ここだけ異能と魔術の洋上学園都市 (1000レス)
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951: 押井 眞子 ◆vplVQ5Q2UQHz 20/03/29(日)05:22 ID:fFP(4/4) AAS
>>950

「Hmm.Perfectとは行かなかったわね……痛っ」

要塞を叩きこんだのち、適当な建物の屋上へと着地し、眞子の授業もとい過剰稼働は終了する。アドレナリンが切れたのか、無茶の反動か、疲労感と痛みが一気に襲い掛かる。
不審者と要塞、両方一度に片づけることは叶わなかった。今後の課題とするべきだろう。
並の戦艦なら沈没させうるだけの過剰火力、本体までダメージを与えられていれば御の字だが、それを今すぐ確かめるのは難しいか。

「誉めてくれてありがと。次は粋がらず年相応の振る舞いとして、自慢の墓石と一緒にお墓に戻ってくれたらもっとうれしいわ。Old punk(不良ジジイ)」

煙と共に去っていく彼に向ける言葉は、先日同盟を組んだ英国の名探偵のそれと比較すれば、些か直球のアメリカンスタイルといったところか。
省5
952: ◆95S72tfpdk 20/03/29(日)14:31 ID:1Qy(12/14) AAS
邪神戦艦の進行が止まった。
その巨体を動作させる機関構成が完全に破壊されたことで、その肉塊は完全な崩壊へと導かれる。
同時にばら撒かれた眷属達が、壊死していく。急速な停止と同時に、組織の崩壊。まるで灰にでも変化するように文字通り消滅していく。
そしてその巨体もまた、同様に。解けるように消え散っていく。

進行を続けていた両足が中程から圧し折れて、そこに崩折れる。
崩壊とともに轟音を鳴らし、中途から真っ二つに粉砕された。
邪神戦艦アル・アジフ。その中枢であるラヴクラフトの存在とともに、その形を保つことが出来ずに。

「さようなら、ラヴクラフト。さようなら、哀れな幻想作家」

自らが生み出した幻想とともに、無貌とも、白痴とも、それらと共に撹拌していく。
省13
953
(1): 淡島豊雲野◆HnQRCeqIrM 20/03/29(日)21:13 ID:ifW(1/5) AAS
斯くして邪神の信仰は終端に至り、戦艦の侵攻による終末は免れた。
破壊の足跡、塵に溶けた幻想、一先ずの収束。数日も経てば最低限の始末が為され、生々しい犠牲の痕は見当たらない。
それでも噛み砕かれた瓦礫や踏み躙られた血痕は、未だ瘡蓋のようにじっとりと大地に張り付いていた。

「…………思ったより、何もないんだ」

規制を悠然と、尚且つ密に潜り抜けて。肉塊が瓦解した、鉄臭さの名残る場所に佇む。
確固とした理屈に基づいた行動ではなかったから、たかだか物見遊山だと指摘されれば成る程否定はできない。
しかし廃墟を眺める縞瑪瑙よりも複雑な虹彩は、深く沈溺した色を孕み。白髪に彩なす赤い房は追悼に流す血を思わせる。
夕鈍の空、雫が罅割れた道路を叩く。どうやら夕立の足音がすぐそこまで迫っているようだった。
954
(1): ディ(以下略◆bKRvPQDCyg 20/03/29(日)21:55 ID:1Jb(1/4) AAS
>>953
「思ったよりも酷えなこりゃ…ホント読み間違えなくて良かったぜ」

周囲を見回しながら頭や首や腕に包帯を巻いたジャージ姿の少年が瓦礫の間を行く。

「ん?」

騒動が起きた矢先に大階差機関へと向かった少年は外の状況をしらぬまま病院送り。
数日経った事もあり様子見がてらブラブラと無目的に歩いていた少年は淡島を見つけ立ち止まった。

「よぉ、こんな所で散歩かい?」
省1
955
(1): 淡島豊雲野◆HnQRCeqIrM 20/03/29(日)22:18 ID:ifW(2/5) AAS
>>954
声をかけられてから振り返るまでの時間は、実に緩慢としたものだった。
こんな時でも制服で出歩いている彼女は、一応は同学年であるからその顔と名前に心当たりがあるかもしれないが。

「……うん。あれからどうなったのか、少し興味があったからね 」

彼女の方は特段何かしらの反応を見せはせず。惨状の跡形を目の当たりにしていても、その面持ちは無表情であった。
蒼紅の瞳が、あちこちに負傷の証を残す身体をじっと見て。

「きみこそ、こんな所を彷徨いていいの?その怪我、入院していてもおかしくないでしょ」

安静を謳い、無用な外出を咎める声色ではなかった。それにしては平坦が過ぎる調子だったからだ。
故に揶揄っているようでもなく。総じて言えば、何を考えているのか非常に分かりづらい言動だった。
956
(1): ディ(以下略◆bKRvPQDCyg 20/03/29(日)22:28 ID:1Jb(2/4) AAS
>>955
「淡島、だっけ?そっか、まあ気になるよな?」

相手の顔と名前くらいには心当たりがあった。
交流らしい交流はこれが初めてになるだろう。
なるほど、自分だって様子が気になって出てきたのだから何もおかしくはないと。

「ん?今は俺よりベッドが必要そうなのがいっぱいいるからな。
 ちょっと気を利かせてコッチから自主的に退院してやったんだ」

身体を鉈で削がれ、銃弾で穿たれ、更には激しい動きまでして。
通常であれば数日程度で如何にかなるような怪我ではないのだが少年は出歩ける。

「そっちは怪我とかしてねえか?結構酷かったんだろ、騒ぎ」
957
(1): 淡島豊雲野◆HnQRCeqIrM 20/03/29(日)22:48 ID:ifW(3/5) AAS
>>956
「そうだね……本当は花でも持って来ればよかったんだろうけれど」

一度沈黙を挟み何度か瞬きをして、結局何事もなかったかのように言葉を続ける。顔は見知っているけれど、名前は思い出せない時のそれに近かった。
視線をまた虚空、邪神戦艦の通り道だった瓦礫の空白にやったのも、それに拍車をかけているような。

「ふうん……抜け出したんだね、いけないんだ。本当に平気なの?」

迂遠な言い回しを明快に解釈して、包帯の巻いてある腕に手を伸ばせば怪我の具合を確かめるべく皮膚を摘もうと。
本人は無自覚にやっているが薄皮を抓る、無傷でも普通に痛いやつである。

「うん、わたしは大丈夫。反対側にいたからね。困ったのは、騒がしくて眠れなかったくらいかな」
958
(1): ディ(以下略◆bKRvPQDCyg 20/03/29(日)22:55 ID:1Jb(3/4) AAS
>>957
「花か、その発想はなかったな…やっぱり人の在り様には程遠いな」

少々難しい顔になる少年。
何か思うところがあったらしく。

「ちょ、ま、それ普通に痛あだだだだだ!」

ぺしぺしぺしと指先が触れるか触れないかぐらいのスイングを繰り返し
皮膚を掴む指に抗議を繰り出す少年。

「ああ、寝れなくとも部屋で大人しくしてるほうが正解だったろうな。
 下手に出歩いたせいで此の様だもんよ。我ながら馬鹿なことやっちまったよなあ」
省2
959
(2): メアリー・シェリー◆95S72tfpdk 20/03/29(日)23:01 ID:1Qy(13/14) AAS
夜の帳下りきった真夜中、瓦礫の山を歩く少女が一人。
短いブロンドの髪に、赤と青のオッドアイ。小柄な身体に、英国陸軍の真っ赤な軍服をきっちり着込んでいた。
その手には何かを持つでもない。ただ、破壊された家屋の瓦礫を、その素手で掴んでは、放っていた。
そしてそれを幾度か繰り返した後、その中から人一人程度の大きさの、動かない物を抱えて、被害の少ない表へと並べる。
動揺の手段で並べられた死体が、そこには幾つも並んでいた。
960
(1): シャーロック・ホームズ◆KZ.unZS3k2 20/03/29(日)23:09 ID:pro(1/2) AAS
>>959

治療といっても応急処置ではあったが、怪我の手当を終えたシャーロックは街道を歩いていた。
思案すべきことは沢山あれど、そもそも知らぬ存ぜぬ場所で事態が進んでいるという様相。
せめて、暴き立てた黎明術式をより完璧な形に仕上げる論理組立でもしよう───等と耽っていたら。

瓦礫の散乱する街道で見知った顔を見かけたものだから、取り敢えずは声をかけるのだ。

「やあやあ────存外、元気そうじゃないか」

悲惨な光景ではあるが────シャーロックにとっては故郷で一度経験したものであり、だからこそ表層的に平静と。
普段通りの微笑みを浮かべながら、かつて自分の命を狙った相手に碧眼を向けるのだった。
961
(1): 淡島豊雲野◆HnQRCeqIrM 20/03/29(日)23:15 ID:ifW(4/5) AAS
>>958
何かを考えこむ苦い顔を伺いながら、気を遣っている様子は更々なく。
しかれどそれに対する疑問を口にする事はなかったから、慮ってはいるのかもしれなかった。

「やっぱり痛むんでしょ。勝手をやって悪化しても知らないよ」

どう考えても彼女の抓み方に問題があるのだが、しれっと訓戒する態度はごくごく平然としていて。
確信犯、とまではいかないが。案じているのと楽しんでいるのが、半々でもおかしくはない。
そも、それらを読み取るには表情が欠如しているのだが。温い風を送る抗議が掠める前に、すいと手を離した。

「その馬鹿な事のお陰で、被害が抑えられたんじゃないの」
「噂で聞いたよ。憲兵や軍隊の他に、一般人も色々と活躍したらしいね」

それに対して、やはりなんらかの感情を抱いているようには見えないが。
省2
962
(1): ディ(以下略◆bKRvPQDCyg 20/03/29(日)23:22 ID:1Jb(4/4) AAS
>>961
「自己管理は出来る方だ、本当にやばかったら大人しく寝てるって」

痛むのはオメーのせいだよ!と吠えない辺り未だ本調子ではない。
どうにもこの手合いは知り合いを彷彿とさせるので然程気にもならないのではあるが。

「あー、何か頑張ってたらしいな?
 俺は巻き込まれて怪我しただけだからホントに馬鹿やっただけだよ」

自分は何もしていない。あの日の事はそう言うことにした少年。
事実、目の前に広がっている惨状の痕は少年が大階差機関内部で体験した事とは無関係。
俺も頑張って大事なものを守ったんだぜ!と言える実感すらない。
963: 深山比良太◆fnkquv7jY2 20/03/29(日)23:34 ID:CtJ(1/2) AAS
>>959
「……あの悪夢も終わったんだな」

眷属の襲撃にあった街、復興が済んだとは言えない瓦礫の山の前で茫然と立ち尽くして一言つぶやく。
眷属によって命を奪われた無辜の人々のために彼が今、出来る事は祈る事だけであった
964: 深山比良太◆fnkquv7jY2 20/03/29(日)23:34 ID:CtJ(2/2) AAS
(しまった、安価消し忘れた)
965
(1): メアリー・シェリー◆95S72tfpdk 20/03/29(日)23:37 ID:1Qy(14/14) AAS
>>960

暗澹たる空の下、その作業に没頭していたのは贖罪のつもりだろうか。とにかく、自分が出来ることをしたかった。
避難指示を下されると、そのために取り付けられた義手義足を使って病院を飛び出して、こうして外側に飛び出してきた。
邪神戦艦に対して大きな戦果を挙げるようなことはなかった。避難誘導と、眷属に対する指示で手一杯。
後はずっと、外でこうしている。昼間は建物の影で体を休めて、軍や警察の作業が終わる夜にこうして外で同じことをする。
それを繰り返していたのだが。

「――――シャーロック・ホームズ……!」

火事場泥棒にやってくる不届き者もそこには存在する。
そういう輩を追い払うのは手慣れたもの。然しそこに立っているのは、見知った顔ではないか。忘れるはずもない。
丹碧の瞳が揺れる。敵意はないが、果たして動揺の色が強かった。
省2
966
(1): 淡島豊雲野◆HnQRCeqIrM 20/03/29(日)23:46 ID:ifW(5/5) AAS
>>962
自己評価に口を出せるほどに人となりを理解している訳ではないし、例えそこまでの付き合いがあったとしても。
それが極めて肝心であったり、揶揄い甲斐が期待できない限り、正論であろうと気が向かなければ突きつける気にはならない。そういう人間だった。

「それはお気の毒。生きているだけ幸運だよ」

だから怪我の仔細についても追及せず、降りかかった些細な不幸を不憫とするのみ。
一度も引っかかる事なく髪を通り抜けた指に視線を落とし、そのピントは目下の赤黒く汚れた地面へと。

「ああ、でも……自己管理をするなら、その日の天気も確認しておいた方がいいんじゃないかな」

白雨の兆しがすぐそこに迫る。天から雨雫が疎らに降り注いで、道路にいくつかの染みが生まれた。
それは何よりも唐突で、突発的で、何より急激だった。にも関わらず、少女は微かに微笑みを浮かべて。
省1
967
(1): シャーロック・ホームズ◆KZ.unZS3k2 20/03/29(日)23:52 ID:pro(2/2) AAS
>>965

「ふむ、どうやら感動の再会とは行かないらしい。当然といえば当然か」

まあ、それに関してはシャーロックとて歓迎するような事象でもないが。
とは言え碧眼は彼女を捉えて、その姿をちらりと観察しただけで凡そは推測できる。
小さく溜息を零せば、シャーロックは飽くまで普段通りの自然体で言の葉を紡いでいく。

「庇護される側の人間が無理したところで、後々それを助ける人員に余計な負担を強いるだけだ
 そうする理由は理解できるが、かといって看過するものでもない────まあ、言ったところで聞かないのだろうけど」

当然の正論を口にしつつも、それに対する返答も予想できるものだから、それ以上言及することもなく。
瓦礫の一つに腰を下ろして、ふうと溜息を零すのだ────驚いているのは彼女の方だろうから、落ち着くまではこうして寛いでおこう。
968
(1): ディ(以下略◆bKRvPQDCyg 20/03/30(月)00:20 ID:7ms(1) AAS
>>966
「おおっと、それはやばいな。流石に傘は持ってきていない」

空を見上げ言わんとするところを察する。
立ち上がり踵を返す。

「じゃあ帰るとするわ。学校…まあ数日中に再開するだろうしな、またな?」

少し急ぎ足でその場を後にするのだった。
969
(1): メアリー・シェリー◆95S72tfpdk 20/03/30(月)00:26 ID:jGj(1/4) AAS
>>967

彼女の言う通り、その再開を素直に喜び合うような中ではないだろう。
洗脳の末、刃を向けて殺しにかかった相手だ。非があるのは自分であるのは分かっている。だが、いざこうして相対すると。
何を言えばいいのか分かっていても、その踏ん切りがつかない。

「わ、私は庇護される側なんかじゃない……!
 それに、もう身体は復調してるんだ……お前の方こそ、それはどうなんだ」

実際、身体の傷は問題ないし、日常生活を送るのに問題はなかった。
手足に関してはぶっつけ本番でくっつけたが、問題なく動いている……というのが、メアリー・シェリーの言い分であるのだが。
そも、そうした不具の人間が戦っている事を指しているのだとしたら、まさにホームズの言うとおりで、何を言うことも出来ないが。
それよりも、生身の人間であるホームズの事が気になった。自分が与えた傷もそうだが、先の交戦による傷だ。
省14
970
(1): 淡島豊雲野◆HnQRCeqIrM 20/03/30(月)00:40 ID:qqq(1) AAS
>>968
「そうそう、急がないと。その怪我で風邪までひいちゃあ、目も当てられないね」

なんて毛先を雨粒に委ねながら急かす声は、本当に僅かだが愉しげで。
自分は空模様の予報を知っていて尚、ここまで無手で来ているというのに。
その場から動こうともせず、まるで濡れ鼠になるのを心待ちにしているようでさえあった。

「うん。また、学校で。だからあまり無理をしちゃあいけないよ」

結局その背中が見えなくなり、全身が水を吸って重たくなっても立ち尽くしたまま。
恵水に溶けて混ざった血糊と土埃が流れていく。破壊の痕が洗われる様を、沈黙に身を包んで眺めていた。

//それではこの辺りで〆でしょうか!
//ロールありがとうございましたっ
971: ディ(以下略◆bKRvPQDCyg 20/03/30(月)00:42 ID:dhV(1) AAS
>>970
/ありがとうございました
972
(1): シャーロック・ホームズ◆KZ.unZS3k2 20/03/30(月)00:48 ID:9G7(1/3) AAS
AA省
973
(1): シャーロック・ホームズ◆KZ.unZS3k2 20/03/30(月)01:11 ID:9G7(2/3) AAS
//すみません、凍結をお願いしてもよろしいでしょうか…?
974: メアリー・シェリー◆95S72tfpdk 20/03/30(月)01:11 ID:jGj(2/4) AAS
>>973
/了解しました、こちらも凍結をお願いしたく思っていたところです
/明日はまた返信は夜からになると思います、一旦お疲れさまでした
975
(1): メアリー・シェリー◆95S72tfpdk 20/03/30(月)01:15 ID:jGj(3/4) AAS
>>972

「……黎明式の仕組みを暴いた!? ……掠め取ったのか、それは!!」

あの、黎明式という存在について、メアリー・シェリーは情報を握っていない――――その式を埋め込まれていなかったということもあるが。
説明自体は受けたが、よく分からないという感想だった。……それを全くの情報もなしに、暴いたとは。
そしてエジソンと戦った上で、その電撃を見せられるということの意味に思い至らないほどに、阿呆ではない。
これに関しては、感嘆の声を挙げるしか無かった。はぁ、と思わず間抜けに声が出てしまうほどであった。

「……い、いいのか……? そ、そうか、良かった。私の識ることで良ければ、何でも話そう!」

思っていたよりもあっさりと受け入れられたことには、実に拍子抜けであったのだが。
ともあれその時は安堵した。拒絶されたとて自分一人でも動くつもりではあったものの、こうして協力関係が作れるのは心強い。
その時は単純に安心したのだが。
省14
976: ディ(以下略◆bKRvPQDCyg 20/03/30(月)21:05 ID:Tna(1) AAS
某日港倉庫群。
もともと荒廃していた一角は、
先の騒ぎで一層酷い状況であり、
修復の目途も立っていない有様であった。

「隔離されているこの状況下で海から来たって事は…連中のアジトは船か浮島なのかね?」

瓦礫の一つに腰かけ思案顔で海を見つめるのは、
頭や首や腕に包帯を巻いたジャージ姿の少年である。

「散った連中も町に潜んでいるのか、そもそも海に拠点があるのか…
 Mの書もまさか本当に本の形で存在してたとはなあ、てっきり人の形でもしてんのかと」

ブツブツと独り言としては大きな声で続ける。
省3
977
(1): シャーロック・ホームズ◆KZ.unZS3k2 20/03/30(月)23:11 ID:9G7(3/3) AAS
>>975

「ははは、実際は張りぼての贋作だよこんなものは」
「しかし根本はアウトプットの仕方が特殊かつ量が膨大な計算式────存外
出力の手段だけ確立させて、後は階差機関に演算を放り投げさえすれば、誰にでも扱える術と成り得るかも知れない」

こんな台詞を黎明機関の誰かに聞かれたら、それこそ背中を刺されてしまうかもしれないが。
そもそもが発明王を徹底的に煽り倒したこの少女であるからにして、今更そのようなことに気にかける道理もない。
とはいえ、そのような真似をする必要があるかどうかはまた別の話────それでも準備くらいは進めてもいいかもしれないが。

嫌いかと問われたならば、心底不思議そうに首を傾げる。
はて、今の台詞のどこに彼女を蔑ろにする要因が含まれていただろうか────これは難問である。

「嫌いだって?まさか」
省14
978
(2): メアリー・シェリー◆95S72tfpdk 20/03/30(月)23:49 ID:jGj(4/4) AAS
>>977
「……ど、何処で聞かれてるかわからないんだぞ。
 よくそこまで言えるな……でも確かに、実際それらしい話をしていた」

それが数式であるならば、階差機関を以て計算を代替させることが出来る――――というのは、的中した話である。
実際に英国学園都市を地獄に陥れた切っ掛けは、チャールズ・ラトウィッジ・ドジソンがとある数式を大階差機関に実行させたことにある。
数式とは、誰もが正しく解けばそのように答えを出すものだ。そしてだからこそ、それらは数式と例えられるのだから。

「……その興味って、私が持ってる情報だけなんじゃ……」

そうは言っても、メアリー・シェリーにとっては彼女が余りに端的に答えのみを追い求めているように見える。
そう思うこと自体は仕方ないが、そうも露骨に態度に出されると流石に傷つく……というのは、思考方向の差であるのだろう。
メアリー・シェリーは情緒を何より大切とする。その情緒は後に繋がり、作家として大成するかもしれない。その程度の敏感を有している。
省17
979
(1): 淡島豊雲野◆HnQRCeqIrM 20/03/31(火)20:10 ID:0s4(1/4) AAS
覚えのない記憶や知識というのは、脳の表層に浮上するだけでどうにも空恐ろしい。
明確な空白の期間があるからこそ余計に、自分が知らない自分を見せつけられるような気がして。
海馬内の封じられた領域が、ここ最近で特に刺激されていれば尚更だ。
例えば直近の邪神騒動。無貌の消滅がとある狂気の作家の末路に繋がると、どうしてか識っていた。

「全く――本当のわたしが分からないのは、甚だ嫌になる」

本当はそんな事よりも、凍てついた大時計などではなく、紺碧の空が再び望めればそれでいいのだけれど。
どれだけ不合理だろうと、不条理だろうと。自分の定規に従って気の向くままに目的を定めてしまう、そういう人間だった。
しかし触れさえすればどうにでもなるとはいえ。そのための行動に移すのが、この脆い身体ではひどく難しい。

「…………ぅ……けほ、っ……」

今も発作的な目眩と咳で、立っていられずに煤けたビル壁に身を預けているしかなく。
省1
980
(1): 東堂蓮司◆3vpNnN34v6 20/03/31(火)20:28 ID:sGb(1/3) AAS
>>979
今回の負傷は今までに比べればまだ単純で、治りの早い傷であった。
幾度も世話になった結果半ば呆れられながら退院して自由を謳歌しながらも。

やはり空に浮かんだままの物には頭を掻きつつ、メモを見ても未だによくわからないためにフラフラと移動。

「ん? ……おい、大丈夫かよお前」

その先で彼女を見つければ、駆け寄って声をかけ、肩を軽く掴もうと。
理由は会ったことがあるから、だけで問題ないだろう。関わりこそ夜桜のみだが彼にとっては良い思い出のひとつ。

「体調崩したか? それとも何かにやられ……あぁ悪い、ゆっくりでいいからな」
省2
981
(1): 淡島豊雲野◆HnQRCeqIrM 20/03/31(火)21:14 ID:0s4(2/4) AAS
>>980
「けほ、こほっ――――ッ」

支えんと触れた手を、矢庭に振り払う手があった。相手が誰か理解する前の、咄嗟の防衛本能だった。
往来のある通りならともかく、どこに危険が潜んでいるとも知れない裏路地であるから、正常と呼んでも差し支えない反応。
しかしやがてその主に気がついたのであれば。咳きこみながらもゆるりと首を横に振って、気遣う必要はないと示した。

「…………ごめん、少し驚いて」

しばらくの時間を経て、発作が収束したのであれば。ようやく顔を上げて一先ずの謝罪を口にする。
未だ苦しげにほんのりと眉を寄せているとはいえ、相変わらずの無表情は本心なのかを伺わせないが。

「……もう大丈夫。よくある事だから」
省1
982
(1): 東堂蓮司◆3vpNnN34v6 20/03/31(火)21:22 ID:sGb(2/3) AAS
>>981
手を払われることには嫌悪感を抱かず、動けることに少し安堵。
しかしながら、気遣い云々については言われてもそうはいかないのが現状だ。
咳き込む相手が大丈夫と言っていても心配は眉と目に浮かぶものである。

「いや、こっちこそ驚かせて悪かったな」
「そうかよくあること――――だと尚更心配になるけどな!?」

謝罪に関しては、自身もそれを返して気にするなと身振り。
その後の発言については、一瞬納得したように頷きかけてからツッコミを走らせた。

「体調悪いときにこういうとこは危ねえぞ、動きたくない理由でもあんのか?」

ない、と答えればやや強引に手を引いて、本来であれば日向であろう表通りに連れ出そうとするが。
省1
983
(2): 押井 眞子 ◆vplVQ5Q2UQHz 20/03/31(火)21:43 ID:wS8(1) AAS
如何に学園都市とはいえ、巨大戦艦の突撃と怪物の群れの襲撃には無傷というわけにもいかず。
一時的な避難所としての学園施設の解放、それに伴った数日間の休校。
人影は少ないものの、それ以上に張り詰めた空気の中、押井眞子は自席でキーボードを叩く。

「エメラルドタブレット、ヘルメス・トリスメギストス、アカシックレコード……訳してもまだpoemって何なのよ、全く」

名探偵の一般的イメージではないが、煙草を吸いながら思考にふける。
初めて黎明協会と邂逅したあの夜に、首魁から直接聞いた話を精査し、可能ならば先回りして一連の騒動の早期解決を狙いたかったのだ、が。
ネットワークでそれらのキーワードを検索しても、どれもが基本的に伝説上のものであり実在しないというではないか。
教授が実はその手のものの実在を熱心に唱えるマニアであるか、はたまた何かの比喩か。新興宗教がそうするように一般的なものとは違う意味を持つか、あるいは出鱈目を言ったか。
兎にも角にも、眞子の手持ちの情報や知識では何一つつながらない。
省7
984
(1): 淡島豊雲野◆HnQRCeqIrM 20/03/31(火)22:45 ID:0s4(3/4) AAS
>>982
「昔からこうだから、なんて事はないよ。調べても原因はよく分からないみたいだし、仕方がない」

大仰な言葉の一太刀を平然と受け流す態度は、諦観とも達観とも取れる。
知っての通り感情が顔に出ない人間であるから、そこにどんな感傷が渦巻いているのか伺い知るのは難しいが。

「ううん、偶々近道だっただけ」
「このご時世じゃあ、何処だろうと安全じゃないんだろうけれどね」

手を引かれるまでもなく、抵抗も見せずに表通りまでついてくるだろう。
なりふり構わない侵攻を敢行したのを見ていれば。人通りの多寡が如何程でも、些細な問題でしかないと。

「それにここまで来たら、今更たかだか子供一人に手を出してる余裕もないだろうし」
985
(1): 東堂蓮司◆3vpNnN34v6 20/03/31(火)22:56 ID:sGb(3/3) AAS
>>984
「もうちょっと深刻さを持っていいんじゃないかお前……」

原因不明であるからと受け流せるものなのだろうか。心配しすぎても鬱陶しいのであろうが、であれば多少の支え程度にすべきかと思考。
もっともいつかの少年のように断られる可能性の方が高そうだが。

「近道通った結果遠回りになってそうな気がするんだが……まあ化け物が侵攻してる時じゃなくて良かったな」

そういえば、同じ場所を戦った少年は無事に生き残っただろうか。等と連れる途中で考えて。

「そりゃ妙な意見だな。なんか知ってるのか?」
「ちなみに俺は演算? 装置とかの名前以外は殆ど知らないけどな」
省2
986
(1): シャーロック・ホームズ◆KZ.unZS3k2 20/03/31(火)23:48 ID:2Ac(1) AAS
>>978
//すみません、本日の返レスが難しそうなのと、週末まで非常に低速が続きそうなので報告させて頂きます もし許容していただけるのでしたら他とのロールを優先した上で続けて頂けると嬉しいですが、難しければ切って頂いても構いません…ご迷惑おかけして申し訳ありません
987
(1): 淡島豊雲野◆HnQRCeqIrM 20/03/31(火)23:58 ID:0s4(4/4) AAS
>>985
「なら自分は病弱だからってしおらしくしていればいい?」
「そんな無意味な事。それで何かが変わる訳でもないのに」

投げやりな調子、ほんの僅かに声に刺が混じったようだった。
言ってしまえば長年続けてきた、生まれ持った体質への付き合い方であるから。それを論及されるのは、あまり良い気はしないのだろう。
鉄面皮は歓喜も憤怒も映さない、路傍に向いた蒼紅の双眸もまた同様に。

「さあ……識っていると言えるし、知らないとも言える。自分でもよく分からないのが、正直なところかな」
「ああ、けれど……生半可な正義感と好奇心は、却って足を引っ張るだろうね。彼らはそんな物で立ち向かえる相手ではないだろうから」

要領を得ない答え、その自覚は十分にあるからそれ以上の問いに答えるのは難しいだろう。
ベンチに腰を落ち着けようとはせず、徐に一方向を見やって腹部をさする。切なげに眉尻が僅か下がった。
省5
988: 東堂蓮司◆3vpNnN34v6 20/04/01(水)00:11 ID:QY7(1) AAS
>>987
「………………。そりゃ悪かった、無責任やったな」

相手がどこぞら病気と付き合ってきたかは知るよしもなく。
せやからといってやあ許せとも言えへんわけで、出てくるのは謝罪のみ。
であれば、次からはそれなりの対応になるやろうわ。しおらしくせんのが彼女流ならそれに合わせるとしようわ。

「そういう言い回しは流行ってるのか?」
「まあ、それはなんとなく自覚してんねん。相手がなんぼなんでも厄介すぎるしな」

ふわふわとした言い回しについて、東堂はそないな風に言及したが特に意味はなく。
ほんで相手の反応を見れば、無闇に歩かせたのは失策かと頭をかいて。

「あいよ、その友達に心配はかけんなよー」
省6
989: メアリー・シェリー◆95S72tfpdk 20/04/01(水)00:14 ID:ZxN(1) AAS
>>986
/かしこまりたんや、連絡いただき感謝しておるんや
/ウチはゆっくりでも構いまへんので、焦らずロールを進めとっただけたらと思うで
/お待ちしておるさかいに、よろしゅうお願いしまんねんね♥
990: 押井 眞子 ◆vplVQ5Q2UQHz 20/04/02(木)00:17 ID:Mjv(1/3) AAS
//>>983で再募集します
991: メアリー・シェリー◆95S72tfpdk 20/04/02(木)00:57 ID:T3B(1/2) AAS
open2chスレ:charaneta2
/こちら次スレです
992: 佐野美珠◆95S72tfpdk 20/04/02(木)11:50 ID:Xq6(1) AAS
『次代を拓く電気の光 テスラ電灯社』
『碩学を目指す若者達よ。大義を共に。不可知論青年会』
『皆様へ寄付のお願い 寄付による減税 返礼品の詳細はこちら 蒸気知能協会』
『市民番号を不正に聞き出す詐欺多発 淤能碁呂警察署』
『排煙の世界を神秘が救う 素晴らしき科学教』

掲示板には雑多な張り紙が並んでいる。
色褪せたものから真新しいものまで……誰が見ているのかというものであったのだが。
それでもその出自自体は分からないものではなかったが、最近はその上に怪しい宗教組織のものが目立つ。

「……まあ、何にでも縋りたくなるものよね」

それが愚かだとは言わない。無駄だとも思わない。
省3
993
(1): 久々之千梛◆HnQRCeqIrM 20/04/02(木)12:42 ID:XXS(1/2) AAS
>>983
破壊の残滓による数日の休校。その余暇に諸手を挙げて喜んでいる学生諸君が、わざわざ校舎に訪れるならそれは相当な好き者だろう。
そうでなければなんらかのやむを得ない事情があるか、余程暇を持て余しているかのどちらかだ。

「――おっ、いたいたセンセ!」

張り詰めた空気もなんのその、元気よく職員室にやってきた少年をそこに当てはめるなら、ギリギリで前者と言えた。
失血による昏倒から意識が戻ったのが、破滅の夜の次に迎えた夕方の事。
それから検査入院という名目でしばらく拘束され、解放されたのがつい数刻前の話だった。

「コレ、持ってきたけど。もう補習は懲り懲りだぜ……」

その足で提出しに来たのが、以前個別指導のついでに出された英語の補習課題。病院であまりに暇を持て余し、ようやっと手をつけたのだ。
火急と呼ぶには安穏とした理由ではあるが、思い立てばすぐ行動に移すのが彼の基本的方針。
省2
994
(1): 押井 眞子 ◆vplVQ5Q2UQHz 20/04/02(木)22:09 ID:Mjv(2/3) AAS
>>993

「ん、Oh,hello.久々之君」

掛けられた声に、考えを中断してくるりと椅子を回す。
すらりと長い足を組みなおし、出していた宿題を受け取る。

「なら補習しないで済むだけのscoreを取ってちょうだい。そしたら私も楽でいいわ」

課題を一瞥し、からかうように笑う。
出来なかった問題を洗い出し、そこだけを重点的に再び取り組む。
ぱっと見の出来から判断すれば、そのステップを後2,3回は繰り返す必要があるだろうか。
不幸中の幸いと言うべきか、休校期間の今時間はある。端末を立ち上げ、早速彼専用のプリントを作り始めながら。
省5
995
(1): シャーロック・ホームズ◆KZ.unZS3k2 20/04/02(木)22:48 ID:bvc(1) AAS
>>978

「────そうとも、私は三大欲求よりも知的欲求を優先する人間だ
 然しそれは当然だろう。何も情報とは外的事象に関する知識に限らない。誰かの名前も、その言動も、その人格さえも、人間は情報としてこれを取得し、己の思考に用いる基礎とする
 私と貴方の違いは精々、それを意識的に行っているか、無意識的に処理しているかの違いでしかないのだよ」

理屈の通じない事象にさえ理屈を見出だして合理的論理を通す、形容し難い情緒や繊細な機微を重んじる人種からすれば天敵のような人間がここにいる。
ただし今は天性の煽り癖(病気)を発揮する場面でなければ、互いの考え方の違いについて論議を重ねる場面でもなく。

「そうかそうか、やはり発明王さえも一介の駒に過ぎないか────よし、次に遭遇した際にはその点も踏まえて煽り倒すとしようじゃないか、そして逃げる」

性格の良さを活き活きと発揮しながらも彼女の言葉に耳を傾けて暫し熟考。
モリアーティ教授の名は知っているし、その背景についても調べてはいるが、飽くまで調べて手に入る範疇の情報しか手にしてない。
その上で主観塗れの私見を述べるならば、ライヘンバッハの滝に蹴り落としてやりたい部類の人間だろうなと薄々思う位か。
省10
996
(1): 久々之千梛◆HnQRCeqIrM 20/04/02(木)23:12 ID:XXS(2/2) AAS
>>994
「うぐっ……努力はシマス……」

人間いざやろうと意気込んでも、直様熟せるものなどたかが知れている。
ただでさえ黙って机に向かっているのが苦手なタイプ、有り余る退屈に背中を押されない限り長続きしないのだ。
習熟に到達するまでの工程への辟易を隠そうともせず、ひくひくと口角を痙攣らせた。

「ぅえっ!?あー、えっと、コレは……ちょっとこの前の騒ぎで、巻き添え食ったっていうか……」

ぎくりと肩を跳ね上げたり、最も重傷であった胸元を無意識に摩ったり。
何よりもいつもはまっすぐな瞳があちこちに泳いで、驚くほどに分かりやすい誤魔化し方。
正直に話して下手な心配をかけたくない一心の言い訳だったが、それが致命的なまでに明瞭である自覚もまた。

「……ごめん、本当はあのデカブツを止めに行ってた。もう一人の奴と協力して、不気味な肉の塊みたいなのを一つ潰すくらいしか出来なかったけど」
省5
997: メアリー・シェリー◆95S72tfpdk 20/04/02(木)23:27 ID:T3B(2/2) AAS
>>995

「……なんというか……変な女だな。ホームズ、お前今今幾つだ?」

彼女に対して思考停止したわけではない。
自身の情緒に折り合いをつけて彼女の性格を理解して冷静に分析して導き出した結論が、単刀直入、一言にまとめてしまって言えばそうなのだ。
そして彼女のような年齢でそこまで完成された変人であるとするならば、まあ……大変だろうなと、ワトスンちゃんに同情するところであった。
ところで、彼女がどの学年かメアリー・シェリーはすっかりと忘れていた。序でに、年齢を聞いてみる。

「……いい性格してるな……エジソンよりやだな……」

エジソンの性格の悪さは単純明快だ。自身が頂点であると考えているからこそ、それ以外の人間は塵屑に見える。
等しく見下しているものだから、そこには遊びがない。例えば的確に言葉を選んで相手を傷つけるだとか、そういうことは苦手だろう。
なにせ、どれもこれも同じに見えるのだ。だからそういう細かい点に気づかない。彼女のその、相手の一番言われたくないことをぶつけるみたいなことは難しい。
省15
998
(1): 押井 眞子 ◆vplVQ5Q2UQHz 20/04/02(木)23:54 ID:Mjv(3/3) AAS
>>996

「────────」

彼が優しい嘘をつこうとする間、彼の声とキーボードを打つ音だけが職員室に響く。
嘘をつこうとしたことに悪意はないことは分かり切っている。そのことを咎めはしない。
だが、その沈黙がかえって彼を苦しめたかもしれない。

「I figured(やっぱり).無事……とはいかなかったみたいだけど、生きててよかったわ」
「どういう経緯であの船に乗り込んだか、聞いておきたいところだけど……まあいいわ」

溜息をついて、煙草を灰皿に押し付けてもみ消す。
あの不審者軍団は相当な手練れ、かつ人を殺すことに躊躇いがない。そのことは彼もその傷を以て実感しているだろう。
二人がかりだったとはいえ、こうして生きて帰ることが出来たのは幸運でしかないというのが眞子の見立て。
省5
999
(1): 久々之千梛◆HnQRCeqIrM 20/04/03(金)00:31 ID:pZx(1) AAS
>>998
実のところ傷の深さ自体は命に関わる問題ではない、数日の入院を要する程の深手ではなかったのだ
退院がなかなか許されなかったのは異能の行使に伴う代償、多大な失血が真の理由。
自傷と呼んでも相違ない解決手段。それがひどく申し訳なく思えて、苦い顔で沈黙を飲み込んだ。

「俺が無理を通したんだ。あんなやり方……どうしても許せなくて」
「だからあそこまで連れて行ってくれたあいつは悪くねえ。俺が自分で決めた、俺の責任だ」

一見破天荒な行動に出る事もあるが。生徒の成長と安全を強く重視した、彼女の教師としての姿勢が一貫して堅牢であるのは、朧げながらも分かっていた。
故に何者かの作為で居合わせた訳ではなく、正しく己の判断で立ち会ったと。責任を人に押し付けるのを是とは思えなかった。
印刷機の囁き、排出された紙の擦れる音。目を伏せて、守られる側に押しやる言葉を黙って聞いていた。
何かを堪えるように下唇を噛みしめて。口を開いたのは、眞子が戻ってきてようやくの事だった。
省6
1000: 押井 眞子 ◆vplVQ5Q2UQHz 20/04/03(金)01:24 ID:Evn(1) AAS
>>999

椅子に座り、プリントをトントンと揃え、ホチキスで端を止め。
(決めたのが彼自身とはいえ、戦場に連れ出した誰かへ眉間にしわを寄せはするが)彼の意思を、まずはただ聞く。

「チンピラや暴走族を相手にするのとは訳が違うのよ?私でも手に余るほどの相手なんだから」
「一回首を突っ込んだら、若気の至りでした手を引きますごめんなさいで許される相手でもない。どちらが先に潰れるかの戦いになる……それを分かってる?」
「それに、命がけで戦うことを選ぶにはまだ早すぎる。卒業してからそういう道に進むなら止めないわ、でもまだ久々之君はコドモなのよ。自分でどう思ってるのかは知らないけど」

一通り聞いたのち、諭すような口調で。
熱情で生徒が死地に向かうのを是とする教師などいない。
守られる側に押しやっていると罵られようとも、止めようとする。

「それだけの傷を負ってたら、いずれどこかで死ぬことになる。Teacherとして、そのことを見過ごすわけにはいかないの」
省3
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