◆三島由紀夫の遺訓◆ (511レス)
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149: 2011/02/16(水)11:04 ID:rpAP2EWn(3/8) AAS
国際関係はいつも微妙な力のバランスの上に立ち、一国民のナショナリズムをもつてしても、なんともなるものでは
ありません。しかし一九七〇年を境に、われわれは個々に目をらんらんと光らせてわが身を振り返へり、世道人心の
奥に目を開いて、そこに底流するものを認識し、日本とは何か、真のナショナリズムなるものとは何か、それを
守るにはどうすればよいかを考へなくてはなりません。いまやナショナリズムは、新聞紙上や街頭で絶叫される
演説の叫びではなくて、われわれの一人一人に対する鋭い問ひかけになつたのであります。
ナショナリズムとは何か。ナショナリズムとは、軽々しく心に訴へるやうなものではなく、われわれの心の奥底に
あるものに対して、鋭い深いふれ方をし、われわれの最も美しい記憶とまた最もおそろしい記憶とも結びついて
ゐるやうなものであります。
それは、ヘルデルリンのハイムクンフト(帰郷)といふ詩にもあるやうに、ふるさとといふものは、われわれの
いちばん奥にあつて最もなつかしいものであると同時に、最もおそろしいものなのであります。

三島由紀夫「70年代新春の呼びかけ」より
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