[過去ログ] 【コスパ】DALI OBERON/ZENSORシリーズ 13【未知】 (1002レス)
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836: 2019/10/24(木)17:32 ID:x62FH3Jl(1/7) AAS
「誘惑するはずの男に恋をして逃がしたら、逆に男のほうに押し切られて結婚することになってな。水の精からの求婚の試練なんかもあって、男に協力したら、水の精から人間としての名づけを頼まれた」
「あ、面倒見がいいのって、性分なんですね。その口の悪さと言葉のきつさをどうにかすれば、もっといい噂も流れるんじゃないですか?」
別になんと噂されようとどうでもいいって。
誰かに期待するなんて、後が怖いじゃねぇか。
837: 2019/10/24(木)17:33 ID:x62FH3Jl(2/7) AAS
「それで、なんと名付けたんです?」
「あまり捻りもないぞ? 水の精を表す古語から文字ってナイアとつけた」
「まぁ! でしたら、この子にもその名を授けてください。種を越えた運命の出会いができそう」
そう言えば性別聞いてなかったけど、反応からして女の子か?
てか、偽清楚。なんかロマンス的な話好きなのか? 趣味あれなのに?
838: 2019/10/24(木)17:34 ID:x62FH3Jl(3/7) AAS
「まぁ、待て。祝いのついでなんだ。どうせなら、この子だけのたった一つの名を贈ってやる。世界でたった一人の存在なんだからな」
「…………ありがとう、ございます。あの、一つ聞いてもいいですか?」
「なんだ?」
そんな意外そうな顔して?
839: 2019/10/24(木)17:34 ID:x62FH3Jl(4/7) AAS
「どうして、こんな人の通わない場所に一人でいるんですか?」
「今は、一人じゃないさ」
「そう、ふふ、なるほど。そうですか」
すごく納得した顔で笑われたけど、お前と会った時はまだ一人だったんだぞ。
けど、今は一人じゃない。
偽清楚の娘に名づけをして、俺は泉の中へと帰った。
白い砂の上に足を降ろすと、手に斧を持ったヘンゼルが突っ立ってる。薪割り日課だし、別におかしなことではない。
840: 2019/10/24(木)17:35 ID:x62FH3Jl(5/7) AAS
ないけど、なんでそんな戸惑った顔してるんだ?
「どうした、ヘンゼル? あ、薪にする木の乾燥失敗でもしたのか?」
こいつは相変わらず火の魔法使おうとして小火を起こす。
木を乾燥させるには火の魔法より、水の魔法使えと言っていたのに。
身長は俺に追いついて来たし、筋肉のつきは正直こいつのほうがいい。けど、聞かん気の強い子供な部分は変わってないな。
841: 2019/10/24(木)17:35 ID:x62FH3Jl(6/7) AAS
「…………違う。さっきの、女のひと」
「あぁ、知らない奴がいて驚いたのか。安心しろ。別に危害を加えてくるような手合いじゃない」
三年前にヘンゼルとグレーテルを探しに兵がやって来た。
あの時の怯えようを思い出せば、ヘンゼルのぎこちなさもわかる。
842: 2019/10/24(木)17:36 ID:x62FH3Jl(7/7) AAS
「もし危害を加えに来ていたとしても、前に言ったとおり、俺が結界を解かない限りここには入れないんだ。怖がるな」
「べ、別に、怖がってるわけじゃ!」
「はいはい。この結界の強固さは、未だに結界壊せないお前が一番よくわかってるよな」
「はぁ!? 俺だって、魔法の腕は上がってるんだ! こんな結界くらい!」
言って、ヘンゼルは斧に魔力を流して自分の身長くらいの刃を生成する。
843: 2019/10/24(木)18:00 ID:FqB98G4t(1/9) AAS
そのまま水との境目に斧を振り下ろした。
ピキッと結界が不穏な音を上げる。
うわ、思ったよりヤバいか?
と思ったけど、刃の形に傷がついただけで、そこから先に刃を押し込めはしなかった。
ふー、驚かせやがって。
ヘンゼルが斧を引くと、刃の形についた傷は自動修復で徐々に薄れていく。
844: 2019/10/24(木)18:01 ID:FqB98G4t(2/9) AAS
「…………あと少し」
「ま、まだまだ早かったみたいだな」
内心ドキドキだけど、ここは年長者の見栄を張らせてもらおう。
最初から焦ったみたいに魔法修得してたけど、決して才能がないわけじゃないんだ。
というか才能で言えば、王宮で高給取ってた魔術師より、ずっと持ってる。ただ、俺みたいに抜きんでた天才じゃなきゃ、縁故以外で王宮に召し抱えられるなんてほぼないだけで。
845: 2019/10/24(木)18:01 ID:FqB98G4t(3/9) AAS
「お兄ちゃん? 今の音は何?」
「グレーテル、ただいま」
「泉の精さま! お帰りなさい!」
グレーテルも三年で体は随分と成長した。
やせっぽちだったのが、十二歳になった今じゃ誰が見ても可愛い女の子だ。
愛想も良くて家事もしっかりやる働き者で。これなら何処に嫁に出しても恥ずかしくない。どころか、嫁に出すのがもったいないくらいの器量よしだ。
まぁ、十以上も歳が離れてるから、俺が囲い込むことなんてしないけどな。
846: 2019/10/24(木)18:02 ID:FqB98G4t(4/9) AAS
「グレーテルも、いい母親になるんだろうな」
「え、え!? 泉の精さま、私をお嫁さんにしてくれるんですか!」
「違う違う! ヘンゼルがすっごい目して睨んで来てるから、そういうことを言うんじゃない! さっきちょっと赤ん坊を抱えた母親を見たから言っただけだ!」
全く、年頃の女の子が結婚に夢見るのは悪いことじゃないが、消去法で俺みたいなおっさん選んじゃ駄目だろ。
847: 2019/10/24(木)18:03 ID:FqB98G4t(5/9) AAS
「おい、グレーテルに手を出すなら、まず俺に一言断れよ」
「するか! そして斧を構えながら言うな!」
妹さんをくださいとでも言った途端、斧を振り下ろす気満々じゃねぇか!
「ったく、なんで祝いの日にお前は…………」
「祝い? 今日、何か行事のある日か?」
「もう! 本当にお兄ちゃん気づかないんだから」
グレーテルに怒られ、ヘンゼルは頬を掻きながら考える。
が、何も思いつかない様子で、俺に答えを求めて視線を向けて来た。
848: 2019/10/24(木)18:04 ID:FqB98G4t(6/9) AAS
なんだかんだ反発してきても、弟子の意識はあるみたいでこうして教えを求める仕草をする。ちょっと、懐かない猫にすり寄られる気分だ。
「今日は夏至の日。世間一般じゃ、十五歳の男子の成人の日だよ」
「十五歳、男子の…………あ!」
「そ、今日はお前の成人の日だ、ヘンゼル。町でお前のための酒を買って来た」
「泉の精さまに頼んで、昨日猪を取ってきてもらったでしょ? あれは今日のためにじっくりコトコト煮込んであるの!」
849: 2019/10/24(木)18:04 ID:FqB98G4t(7/9) AAS
グレーテルが言うように、家の中からは美味そうな匂いが漂っていた。
斧の柄を両手で握り締めたヘンゼルは、返事もせずに俯いている。けど、その耳は笑えるほどに赤かった。
「良くここまで成長したもんだ。頑張ったな」
俺はヘンゼルの頭を軽く叩いて家に向かって歩き出す。
850: 2019/10/24(木)18:06 ID:FqB98G4t(8/9) AAS
「ほら、斧は置いて中に入れ、ヘンゼル」
「お兄ちゃん、お酒以外にも甘い物買って来てくれてるのよ? 泉の精さま、お兄ちゃんがお酒合わなかったら口直しって言ってたの」
「そうそう、この果物冷やすと美味いらしいから、井戸水につけとこう」
「はーい」
俺から買った物を受け取ったグレーテルは、足取りも軽く井戸に向かう。
851: 2019/10/24(木)18:06 ID:FqB98G4t(9/9) AAS
「ほら、ヘンゼル?」
「…………今、行く」
「いや、斧置いて行けよ」
「わ、わかってる! …………ちょっとだけ、待って」
吐き出すように言ったヘンゼルは、斧を握り締めたまま鼻を啜った。
柄に落ちた水滴を、俺は見ないふりをした。
852(1): 2019/10/24(木)18:07 ID:GKaeSPhW(1) AAS
流石にこれはアク禁食らうぞ
853: 2019/10/24(木)18:12 ID:aSKbTM4c(1) AAS
>>852
外部リンク:hissi.org
満足したから、
今日はこれで終わりにしておこう
この内容で応募かける予定だが、
賞受賞出来ると思うよな
854: 2019/10/24(木)18:15 ID:1n29jvTf(1) AAS
なろうから必死にコピペしてると思うと
すげえ笑える
855: 2019/10/24(木)18:23 ID:a4LdssFv(9/11) AAS
ランキング全て独占してやったから、
称号とか仇名とか与えろ
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