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117: 2023/09/24(日)16:26 ID:mBDX6lCU(3/3) AAS
【書評】優しいルーザーたちのプロレス愛:林育徳著『リングサイド』
ルーザー=魯蛇
台湾では日本語の「負け組」のことを「魯蛇」と呼ぶ。魯蛇は英語の「ルーザー」の音から当てられた翻訳語である。
本書について台湾で行われたインタビューで、著者の林育徳は「米国や日本のレスラーの伝記なんかを読んでいると、
プロレスは本当にルーザーっぽいところがあって、誰も最初から志を持ってやっているわけではなく、
これもだめ、あれもだめとなって、OK、じゃあプロレスでもやるか、という感じなんです」と述べている。
確かに、プロレス自体がスポーツにおける「第二の人生」的なところがある。
馬場はプロ野球からプロレスに流れ、坂口も柔道出身だ。
それが台湾においては、さらにルーザー的な要素が濃くなる。
なにしろ、台湾でプロレス団体は三つあるが、月一程度の興行を行なっているにすぎない。
米国や日本のように、スポーツ新聞やタブロイドにプロレスが取り上げられることもない。
ただ、ケーブルテレビなどで、日本や米国の昔の試合を深夜に延々と流しているので、
かろうじてプロレスを楽しむ文化が細々と存在しているのが台湾である。
しかし、だからこそ、林育徳は、プロレスという題材に惹きつけられ、デビュー作で一つの作品世界を作り上げた。
本書に登場するキャラクターは、いずれも負け組っぽい人々ばかりである。
家庭に問題がある人、仕事がうまくいかない人、彼女ができない人。
それがいつのまにか、彼らの心のなかで、プロレスが一つの希望になっている。
希望といえば言い過ぎかもしれないが、プロレスがあるから、前を向いて歩く気になる支えになっているのである。
それはやはりプロレス自体の負け組要素が彼らの心に共鳴を起こすからなのだろう。
外部リンク:www.nippon.com
これもダメ、あれもダメとなって仕方なく始める負け組要素濃厚な仕事がプロレス
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