ポケスペ小説 か か な い か ? (34レス)
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32: 2014/05/20(火)19:10 ID:M1PJwkfs0(2/3) AAS
7月の初夏、またあの日の熱がやってきた。思えばルネの死火山が崩壊して、古代の超獣たちが元有るべき場所へと帰った『環境事変』からもう2年が立とうとしている。
水面下で暗躍したふたつの地下組織、神話にあるふたつの宝珠、解決に当たった自治体の首長、秘密裏に第三の超獣を研究していた協会の重鎮たちの思惑。僕たちはそうした全てに関わった。
いや、今考えると関わらざるを得なかったんだ。それは僕らの一代前、つまり親の代から続く縁、定めのようなものだったから。
僕とサファイアという、ふたりの子供の間に流れた怒濤の80日間はあっという間に過ぎ、それから暫くしてホウエンに残された災害の疵痕も人々の生活の中で癒え、かつての事件は忘れ去られつつある。
テレビに映る権力方への報道の様子も落ち着きを見せ始めた。それというのもこの間のニュースでテロップで流れていた、協会が囲っていた天空の塔の主についての責任追及が一段落したからだ。担当していた機密的な部署の幹部は法で裁かれ、加えて露見した事態がもうこれ以上掘り下げられないよう根回しがされたのだろう。
だれもこんな終結の仕方には納得していないはずなのに、みんな目の前のことで手一杯になっている。僕の近所も、父さんやオダマキ博士も、彼女も、僕自身も。
とにかく、一部始終をこの手紙にしたためるとしよう。
サファイアには悪いことをした。いきなり行方をくらますなんてのは最低の事だった。
だが真実を語ってしまえば、今よりずっと彼女は傷つくだろう。到底受け入れられないことだ、僕もそうだ。
でもようやく正直になる決心がついた。これから話すのは僕の六匹目の手持ちについての話。
「キャモメ、この手紙をオダマキ・サファイアによろしく。いつも通りだよ……けれどもう二度と、贈ることはないと思う」
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