【FEZ】ﾌｧﾝﾀｼﾞｰｱｰｽｾﾞﾛ I鯖ｹﾞﾌﾞﾗﾝﾄﾞ経済スレ45 [転載禁止]©2ch.net

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888: ホルコロ戦史録②1/2 [sage] 2015/12/18(金) 12:02:18.60 ID:7aU4+UY+

最初に意見が衝突したのは回苑とライナスだった。
｢精鋭と雑魚は分けろ、古参と新参の差は歴然だ。俺とダウナが麾下の部隊を率いて陣頭を張る、他はそれに合わせて突撃させるだけで良い、それがホルコロのやり方だろうが｣
｢そんな古いやり方は通用しない、新参と言うが合流するここの兵たちは皆歴戦、現役環境での軍学を身に付けて場に立っている。指揮系統を充実させればこの編成こそ力を発揮出｣
｢合わせたこともねえ連中信じられるかってんだよ！！｣回苑が言い切る前にライナスが卓を叩きつけた。
ダウナは瞳を閉じ静観している。眠っているのではないか。この落ち着き様が不安そうな顔をしている上級将校をいくらか和らげた。
大まかな作戦目標と進軍経路、地形、周辺戦力の確認と報告を経て、部隊編成の大詰めに入った矢先である。
その後も二人の激しい議論が交わされ、互いに激昂の中、最強の敵、最多の敵が想定されては机上の面で撃破されていく。
多数の上級将校が見守る中、他に熱くなり始めた者も数人出た。
下級将校がこの場にいれば学べることもあったろうに勿体無い、指で髪を巻きながら、一度地図を見遣る。
作戦を起こす事自体は悪くなかった、勝つ負けるではなく、いま動けば戦略の面で広域が有利になる。
二人が軍の編成に熱くなるのはいわば勝つか負けるかではなく、今後新生ホルコロの戦い方を左右する最初の一歩だからだ。
そしてその最終決定権はだうにゃんにある。

｢みんなお夕飯、もってきたお～｣日も暮れた頃、全てを語りつくし、肩で息を吐いている二人の重鎮に凍る時間を破ったのは、エプロン姿の稲妻ハチ公だった。
｢はっち、並べるのうちも手伝うで｣他にやることもない。手を拭う。一番自分が早かった。
｢ありがと紫極ちゃん、兵士のみんなにはもう配ってあるお｣次第に談笑が起こるようになった。
｢ふぁっ？ねてたおｗ良い匂いだおｗ｣
グリフォンの大串焼き、香草の塩パスタ、銀かぼちゃのスープ、リザード＆ポテト、ゲブランドイカの甘露煮。
全て自分が調理番にレシピを叩き込んだメニューである。
｢こーら、洗ってからですよ(´ω｀)｣手も洗わずに大皿から暖かなイカを摘まもうとした冬の蝉が、こね茶に手首を捻り上げられていた。

http://yomogi.5ch.net/test/read.cgi/net/1443329219/888

889: ホルコロ戦史録②2/2 [sage] 2015/12/18(金) 12:04:15.47 ID:7aU4+UY+

｢みんな食べながらでいいから聞いてほしいお｣和やかな卓に大皿が並べられ、皆が思い思いに皿の上に取り分けている。
いまだにふてくされた表情のライナスに微笑みかけ、肉を渡すとむしゃむしゃとかぶりついた。
｢まず明日の部隊編成なんだけど、だうにゃん実はもう決めてあるお。難しくする必要ないんだお。｣
｢だうにゃんはゲブランドの中に一つの国を作るお｣皆が息を飲む、ギョッとした。反逆しようとでもいうのか。いやこの紫極玉、どこまでもついていく覚悟と備蓄はある。しかし、
｢でも、だう｣｢それは部隊のみんなで作るとても大きなお家のようなものだお、だうにゃんの家族なら誰でも歓迎、その代わりにだうにゃん大きい遊園地もおいしいお弁当屋さんもカジノも病院も作りたいお、だうにゃん呼吸をする度に夢がたくさんたくさん溢れてくるんだお｣
｢大きな大きな家を作るには、たくさんの家族が必要だお、どんなに苦しいことも家族がいるから耐えられて、家族がいるから大きなことができるんだお、だうにゃんは今家族と土地を増やしたい｣
｢だうにゃん一生懸命考えた、そうだお、カセドリアから家族を増やして、土地をもらってお金も稼いで、大きくすればいいんだお｣
｢だからだうにゃん、明日はカセ民をさらうお｣
｢ライナスたん、回苑たん、部隊編成はだうにゃんが適当に振り分けるお｣舌打ちして横を向くライナス、おでこに手を当てる回苑。
｢たくさんを適当に詰め込んで、大きくして、全力で幸せになる、それがだうにゃんの殺り方だお｣
なんという際限のない、軍閥主義と言うよりかは運任せの覇権主義。理知的な思考をも蕩かす純粋な夢想。
｢作戦会議は以上だお、解散したら下級将校にも伝えてくだちい｣だうにゃんが料理にがっつき始める。
意味を解していないものもいるだろう、しかしその者らですら受け入れるだけの器が確かにある。
身寄りのいない兵士も多い、ならばこの部隊は夢を敷き詰めた少し血の気が多いだけの家族でいいのだ。
ゲフランドイカの甘露煮を口に放り込む。酒がないことを言い出す者は居なかった。
噛めば噛むほど、旨味が染みだし、旨味があるまま飲み込んだ。

http://yomogi.5ch.net/test/read.cgi/net/1443329219/889

891: ホルコロ戦史録③ [sage] 2015/12/18(金) 14:36:39.40 ID:7aU4+UY+

正午にカセドリアの遊撃隊5000と出くわし、ダウナが大声で一言二言語りかけると、弓矢が飛んできた。
｢外すのお上手ですね＾＾｣ダウナの顔芸で開戦。
ぶつかるまでに数度剣で矢を払い落としながら、盾の集団に斬り込んでいく。
｢足止めるな！盾ならいくらでも替えがあるぞ！雪崩れ込め！遅い！｣敵の盾を剥ぎ取り、跳躍し、斬り込んでいく。
｢ライナスさん！なんかあいつヤバイ！｣舌打ちから盾を敵兵にぶん投げ周囲を確認する。
左、すぐに倒すべき敵が分かった。
｢ここで殺してろ｣｢はい！｣二本の短刀で走りながら体術と組み合わせて近視できる敵を地に叩き伏せながら身体を滑り込ませていく。
押されてるようだ、大柄な剣士。叫びながらこちらの兵士を次々に斬り倒している。
身体を捻り、渾身の力で大刀を振り下ろした。鼓膜をつんざくような鉄と鉄の、轟音。
｢…久し振りに聞く音だ。カセにもまだこういうのがいたんだな｣防がれていた。味方を下がらせ距離と厚みを作る。
｢知ってるぞ狂犬、いや、今は白髪のライナスだったか……やれ｣弓矢、四本。かわせないなら受ける。冷気。
氷塊の盾、こね茶。左から回苑も新参兵を指揮して挟撃を作ろうとしている。適当な割に悪くない配置だ。
｢降れよ、負けるぜお前ら、ダウナは家族を増やしたいらしいぞ｣大刀を突き付ける。
｢俺がカセドリアを捨てれるわけねえだろうが｣強かな笑みを浮かべた大男が下がりながら剣を頭上に掲げ、振り下ろす。
｢上！上！上！｣味方の悲鳴。空から巨岩。投石か！
｢クランブル…｣弾き飛ばせるか、半信半疑のまま構える前に、宙で砕けて敵陣に破片が降り注いでいく。
｢はっち、やったお！ｗ｣後方、ハチ公、あの雑魚弓か。
安堵しかける前に静止した前線と指揮官級のこの大男に殺意を向ける。挫かれた味方の士気も跳ね上げておきたい。
｢おい、…やれ｣逃げ遅れ、脇にいた気弱そうな自軍弓兵に射倒させてみる。ひょろりとあさっての方向の敵兵の肩に刺さった。
｢(´ω｀)…｣
｢ライナス、俺から学びな、本当に殺したきゃこうだ｣大男の背後からバリスタと甲冑の集団が現れる。敵の増援2000が２つ。報告が伝う。
狂った犬なのか、白いだけの狼なのか、分からなくなる。本当の俺はもっと情けない小動物なんじゃないかって。
｢なあ、ダウナ｣左から順に、甲冑の一団が弾けては崩れ飛んだ。

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