[過去ログ] 【腐女子カプ厨】巨雑6439【なんでもあり】 [無断転載禁止]©2ch.net (505レス)
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439: (スプッ Sd9f-G+K4) 2016/04/06(水)21:23 d AAS
 スピードをつけたおかげで抱き着くというよりは彼女の突進を身体で受け止め、思わずよろめいてしまう。
「こら走るなよ。危ないだろ?」
「だってエレンが呼んだから」
「エレンじゃなくて先生って言いなさい。ったく」
 そうは言いながらもエレンは笑いながらミカサを抱きあげた。
 そして慣れた様子で彼女を抱き上げると、先ほどまでミカサが遊んでいた場所まで連れて戻る。
 ミカサは毎日最後まで残る園児だった。彼女の父親は毎日迎えが遅く保育所が閉まるぎりぎりの時間にならないといつも迎えに来ない。
 駅からここまで走って来る時もあるらしく、冬でも額に汗を浮かべて迎えに来ることもあった。
 すまないと頭を下げる彼のことをエレンも他の保育士も迷惑だとは思ってはいなかった。
 詳しくは知らないが父親と母親は彼女がこの保育所に預けられる前に離婚をしてしまったのだと聞いている。
 たまに彼女が母親に連れられて帰る子供の姿を羨ましそうに見つめることがあった。
 やはり母親が恋しいのだろうか。その姿を見るたびにエレンは胸が締め付けられるような思いをしていた。
「ミカサ、楽しいか?」
 だからというわけでもないが他の子供たちよりもエレンはよくミカサにこの問いかけを行う。
 彼女以外にも片親の家庭の子供だって何人かいる。
 その子供たちも片親を恋しく思い寂しさを抱いているはずだ。
 エレンは彼らにも同じ問いを聞いているがミカサには特についつい同じ質問を繰り返してしまう。
贔屓目に見てしまうことは悪い事だと思っているがミカサだけは特別だった。
 彼女だけはどうしても放っておけず、それ以外にも他の子供たち以上に構ってしまっていた。
ミカサは積み木を手にしたままエレンを見やった。
 決して大きな瞳ではなかったが彼女の目はとても綺麗だ。
 澄んだ瞳いっぱいにエレンを映しながら、ミカサは控えめに首を振る。
「エレンがいるから寂しくはない。私は楽しい」
「エレンじゃなくて先生な」
 彼女以外は皆「エレン先生」や「イェーガー先生」とちゃんと呼んでくれるのに、ミカサだけは「エレン」と彼を呼び捨てで呼ぶ。
 はじめからずっとそうだ。
 いくら言っても直そうとしないのでエレン以外の子供も保育士も何も言ってはいない。
 諦めていないのは彼だけだ。
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