【夢か】SSスレ【幻か】 (528レス)
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265: 『源』◆SYLP4psCi. 2015/02/19(木)13:08 ID:0kLeiltE0(1/8) AAS
・大司教アーグのキャラ設定SS
・途中グロ有り、矛盾有り、自己完結。

上記の通りな感じですのでお気を付けを。
266: 『源』◆SYLP4psCi. 2015/02/19(木)13:10 ID:0kLeiltE0(2/8) AAS
アーグが生まれたのは、現代から数えて243年前になる。
最早歴史の中の世界であるから、電子機器も無かったし、手術の方式なども非常に古典的であった。

だから、彼がその身に数多くの奇形を持ちながら生まれ落ちても
誰にもその奇を取り除くことは出来なかった。単眼、多腕、骨格の異常。
育つに連れて歯列や爪にも常人にはない異変が起きた。五感にしても目は
光を辛うじて認識できる程度であり、耳は聞こえず、必然的にしゃべることは出来なかった。

食事はスープで解した物を流しこむように食べさせる。
呪われた子供、という渾名すら付くほどの、徹底した奇形児であった。
何もない時代だからこそ、彼の両親や親族はこぞって神にすがった。
当時地方の一宗派であったゼン=カイマの僧達の元に、彼の”厄落し”を依頼したのである。
省13
267: 『源』◆SYLP4psCi. 2015/02/19(木)13:12 ID:0kLeiltE0(3/8) AAS
「今日だけで80人目になるか……」

騎士団長ゴドリックはため息を吐きながら視線の先の処刑場を改めて眺めた。
街の外に作った、改宗を拒む異教徒の首を撥ねる為だけの処刑場を。

20人ほどの騎士団員が絶えず人々の首を落とし、棺桶に遺体を収めて運び出しているが
午前一杯かかってもまだ三割も捌ききれていない。
それだけ今回の遠征は成果があったということだが、戦いが終わってアドレナリンが切れ
何十人と死を眺め続けると感覚も鈍くなる。黒髪を後ろに束ねてから唇を舐めるとほのかに鉄錆の味がした。

「カラッド……カラッドは居るか、副団長は。」
「居ますよ、此処にね。ちょっと斧を持つのも疲れたんで休憩してたんです」
「ご苦労なことだ……残りの囚人の中に、あのゴーレム使いは居るのか?
省14
268: 『源』◆SYLP4psCi. 2015/02/19(木)13:14 ID:0kLeiltE0(4/8) AAS
さて、大司教。ゴドリックの属するゼン=カイマにおいては、全権を委任された存在だ。
その飼い犬が司教たちであり、更に下にゴドリック率いる近衛騎士団が位置している。

つまり元を辿ればゴドリックの飼い主も大司教であり
必然的に距離をとって頭を下げ、膝を付いての報告となった。

味方の戦傷者、敵方の捕虜数、処刑者数、改宗者数。
伽藍から召し上げた宝具の数々を覚えている限り伝え直し、今後の指示を仰ぐ。
その段で大司教自らが頭を上げろ、と言ってから初めてゴドリックは彼を見た。

異装である。背はゆうに2メートルを超えているだろう。見立てでは240cmはある。
ひどい弱視だとかで、目元は頭巾から伸びる白い絹で覆うようにしていた。
手元の袖も布が長い。こちらは両手に異教徒から受けた大きな火傷の跡があるのだと言う。
省28
269: 『源』◆SYLP4psCi. 2015/02/19(木)13:18 ID:0kLeiltE0(5/8) AAS
台に固定された女の手足が痛みにピンと伸び、拘束のベルトと
鎖がガチャガチャと音を立てる。その身には一分の布切れすら纏うことは許されず
健康的な小麦色の肌に血液のどす黒い赤が栄える。

彼女の腹部を麻酔無しに切開するメスの動きは止まることもなく
氷上を踊るスケーターの様に綺麗に肌と筋繊維、そして臓物を切り開いて
鯨油の明かりに照らしだす。向かいの牢獄からは怒号が飛んだ。
しかしそれを意にも介さぬクツクツという笑い声が地下牢に響いた。

『そうそう怒るでないわ、異教徒共が。どうせ明日の昼には死ぬのだ
 今此処で不興を買って犬死にしたくは無かろうが?
 貴様らの死に際なぞ、私の目配せ一つで変わるのだ。火炙りでも良かろう
省30
270: 『源』◆SYLP4psCi. 2015/02/19(木)13:23 ID:0kLeiltE0(6/8) AAS
『痛いではないか、騎士よ……神の猟犬である貴様が、神の代弁者たる私に仇なすのか?』

『貴様は代弁者などではない、悪魔め。知っているのだ
 この数十年……私の先代、先々代……。汚職と腐敗がゼン=カイマに蔓延ったのは
 60年以上もの昔に貴様が大司教になった頃からだと、既に調べが付いている』

『それも優秀な部下の調べかね?それとも、愚かしい歴代の騎士団長達の所業かね。
 ……なに、どちらでも構わんさ。何故なら間違っているからだ』

大司教は剣で裂けた傷口をその術で癒やしながら笑った。
傷口の血は止まり皮膚も張ったが、口元は裂けたままであった。

『良いかね騎士団長、そもそもだ……。キミは異教徒に対して
 まさか殺すべきではないだとか、信仰の自由を許せだとか言うまいな?
省30
271: 『源』◆SYLP4psCi. 2015/02/19(木)13:25 ID:0kLeiltE0(7/8) AAS
捻くれた爪がじゃらりと音を立てる。大きく長い指が動けぬ騎士団長の頭を掴んで
間近に詰め寄りながら問いただす。電流が頭脳を痺れさせたのか
ゴドリックは答えられない。ニヤリと笑った大司教は、彼にある術をかけた。

掛けてから、地上へ――大聖堂へと戻る道を歩んだ。
祭壇の階段から表に出ると、そのすぐ側には若き副団長が立っていた。
突然斬りかかるようなことはなかった、が―――。

『……あの、大司教様。団長を見ませんでしたか?
 先ほど、大司教様と会ってくると言って出て行ったきりでして、ぁ……グっ、な…!?』

『フン……カラッドというのは貴様よな、ちょろちょろとネズミのように彷徨く若造が。
 大事な大事な騎士団長サマは既に我が手の内よ。貴様も同じようにしてやろうではないか
省17
272: 『源』◆SYLP4psCi. 2015/02/19(木)13:38 ID:0kLeiltE0(8/8) AAS
『……それで、ボクの身体は誰のものなのさ?
 ゴドリックってのはおっさんだし、アンタの側で死んだんだろ?』

『あぁ、それはカラッドという小僧のものよ。アレは蘇生させた後に拘束してな
 実験台にしたのだ。便利だったからな、力あるものの肉体というのは……のう、ブリッツ?』

『あら、そんなお話を聞くと私の身体は何処から来たのか知りたくなりますわ、アーグ様。』

『……聞きたいか?お前のはいささか特殊だぞ、ロースよ。
 異教徒共の中には、聖女扱いされていながら平然と男を持つ者も居てな。
 孕んでいるのが居たから、胎児だけを引き出してな。……櫻には
 幼少の女を連れ帰って育て、理想通りに育てた男の話があるそうだが
 中々どうして、胎児からそうしてやった者もおるまいて。事実は小説よりも奇、よな』
省10
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