他板に投稿された、興味深い格言の転載スレ 4 (308レス)
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21: 2018/03/26(月)21:07 ID:oapZX2kd(20/239) AAS
661 名前:名前は誰も知らない[] 投稿日:2006/09/15(金) 23:16:36 ID:kU3NREnl0
  おい。
  もう秋だな。

  風がだんだん冷たくなり、また空気が澄んで天が高くなる。
  向日葵の残骸、いつの間にか聞こえなくなったセミの合唱。
  懐かしいキンモクセイの香りが花を掠める。

  すっかりクーラーの要らなくなった電車を降りて家路を急げば、
  まだ冬は遠いというのに、なぜか夜風が身にしみる。残業続きで疲れた体。
  明るい家々の窓からは時折笑い声が聞こえ、残業から帰った夫に出したのだろう
  シチューの良い香りがする。
  変に凝ったものではなく、オーソドックスな、野菜たっぷりの鶏肉シチュー。
  羨ましい。俺は、さっきローソンで買った唐揚弁当のラップを破り、食うだけ。
  独りで。こんな毎日が続く。この秋を乗り切っても、次にやってくるのは冬。
  恋人に、配偶者に、親に、子供に、愛する人のために贈り物を選ぶ人々を尻目に、
  俺は自分の欲望を満たすためだけの買い物をする。
  「俺は自分の金は自分で全部使えるんだ、それが嬉しいんだ」
  意識の外で自分に言い聞かせる。
  愛する人のために身を削るのは、利己的に生きるよりずっと幸せなのだということに
  気づかないふりをする。愛情を惜しみなく周りに与えれば、空いた部分は幸せで満たされる。
  愛情を自分だけに向けて疑い深く生きていれば、大切に抱えているその愛情が
  価値の無いものへと変質していく。一年中それが続く。
  俺は幸せにはなれないと気づいた

671 名前:名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2006/09/17(日) 00:29:41 ID:O56N1/0N0
  夜10時55分、最後の大当たりの玉を掻きだしているところで、 店内に蛍の光が流れ始めた。
  今日はなんとか、ノルマをこなせたようだ。1万5千円ほど浮きになる計算なので、
  久しぶりに近所の飲み屋で一杯やって帰るとしよう。

  交換所で現金に換え、路地を離れたところで、コンパがはねた大学生の集団とすれ違った。
  最近、彼らがやけにまぶしい。彼らだけではない、この社会にきちんと「居場所」を持っている連中を、
  まともに正視することができなくなっている。
  今日も、華やかな熱気が溢れている彼らをなるべく視界に入れないように、
  しかしスクーターを停めてある場所に行かねばならぬため、
  なるべく目を逸らして逃げるように横を通り抜ける。

  「単位が…」「…内定いくつ…」…自分も、数年前には確かにあの熱気の中にいたことがあった。
  しかし、今彼らが話していることはまるで、別の宇宙の出来事のように空々しく耳を通り抜けていく。
  しかし、通り抜ける途中で確かに、私の心の最も敏感な部分に、微かに傷をつけて過ぎていくのだ。

  そして、その傷は癒えるどころか、日々身体の中に溜まり、
  そして弱い微生物が仲間を求めるかのように体の中心に集まり、
  ひとつひとつの弱さがまるで嘘だったかのように強固な生命体となり、
  私の肉体と精神をまるで癌細胞のように蝕んでゆく。
  いつもいつも、 胃の底のあたりにそいつは潜み、普段は顔を出すそぶりも見せない癖に、
  こうして「社会」というものの存在を目の当たりにせざるをえなくなったときに、
  まるで猛獣のように体の中を暴れまわり、そこら中を生傷だらけにしていくのだ…
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