[過去ログ] 【ゾンビ】ホームセンター攻防扁【ゾンビ】 その2 (790レス)
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424: 青田 ◆t291XhvMgA 02/10/23 12:22 AAS
近づいていき、あと少しというところでメガネは立ち止まった。そしてゆっくりと後退し始めた。
「何をやっとるんだ、あいつは・・・」
下っ端がつぶやいた。
「お前も行ってこい」
「はっ!」
甘粕大尉に言われ、下っ端も走っていった。
途中、メガネに何か言ったあと集団に近づき、その後メガネと同様に後退を始めた。やがて二人は
全速力で戻ってきた。
「どうした?」
甘粕大尉が尋ねると、息を切らしながらメガネが叫んだ。
省12
425: 青田 ◆t291XhvMgA 02/10/23 12:23 AAS
やがて足を引きずる音と共に、10人ほどのフラフラ歩きの連中が近づいてきた。
その時点で一同はメガネと下っ端の言わんとしたことがわかった。
歩いてくる連中は頭が欠けて脳が飛び出したり、身体の一部がなかったり、明らかに「生きている」人間
ではなかったのだ。吉田少年の脳裏に先ほど聞いた話がよみがえった。「死体が歩き回ってる」。
甘粕大尉を見ると額に手をあてて何か考えている様子である。そしてしばらくの後、彼は命令を下した。
「構え銃」
8人の憲兵達は一斉にライフル銃を構えた。命令を待ちかねていた様子である。
「頭を狙え・・・・。よし、撃て」
銃声がこだました。吉田少年は耳をふさぎながら歩く死体が崩れ落ちる様を見た。
残った数体がこちらへ向ってくる。憲兵達は続いて発砲した。「どう」という音と共にそれらは倒れた。
省17
426: 青田 ◆t291XhvMgA 02/10/23 12:23 AAS
○町もまた、あちらこちらが焦土と化していた。目指す施設はもうすぐ。吉田少年は憲兵達と歩きながら、
宗一や大杉がいないか周囲に目を配った。しかし人はいなかった。
「人どころか、死体もないってのはどういう事ですかねえ・・・」
憲兵の一人が不思議そうに言った。
「野村、位置確認をしろ」
甘粕大尉が立ち止まってねずみ憲兵に指示を出した。
「はい」
ねずみ憲兵は地図を出して眺め始めた。
憲兵達と一緒に立ち止まりながら吉田少年は周囲の様子を見ていたが、一行の後方の建物の陰に動くものを
見つけた。
省8
427: 青田 ◆t291XhvMgA 02/10/23 12:24 AAS
「甘粕大尉殿」
のっぽ憲兵が指示を求めた。
「呼びかけてみろ」
「はい。おいっ、生きてるか!」
何と間の抜けた呼びかけであろうか。男女からの返事はなかった。
「飯山、足を狙って撃て」
「はい」
ターンという渇いた音が響いた。はずれたらしい。誰も倒れない。しかし、逃げ出しもしない。
「よし、撃て」
全員が発砲した。3体は崩れ落ちた。
省9
428: 青田 ◆t291XhvMgA 02/10/23 12:26 AAS
ねずみ憲兵はもうすぐといったが、吉田少年はかなりの距離を走った気がした。しばらくして前方に
四角いシルエットが見え始めた。大きな建物だ。
「大尉殿、あれです前方の・・・」
ねずみ憲兵が息切れしながらその建物を指さした。
「あ!」
憲兵の一人が叫ぶのと同時に全員が立ち止まった。建物の手前にたくさんの人影があったのだった。
「た・・・」
のっぽ憲兵が口を開こうとした次の瞬間、眩い光が一行を包んだ。軍用のスポットライトである。
続いて拡声器が呼びかけてきた。
「何者だ」
省4
429: 青田 ◆t291XhvMgA 02/10/23 12:27 AAS
建物の敷地内はたくさんの兵士であふれていた。黒塗りの外壁が不気味な建物である。中に入ると無機質な
廊下が続いていた。一行はその奥のホールのような場所へ導かれて行った。
「甘粕大尉殿、こちらへ。吉薗様がお待ちです」
一行を残し、甘粕大尉は別室に通された。部屋には見慣れた顔が待ち受けていた。
「やあ、甘粕さん」
そこにいたのは陸軍特務・吉薗周蔵であった。
「どうも」
甘粕大尉は頭を下げると、羽織っていたマントを脱いだ。
「どうぞ、かけてください」
二人は応接チェアーに腰かけた。吉薗はすぐに話を切り出した。
省13
430: 青田 ◆t291XhvMgA 02/10/23 12:28 AAS
「その人物とは?」
甘粕大尉は首をかしげると額に手をやった。
「大杉栄です」
「・・・大杉ですか」
「ええ、ご存知のように大杉は表向き社会運動家となっていますが、その実、政府役人の草です」
甘粕大尉は頷きながら座ったまま身を乗り出した。
「フランスでも色々と嗅ぎまわっていたらしいですな」
「ええ、上原元帥もかねてより何かしら始末をされるおつもりでしたが、決定的な事態となりまして」
「ほう」
窓の外から軍靴が規則正しく踏み鳴らされる音が聞こえてくる。士官が兵に集合をかけている。
省21
431: 青田 ◆t291XhvMgA 02/10/23 12:29 AAS
吉田少年は一人大杉家を目指していた。軍施設を去る際、甘粕大尉は護衛にのっぽ憲兵をつけると
言ったが、吉田少年は断った。あの間抜けな憲兵と一緒にいる方が危険な目に合いやすいと思ったし、
何より父の仇の世話にはなりたくなかった。吉田少年は行き先も告げず、逃げるように軍施設を後にした
のだった。
半倒壊した建物が密集する通りを抜け、悪路をひたすら歩いた。もうじき大杉家が見える筈である。
途中、歩く死体を何体か見かけたが、忍び足で進み何とか気付かれずにすんだ。
「一体、あいつらは何なんだろう。大地震で地獄の門でも開いたのだろうか」
吉田少年は色々と想像してみたが、結局わからなかった。わかる筈もない。
やがて見慣れた杉の木が見えた。焼けてしまっていたが、確かに大杉家の近所の杉の木だ。
あの角を曲がれば大杉家がある。吉田少年は最後の力を振り絞って走り出した。角を曲がる時、
省14
432: 青田 ◆t291XhvMgA 02/10/23 12:30 AAS
「無事で良かった。ケンちゃん」
「うん、でもばあちゃんが・・・」
大杉に会えた安堵で泣き出しそうになるのをこらえながら、吉田少年は祖母の死を伝えた。
「・・・そうか、残念だった。ここへは?どうやって来たんだ」
「一人で。でも途中まで憲兵の奴らと一緒だったんだ」
「憲兵と」
吉田少年は頷いた。しかし暗闇のため大杉にその様子は見えない。
「うん、甘粕っていう憲兵大尉の隊だったよ」
「甘粕!」
思わず大声をあげた大杉は急に立ち上がると、カーテンの隙間から窓の外を見た。
省14
433: 青田 ◆t291XhvMgA 02/10/23 12:31 AAS
その時、奥の部屋からものすごい音がした。戸が破られたらしい。吉田少年は音のした方を見たが、
すぐに大杉に問いかけた。
「そうだ、宗一くんは!?野枝さんは!?」
「・・・・・・」
大杉は無言のまま、部屋の隅にあった暖炉の火かき棒を手に取った。足を擦りながら何かが廊下を歩いて
来る。吉田少年は応接椅子の背後に隠れた。獣のような荒い息づかいが近づいてくる。
やがて応接室の前で足音が止まった。吉田少年は応接椅子の陰からそっと様子を見た。開け放たれたドア。
そこに宗一が立っている。
「宗一くん」
吉田少年は立ち上がり、駆け寄ろうとした。
省8
434: 青田 ◆t291XhvMgA 02/10/23 12:31 AAS
「どしゃっ」という宗一が倒れる鈍い音と共に、憲兵隊が応接室に入って来た。その中に甘粕大尉がいる。
「大杉先生」
甘粕大尉は会釈すると、火かき棒を手に呆然としている大杉に向って言った。
「ご同行願えますか」
大杉は火かき棒を放ると、ため息をついた。吉田少年はその様子を黙って見ていたが、やがて怒鳴り
甘粕大尉に飛びかかった。
「人殺し!!」
のっぽ憲兵が横から出てきて吉田少年を蹴飛ばした。吉田少年は転がり、壁に激突した。
「やめんか!暴力は!わかった、同行する」
大杉がのっぽ憲兵を突き飛ばしながら叫んだ。
省11
435: 青田 ◆t291XhvMgA 02/10/23 12:33 AAS
翌朝、吉田少年は腹部の激痛と共に目覚めた。カーテンの隙間から朝日が差し込んできている。
応接室を出たところに宗一の死体が転がっていた。死んでしまった。涙がこみあげてきた。
奥の部屋へ行くと、そこには大杉の妻・伊藤野枝の死体があった。大杉がやったのだろうか。
後頭部が割れ、うつ伏せの状態で死んでいる。
吉田少年は外に出た。どこからか蝉の声が聞こえてくる。夏の終わり。残り少ない命をはかなんで
鳴いている。吉田少年はフラフラとあてもなく歩き始めた。
後になって、吉田少年は大杉が憲兵隊によって拷問の末、殺害されたという話を聞く。
甘粕大尉が軍法会議の結果、懲役十年の実刑判決を受けたという話も。
どういった経緯でそうなったか、真実は闇の中である。
この震災で、憲兵隊や自警団によって殺害された社会主義者、朝鮮人の数は約6000人とも言われているが、
省2
436: 青田 ◆t291XhvMgA 02/10/23 13:11 AAS
あとがき
次回もシチュエーションを変えて書きたいと思います。
どうもありがとうございました。
437(1): あなたのうしろに名無しさんが・・・ 02/10/23 14:40 AAS
>>412 : ◆4E1yVnBRhgへ
>>240は俺の発言でお前の嫌いな読者代表ではないといっているのが分からないのか?
お前のその妄想っぷりも相当キモイぞ!
青田さんお疲れでした
う~ん!いい!90点!!
細部を詰めれば文句なしかと
438(1): あなたのうしろに名無しさんが・・・ 02/10/23 17:15 AAS
◆4E1yVnBRhg=荒し ですな。
>>青田
お前、sageろよ。
439: 青田 ◆t291XhvMgA 02/10/23 18:40 AAS
>>437
高得点ありがとうございます。
精進します。
>>438
寸魔損(´д`;)
440(2): あなたのうしろに名無しさんが・・・ 02/10/23 20:47 AAS
誰がどうみても
353=読者代表だよ。
>>395-403 ◆CjBW8x5uT様の投稿見れば、猿でも分かるわな。
>>409の
>6割は的が外れてて、お前らの味方を自分で叩いてるぞ…。
お前の言うことが仮に本当だとしても4割の荒しはやった訳だな。
>自作自演はしてない。
嘘つくなよ。
>>350で
>344が俺の自作自演って事も分からんくせになwww
省6
441(1): あなたのうしろに名無しさんが・・・ 02/10/23 21:10 AAS
>>440
だから、スルーしろって。
流れ見りゃ、誰だって粘着荒らしは読者代表だって分かるよ。
442: あなたのうしろに名無しさんが・・・ 02/10/23 22:47 AAS
>>440-441
アフォ~~
何度言えば分かるんだ?。俺は読者代表ではないのだよ。
お前らは、相当粘着だな。
>>440
白状だと!。ふざけんじねぇよ。この蛸が。
それから俺に間違いは、一切無い。
俺が荒らしと言ったらそいつは荒らしなんだよ。
分かったか、この粘着厨房が
443: あなたのうしろに名無しさんが・・・ 02/10/23 23:10 AAS
↑こんな粘着野郎始めてみた。
もうこのスレ終わらせたら?
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