[過去ログ] 【腐女子カプ厨】巨雑6439【なんでもあり】 [無断転載禁止]©2ch.net (505レス)
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395: (スプッ Sd9f-G+K4) 2016/04/06(水)21:14 d AAS
物をひとつずつよけて探すとやがて角が折れてボロボロになり、雨水で茶色くシミができてしまったいるそれが見つかる。幸いにもまだ字は読める状態だった。
「良かった! あった!」
両手でそれを取り上げて、指先で折れてしまった場所を伸ばす。そんなことしたって元の状態には戻らないことはわかっていても、そうせずにはいられなかった。
ひと文字ずつ指でなぞる。
自分がリヴァイの世界の中に入れるとは考えもしたことがなかった。
似合うとも思えない。あれからもうひと月も経っているし、待っていると言われたのにエレンはリヴァイに連絡のひとつだってしなかった。
考えるとごまかして、しっかりとした断りだってしなかったのに、好きな写真家だったというミーハーな理由で話を蒸し返されても困らせるだけだろう。
なんだこいつは、と嫌な印象を与えてしまうかもしれない。返事もしていない時点でもう充分嫌な奴だが。
「はぁ……、」
大きなため息がエレンから漏れる。落胆していた。
(もったいなさすぎる、)
あの後になんでリヴァイのことを調べなかったのか。
レポートの提出日はまだ先だったのだから少しでももらった名刺に書かれた名前をインターネットで検索をかけてみれば良かったのだ。
たったの一分、時間を使っていればきっと今と違う結果になっていた。
一気に後悔が押し寄せてきて、エレンの気持ちはどんどん下降する。
もう夕食を作るのも面倒だった。そう思いつつも、腹は空腹を主張してぎゅるるるると鳴いていた。
「気晴らしに外で食べるか……」
なにか美味しいものでも食べて気持ちを落ち着かせよう。
エレンは財布と携帯だけをジーンズのポケットに突っ込むと、ついたままだったテレビの電源と部屋の照明を落として駅前へ向かった。
歩きながら店を決める。
最近できた個人経営の洋食屋にしようか。とても美味しかった。今度ディナーでも利用したいと思っていた店だ。
とぼとぼと歩いていると、もうその店は目の前だった。開店したばかりでまだ客は少ない。
真新らしいドアに手をかけると、ドアの内側にかけられたベルが来店を知らせてチリンチリンと鳴った。
落ち着いた照明の中に客はひと組。奥のテーブルに座って何やら歓談中のようだ。
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