Twitter講師スレで誹謗中傷してる奴らは犯罪者です Part4 (946レス)
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6: 2023/12/04(月)20:43 ID:0FlUONwj(2/4) AAS
少年は話をしてる先生の横顔に見入ってしまっていた。
美しい横顔に艶やかな長い黒髪。
おっとりとした口調、長い睫毛に優しく慈悲深い眼差し。
ピアノについて右も左もわからなかった、ただ音にしたいだけの自分に、根気強く音楽を教えてくれた。
ピアニストという職業を鼻にかけることもなく、身寄りも無い自分を導いてくれている。
…そんなことを考えながら先生の顔を見ていたら、先生が急に
「あら、今の説明でわかったかしら?」
と少年の方へ顔を向けた。
少年ははハッと我に返り、
「あっ、すみません、先生。いや、あ、あの…」
答えようとしたが説明など聞いていないのだから答えられるはずもなく、でも何か答えなければ…
と、咄嗟に出た言葉が
「先生、先生の好きな曲はなんでしょうか?その曲が聞きたいんです。先生の演奏で…」
という言葉であった。
そんな事を自分が言うなんて、いや、先生に求めるなんて、少年は信じられなかった。
自分に弾かせたい曲ではなく、先生が弾きたい曲は?
先生の好きな…
先生は唐突な質問に驚いてはいたが、
「私の好きな曲?たくさんあるわよ。でも強いてあげるとすればこの曲かしら」
と、ピアノの上に手をかざした。
そしてその手から何とも言えないこの上もなく美しい曲が流れ出した。
それはあまりにも静かであまりにも切なく儚い曲。
どこか懐かしく、何か昔の甘美な思い出が走馬灯のように甦ってくるような。
少年はその曲を聞きながら、涙が流れるのを止められなかった。
溢れる感情を押さえることが出来なかった。
いとおしい。苦しい。悲しい。
どんなに想っても届かない気持ち…。
先生のやるせない思いが音となって滴り落ちるような演奏だった。
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