925027/374
375: 名無し草 (スプッ Sd9f-G+K4) [] 2016/04/06(水) 21:10:17.02 d まあ、掃除が終わらなければ他のことはさせてくれないようなので、大人しく従う。 リヴァイはハタキに意識を戻したエレンを盗み見て、内心で頭を抱えた。 (どういうことだ…可愛いってなんだ可愛いって!!) そう、リヴァイは口の当て布を下ろして振り返ってきた三角巾姿のエレンを、あろうことか『可愛い』と思ってしまったのである。 (待て…あいつは男だろうが! 確かに可愛い顔をしてるが!) …と言い訳を脳内で叫んで、再び自分の思考に絶望した。 (おい…可愛いって顔ならやつの馴染みだというきのこ頭の方が…いや、あれも男だ。クリスタって女のことを言うんじゃないのか) しかしクリスタの姿を思い返してみて。 (エレンの方が可愛いだろうが!) と、セルフツッコミのち絶望というコンボを自ら喰らう。 器用な男だ。 「リヴァイさーん?」 悶々としているリヴァイをエレンが呼んだ。 「こっちの棚終わりましたけど…」 「…分かった。確認する」 (人には手ぇ止めるなって言っといて、リヴァイさんの手の方が止まってんじゃん) ムッと頬を膨らませて、エレンはぼすりとソファへ座る。 他の誰かがやろうものなら「掃除中だ」とか「埃が立つ」とハリセンを飛ばすところだが、今回のリヴァイは違った。 (クッソあざとい!!!) 先ほどうっかりどきゅんとキたかもしれない、掃除スタイルのエレン。 そのエレンが同じ格好でソファに座り、膝に立てた両手に顎を乗せて膨れっ面をしているのである。 そのまま叫びそうな声を深い溜め息に変え、リヴァイは掃除の終了を告げた。 「まったくなってねぇが、今日はもういい。倉庫を手伝ってこい」 「? 分かりました」 釈然としないながらも、エレンは立ち上がる。 「その掃除スタイル用の三角巾はお前にやる。どうせ倉庫でも汚れるしな」 「はあ…ありがとうございます…?」 首を傾げるエレンに、なぜ首を傾げるのか尋ねたいのはリヴァイの方だ。 エレンが部屋を出ていけば、部屋の中は一気に静かになる。 (なんだってんだ畜生…) ソファへどかりと腰掛け、2度目の深い溜め息を吐く。 そこがエレンの座っていた箇所だなんて自覚はリヴァイにはなく、彼は片手にハタキを握り締めたまま考える人になっていた。 シュールである。 http://shiba.5ch.net/test/read.cgi/nanmin/1459925027/375
376: 名無し草 (スプッ Sd9f-G+K4) [] 2016/04/06(水) 21:10:42.16 d スン、と鼻を鳴らしたミケに、即時復活を遂げたハンジが食いついた。 「そうそう! 特にペトラなんか女神って言われてるクリスタと張り合っちゃって、この間恋バナしてたよ!」 「恋バナ?」 「そ、恋愛話。まあリヴァイには縁がない…わけでもないか〜」 靴箱にラブレター入ってたりするもんねえ、とハンジは笑う。 「迷惑なだけだ」 「うわ、今の台詞で世の男子生徒を敵に回したよ?」 「知るか」 調査団の部室はそろそろだ。 「じゃあ、クリスタは彼氏欲しいな〜とか思わないの?」 「そんなもんいらねーよ! アタシがいるからな!」 「もう、ユミルったら」 ペトラが笑顔のままで固まった。 そのシュールさにクリスタとユミルは気づくことはなく、ペトラは自ら金縛りを解く。 「と、ところで。クリスタは『恋に落ちる音』ってどんな音だと思う?」 引き攣る口許を直したペトラが、改めて会話を再開させた。 クリスタは疑問を抱かず食いつく。 「素敵な言葉ですよね! 私の好きな曲にもその歌詞があるんです」 「確かに素敵よね。でもこれってどんな音なのか気にならない?」 気にならない、わけでもなかった。 「うーん、心臓が鳴る音だとしたら、ドキン?」 言ったクリスタを、ユミルが後ろからぎゅうぎゅうと抱き締める。 「うっわ可愛い! アタシはそんなクリスタにキュンってするな!」 ペトラは笑顔のまま固まりかけたのを阻止した。 「『ドキン』と『キュン』ね。あり得そうだわ…」 「何か可愛らしいものが落ちる音なら、『コトン』とかじゃないか?」 唐突なエルド参戦。 それをペトラとクリスタは許した。 「一理あるわね」 「あっ、一目惚れなら目が合った音とか!」 「それどんな音だ?」 「え、えっと…ばちん?」 まるで火花だ、頬を張られた音だと笑ったところへ、不機嫌な声が割り込む。 「おい、てめぇら。調査団の活動は静かにやれと言わなかったか?」 「リ、リヴァイ先輩!」 ガラリと調査団部室の扉を開けると、まさに噂をしていたペトラとクリスタ http://shiba.5ch.net/test/read.cgi/nanmin/1459925027/376
377: 名無し草 (スプッ Sd9f-G+K4) [] 2016/04/06(水) 21:10:46.26 d 「じゃあ、クリスタは彼氏欲しいな〜とか思わないの?」 「そんなもんいらねーよ! アタシがいるからな!」 「もう、ユミルったら」 ペトラが笑顔のままで固まった。 そのシュールさにクリスタとユミルは気づくことはなく、ペトラは自ら金縛りを解く。 「と、ところで。クリスタは『恋に落ちる音』ってどんな音だと思う?」 引き攣る口許を直したペトラが、改めて会話を再開させた。 クリスタは疑問を抱かず食いつく。 「素敵な言葉ですよね! 私の好きな曲にもその歌詞があるんです」 「確かに素敵よね。でもこれってどんな音なのか気にならない?」 気にならない、わけでもなかった。 「うーん、心臓が鳴る音だとしたら、ドキン?」 言ったクリスタを、ユミルが後ろからぎゅうぎゅうと抱き締める。 「うっわ可愛い! アタシはそんなクリスタにキュンってするな!」 ペトラは笑顔のまま固まりかけたのを阻止した。 「『ドキン』と『キュン』ね。あり得そうだわ…」 「何か可愛らしいものが落ちる音なら、『コトン』とかじゃないか?」 唐突なエルド参戦。 それをペトラとクリスタは許した。 「一理あるわね」 「あっ、一目惚れなら目が合った音とか!」 「それどんな音だ?」 「え、えっと…ばちん?」 まるで火花だ、頬を張られた音だと笑ったところへ、不機嫌な声が割り込む。 「おい、てめぇら。調査団の活動は静かにやれと言わなかったか?」 「リ、リヴァイ先輩!」 ガラリと調査団部室の扉を開けると、まさに噂をしていたペトラとクリスタ、ついでにユミルたちもいた。 不機嫌オーラ全開のリヴァイの後ろから、ハンジとミケも顔を出して部室を見回す。 何の話してたの? と続けるハンジに、ミケがスン、と鼻を鳴らした。 「甘い話だ」 「え、空気甘いの?」 ハンジも真似して嗅いでみるが、さっぱり判らない。 「甘い…ああ、かもしれないですねえ」 ユミルは相変わらずクリスタを抱き締めながら答えた。 「『恋に落ちる音はどんな音なのか』っていう話をしていたんです」 爽やかなクリスタのその笑顔こそが恋だと、ライナーなら言ってのけそうだ。 http://shiba.5ch.net/test/read.cgi/nanmin/1459925027/377
378: 名無し草 (スプッ Sd9f-G+K4) [] 2016/04/06(水) 21:11:13.24 d リヴァイは眉を寄せる。 「…『鯉が落ちる音』…?」 「ちょっ、リヴァイ。あなたそれ素なのww?」 ハンジがうっかり草を生やして吹き出した。 さすがにリヴァイ相手は不味いと思っているのか、ユミルは吹き出しそうな口を両手で押さえている。 グンタとエルドも顔を逸らし、オルオはさっさと舌を噛んだ。 クスリと笑ったペトラは、非常に堂々としている! 「違いますよ、リヴァイさん。『恋に落ちる音』です」 「そんな音があるのか?」 「マジボケかよ!」 リヴァイが恋愛事に興味がないことがよく分かる。 一頻り笑ったハンジが話に加わった。 「あれだね、よく歌詞にあるやつだろう? その音がどんな音かって話かな」 「そうなんです。候補が幾つか出ていて」 クリスタが指折り数える。 「まずは『ドキン』で、似たような形で『ドキッ』もそうかなって」 「ふんふん、なるほど。漫画とかでもよくある表現だよね」 控えめな『トクン』とかもありかな! と思い付いたハンジに、ペトラがおおっ! と身を乗り出す。 「『トゥンク…』ってやつだな? 少女漫画定番の!」 ユミルがケラケラと笑い、謎の擬音祭りが始まった。 「さっき言ってたんですけど、よくあるのはやっぱり『きゅん!』ってやつですよね!」 「あー、あるある! 私は巨人ちゃん見てるときゅんきゅんするなあ!」 「「「いえ、それはないです」」」 一斉に否定されても、ハンジはえぇー、と唇を尖らせるだけで凹みはしない。 リヴァイは1人考えていた。 http://shiba.5ch.net/test/read.cgi/nanmin/1459925027/378
379: 名無し草 (スプッ Sd9f-G+K4) [] 2016/04/06(水) 21:11:17.12 d (…きゅん…だと?) 口の当て布を下ろして振り返ってきた、三角巾姿のエレン。 (ドキン……だと…) 膝に立てた両手に顎を乗せて、膨れっ面をしていたエレン。 「あ、ハンジさんは一目惚れの音ってどんなだと思います?」 「一目惚れかあ。目が合ったときだから、やっぱり『バチッ』じゃない?」 目が合ったあの体育大会の日、そんな音が…。 (聴こえてない、聴こえてない、そんな音は…) 「まあ、でもさあ」 ハンジがひらひらと片手を振る。 「『ドキドキ』も『キュンキュン』も、すでに恋してる音だよねえ」 てことは、私はいつでも巨人ちゃんに恋してるってことだね! 知ってた! 騒ぐハンジに、ユミルも改めてクリスタの頭を撫でる。 「アタシもいつだってクリスタに恋してるぜ!」 「もう、ユミルったら」 三様に花を飛ばす彼女らに、ペトラは今度こそ口許を引き攣らせた。 「わ、私だって…!」 http://shiba.5ch.net/test/read.cgi/nanmin/1459925027/379
380: 名無し草 (ワッチョイ 0bc8-RFax) [sage] 2016/04/06(水) 21:11:22.26 0 >>367 ラウクラにあるで? http://shiba.5ch.net/test/read.cgi/nanmin/1459925027/380
381: 名無し草 (スプッ Sd9f-G+K4) [] 2016/04/06(水) 21:11:42.56 d 私だって恋がしたいっ! 荒ぶり始めたペトラを宥めるエルドすら、気付かなかった。 沈痛な表情で考える人になってしまったリヴァイの姿に。 (いや、待て。あいつは男だぞ?!) 馬鹿なところも可愛いが、と思ってしまってから、またも無限ループに陥る。 リヴァイのオーラがピンク混じりの不味い色になっていることに気づいても、グンタは我関せずを貫いた。 相変わらずオルオは舌を噛んで悶絶していて、調査団の部室は騒がしい。 「…なあ、アルミン。鯉がどうかしたのか?」 エレンがミカサとアルミンと共に部室を覗いても、まだ誰も気づかない。 中を指差しながら尋ねたエレンに、アルミンは苦笑する。 「いや、エレン。魚の鯉じゃなく」 「裏庭の池に、巨大な鯉がいたらしい。そんな話をしている」 アルミンの言葉を遮り、ミカサが強引に続けた。 「へえ、すっげえな。釣れたらサシャが喜びそうだな!」 「ダメだよ。鯉は寄生虫がいっぱいいるんだから」 「えっ、そうなのか?」 「そう。エレンに近づけるわけにはいかない」 ミカサの強引な言葉の意味に気づいたアルミンは、いろいろと察して顔を青くした。 エレンはふぅん、と感心するばかり。 調査団の本日の活動ーーーなし。 解散! http://shiba.5ch.net/test/read.cgi/nanmin/1459925027/381
382: 名無し草 (スプッ Sd9f-G+K4) [] 2016/04/06(水) 21:11:47.21 d え? ハイヒールについて、何か面白い話はないかって? とあるブランド服メーカーの、靴のデザイナー室に勤めているってだけのオレにそれ聞く? あー、ハイハイ、判ったよ。 んじゃ今から話すエピソードは、別に他言無用じゃねえけど自己責任でやれよ? …下手したら本人様に削がれるからな。 どこをって? バカ、聞き流せよ。 で、ハイヒールな。 ここに話聞きに来るってことは、春と秋にあるコレクションは知ってるよな。 そのコレクション企画のときにだけ、アトリエに来るデザイナーがいるんだよ。 名前はリヴァイ・アッカーマンって言って、東洋の2世って言ってたかな。 どんなって…うーん、目つきめっちゃ怖くて背が低い。 まあ、その辺と人種の話で馬鹿にすると完膚なきまでに叩き潰されるけどさ。 …察しろ、話さねえよこれは。 んで、そのアッカーマンさんな。 靴のデザイナーなんだけど、自分担当のデザイン試作で最終版になると、必ず違うカラーリングで2足分作らせるんだ。 例えばこのハイヒール。 ターコイズブルーのグラデーションとシルバーのリボン彫刻だろ。 http://shiba.5ch.net/test/read.cgi/nanmin/1459925027/382
383: 名無し草 (スプッ Sd9f-G+K4) [] 2016/04/06(水) 21:12:12.32 d これ、決定稿がターコイズブルーであって、最終版の試作はクリームイエローとオレンジのが別にあった。 そんで出来上がった2つの試作を持ち帰って、一晩考えて翌朝に自分の決定を全員に伝えて最終審査に入るんだ。 オレは思ったね。 「ハイヒールをじっくり眺めて決めるなら、アトリエでやっても同じじゃね?」って。 だから、恐れ多くもご本人に聞いてみたんだ。 「なんでわざわざ家に持ち帰るんですか?」ってよ。 …うっせ、同期にも「死に急ぐなバカ!」って散々言われたっての。 ああ、あと「死に急ぎは間に合ってるから戻ってこい!」とか言われたわ。 ある意味プライベートに関わる話なわけだろ? オレ死ぬかも、ってさすがにちょっと思ったけどさ。 訊いたとき、アッカーマンさんびっくりしてた。 どんな美女に言い寄られても鉄壁な無表情のあの人が、なんか目ぇ丸くしてたし。 驚いたからか珍しかったからか、休憩時間に答えてくれたよ。 …先に言っとく。 そのコーヒー、零すんじゃねえぞ? あの人こう言ったんだよ。 『恋人に似合う方を選ぶためだ』 …ってよ。 っぶねえ?! だから零すなって言ったんだろが!! 大丈夫か? そ、ならいいや。 コレクションは時流を作るから、いろんな人間が知恵と予測を持ち寄ってデザインとかを決める。 もちろんアッカーマンさんもそれを元にデザインを作る。 けどあの人の中では、最終的にはいつも『恋人に似合う方』を選ぶのが正しいんだとさ。 あー、はいはい。 気持ちは分かるよ、ゴチソウサマってやつな。 でもまだ終わりじぇねえよ? http://shiba.5ch.net/test/read.cgi/nanmin/1459925027/383
384: 名無し草 (スプッ Sd9f-G+K4) [] 2016/04/06(水) 21:12:16.79 d 恋人っつーかな、あの人もう結婚してる。 正確に言うと恋人じゃなくて『パートナー』なんだけどな。 …うん、相手は男だ。 なんつーか、乱暴な表現になるけどキラッキラしてる子だな。 イケメンでモデル体型だけど、それよりも身の内から輝いてるってーの? そんな感じ。 もちろん訊いたさ。 「男性ならコレクション用デザインのハイヒールなんて履けませんよね?」って。 …だーから、死に急ぎ言うな! そんでアッカーマンさん、オレの質問に当たり前だって言った後に、珍しく笑ってみせたんだよ。 『履けなくても似合うかどうかは分かる』ってよ。 おい、おい、机叩くんじゃねーよ、やかましい。 『すえながくばくはつしろください』? なんだその呪文? オレもその続き聞いて居た堪れなくなったけどよ…。 『あいつの足元に1足ずつ置いてじっくり見て、その次はあいつに片方だけ持たせるんだ』 『シンデレラの硝子の靴みてぇにな』 …っ、そうだよ! 惚気に使われたんだよオレはっ!! 右か左かどっちかの靴だけそのパートナーに持たせて、絵になる方を選ぶってこったよ!!! もう、マジで居た堪れなくてオレバカだったわ…ほんと走り去りたかった。 あっ! おいこら待て、まだあるんだよ続きが。 ほら、ちょうどあそこにアッカーマンさん居るだろ。 そうそう、エントランスの。 黒髪は珍しいからすぐ分かるよな〜。 で、隣がアッカーマンさんのパートナーな、確かエレン君って名前だったかな。 http://shiba.5ch.net/test/read.cgi/nanmin/1459925027/384
385: 名無し草 (ワッチョイ 7326-Iq2g) [] 2016/04/06(水) 21:12:35.16 0 >>371 うん 加藤ちゃんかわええんやけど何歳やったんか気になるねん 無人島に持って行きたい漫画のベスト10に入るは http://shiba.5ch.net/test/read.cgi/nanmin/1459925027/385
386: 名無し草 (スプッ Sd9f-G+K4) [] 2016/04/06(水) 21:12:43.33 d …な? なんかキラッキラしてるだろ? でさ、そのエレン君の足元見てみろ。 見たことある色とデザインしてねえか? ご名答。 この間の春夏コレクションで、うちが女性用で出したデザイン。 アッカーマンさんが担当したやつのな。 紳士靴でも出してたのかって? いいや、出してねえ。 あれはアッカーマンさんが、決定稿になったやつを紳士用にデザイン落とし込んだやつだ。 コレクション分の作成が一段落した頃に、あの人自分でアトリエの職人に発注してるんだってさ。 名目は「紳士用への転用試作」らしいんだけど、もうだーれもそんなこと信じてない。 けどあの人、厳しいけど誠実だから信用力凄くて、みんなそういうことにしてる。 まあ、な? あんたもあれ見りゃ、ピーン! と来るよな。 紳士用への転用試作なんかじゃなくて、恋人に贈るために作ってるってさ。 社員だしデザイナーだし、ってんで若干は安いらしいけど、でもほぼオートクチュール料金だぜ。 信じられるか? オレは無理だね…オートクチュールなんて頼めねえよ。 http://shiba.5ch.net/test/read.cgi/nanmin/1459925027/386
387: 名無し草 (ワッチョイ f395-imw8) [sage] 2016/04/06(水) 21:12:45.40 0 ババア腹へった http://shiba.5ch.net/test/read.cgi/nanmin/1459925027/387
388: 名無し草 (スプッ Sd9f-G+K4) [] 2016/04/06(水) 21:12:47.59 d あー、うん。 アッカーマンさん居ないとこで、エレン君と話す機会あったんだけどさ。 その靴のこと聞いてみたんだ、去年だったかな。 コレクションと同じアッカーマンさんデザインの靴、贈られてどんな感じ? って聞いてみた。 そしたらまず苦笑してたよ。 そりゃあな…。 『どう見ても高そうじゃないですか…。タグには本革って書いてありますし。 初めはもちろん断りましたけど、すでに作って俺の手元にあるわけで、しかも俺しか履けないし』 『なんで仕方なく履いてたら、見る度にすっごい嬉しそうな顔してるんですよね…。こっちが恥ずかしいくらいに』 『しかもコレクション終わったと思ったら、また違うやつ作って持ってきますしね…』 『こんな高いものは止めて下さい! ってきっぱり言ったら、なんて返したと思います?』 『"年に2回だけの俺の趣味を奪うんじゃねえ。こいつの発注費はxxx(桁が凄い)だが、俺の年収はxxx(やっぱり桁が凄い)だ。何の問題もねえだろうが!"って何か勢い良く…』 『あはは…。お察しの通り、諦めましたよ』 言ってたエレン君も、負けず劣らず嬉しそうな顔してたとオレは思うけどな。 2人の家、かなり立派なシューズクローゼットあるらしいぜ。 …おっと、アッカーマンさんたち帰るみてえだ。 こんな偶然ないだろうし、エレン君の今履いてる靴の話聞いてみたら? 惚気話はもう結構? そりゃそうか。 んじゃ、オレの話はこれでオシマイ! 良い話だっただろ? End.(笑) http://shiba.5ch.net/test/read.cgi/nanmin/1459925027/388
389: 名無し草 (スプッ Sd9f-G+K4) [] 2016/04/06(水) 21:13:13.14 d 小さい頃に父親グリシャの部屋にあった写真集。 今はもう実家のどこにあるかもわからない。 空、街中、植物、動物…同じカメラマンの写真集がワンセットで置いてあった。 医者であったグリシャの部屋は医学書ばかりが並び、海外の言葉で書かれた本も多く、どれを見ても当時のエレンには理解ができなかった。 当時の、とは言っても今読んだところで、医学を専攻しているわけでもなければ、外国の言葉に強いわけでもない大学生のエレンには到底理解ができる内容でもない。 読んでみたいともあまり思わないのが正直なところだ。 そんな中で写真集は異彩を放っていた。並んだ背表紙からも小難しい医学書ではないことが簡単に見てとれる。 グリシャの趣味とも思えないが、確かにそれはそこにあり、エレンはグリシャの不在時に父親の部屋に忍び込んではパラパラとページをめくって楽しんでいた。 それは母親のカルラが病気で亡くなるまで続きカルラが亡くなった後は掃除や整理をする人間がいなくなったことで、いつのまにかその写真集は医学書の中に埋もれて見つけられなくなってしまった。 この季節、時折吹く風はまだ冷たい。しかし日に日に気温はどんどん暖かくなって春の訪れを告げていた。 もう少し経てばコートも要らなくなるだろう。 アパレルショップはもう春の新作がショーウィンドウに並んでおり、春らしいパステルカラーが駅前の通りを彩っていた。 ショップの奥では一部の冬物衣類のセールをやっている店もある。 何か掘り出し物がないか立ち寄りたくなって、しかしそこで提出期限はまだ先とは言え、課題のレポートがまだ完成していないことを思い出せば、自然と足が帰宅を急いだ。 大学の講義も昼過ぎに終わり、アルバイトもない。早くレポートを仕上げてしまおう。 前方から携帯電話を見ながらふらふらと人が歩いてきたので、そっとよけて人とすれ違えるだけのスペースを空ける。 人通りが多い。 都会の人は歩くスピードが早いというのは本当だった。 またせかせかと歩く小柄な男性が前方から歩いてくる。 ぶつかりそうな距離ではなかったのでエレンは今度はよけるような動作はせずにそのまま歩き続けた。 「!」 男性とすれ違った時だった。ぐいっと腕を掴まれてエレンの体は後方へと引かれ、驚いて振り返れば、そのまま男と目が合う。 http://shiba.5ch.net/test/read.cgi/nanmin/1459925027/389
390: 名無し草 (アウアウ Sa6f-dfgU) [sage] 2016/04/06(水) 21:13:26.55 a 腰ちゃんは誰にも気付かれへんさり気ないおしゃれなんやな かわええ http://shiba.5ch.net/test/read.cgi/nanmin/1459925027/390
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